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坂本龍一さんは私より何年か長く生きてらっしゃいますが、昔と比べて現在何が一番環境に悪影響をおよぼしているとお考えですか?
又、私たちに何を伝えていきたいと思っていますか?
東京都 20代 女性
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返信ありがとうございます。
ぼくの子供の頃にも、環境によくない公害というものがありました。同様の被害は今でもあると思います。ただ、現在の環境問題はそれらに比べてはるかに深刻です。というのは、それが一つの地域や国の問題ではなく、地球全体に影響を及ぼすほどインパクトが大きいからです。
なぜ昔に比べてインパクトが大きくなったのでしょう?考えられるのは、わたしたちの社会がますますグローバル化していることがあります。
例えば、わたしたちは毎日、よく考えずにフランスから飛行機や船ではるばる運ばれてきた水を飲んでいます。ぼくは前から不思議だと思っているのですが、たくさんCO2を出しながら遠くから運ばれてきた水と、それよりはるかに近くの日本の山から運ばれてきた水が、なぜ同じような値段で売られているのでしょう?よく考えると不思議ではありませんか?そのような例は、わたしたちの身の回りにたくさんあるのではないでしょうか?あなたが昨日食べたチキンは、地球の裏側のブラジルから運ばれてきたものだったかもしれません。それが、例えば日本の千葉県のチキンより安いことがあるのですから、やっぱり不思議です。これは経済の複雑なシステムのせいでこうなっているのだと思いますが、地球へのインパクトはその値段に反映されていません。ですから、値段だけを見ていると、まるで大したことではないように思えてくるのです。しかし、よく考えると、ある物が地球の遠い所から自分の目の前に現れるまで、どのくらいCO2を出しているか、よく考えてみる必要があります。なるべく近い所の水や食べ物や着るものを選べば、それだけ排出されるCO2は減るのです。1億人の人が毎日、そのようにものの消費を選んで行えば、減少するCO2は大変な量になるのではないでしょうか。それが、65億人だったら?
このように、自分が地球環境にどのくらいインパクトを与えているかを表す言葉に「カーボン・フットプリント」というのがあります。動物はただ息をしているだけでCO2 を出していますし、ぜいたくな暮らしをすればそれだけたくさんCO2を出しています。その量は計算できますので、自分の出しているCO2 を何らかの方法で相殺することができます。そのことを「カーボンオフセット」と言います。方法は植林や自然エネルギーの利用など、たくさんあります。
長々と書いてきましたが、わたしたちはもう一度自分の消費や行動を見直して、少し深く考えて選択するだけでずいぶん環境への負荷を減らせるのではないですか?
坂本龍一
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