2002年度支援事業の報告

Think the Earthプロジェクトからの支援は、2001年度に引き続きベトナムと ネパールでの『チャイルド・リンク事業』に活用されました。

 ネパール:ダヌシャ郡     

2002年度は、 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)のネパール事業開始10周年にあたる年でした。一方で、マオイスト(毛沢東派共産党ゲリラ)問題による国内の治安悪化に伴い、武力紛争による直接の影響こそ少なかったものの、郡や村の開発予算が凍結され、計画どおり活動が実施できないなどの困難もたくさんありました。
この地域では、2人に1人の子どもがいまだに学校に通っていない状況です。SCJでは、村役場や地域住民や親たちと連携し『すべての子どもが学校に行けるようになる』ための事業を展開しています。活動をするうえでは、SCJがすべてを主導するのではなく、住民を横から手助けし、子どもたち自身の声を聞くことを最も大切にしています。

2002年度の成果

学校向上委員会
学校ごとに、校長、教師、村役場代表、低位カースト住民代表、父兄/母親代表ほかから構成。すべての子どもが学校に通い、卒業できるようになるため、さまざまな活動を計画・実施。

編入学準備のための識字教育
8〜14歳までの学校に通っていない子どもを対象に、9ヶ月間、識字教室を90教室開催。参加者の94%(2052名)が終了し、公立小学校への編入を進めています。

奨学金
低カーストや貧しい家庭の子どもたちで、毎日学校に通う子を対象に制服を支給。

校舎・簡易教室
校舎の不足、老朽化のために授業が困難な学校に対して、れんが造りの新校舎建設の一部を支援。また、わらぶきの簡易教室敷設の支援も行いました。

ボランティア教師
教師が不足している学校に対して、初等教育の訓練を受けた村のボランティア教師を派遣。

上記のような活動に加え、学校入学キャンペーンなどの啓発活動を行い、2001年4月には52%だった学校に行っている子どもの割合が、2003年3月には72%に向上しました。


今後の課題

低位カースト、結婚させられてしまう女の子、障害を持った子ども、働かなければならない子など学校に通うことのできない子がどうしたら学校に行けるようになるのか、学校向上委員会のメンバーや地域住民と考え、子どもの声も聞きながら対策を考えます。また、一度入学した子どもが中退しないように、先生への研修、地域住民による学校のモニタリング、欠席している子どもの家庭訪問などを行います。


カリヤニ村のアニタちゃん

Think the Earthが2001年度に支援をした、アニタちゃんはの住むカリヤニ村は、人口約9500人、世帯数約1600の村。SCJの元スタッフが設立した現地NGO“アスマン”と住民の間で何度も会議や研修を開き、5〜14歳までのすべての子どもが学校に通えるようになるための計画が作られ、実行されています。その結果、カリヤニ村では、5〜14歳の子ども2341名のうち、学校に通う子どもが2003年3月で1592名(68%)になりました。


2002年度ネパール チャイルド・リンク事業費

¥35,181,688-
うち、管理費として20%を計上


 ベトナム:タンホア州ビンロック地区  

首都ハノイから160km南に位置する農村部で、子どもたちの約3割が栄養不良という状態の地域です。親の代から伝えられた習慣のために、子どもが栄養不良になってしまうことも多いのです。一方で、経済的に貧しくても地域にある食材をうまく利用したり、ちょっとした育児の知恵を活かして子どもを健康に育てている家庭もあります。SCJでは、地域の人たちの知恵や良い習慣を活かしつつ、子どもの栄養不良をなくすための『総合的子どもの栄養改善事業』を実施しています。

2002年度の成果

ほぼ毎月、子どもの体重測定を行い、成長ぶりや栄養状態を測定・記録。また、お母さんたちとその結果について話し合い、助言をしてきました。測定を開始した2001年5月には、栄養不良状態にある子どもは全体の39%でしたが、2002年3月には27%、2003年5月には22%まで改善されました。(ベトナムの全国平均は33%)

具体的な対策としては、主に以下のことを行いました。
  • 村で簡単に手に入る、安くて栄養価の高い食べ物を具にしたおかゆを調理して子どもに食べさせました。
  • すべての妊婦を対象に毎月15日、安全出産のための産前検診を行いました。
  • 栄養バランスのとれた食事の作り方のデモンストレーションや、破傷風の予防接種、貧血予防などについて研修。
以前は保健スタッフやNGOスタッフのみで行われていた取り組みを村ぐるみで行うことで、村役場をはじめとした村全体の意識改革にもなりました。


2002年度ベトナム チャイルド・リンク事業費

¥27,951,717-
うち、管理費として20%を計上

2001年5月から開始したビンロック地区での事業は、2003年3月で終了しました。
SCJが直接行う事業は終了しましたが、地元住民の手で活動は続けられています。2001年にThink the Earthがチャイルド・リンクで支援し、残念ながら栄養失調で亡くなってしまったチャンちゃんのお母さんは、事業の活動を通して得た知識や智恵で、チャンちゃんのお兄さんを育てています。村全体で、困難な状況にある子どもを育んでいってほしいと願っています。

これまで村ごとの支援をしていたベトナムの“チャイルド・リンク”は、ベトナム全体の支援を対象とした“ベトナム・リンク”へ移行します。各村で枠を決めてしまうことで、現地の事業運営や事務作業面で負担が大きい点、また、村で一人の子どもの成長を追うことは現地での不平等を生んでしまうことや、時には寄付者の方をとても悲しませる結果になってしまうこともあったのだとか。SCJでは、現地での活動を長い目で支援者に支えていただくシステムを検討した結果、2003年度からは、SCJがベトナムで行うすべての事業をひとつの基金に統括することになりました。Think the Earthとしても、この考えを尊重し、2003年度も引き続き支援を行っています。


活動のようす

[ ネパール ]
会議で発言
子ども委員会の代表として会議で発言する低位カースト出身の女の子
学校で勉強するアニタちゃん
学校で勉強するアニタちゃん

[ ベトナム ]
給食のようす
給食のようす
ティエン君とお母さん
2002年2月に亡くなったチャンちゃんのお兄さん、ティエン君とお母さん。後ろに見えるのが一家が住む家です



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