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地球は「地震の星」

 地球の内部構造は、よくタマゴやリンゴの断面にたとえられます。地球の表面はプレートと呼ばれる殻で覆われています。大陸プレートの厚さは30〜100kmくらい。海洋プレートの厚さは5〜7kmほど。地球の直径は1万3000kmもありますから、プレートの厚さはまさしくリンゴの皮や卵の殻の厚さと同じくらいの薄さです。私たちはこの薄い皮の上で暮らしているわけですね。

地球の断面の絵

地球の内部構造:半熟卵の断面とよく似ている?

 地震は、何らかの力が加わって地殻が壊れて砕ける時に発生します。地球の表面を覆うプレートは10数枚あって、それぞれ違う方向に動いて、お互いにぶつかりあったり、沈み込んだりしています。プレートがぶつかりあっている場所では巨大な力がかかっており、力が加わりすぎると、地殻がその変形に耐えられなくなって壊れてしまいます。つまり地震は、プレートの境界で発生することがほとんどで、それ以外の場所では滅多に発生しません。そのために、地震が多い場所と、ほとんど地震が起きない場所に偏りができるのです。特に、ヒマラヤのようにプレートどうしがぶつかったり、日本海溝のようにプレートが潜り込んでいるところでは大きな地震が発生します。左の地球儀で、2005年1年間に発生した地震の分布と「世界のプレート」を同時に表示させてみてください。地震が起きている場所がプレート境界に偏っていることがよくわかると思います(各プレートの名称と動きは下のプレートの分布図をご覧ください)。

世界の主なプレート

  プレートはどのようにして生まれ、そして死んでいくのでしょうか。地球の内部から、高い温度の物質が海嶺(かいれい)と呼ばれる割れ目を通じて表面にわき出し、厚さ数10km〜100kmほどのプレートになります。プレートは1年間に数センチほどの速さで海嶺の両側に拡がっていきます。例えば太平洋では、ハワイの東側に海嶺があって、そこで生まれたプレート(太平洋プレート)は1年間に9cmほどのゆっくりとしたスピードで日本列島に近づき、ユーラシアプレートにぶつかって日本海溝に沈み込んでいきます。沈み込んだプレートは地球内部で高温になり、最後には溶けて消えてしまいます。つまり海嶺がプレートが生まれる場所で、海溝はプレートの墓場です。ハワイは、この太平洋プレートの上に乗っかっていて、プレートごと日本列島に向かって近づき、6000万年後には日本列島とぶつかると言われています。

太平洋プレートの断面

 地震はプレートが動き、ぶつかり、潜り込む場所で地殻が破壊されることで起きる、ということまではわかりました。ではなぜプレートが動くのでしょうか。
 タマゴの殻のすぐ下に白身(しろみ)があるように、地球の殻(プレート)のすぐ下にはマントルとよばれる高温のやわらかい岩があります。このやわらかいマントルが地球内部で対流するために、プレートを上に載せたまま、ゆっくりと動いているのです。
 つまり私たちが経験している地震は、地球がまだ星としても若く、内部が冷え切っていないために起きているものだと考えることができます。たとえば月の内部は冷えて固まっているために、地球のような地震は発生しません(月では別のタイプの地震が起きるそうです)。現在の地球は地震が起きやすい星だったわけですね。

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