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隕石衝突から地球を守る

 隕石の衝突は、どれくらいの頻度でおきるものなのでしょうか。実は、1年間に2万個もの隕石が地球に降り注いでいると推定されています。そのほとんどが、人里離れたところや、海上に落ちて、発見されることはありません。また、多くは直径数cm程度の小さなもので、クレーターを作るようなものはほとんど落ちてくることはありません。恐竜を絶滅させた直径10kmを超える隕石が衝突する確率は数千万年に1度ですから、生命が絶滅するような隕石が落ちてくることは滅多にありません。しかし、直径が10mの隕石の衝突でも、広島型原爆1個分の威力があるといわれており、ひとつの都市が壊滅してしまうほどのエネルギーを持っているので、決して侮ることはできません。


© NASA

 隕石はどこからやってくるのでしょうか。太陽系には火星と木星の間に、無数の小天体がひしめく、小惑星帯があります。発見されている小惑星は33万個以上、軌道がわかっているものが14万個弱。このうち、地球の近くを通過する可能性があるものは4600個に上ります(2007年現在)。最新情報は、NASAのNEO(Near Earth Object=地球近傍天体)計画のホームページに掲載されています。

火星と木星の間にある小惑星帯 火星と木星の間にある小惑星帯
Mitaka Plusの画面をキャプチャー

 直径10kmの小惑星が衝突すると、私たち人類は文明もろとも絶滅してしまうでしょう。直径10mの隕石でも人口密集地に直撃すれば大変な災害が発生します。そこで、90年代から世界中の天文学者達が、地球に接近する小惑星を発見し軌道を割り出すなど、危機予測ができる監視体制を作り始めました。高性能な観測機器の登場もあって、多くの小天体が発見されるようになりました。現在では世界中に観測ネットワークが拡がっており、日本でも1996年にスペースガード協会が発足し、2000年には岡山県の美星天文台にスペースガードセンターが設立され、観測の役を担っています。

 実際に地球に衝突する可能性がある天体は発見されているのでしょうか? これまでの観測結果によれば、今のところすぐに危険が迫っている天体は見つかっていません。しかし、まだ発見されていない天体は数十万個もあると考えられており、ある日突然発見されて世界の脅威となる可能性もあります。しかし、早い段階で見つかれば、ミサイルなどを撃ち込んで軌道を変えるなど、なんらかの対策が可能です。もし、巨大な隕石がやってくることがわかったら、地球上での戦争はやめて、全ての国が地球というひとつの星を守るべく協力するチャンスになるかもしれませんね。

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