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月の満ち欠けと太陰暦

  月の満ち欠けは、自然現象に大きな影響を与えます。特に潮の満ち引きのリズムは海の生きものたちの行動を左右しているといっても良いでしょう。新月や満月の時には高低差が大きい「大潮」となり、半月の頃には逆に高低差が少ない「小潮」になります。サンゴが満月の前後に一斉に卵を産むことは良く知られています。漁業を営む人にとって、潮の干満がいつ起きるかを知らないと仕事になりません。



新月から満月までは、およそ15日間。新月から新月まではおよそ30日間という周期です(実際には約29.5日)。1年は365日あり、月の周期は大体30日ということから、1年はだいたい12の月で構成されます。1年が12ヶ月、1日は午前12時間、午後12時間。1時間は12の倍数である60分、1分は60秒、というように数字の12が時間の単位の基礎となっているのはこのためだと言われています。たとえば月の満ち欠けが17日周期だったら、もっと違った数字の世界観を持ったかもしれません。

 ユリウス暦やグレゴリオ暦は太陽の動きを基準とするため「太陽暦」と呼ばれます。それに対して、月の満ち欠けをもとに決めた暦のことを「太陰暦」と呼びます。太陰暦では1日は必ず新月で、15日は必ず満月となります。漁師など、海とつきあう人にとっては、月の大きさ(=潮の状態)と日付が一致していて便利なため、世界で広く使われてきました。

 太陰暦だけを使っていると、太陽の動きを基準とする暦とずれが生じるので、1年が13ヶ月となるように「閏月」を入れて調整する「太陰太陽暦」も使われるようになりました。

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