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対人地雷

 まず、地雷には対車両地雷と対人地雷があるということは知っていましたか? 歴史的にはまず対車両地雷が開発されました。どんな条件の土地でも突き進んでくる戦車を止めるため、地面に埋めた爆弾で破壊しようという発想です。その後に、対車両地雷を撤去しようとする兵士を地雷に近づけないために、対人地雷ができたそうです。

 いわゆる地雷問題が対象とするのは、この対人地雷。対人地雷は、あえて兵士を死に至らしめるのではなく、大怪我を負わせることで部隊の能力を奪い、戦意喪失させるなど、物理的にも、精神的にもダメージを与えられる武器として、広く使われるようになりました。製造コストが安いのも、武器開発にお金が割けない国で使用が広がってしまった理由です。

 地雷が特に恐ろしいのは、人に見つからないように設置するため、どこにあるかわからないということ。そのため、兵士であろうと、一般市民であろうと、子どもであろうと、無差別に爆発し、大怪我をさせ、時に死に至らしめます。また、紛争が終わっても、家のまわり、田畑の中、通学路などあらゆる生活空間に大量の地雷が潜んでいて、犠牲者を出し続けています。対人地雷が禁止されてから10年以上が経過しても、2009年には年間4000人もの人が被害にあい、うち1000人以上が亡くなっています。悪魔の兵器と言われるのはそのためです。

※2009年に100人以上の地雷被害者が報告された国は、アフガニスタン、コロンビア、パキスタン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ソマリアの7カ国。アジア太平洋地域での犠牲者が過半数を超えています。
※「4000人」は被害が確認された数字で、実際にはこれ以上の被害者がいると推定されています。医療やデータ収集のシステムが整っていない国では、正確な被害者数の把握が難しいためです。

 対人地雷には様々な仕掛けのものがあり、その種類は360種とも言われます。地表面のすぐ下に埋めて、その上を踏むことで爆発が起きるもの。本体から張ったワイヤに引っかかると起爆するもの。飛行機からばら撒くもの。素材も金属だけでなく、プラスチックや木でできたものまで様々あります。

地雷

(左上、左下)埋設型の地雷 (右)跳躍型の地雷(提供:JCBL)

地雷

(左)飛行機から撒く散布型の地雷 (右)ワイヤ型の地雷(提供:JCBL)

 現在このような地雷が、全世界に推定で6000万〜7000万個も埋まっています。左の地球儀では、地雷が埋まっている国、埋まっていると推測されている国を色分けして描いています。たとえば朝、家を出て、学校や職場に行くまでの道や、公園などの広場のどこかに地雷が埋まっているかもしれない。そういう暮らしを想像できるでしょうか? 地雷が埋まっている地域では、地雷の被害を最小限にするために、地雷に対する知識をしっかり教育する必要もあります。

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