2004年度支援事業の報告


Think the Earthプロジェクトからの支援は、2003年度に引き続き『ダッカ・ストリートチルドレン支援活動』に活用されました。

シャプラニールが、現地NGOオポロジェヨ・バングラデシュと共にストリートチルドレン支援活動をはじめたのは2001年1月です。2004年度は新しい試みとして、地域の公立学校や宗教学校に通う子どもとストリートチルドレンが同じ場で問題を共有し、地域の大人たちに働きかける「子ども議会」が開催されました。また、子どもたちが撮影し、日本と現地のドロップイン・センターで開催された写真展には多くの地域住民が訪れ、ストリートチルドレンへの理解を深めてもらうことができました。
また、ストリートスクールとして使わせてもらっていたバスターミナルが2004年6月から始めた改修工事に伴い、管理事務局との話し合いを経て新たにターミナルの一角が提供されるなど、地域からの支援が確実に広がっています。 2005年は第2次三カ年計画の最終年で、三年間の活動を振り返る年になります。



2004年度活動実績

ストリートスクール
路上で生活する子どもにとって、オポロジェヨ・バングラデシュと接触する“入口”の役割を果たしています。バスターミナルの中に無償でスペースが提供され、週6日間、毎日午前と午後2時間ずつのセッションが行われ、簡単な読み書きや計算、保健衛生知識を教えたり、子ども同士の助け合いや社会責任について考える場にもなっています。子どもが希望する場合、シェルタープログラムへ移動することもできます。

ドロップ・イン・センター
路上で暮らす子どもたちの不安や苦しみを減らすことをセンターの目的としています。週7日間、午前8時半から午後5時半までの間、開かれています。昨年からは、希望者が宿泊することもできるナイトシェルターの運営も始まっています。センターが提供するのは、安全と安心、お互いを信頼する心、友情を育むことを可能にする環境です。
今年度からは子どもたちが貯金できる「子ども銀行」も設置されています。また、スタッフは子どものカウンセリングを行い、子どもたちの自立心や自尊心をやしなうと同時に「自分の居場所」である、と子どもたちに思ってもらうことを目指しています。


2004年度の成果

ストリートチルドレンとのコンタクト
ストリートスクールでは147名(昨年は240名)の子どもが新規登録し、センターのスタッフは747名(昨年は945名)の子どもにヒアリングをしました。そのうち男子が507名、女子は240名でした。うち男子6名、女子14名が新しく路上に出てきたばかりでした。
ドロップ・イン・センターのプログラムでは、路上に住むことの危険性を知らせるほか、子どもが子どもに声をかけています。


試験と正規の学校への進学
ストリートスクールでは試験を強制はしていませんが、子どもたちは公立/私立の学校で試験が行われていることを知っていて、試験を受けたいと考えています。そこで、口頭で試験を実施する先生もいます。
また、ドロップイン・センターの授業を修了した4名の子どもが、別のNGOが運営する正規の学校に登録し、授業を受けています。スタッフは定期的に学校を訪問するなどフォローアップをしています。子どもたちは出席率も高く、よい成績を修めています。


教育の機会と職業訓練
ストリートスクールやドロップイン・センターでストリートチルドレンに対して行われる6ヵ月の教育プログラムのカリキュラムは、子どもたちが参加して内容を決めています。ストリートスクールが設置されているバスターミナルは、子どもたちが地方から最初にダッカに入ってくる場所にあり、管理事務局によって無償で提供されています。
2004年からドロップイン・センターに導入された技術トレーニングで、今年は20名の子どものうち11名がコースを修了しました。スタッフは、教育に関心を持たないストリートチルドレンに、収入を得て生きていく手段としての職業訓練を受けるように勧めています。2005年1月から6 月のコースには、裁縫に男女各5名、看板・バナー制作に10名の男子が参加しています。
さらに、職業訓練に加えて古新聞を使った紙袋作りを始めました。これは地域住民などとの話し合いの中で、少女が虐待の被害に遭いやすく、家の中でできる仕事を選ぶことの必要性が指摘されたことから始まりました。地域の人々の支援を受けて販売も行っています。一人あたり一日に3キロの紙袋を作り、18〜20タカの収入を得ています。


モチベーションとカウンセリング
スタッフは、2003年度末に実施したカウンセリング研修で学んだことをいかし、子どもたちの話に耳を傾けて信頼関係を結ぶようつとめました。その結果、問題解決への取り組みがより効果を上げ、子どもたちの行動が積極的、前向きになりました。


子どもの参加
子どもの関係するすべてのことに、子どもを参加させ、子どもを中心に物事を考えています(子どもの権利アプローチ)。

・子どもの日
月に一度、子どもがマネージャーや先生、ソーシャルワーカーなどの役になりセンターの活動を運営します。この活動を通じ、大人の責任を認識しています。

・子ども会議・スタッフとの合同会議
月に一度、子ども会議を開き、重要な問題について話し合います。問題解決だけでなく、ドロップイン・センターの子どもたちからの要求に応えるために話し合いがもたれることもあります。

・子ども調停委員会
子ども同士の小さな問題は、子どもによって選出された委員会で子どもが解決しています。

・子ども開発銀行
2004年9月1日からドロップイン・センターに開設されました。貯金の習慣をつけ緊急時に備えたり、ローンを使ってビジネスを始めることを目的としています。

・子どもワークショップ
路上にいた頃の経験を持ち寄り、問題解決のためのワークショップを7回行いました。

・子ども議会
2005年3月23日には、ドロップイン・センターの子どもたちを中心に子ども議会を開催しました。公立学校や地域の子どもも含め52名の子どもと、政府・NGO関係者や私立学校教師も参加。グループディスカッションやプレゼンテーションも行い、子どもの権利条約の実施について、様々な人から提言がありました。

・子どもの権利週間
2004年9月29日〜10月5日に、芸術発表会、スピーチ、ドラマ、歌などを通じて、子どもの権利の必要性についてアピールしました。地域住民とストリートチルドレンとの話し合いの場も持たれました。

===大衆演劇
子どもに対する搾取や虐待に関する劇を発表しました。地域の人にも好評で、子どもの権利のために地域住民に求められる役割について意識を高めることに効果がありました。子どもたちが人前で演じることで、自信をつけることもできました。

===写真展
2005年2月26日にドロップイン・センターで写真展を実施。2005年2月4日から6日には東京で、同6月18日から19日はネパールのカトマンズでも写真展を開催しました。子どもたちがカメラの使い方を理解できるようワークショップを行い、撮った写真の中から一番好きな写真と、コメントを添えて展示しました。この展示により、ストリートチルドレンも機会があれば創造性を発揮できることを地域に伝えることができました。


レクリエーション活動
子どもたちが学ぶ場は、学校だけとは限りません。特に社会的な活動の場が限られている女の子たちにとって大切な発達の場として、遠足、運動会、史跡訪問などのイベントを行っています。ドロップイン・センターには、音楽を聴き、テレビや映画を見ることができるオーディオ・鑑賞設備やさまざまな室内ゲームがそろえてあります。普通の子どもが普通に享受できる娯楽を、安心して味わう機会を大切にしています。これらを楽しんでいるときの子どもは、自発的で注意深く、行儀よく見えます。


保健衛生
2004年度は7,089件の応急処置を施しました。うち、58名がオポロジェヨのクリニックで、2名が外部の病院で治療を受けました。4名の女の子がめがねを使うことになりました。また、寄生虫駆除や思春期の少年少女に対する性教育・性感染症やHIV/AIDSに関する保健教育が行われています。


給食やその他サービス
2003年7月から栄養のある給食の配給を始めました。技術トレーニングに出ている子ども、病気の子ども、未成年の子どもには無料で提供しています。また、入浴や洗濯のための施設や、せっけんなどの提供も行っています。


地域住民への意識啓発プログラム
子どもに多くの影響を与える地域住民との関係を築くことにも力を入れています。スタッフと同じように子どもと子どもの抱える問題について理解してもらい価値観を共有し、協力することではじめてプロジェクトは成功するのです。

・個別コンタクト
ストリートチルドレンの多い地域をスタッフが訪問するときには、まず周辺のおとなにコンタクトをとり、協力関係を築きます。ストリートスクールとドロップイン・センターのある二つの地域で614名の大人と接触し、ストリートチルドレンの問題や、プログラムについての説明を行い、協力を求めました。

・子どもの権利研修
地域住民に対して子どもの権利に関する研修を行いました。子どもの権利への理解を深め、地域の中で大人が果たす役割を確認しています。

・諮問委員会・アクションコミティとの会議
地元の関係者によって構成されるアクションコミティは7回会議を開き、子どもの支援のありかたについて話し合っています。メンバーは、イベントにも積極的に参加しました。さらに、地域の有力者などがプログラムについて意見を述べる諮問委員会の活動が始まりました。




2004年度事業費

活動費合計 ¥6,676,728-
うち、シャプラニール 管理運営費¥1,846,780-で、残りはオポロジェヨによるプロジェクト活動費


活動のようす

ストリートスクール
ストリートスクールで授業を受ける子どもたち
子ども議会
子ども議会でのプレゼンテーション準備をする子どもたち
遠足
ガジプール国立公園で遠足を楽しむ子どもたち
子どもの権利条約の研修
子どもの権利条約の研修に参加した地域の人々
アクションコミティ
アクションコミティの話し合いの様子
家族との再会
家族との再会を果たした少女



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