2004年度支援事業の報告

Think the Earthプロジェクトからの支援は2001年度より開始し、ベトナムとネパールでの活動に活用されました。
2001年度は『チャイルド・リンク』、2002年度からは、国別の長期支援『ネパール・リンク』『ベトナム・リンク』に名称を変更しています。


 ネパール:南東部(ダヌシャ郡、マホタリ郡、サプタリ郡) 

ネパールの南東部は、インドの強い影響を受けたヒンドゥー教支配下にあるため、下位カーストの子どもや女子が学校に通いにくい状況におかれています。また、2003年の政府軍とマオイスト(毛沢東派共産党ゲリラ)の停戦破棄以降、治安状況は悪化しています。

このような状況の中で、2004年度は「すべての子どもを労働から解放し、学校に入学・定着させる」という目標を掲げ、現地パートナーNGOである“アスマン・ネパール“と共に教育事業を継続し、2001年は52%だった小学校の就学率は82%まで改善されました。
しかし、卒業する子どもの数はいまだ5割にとどまっています。理由としては、保護者が「学校へ行かせるより家の仕事を手伝うことの方が大切だ」と考えていたり、教育者や行政側の怠慢、学校の設備環境が整っていないことなども挙げられます。

2004年度の成果

住民の意識を高める活動
・啓発/能力強化活動
教師やボランティア教師の会議、学校運営会議、「子どもの権利条約」研修などを通じて、保護者や学校教師に「子どもは労働に携わらず、学校へ通うべき」ということの知識と理解を深めてもらっています。延べ5,300人が参加しました。

子どもの入学を促す活動
・学校入学キャンペーン
2004年度中に7,145人(うち女子3,518人、下位カースト1,778人)が入学しました。キャンペーンを地域の青年グループや子どもたち自身が行うことで、地域住民に小学校教育の重要性を伝えることができました。

・編入学準備のための識字教室
入学時期を逸した8〜14歳までの子どもの編入学の促進のため、識字教室を開催し、修了後に公立小学校への編入手続きを進めることで、2004年度中に1,836人(うち女子1,074人、下位カースト449人)が編入しました。

・分校設立
主に下位カーストの人々が暮らす遠隔地域に分校を設置。1,335人(うち、女子628人、下位カースト671人)が入学しました。ネパールの平均と比べても高い出席率を達成しています。

入学した子どもが定期的に学校に通うようにする活動
・補習学級(新規事業)
ボランティアを訓練し、学習到達度の低い子どもや学校に行っていない子どもに93の補習学級を開き、343人の子どもが参加しました。地域住民から選出されたボランティアと学校が連携し、学校の外でもフォローができるようになりました。

・インフラ支援
新校舎(1校)、簡易教室(8校)を建設し、トイレ(6校)や手押しポンプ(11校)によって衛生状態の改善を行い、入学した子どもの教育環境の向上に取り組みました。

緊急救援活動
2004年7月に南アジア各地で被害を出した大洪水の際には、日頃のネットワークを活かして救援活動を行いました。


バラトプール村のマノージ君

マノージ君Think the Earthプロジェクトがネパール・リンクで支援してきた子どもたちのひとりです。マノージ君の両親はセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンによる啓発活動に参加して教育の大切さに理解を示し、生活は大変ですがマノージ君に勉強を続けさせています。バラトプール村をはじめとする支援地域では徐々に子どもの就学率は高くなっていますが、保護者や教師の意識不足や学校環境のため、特に女の子や下位カーストの子どもはまだ教育から取り残される傾向にあります


2004年度ネパール・リンク事業費

¥22,829,682-


 ベトナム:北部(タンホア省、イエンバイ省) 

2004年は、ベトナム戦争後初めてハノイで国際会議が開かれるなど、ベトナムはますます経済発展を遂げています。しかしそれは都市部中心のことで、人口の約4.7人に一人が栄養不良状態にあり、その6分の1が子どもです(2000年現在)。子どもの栄養不良の割合は地方農村部や山岳地域で特に高く、5歳未満の子どもでは2〜3人に1人の割合にまで達しています。
2004年度より、山岳遠隔地域にある少数民族の多く住むイエンバイ省ヴァンイエン郡でも活動を開始し、ベトナムでの活動を拡大しています。この地域は、基礎的なインフラが未整備であったり、母体に負担の掛かる習慣を持つなど、さまざまな要素によって子どもが満足に育たない状況にあります。一連の活動を通じて子どもの栄養状態についての理解が深まり、村人同士のネットワークが強まりました。自分の子どもの栄養状態にかかわらず、子どもの成長に関心を持つ母親も増えています。

2004年度の成果と今後の課題

総合的子どもの発達事業
イエンバイ省ルックイエン郡で事業を実施。2003年から引き続き、約2,000人の3歳未満の子どもと約2,600人の母親と母親になる可能性のある年齢の女性を対象に、栄養改善プログラム、妊産婦のケア、家庭菜園の普及奨励などを行いました。ヴァンイエン郡でも約1,800人の子どもと250人の女性を対象に事業を開始しました。ただ栄養のある食べ物を差し出すだけでなく、周囲の大人が継続的に子どもの栄養状況の改善のためにできることを提案しています。

*ベトナムでは2004年の冬から春にかけて鳥インフルエンザが猛威をふるっており、国内では2005年4月の時点で36人の死亡が確認されています。子どもの栄養改善のために飼っていた鶏を無作為に殺してしまう家庭もあったため、家畜の飼い方の研修の中で感染の見分け方や拡大防止の取り組みを行っています。

幼児教育事業
イエンバイ省チャンイエン郡で、6歳未満の子どもとその両親を対象に事業を実施。保護者の子育てコンテストや幼稚園での健康診断、栄養給食事業などを通じて地元の青少年を指導し、地域社会の活性化を促進しました。

子どもの参加事業
イエンバイ省の中学校4校の総合学習授業で、身の回りの問題を子どもたち自身が主体的に話し合う児童参加型の教育を実施。学校の先生と進行役の子ども計110人を対象に司会進行の方法や子どもの権利についての研修を実施し、各校で約3,000人の子どもがディスカッションを行いました。

小規模貸付事業
イエンバイ省の4郡とタンホア省の2郡で、貧困層の女性を対象に貯蓄貸付活動を継続し、事業成果の評価と今後の事業体制の検討を行いました。
イエンバイ省ヴァンイエン郡では新たに17,000ドルを原資に、活動を開始しました。

2004年度ベトナム・リンク事業費

¥27,634,755-


活動のようす

[ ネパール ]
きちんと通学した事を表彰される子ども
きちんと通学した事を表彰される子ども
新築された校舎
新築された校舎
子どもたちのグループワーク
子どもたちのグループワーク
 

[ ベトナム ]
栄養事業のトレーニングを受ける少数民族の親たち
栄養事業のトレーニングを受ける少数民族の親たち
栄養改善事業
栄養改善事業
おもちゃ作りコンテスト
おもちゃ作りコンテスト
小規模貸付事業のミーティング風景
小規模貸付事業のミーティング風景



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