佐藤 直樹 Naoki Sato

  1961年東京生まれ。アジール・デザイン主宰。アートディレクションを担当したThink the Earthプロジェクトの書籍「百年の愚行」が、'02年東京ADC賞、'03年ニューヨークADC賞、the Beat of Category in I.D.'s Annual Design Review受賞。
Think the Earth:
絵柄は、いわゆる「印刷ヤレ紙」から取っています。印刷の際のインク調整のため、いらなくなった紙を使って印刷機を回すと、こういうものがたくさん出ます。印刷工場でたまたま目にしたこの「無作為の柄」が僕にはとても美しく思われたので、そのままTシャツに転写してみました。
工業製品はつねに僕らの考えなかったものを付随して生み出しますが、それはおそらく、あらゆる行為について言えることなんだと思います。ある目的に従って行動していたとしても、その目的が達成されたかどうかにかかわらず、必ず想像しなかったことが起こる。
 
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中央に配した文字は、トルストイの小説の原題である「光あるうち光の中を歩め」という意味のロシア語です。この物語の中では、あらゆる暴力を否定する原始キリスト教が時の権力によって迫害されているのですが、今日ではキリスト教を標榜する国家が武力で異教の国を制圧しているというわけです。
みんなが自分は正しいと思っていて、正しい選択が正しい結果をもたらすと考えている。でも、よかれと思ってやっていることでもそうでない結果をもたらすことがあるなら、そのことをどう考えていくかが、これからの時代の一番のテーマなのではないか。正しい主張や解釈の「狭さ」を超えていこうとしないかぎり、もう何も見えてこない気がしています。
「光あるうち光の中を歩め」という言葉もまた、時を超え宗教を超え、再解釈の果てに新たな生命を宿しますように。