2003年度支援事業の報告


Think the Earthプロジェクトからの支援は、2002年度に引き続き『ダッカ・ストリートチルドレン支援活動』に活用されました。

シャプラニールが、現地NGOオポロジェヨ・バングラデシュと共にストリートチルドレン支援活動をはじめて3年が経ちます。2003年4月から第2段階に入り、職業訓練の導入や地域住民との関係作りに重点をおいた新しい取り組みが始まっています。プロジェクトの目的は、ダッカ市内の南東に位置するサエダバッドとジャットラバリ地区で路上生活をする子どもたちの生活の質改善です。

=== 子どもたちがストリートチルドレンになってしまう原因は様々です。「貧困」「基本的な社会的経済的サービスへのアクセスの少なさ」「人口の増加」といった全体的なものから「親との離別や親の再婚による義理の親との不仲」「家庭内のいざこざ、虐待、精神的苦悩」「親の長期にわたる病気、死去」といった個別的なものまであります。ストリートチルドレンになってしまった子どもたちは、ドラックの運び屋、過激な政治運動など反社会的な活動に参加してしまい、そういった事実を理解する機会もなく逮捕されてしまう子どもたちも少なくありません。また、多くのストリートチルドレンは日に30〜40タカ(約60〜80円)で廃品回収、物売り、物乞い、靴磨きなどをしながら暮らし、中には売春などで食べつないでいる子どももいるのが現状です。


2003年度活動実績

ストリートスクール
路上で生活する子どもにとって、オポロジェヨ・バングラデシュと接触する“入口”の役割を果たしています。週6日間、毎日午前と午後2時間ずつのセッションが行われ、簡単な読み書きや計算、保健衛生知識を教えたり、子ども同士の助け合いや社会責任について考える場にもなっています。今年は、新しい教育手法の導入や子どもの意見から午後の授業時間の延長など、よりよい活動に向けた取り組みが検討されました。

ドロップ・イン・センター
路上は安全なところではないため、そこで暮らす子どもたちの不安や苦しみを減らすことをセンターの目的としています。週7日間、午前8時半から午後5時半までの間、開かれています。昨年からはクラブと呼ばれるナイトシェルターの利用も始まっています。センターが提供するのは、安全と安心、お互いを信頼する心、友情を育むことを可能にする環境です。そして、センターで過ごすことにより、自立心をやしなうと同時に「自分の居場所」である、と子どもたちに思ってもらうことを目指しています。
今年は7月から栄養バランスの取れた給食の提供がはじまり、8月からは性感染症や保健知識を学ぶなどの既存のトレーニングに加え職業訓練も開始しています。ストリートスクールに来る子どもが、ドロップ・イン・センターの利用を望んで移動することもできます。今年は、7人の子どもがストリートスクールからセンターへ移動しています。

=== 給食は、衛生的でバランスの取れた食事をとる習慣を身に付けることを意図しています。同時に、たんぱく質、ミネラル塩、脂肪、炭水化物、ビタミンといった栄養バランスの基礎的な知識の教育も重点的に行っています。


2003年度の成果

ストリートチルドレンとのコンタクト
2003年度は、ストリートスクールでは240名の子どもが新規登録し、センターのスタッフは945名(昨年は657名)の子どもと面接しました。年間を通じたストリートスクールの利用者は688名、ドロップ・イン・センターの利用者は869名でした。

教育の機会
スクール、センターでは、すべてのストリートチルドレンを対象に教育の場を提供しています。さらに2003年8月からドロップ・イン・センターではこれまでの技術トレーニングに加え、職業訓練を導入しました。職業訓練には、裁縫と看板・バナー制作のコースがあり、25名が出席し10名の子どもたちが修了しています。しかし、年齢のために職をまだ得られていないため、10名の子どもはさらに他の技術を身につける予定です。

モチベーションとカウンセリング
ドロップ・イン・センターでは、トラウマを持つ子どもたちの成長の記録と共に、行動の変化、ケースヒストリー、健康の記録、学習の進捗も一人ひとりのファイルに記録しています。これは、効果的なモチベーション(動機付け)とカウンセリングを行うためのものです。今年は、2名の子どもに「子ども同士の恋愛」「早すぎる結婚」についての個人カウンセリングを行っています。

=== 2004年3月から約1ヵ月半、JICA(独立行政法人国際協力機構)のNGO技術者派遣制度を利用して、現地団体オポロジェヨ・バングラデシュのスタッフ向けにカウンセリング研修を行いました。子どもたちの心のケアの重要性とスタッフ研修の必要性が高まっていたためです。この研修では、子どもたちのチカラを引き出すために「おとなが変わる」ということを狙いにしていました。

地域の人々との協力
子どもの権利を促進するため、地域の人に情報を提供し、積極的に関わってもらうように活動しています。今年は900名以上の地域の人と対話し、ストリートチルドレン支援活動の説明と共に、問題の理解と活動への支援を呼びかけました。今年は地域住民の全体集会を3回行い、約130名が参加しました。夏には、サエダバッドとジャラットラバリ地区でデング熱に関する研修会を、200名の子どもも参加し、開催しました。研修会後には、地域の人と共に地区の清掃活動を実施し、高い評価を得られました。冬には、地域から80着以上の防寒用衣服の提供もありました。

子どもの参加
月一度、子どもたちが運営者を体験する日を設けたり、子どもたちによる会議が開かれています。子どもたちによる会議で結論が出ない議題については、スタッフも交え、率直に話し合われます。また、子ども同士の間で起こる問題を子どもの手で解決するための調停委員会、お金を預かる子ども銀行なども作られています。その他、大衆劇場で4回にわたってストリートチルドレンによる劇を上演し、4000人近くの人々が来場してくれました。このイベントは子どもの権利に関する意識を効果的に高めました。

=== 大衆劇場はプロジェクト対象地域で行われたストリートチルドレンによる劇です。「小さな夢」「私たちは戦う」というタイトルで、どのようにして子どもたちが路上に送り込まれ、きびしい状況に直面しているかを表しています。


レクリエーション活動
遠足、運動会、史跡訪問などの企画のほか、音楽を聴き、テレビや映画を見ることができるオーディオ・鑑賞設備やさまざまな室内ゲームもそろえてあります。普通の子どもが普通に享受できる娯楽を、安心して味わう機会を大切にしています。これらを楽しんでいるときの子どもは、自発的で注意深く、行儀よく見えます。

保健衛生
応急処置・治療の利用者は年間で延べ9,316名、うち、77名がクリニックで診療を受け、1名が外部の病院で治療を受けました。また、寄生虫駆除や思春期の少年少女に対する性教育・性感染症やHIV/AIDSに関する保健教育が行われています。


2003年度事業費

活動費合計 ¥6,229,738-
うち、シャプラニール 管理運営費¥1,715,435-で、残りはオポロジェヨによるプロジェクト活動費


活動のようす

足を楽しむ子ども達
友達と一緒に遠足を楽しむ子ども達。どの子も嬉しそう!
給食を食べている様子
ドロップイン・センターでみなで給食を食べている様子
日頃の訓練の成果
日頃の訓練の成果です!
職業訓練を受けている様子
自立のための職業訓練を受けている様子。真剣そのものです。
ストリートスクール
ストリートスクールにて授業を受ける子ども達
大衆劇場
大衆劇場での劇上映の様子。4,000人近い人々が観に来てくれました!



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