貧困と飢餓 2000年9月、国連ミレニアム・サミットで、21世紀の国際社会の目標として、国連ミレニアム宣言を採択しました。この宣言を元にまとめられた「ミレニアム開発目標」の最初に掲げられたテーマが「極度の貧困と飢餓の撲滅」です。具体的には、2015年までに1日1ドル未満で生活する人の数を半分にする。2015年までに飢餓で苦しむ人の数を半分にする。というものです。 では、1ドル未満の収入で生活している人は、どれぐらいいると思いますか? 千人にひとり? 1万人にひとりくらい? いえいえ。実はいま、世界の5人にひとりが、一日に1ドル未満の収入で生活しています。その数は12億人。1日2ドル未満だと28億人にのぼります。(5人に2人以上!) みなさんの学校や職場で、ちょっと考えてみてください。たとえば、40人のクラスを地球全体だと考えると、8人が1ドル未満。18人が2ドル未満の収入で生活をしているということになります。これが世界の現実です。 貧困状況の中でも、もっとも深刻なのが飢餓や栄養不足の問題です。いま、世界では毎日24,000人の人々が飢餓が原因で亡くなっていると言います。飢餓と栄養失調に苦しむ人の総数は8億5000万人。世界人口の約13%に達しています。(一方で、10億人を超える人が肥満に悩んでいます!)。 飢餓と貧困には大きな違いがあります。収入が無いのではなく、今日食べる食料が無いという状況は、まさに生命(いのち)の問題だからです。ゆっくり時間をかけて解決すればよい問題ではなく、いますぐに手を差し伸べなければ、次々と命が奪われていくのです。 左の地球儀で「飢餓状況」を表示してみてください。このマップは、WFP(世界食糧計画)が作ったハンガーマップがベースになっています。 飢餓の原因はさまざまです。紛争によって、流通するはずの食べものが流通しない、食べものがあっても貧困によって買うことができない、自然災害や紛争によって農地や放牧地が失われる、など数え上げればキリがありません。最近では、気候変動による自然災害が飢餓の原因になっていると言います。温暖化の原因は先進国から出る大量の二酸化炭素だと言われていますから、先進国の私たちの生活が、貧困や飢餓を生み出していると言えるかもしれません。 かつて世界中の人たちのあいだで有名になったメールに、こんなフレーズがありました。 「もし冷蔵庫に食料があり、着る服があり、頭の上に屋根があり、寝る場所があるのなら、あなたは世界の75%の人たちより裕福で恵まれています。もし銀行に預金があり、お財布にお金があり、家のどこかに小銭が入った入れ物があるなら・・・あなたはこの世界の中でもっとも裕福な上位8%のうちのひとりです。」 私たちは、まさに格差の中に生きています。 |