 |
|
2003年度支援事業の報告
Think the Earthプロジェクトからの支援は、2002年度に引き続きカンボジア・日本間で実施されている『レインボー事業』に活用されました。
カンボジアでは1970年代からポル・ポト政権による政治的混乱が続いていましたが、1993年に行われた初の国政選挙によりようやく混乱に終止符が打たれました。しかし、長期間にわたる内戦の後遺症は今なお大きく、特に多くの教師が処刑されたことから、文化・伝統を担うための教育を復活するための教員養成が急務となっています。また、学校教育の重要性が家庭に充分に認識されていないため、小学校の就学率は87%と高いにも関わらず、貧困のため特に女子児童を家事労働に従事させようとする親の意向が強いこともあり、女子の退学率が高くなっています。
レインボー事業
こうした状況を少しでも改善するため、日本の小中学校から文房具・図工の資材を送り、絵のワークショップの開催(子どもたちに絵を描く楽しさや学校に来る喜びを知ってもらうこと、図工の教師を育成し、自分たちで授業を進められるようサポートする)を通して、就学率の向上、退学率の減少を目指すことを目的として実施しているのが『レインボー事業』です。また、絵の交流を通じた日本・カンボジア間の相互文化理解と国際交流をもう1つの目的としています。対象地域は、カンボジア王国 カンダール州 ルックダイク地区。首都プノンペンから車で3時間の位置にあり、毎年洪水に見舞われるため州内でも貧しく、女子の就学率は低く、退学率がとても高い地区です。レインボー事業は、こうした状況を改善するために、1997年から行っている“女子教育支援事業”と連携して実施しています。
|
|
2003年度(2003年7月〜2004年6月)
活動成果と今後の課題
|
|
日本からの文房具・絵の材料、作品の贈呈
2002年度のレインボー事業参加校や問い合わせのあった小中学校、団体、個人に呼びかけ、前年度(138校)とほぼ同じ、全国から139校・団体・個人の参加がありました。生徒の作品1,187点ほか、絵の具2,679本、ノート8,543冊など、送った箱(レインボー箱)は193箱でした。レインボー事業始まって以来初めて、ルックダイク地区の全小中学校(23校)にレインボー箱が贈呈されました。送られた文房具は生徒に配られ、絵の資材は学校で管理され大切に使われています。 |
|
絵のワークショップ
今年度のワークショップは先生自らが生徒を指導できる力を身につけることを主目的に、4月6日〜9日、ルックダイク地区プレイクダッチ小学校にて行われました。周辺の小学校18校より、先生は昨年の倍近くとなる70名、小学生は260名が参加しました。
2001年度に引き続き、The PASS(「児童画の国際交流を進める画塾協会」)から絵の先生6名を招き、現地の先生との意見交換の場を設け、「上手に描くより、感じた心を表現することが大切」といった美術教育の理念に関わる話から、絵の具の使い方など具体的な水彩画の描き方を先生にも体験してもらいながら学びました。参加した小学生にも水彩画を実際に描いてもらい、作品鑑賞などの時間を設けしました。 |
|
日本とカンボジアの生徒による絵の交換
レインボー箱で送られた日本の生徒の絵は、ワークショップの時に紹介され、その後各学校の校内で展示されました。ワークショップや授業でカンボジアの生徒が書描いた約700点の絵は手紙と共に日本に送られ、その後以下のウェブや展示会にて掲載・展示されました。
2003年6月:
ケア・ジャパンのホームページ(カンボディア 絵の展覧会)で絵を掲載
2003年11月:
東京マリンギャラリーにて「カンボジア児童画展」開催(11/25-28)
2004年3月:
The PASS主催の児童画国際交流展(京都)(3/26〜28) |
|
教育文化学習センターの開設
2003年に提案、建設が決まった「教育文化学習センター」が、2004年4月6日にオープン。開所式には、教育青年スポーツ省の大臣代理の他、学校関係者、村人など約1,000人が参列しました。センターは地区の文化教育活動の発展を目的として建てられ、村人や先生方が運営しています。絵の教室、作品展示場、図書館、地域文化を学ぶ場として生徒はもちろんのこと、村人も活用できます。 |
|
今後の課題
|
|
先生対象のワークショップの強化
ワークショップに参加できる生徒数は、全体生徒数の3%にしか満たないため、今後は現地の先生が直接指導ができ、絵を描く楽しさを知る生徒が増えることにより活動が広がってゆくように、先生の育成をサポートしていきたいと考えています。2、3年内には日本からの先生の派遣が必要なくなる体制の確立を目指していきます。また、まだワークショップに参加したことがない小学校2校についての参加を可能にしていきます。 |
|
現地の子ども、先生、親の反応と事業の効果に関する調査
ワークショップ参加者にはインタビューを行いましたが、親の反応を聞くまでには至りませんでした。事業効果をより明らかにするため、今後は以下に関しての親の意見を得るためのアンケートを調査を両親を対象に実施予定です。
- 就学率、進学率がどう向上しているか。
- 子ども、先生のみならず、子どもの教育に対して最も影響力を持つ親が、この事業をどのように認識しているか。
|
|
教育文化学習センターのフォロー
センターが役割を果たし、地区の文化教育の発展にどう貢献できるか、積極的に活動状況や成果をフォローしていきます。 |
|
新たな展開
|
|
当該地区の中で、最も交通の便が悪い地域より、図書館建設の提案があったため、前向きな検討を行っていきます。
また、ルックダイク地区よりも貧しく、交通の便がさらに悪いプレイベン州ピームチョア地区の先生達がレインボー事業に強い関心を示しているので、数年後には新たな展開が予想されます。 |
|
ワークショップに参加した先生と子どもたちの声
|
|
クン キムニー先生
プレックダッチ小学校
以前からこのワークショップに参加希望していたのですが、今回それが実現して大変嬉しく思っています。レインボー事業が始まる前は資材も無く子ども達も活動する機会がほとんどありませんでした。レインボー事業が始まってから、子ども達は美術活動に興味を持ち始め、特に色を使った活動に非常に興味を持っています。今では学校で行う美術の授業が、子ども達を学校にひきつける重要な授業になっており、子ども達は楽しみにして通ってきています。この美術の授業はリラックスした雰囲気の中で実施するため、子ども達の精神的な面においても効果があると思います。
私の夢はより多くの技術を学び、身につけ、これらを他の先生、子ども達に伝えていくことです。美術の授業を通してもっと多くの子ども達が学校に通いたくなるような環境作りを進めていきたいと思います。
コーリン君
プントマイ小学校 1年
今日の授業はすごーく楽しかったです!僕は学校が大好きです。学校の授業では美術とクメール語が好きです。また今日みたいなクラスがあったらいいな。 |
 |
ソック ティダ さん
サムクムトマイ小学校 5年
私は鉛筆で絵を描いた経験はありますが、色を使って絵を描いたのは今回が初めてです。初めは大変不安でしたが、今は自信がつきました。もともと私は芸術家になりたかったので、もっと沢山の技術を身につけたいと思っています。私たちは色をたくさん使って行う美術の授業が大好きです。
|  |
|
|
2003年度レインボー事業事業費
|
|
活動のようす
|
|

教育文化学習センターがオープン! |
|

出来上がった作品を見せ合う子ども達 いい笑顔です |
|

ワークショップで水彩画に初めて取り組む先生 |
|

先生も子どもも、真剣です |
|

日本から届けられた文房具を受け取って、大喜びの子ども達 |
|
|

|