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市民が条約を作った!

 「悪魔の兵器」を根絶したい。そう思う人たちが動き始めました。地雷原で犠牲者の支援活動にあたっていたNGOの人たちは、どんなに頑張って活動を続けても、地雷という兵器自体がなくならない限り、被害は増え続けると感じていました。1991年、ベトナム戦争の退役軍人だったボビー・ミューラー氏らの呼びかけで国際的な協力が始まり、翌92年に、正式に「地雷禁止国際キャンペーン=International Campaign to Ban Landmines(ICBL)」を立ち上げました。

 ICBLの活動は、地雷の全面禁止を求めるものでした。当初は既にあった特定通常兵器使用制限禁止条約の改正を目指したのですが、なかなかうまくいきません。そこで、全く新しい条約を作ろう! という動きが始まったのです。「たとえ最初は少数の国しか参加しなくても、全面禁止という内容の濃い条約を作成することを目指した」(『地雷と人間』地雷廃絶日本キャンペーン編 より)というように、強いスタンスで臨んだ活動でした。その活動が実を結び、97年に対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)が誕生します。

 オタワ条約は対人地雷の全面禁止が条文化されていて、使用、開発、製造、取得、貯蔵、保有、直接・間接移譲の全てを禁止しています。現在の加盟国は、156カ国に達しています。しかし残念ながら米国、中国、ロシアなどの大国がまだ加盟していません。これら非加盟国が保有している地雷の数は1億数千万個にも上ると考えられていて、ICBLは加盟の呼びかけを続けています。また、加盟した国が条約に違反していないかどうかを監視する活動もICBLの重要な活動で、世界90カ国のリサーチャーによって毎年「ランドマイン・モニター・レポート」という報告書にまとめられ、公開されています。

 条約に加盟することができない民族グループや政治集団にも呼びかけを行っている「ジュネーブ・コール」というユニークなNGOがあります。それぞれの団体に地雷を放棄する宣言をさせてジュネーブ州政府に証人になってもらうという仕組みで、少なからず効果を上げているそうです。

 クラスター爆弾についても、同様のプロセスで、2008年にオスロ条約が調印されました。対人地雷と同じく、全面禁止が謳われた条約で、現在は54カ国が加盟し、その数は日を追って増えています(2011年3月現在)。

※ 左の地球儀は、オタワ条約、オスロ条約のそれぞれについて、加盟国、署名国、非加盟国を色分けして示しています。

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