2017年05月26日

クリエイターの視点で作られたNPOのポスターたちが勢揃い!ソーシャルポスター展

お知らせ

NPOの活動を伝える「ソーシャルポスター展」が5月24日(水)から日比谷図書で始まりました!
今回の企画は電通グループのクリエイター131人と日本NPOセンターが公募した69のNPOが参加し、各団体が向き合う課題や活動内容を表すポスターを制作。その数はなんと約220枚になります。

この企画にThink the Earthも参加し、電通のアートディレクターの大久保里美さん、コピーライターの壇上真里奈さんに、こんな素敵なポスターを作って頂きました!

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大久保さん、壇上さんには、昨年の7月にThink the Earthの活動の説明をさせて頂いてから、11月のお披露目会まで一度もポスターの確認などはなかったので、一体どんな作品になっているかドキドキでしたが(笑)自分たちの目線からは考えつかないようなポスターが出来ていて、感激しました。

自分たちがポスターを作る場合、「ああしてほしい」「もっとこうしてほしい」と色々とリクエストしてしまいますよね。でも、外部の人が自分たちの活動を知って、それを多くの人に伝えるための言葉とデザインをしてもらうことで、改めて自分たちがどう見られているのか、客観的な視点を持つことが出来ました。

Think the Earthの活動は多岐に渡るので、表現するのは難しかったと思うのですが、「考える。それは力になる。」というタグラインと自分たちが見える景色を別の視点で切り取るデザインで、うまく表現してくれました。(大久保さん、壇上さん、本当にありがとうございました!)

展示会に行ってもらえればわかると思うのですが、多様なNPOの活動が、それぞれ参加したクリエイターの眼差しと個性で、1枚のポスターに表現されています。

同じポスターでも、こんなに印象が違うのかという驚き。
そして、1枚のポスターという限られた表現エリアだからこそ、見る側にも分かりやすくメッセージが伝わります。

たとえば、これは産後ケアを取り組むマドレボニータのポスター。
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母乳をあげることはラグビー1試合分!?とビックリしますが、いかにお母さんが毎日大変か想像できますよね。

こちらは、精神障がいやこころの不調、発達障がいをかかえた親とその子どもを応援するぷるすあるはのポスター。

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一体なんのこと?と思う印象的なキャッチコピーに目を奪われます。子どもの心の声が、問題の深刻さをダイレクトに伝えています。

日本自然保護協会のポスターも、別の意味でおや?どういう意味?と興味を持たせられます。

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その他にも素敵なポスターがたくさん!
こんな短時間に69のNPOの活動を知れる機会はそうそうありません。
会期は5月30日までと短いですが、ぜひ日比谷図書文化館1階の特別展示室へ足を運んでみて下さい。

(笹尾 実和子)

ソーシャルポスター展
日時:2017年5月24日(水)~5月30日(火)10:30~16:30
会場:日比谷文化図書館1階 特別展示室(千代田区日比谷公園内)
東京メトロ 丸の内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」徒歩約3分
都営地下鉄 三田線「内幸町駅」徒歩約3分

【5月22日追記】
先月、日比谷文化図書館で開催されたソーシャルポスター展。期間が短く行けなかった方も多いと思います。facebookでは、各NPOのポスターが紹介されているので、ぜひ見てみてください。^^
ソーシャルポスター展facebookはこちら

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2017年05月09日

上海いってきました

地球日記

旅行下手なのが悩みなので、昨年からちょこちょこ遠出しています。

昨年は沖縄と青森へ行き、活動範囲の最南と最北を更新しました。ならばこのGWは西へ行くか、と2日間上海へ。

予算をなるべく押さえるために、LCCで午前3時羽田発の深夜便を利用します。上海へ着いたのは午前5時。どこの施設も空いていない(むしろリニアすらも動いてない)時間なので、3時間ほどロビーで暇つぶしをしてから街へ出発です!

街へ出てみると、中心地の町並みは新しく、特に「新天地」と呼ばれるエリアは東京ともロンドンとでも言えそうな商業地区。地下鉄の切符販売機はわかりやすくて切符はICカード、レンタサイクルはアプリで貸出管理されています。

一方で、主要駅を少し離れると、すこしぼけたビルが立ち、道端には肉まんを売り歩く台車が止まり、工事中の土地がたくさん。なんというか、日本で言えば80・90年代がそっくり抜けて、"昭和"と"ミレニアム"が同居しているかのようです。

私が上海で行ったのは、いくつかのアートスポットと観光スポット。残った時間は散歩をしてました。


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自動切符販売機。路線図を参照しながら切符を購入できて便利

上海当代美術博物館(Power Station of Art)
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発電所を利用した現代美術館。テート・モダンぽい
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美術館の周りは開発中の地区。美術館の煙突には(たぶん)現在の気温が表示される
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展示していたのは、まさかの日本人建築家・伊東豊雄さん

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中国の若手アーティストを集めたギャラリー
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めちゃくちゃオシャレなお店も
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広い。日本人はあんまりいませんでした

外灘
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ザ・上海

豫園
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ひたすら庭園
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庭の敷地外には商店街。スタバもありました

新天地
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駅構内にこんなものが。突然のプロパガンダでびっくり
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有名ブランドの店も並ぶ道。この道の先にドローンメーカー「dji」の店もありました
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小道を一歩入ると母の手料理のにおいが漂う住宅街

その他
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村上隆的なあれ
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この辺は駐在の人が多いのか、日本人のママ友がお出かけしてました
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ガッチリしたマンションがたくさんあります

上海の人は意外と英語を話しません。それでもスマホを使って会話をしようと試みてくれたり、手振り身振りでなんとか会話したり、コミュニケーションを図ろうとしてくれるのがありがたかったです。

今回旅行をして感じたことは、根本的にはどこも同じだな、ということ。多少の文化の違いなどは、適当に行って散歩している程度ではあまり感じません笑。今回の旅行は中国人の友達もでき、とても面白いものとなりました。

ちなみに中国ではfacebookはもちろんgoogleのサービス全般も使えませんでした。垣根が無いはずのインターネットに壁ができていることにちょっと面白さと矛盾と皮肉を感じます。

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曲線の美しい上海浦東国際空港
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詩人・吉本ばなな『キッチン』の翻訳本。思わず購入


(まつもとあさみ)

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2017年04月19日

そこにある声を聞く 「崩れゆく絆―アルフレド・ジャーが見る世界のいま」@森美術館の感想

地球日記

森美術館が開催しているラーニングプログラムアージェント・トーク」に参加しました。とてつもなく動かされた内容だったので、ご紹介させていただきます。
 ※トーク記憶を辿ってそのまま書いているので、一部内容には齟齬があるかもしれませんが、ご了承ください

「アージェント・トーク」は来日したアーティストに招いて講演してもらう趣旨で、今回のゲストはアルフレド・ジャー(Alfredo Jaar 1956年 - )さん。

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(画像クリックでジャーさんのHPが別ウィンドウで開きます)

個人的には、理論と感性が同居していて、ジャーナリズム色の濃い作品をつくる人だな、という印象です。

「文脈を理解せずに、行動を起こすことはできません」「"この世界の状況下で、どのように作品をつくるのか?"と、アトリエに入った時に考えるのです」と、話し始めたジャーさんは、まず彼の作品を、スライドと制作過程の説明を交えながら紹介してくださいました。

(表記は作品名、製作した場所、製作年、ジャーさんによる説明の順番)
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●《We Shall Bring Forth New Life(Umashimenkana)》福島(日本)2013
福島の小学校から持ってきた25の黒板を使ったインスタレーション。日本語タイトルの「生ましめんかな」は栗原貞子さんの詩から。
●《Lights in the city》モントリオール(カナダ)1999
5度の焼失と再建を経験した建物が舞台。街のホームレスの「街の人にとって私たちは透明だ」という彼らの言葉を受けて、彼らを可視化させる主旨で行われた。
●《The Skoghall》Skoghall(スウェーデン)2000
製紙工場のために作られた街に、紙で美術館を建て、24時間展示した後に燃やすプロジェクト。街には文化的施設がなく、文化に目を向けてもらいたいと行った。
●《One Million Finish Passports》ヘルシンキ(フィンランド)1995
難民受け入れ数の少ないフィンランドで、100万冊のフィンランドパスポートを展示。この100万という数は、中東にいる難民の数(1億人と記憶してます)の1%。
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いずれの作品も、入念なリサーチとフィールドワークを経て、出来事の概要やそこにある問題などをあぶり出したものがテーマ。フィールドワークでは、関係者や当事者へのヒアリングも行っています。関係者や当事者の声を聞くことで、誰かが不用意に傷つくことがなく、アクションを起こす人が必ずいる作品となる。きちんとしたリサーチの上に成り立つ作品だから、鑑賞者も含むあらゆる人に意識の変化が起こるのだ、と感じました。

作品紹介のスライドの合間には、トルコの海岸に流れ着いた少年(アイランちゃん)の写真が挟まれていました。

「難民問題は以前からありますが、この写真から世界の注目が集まるようになりました」とジャーさん。彼の提示する他のスライドには、超過人数でゴムボートに乗り、鉄条網をくぐり、壁やフェンスを越え、押し留める人々の間をすり抜けて自国から逃れる人々の姿が映っています。

ヨーロッパにはドイツのメルケル首相、北アメリカにはカナダのトルドー首相など、難民を多く受け入れる国があります。その一方で受け入れを拒否する国があり、とんでもなく右翼思想を持つ国のリーダーも誕生しています。ジャーさんはハンガリーのカメラマンにまつわるニュースを挙げます。「国のトップの思想が国民の態度に影響を与えるのです」。

また、今回のアメリカの大統領選の結果を受けて、フランスやイタリアの雑誌は大きく拒否反応を示したがアメリカの雑誌は迷っているような様子で、日本では首相がいち早く次期大統領との会談に取り付けた、と各地の状態を伝えてくれました。

トークが終わった後の私の脳みそはほぼパンク状態で、何をしたら良いのか、自分の焦点をどこに当てたら良いのかわからなくなりました。ニュースを見ているだけでもあちらこちらで不安なことが起こり、全ての問題が同時進行で進んでいるように感じます。起こっていることは全て絡み合い、世界中にある壁は日に日に高くなっているように見えます。

それからひと晩考え、まだ全然消化できてませんが、この文章を書いているうちにひとつ。ジャーさんが行っているように、調べられることは調べ、行けるところは行き、そこにある声に応えていくことで、何か浮かぶかもしれない、と思いつきました。

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最近六本木も良いなと思うようになりました

(松本麻美)

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2017年04月03日

「良いコラボレーションの在り方を問い直す」[セミナー&サロン]

セミナー&サロン

全3回で実施してきた今年度のセミサロも、とうとう最終回になりました。
今回のゲストは、「問い」と「遊び」のデザインの観点から「ワークショップデザイン」について研究をしている、安斎勇樹さんです。さらに今回は、安斎さんのアシスタントである田中真里奈さんにグラフィックレコーディングを担当していただきました。安斎さんが話した内容を、わかりやすくまとめてくださいます。(グラフィックレコーディングについては、清水さんの回をご覧ください!)

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安斎さんは、ワークショップデザインを研究しながら、問いと遊びの力を使って、企業の商品開発や人材育成の課題解決に取り組んでいます。

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ワークショップって何?

「ワークショップは最近の流行りの手法のようにみえて、実は100年以上の歴史があります。『模造紙に付箋紙を貼り付けるブレスト=ワークショップ』と思われがちですが、私はワークショップを「普段とは異なるものの見方をするコラボレーションによる学びと創造の方法」と捉えています」

安斎さんは、ワークショップの参加者が漫画の登場人物になりきって写真を撮影し、オリジナルのストーリーマンガを一コマ一コマ作っていく「Mimic Comi Workshop」や、未来のカフェをLEGOブロックでデザインする「Ba Design Workshop」を、学生時代に取り組んでいました。

こうしたワークショップを手がけるうちに、企業からもワークショップを組み立てて欲しいと話が舞い込むようになりました。

携帯電話の大手キャリアでは「"つながらないケータイ"を考える」というテーマのもと、"つながり"をあえて切ることで生まれる新しい携帯について考えたり、カメラメーカーのワークショップでは新しいデジカメを生み出すために、わざとユーザーのニーズの枠の外側からアイデアを発想することを投げかけたり、と遊びを取り入れたワークショップを行っています。


"良いコラボレーション"を考える5つの問い

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今回のテーマ「良いコラボレーションを促すには?」という問いに対して、安斎さんは、5つの問いを提示しました。

1、何が人と人を"繋ぐ"のか?
2、"良い話の聞き方"とは?
3、"依存"は悪なのか?
4、"沈黙"は悪なのか?
5、"何者"として繋がるのか?


1、何が人と人を"繋ぐ"のか?

「誰かと誰かが"繋がっている"と言ったとき、その人たちの間には何があると思いますか? 単に一度会っただけでは"繋がっている"とは言えないような気もします」と安斎さん。確かに最近「Facebookで繋がっている」と言われても、「本当に知り合いなのかな......」と思いますよね。

安斎さんは、 "繋がり"の一つの指標として、「記憶」が意外に重要であると指摘します。

「ある海外の調査研究によれば、オフィス内の座席が50メートル離れると、そのメンバー同士のコミュニケーションが消滅する、という結果があります。さらに、在籍するフロアが異なると、業務中にはその人のことを思い出さなくなるそうです。コミュニケーションが生まれるには、社内の人間が互いに見える距離にいて、認識しあっているというのが大事なんですね」

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さらには、コラボレーションはなぜ必要なのか? 大人はなぜ協調するのか? という問いに展開させていきながら、コラボレーションの触媒としての課題構造の重要性などについて議論しながら、"繋がる"ことの意味を考えていきました。


2、"良い話の聞き方"とは?

2項目目では「聞き上手とは、共感を示しながら傾聴していればコラボレーションは促進されるのか?」と問いつつも、そうではないのではないか、と問題提起をします。

新しいカフェを考えるワークショップ「Ba Design Workshop」で発生した会話を分析したところ、参加者同士の「ツッコミ」と、課題に対して迷いが生じた「葛藤」の回数が多かったグループほど、参加者全員がアイディア出しに関わっていたそうです。

「他者のアイデアに対して、別の視点からツッコミが入ることによって議論の視点が揺れ動き、アイデアの創発が生まれていたのです。逆にいえば、お互いに牽制しあって、肯定しあうだけのコミュニケーションからは、新しい発想が生まれにくいと言えます」


3、依存は悪なのか?

「強い協同学習には、依存関係が不可欠です」と安斎さん。その昔、アロンソンという社会心理学者が「ジグソーメソッド」という、協同学習を生み出す手法を編み出したそうです。

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この方法は、学ぶべき教材をいくつかの資料に分割し、チームメンバーに役割分担して、異なる資料を担当させるというもの。
試験で良い点数をとるには、自分が担当しなかったパートを学ぶ必要があるため、自然と「教えあい」が発生します。このポジティブな依存関係が、コミュニケーションを促し、自尊感情の向上や、理解の深化を促すことも明らかになっています。

一般的な仕事におけるコラボレーションにも、少なからず依存関係は発生していると安斎さんは指摘します。確かに、仕事でもプライベートでも、自分の得意でない分野を人に頼むことが多いですよね。誰とどういった相互関係を作りたいのか? と考えながら繋がっていくと良いのかもしれませんね。


4、"沈黙"は悪なのか?

コラボレーションの話になるたびに、社交性やコミュニケーション能力が大事だと言われますが、安斎さんは、スーザン・ケイン著の『内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力』などの書籍を例に挙げ、必ずしもコラボレーションをする上で、社交性は重要ではないのではないか、といいます。

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「ワークショップでは、グループワーク中に心配になるくらい発言をしない人がたまにいます笑。けれども、そういう参加者の何気ない一言がきっかけに、議論がブレイクスルーすることがあるんです。しゃべり続けている人よりも、もしかすると内向的な参加者を自然にファシリテートする方法を考えたほうが、コラボレーションにはつながるかもしれません」


5、"何者"として繋がるのか?

コラボレーションに入るには、"何者"として関わるのか、という問題がまずあります。これに対しては、下記のテーマが提示されました。

・サードプレイスで繋がる人々
・何者としてつながるのか
・何をもって集団が多様とするのか?


「このようなサードプレイスには、色んな所属や立場の人が来て、繋がろうとしています。それを考えると、所属から解放されているはずのこの場において、どんなアイデンティティで関わりたいのか。企業の人間なのか、趣味を持っている個人なのか、"何者"として関わりたいのか。そういったことを考えながら、交流してみるといいかもしれません」

最後に、講演後の交流会に向けて「コラボレーションにつながる交流会の良い振る舞い・工夫・仕掛けとは?」をテーマにしたダイアログの時間が設けられました。3~4人のグループになり、それぞれが考えたことを話し合います。皆さん今回の目標は見つけられたでしょうか?


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感想

1時間半に渡って繰り広げられた安斎さんのお話は、私自身が悩んできた"コミュニケーションをうまく取るには?" "関わる人の長所を活かしてコラボレーションするには?" "何か新しいことを始めるには?" という視点において、とても興味深いものでした。「依存関係」「沈黙」というネガティブなイメージの単語も、捉え方によっては良いコラボレーションの種になることがわかり、これも一種の「ものの見方を変える」ことなのかな? と思いました。

安斎さんの活動が気になる方は、Facebookページ・ホームページをチェックしてみてください!
Facebookページ → https://www.facebook.com/BaDesignLab/
ホームページ → http://yukianzai.com/


・・書籍紹介・・
b0322-8.png『ワークショップデザイン論-創ることで学ぶ』(共著・慶応義塾大学出版会)








b0322-9.jpg『協創の場のデザイン-ワークショップで企業と地域が変わる』(藝術学舎)








田中さんのグラフィックはこうなりました!
b0322-10.jpg画像をクリックすると拡大します


(松本麻美)

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2017年03月08日

「ファシリテーショングラフィック〜議論の本質を可視化する」[セミナー&サロン]

セミナー&サロン

今年度のセミサロ第2回目は、Tokyo Graphic Recorderとしての活動を軸に、ファシリテーショングラフィック(以下ファシグラ)をされている清水淳子さんをゲストにお迎えし、清水さんのお話とワークショップの2本立てで開催しました。どんなお話が聞けるのか、どんなワークショップになるのか、楽しみです!

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清水さんは現在、ヤフー株式会社でUXデザイナーとして働きながら、カンファレンスや企業の戦略会議での議論の可視化を行っています。

「議論をグラフィックで可視化すると、議論が詰まったときに、話を進めるためのヒントが見つかるようになるんですよ。記録をすることで、場の議論が活性化します。」と言いながら見せてくれたのは、清水さんが実際に議論の中でグラフィックを描いている映像。みるみるうちに、カラフルな図や文字が壁に描き出されていきます。

Androidホーム画面アプリ『Widgets』開発チームによるミーティングの様子

議論を聞きながらも、可愛らしい絵とわかりやすい図解を描いていく姿に会場からは「すごい!」という感嘆の声。果たして、私たちも清水さんと同じようなことをできるのでしょうか?



グラフィックは文字や言葉に匹敵するコミュニケーションツール

清水さんが議論を可視化する活動を始めたきっかけは、とても身近な問題を解決することでした。

「多摩美術大学のデザイン学科を卒業し、ゲームやプロダクト(工業製品)、アプリのUX(ユーザーエクスペリエンス:利用者がサービスや製品を使うことで得られる体験のこと)をデザインしてきたなかで、どの業務にも共通するものがあることに気づきました」

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共通するものとは、"会話、対話、議論"です。

「優秀な人が集まってもうまく進まない会議では、この3つがスムーズにいっていなかったんですね。それを改善するにはどうしたらいいだろう? と悩みました。こんがらがった会議中に『この方法しかない!』と思ってグラフィックで議論をまとめたら、スルスル進んだんです」

清水さんが最近出版した書籍『Graphic Recorder --議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書』には、清水さんによる可愛い絵とともに、その手法がわかりやすくまとめられています。


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『Graphic Recorder --議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書』
ビー・エヌ・エヌ新社
(書影をクリックで書籍のページに飛びます)

清水さんの活躍は、まちづくりの場でのブレストやシンポジウムでの登壇者の発言を可視化したり、パーティーで一つの問いに対する来場者の意見をまとめたり、と議論の場にとどまりません。

「大人が仕事の場でグラフィックを描くのは恥ずかしい感じるかもしれません。でも、地図を描いて道を説明するのも、グラフィックです。グラフィックを描くことは、スピーチなどに匹敵する立派なコミュニケーションツールです。今後、国語、英語、グラフィック言語のように、学校の科目の一つになっているかもしれませんね。」



初心者がファシグラをする時のための心得

今回のセミサロでは、参加者から多数の質問がありました。そのうちのいくつかをピックアップします。

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来場者:実際にファシグラをするときに、きちんと描ける気がしないのですが......。

清水さん:私のこれまでを振り返ってみると、段階があったように思います。最初は話についていくのが精一杯でした。それに慣れると、対話のなかから似ている単語を抜き出せるようになります。単語のグルーピングができるようになると、マトリクス化などグラフィックを構造化して描けるようになりました。初めのほうはスピードについていくのが難しいですが、慣れることで技術が進化していきます。まずは試してみてください。

来場者:議論の内容を書き間違えたり、自分の意見を書いてしまったりしたときのフォローはどうしていますか?

清水さん:そもそも対話の内容は自分の脳で情報を整理するので、どうしても主観が入ってしまいます。自分が描いたことは基本的に主観的な解釈であり、間違っている可能性もある、という前提を持ちましょう。間違いをや勘違いを防ぐためには、描いたグラフィックを常に出席者みんなの見える位置に置き、違うところは指摘してもらったり、「これで合ってますか」と聞いたりするとよいですよ。

来場者:グラフィックの内容をフィードバックするタイミングにコツはありますか?

清水さん:タイミングは全部で3つあります。その1・議論が行き詰まって10秒ぐらい沈黙がきたときに「ちょっと振り返ってみましょうか」と言ってみる。その2・会議が2/3に来た時に「今日はこの方向でよいですか?」と聞いてみる。その3・ファシリテーターの人に「進行に困ったらこっちを向いてもらえば、フィードバックします」と言うこともあります。3つ目は上級ですね。

photo1-1.jpg(提供:清水淳子)

来場者:グラフィックとして形に残ったことに納得のいかない人がいたときに、そのまま残ったこと前提で話が終わってしまうことに抵抗を覚えるとおもうのですが、何か対策されていますか?

清水さん:グラフィックには、人々の理解を促す良いパワーがあると同時に、暴力になりうる可能性も潜んでると、私は常に気をつけています。というのも、もし仮に本人の発言を大げさに解釈してしまったものがグラフィックとして残った時に、描いたことが本人の発言よりも影響力を持つこともありえます。しかも当の本人は気が付いても指摘しにくいということもあると思います。なので最近は参加者に3色のシールを配って、いいねとおもうところ、よくわからないところ、などの役割をつけて、ペタペタ貼ってもらっています。そうすると、参加者の本音が見えるようになって、議論がさらに発展することがあるんです。結構おすすめな方法ですよ!

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日常的な問題の解決策をみんなで考えよう!

清水さんの公演の後は、20分ほどのワークショップを行います。

清水さんによる人物の描き方のレクチャーを受け、円卓型のコミュニケーションボード「えんたくん」に、それぞれの日常の悩みを書き込んでいきます。

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使うのは、3色のペン。以下のように使い分けます。

1、どんな場所でどんな課題がるのか考えよう(黒いペン)
2、それはなぜ起きているのか、原因を考えよう(赤いペン)
3、どういう風に議論を可視化すれば、それが解決するのか考えよう(青いペン)

「会議が連絡の場になっている」「議題内容をだれも話そうとしない」「問題点を伝えようとしない」「話す人が固定している」「どこで何が決定したのかわからない」という、皆さんの悩みが書き込まれていきます。すでに人物の描き方をマスターしている方は、内容にそった絵を描いています。


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描いたものをみんなでぐるぐるまわして、他のひとのアイディアにアンダーラインを引いたり、似ている意見があったら線で繋いだりして、解決点をさぐります。

和気あいあいとした雰囲気のなか、7グループ中2グループが、それぞれの解決までたどり着けました。話し合った後は、皆さん、スッキリした様子で「今日出てきた解決方法を、早速ためしてみます!」という嬉しい声も。

皆さんおつかれさまでした!

グラフィックレコードの研究 / Tokyo Graphic Recorder 清水 淳子 日本デザイン学会 第62回研究発表大会 2015/06/14 

写真提供:萩原楽太郎


(まつもと)

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2017年02月09日

「KP法で学ぼう!環境教育とコミュニケーションの未来」[セミナー&サロン]

セミナー&サロン

1月25日に行った今年度最初のセミサロは、KP(紙芝居プレゼンテーション)法を生み出した川嶋直(かわしま・ただし)さんがゲストです! 川嶋さんは、公益社団法人日本環境教育フォーラム理事長であるとともに、1985年代半ばからの30年間は山梨県清里のキープ協会で「環境教育・インタープリテーション」として活躍されていました。

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「みなさんこんばんは、川嶋直と言います。本名は『ただし』なんですけども『ちょくさん』と呼ばれています。今日は紙芝居を20セットほど持ってきました。」とおもむろに取り出したのは、厚さ3cmもある紙の束。

「この中から10数セットを抜き出して使います。本当はこの20セット以外にもたくさんあるんですけどね」

KP法のセットの新作をどんどんつくるので、川嶋さんのご自宅には、この15倍の量(300セット!)が置かれているそうです。どんな話が飛び出すのか、ワクワクしますね!


次々と出てくる直筆のスライド

1時間半をお話いただくセミサロ。今回は、前半「環境教育について」後半「KP法について」の2部で構成されています。まずは川嶋さんの自己紹介からスタート。川嶋さんがファシリテーターとして踏んできた"数えきれないほどの場数"とはどんなものだったか、生い立ちを交えながら話が展開されます。

一つ目のセットは『川嶋直のファシリテーター修行歴』というタイトルです。「いま思えばこれも場数のうちでした」と「ボーイスカウトと学校」と川嶋さん直筆で書かれたA4用紙が出てきます。異なる2つの異空間に所属することで自分自身を客観的に見る力が培われたそう。次の1枚は「生徒会長(15才)」。「ここで、みんなの意見が自分とは違うことを、身を持って体験し......」と「高校で学生運動」「32才--清里」と次々とホワイトボードに貼りだされます。

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川嶋さんの口からポンポンとでてくる言葉と貼りだされるA4用紙のテンポの良さに、聞いているうちに楽しい気分になってきます。

ちなみに、川嶋さんが自己紹介につかった時間は10分弱。本当は1セットにつきおよそ4分〜5分が目安だそうで、「ちょっとゆっくりすぎたかな......」と参加者の笑いを誘います。プレゼンをしている間にも参加者に話しかけたり、腕を大きく動かしたり、ととにかくコミュニケーションを絶やしません。


環境教育は子どもだけが対象ではない

環境教育については、川嶋さんの考えがあるそうです。

環境問題を解決するための方法はたくさんあります。その中でも以下の3つの方法が重要だとよく言われています。

1、規則
2、技術
3、教育

この3つのうちどれが欠けても、地球の環境は改善されません。さらに、川嶋さんは「環境教育は子どもだけが対象なのではない」といいます。

「大人を教育しようと思ってもいまさらダメだから、未来を担う子どもにこそ環境教育を、という意見もありますが、そんな無責任なことを言う大人の言うことを、どこの子どもが聞くのでしょう? 子どもは大人のツケを払うためにいるのではありません」

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「子どもたちへの環境教育で大事なことは2つあります。1、自然のなかで遊ばせること 2、環境問題の解決に向かって頑張っている大人の姿を見せることです」

子どもたちは親しんできたものが好きになる、というお話もありました。自然と遊ぶこと、普段から自然に親しむこと、その自然と共にいる人たちを身近に感じてもらうことが、地球を大事にすることに繋がるのですね。


良いKP法のポイントは情報を詰め込みすぎない

後半は川嶋さんによるKP法の作成方法です。

KP法の基本を、5つのポイントに絞って教えてくれました。

1、絞り込んだキーワードで構成する
2、詰め込みすぎない
3、レイアウトをデザインする
4、色をデザインする
5、良いKPとは?

「重要なのは内容を絞って詰め込みすぎないこと。伝えなくてもいいことはどれかを判断して捨てる。15枚5分以内でまとめて構造化するのが良いです。」

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「色も大事です。同じ種類の言葉には同じ色を当てましょう。良いKPと言うのは、話を聞かなくても後でそのKPを見ただけで内容がわかるもの、最も伝えたいことが記憶にのこるものです。YouTubeにKP法の動画を24本上げているので、もし興味がでたら、そっちもチェックしてみてください!」

「KP法 Kamishibai Presentation」のチャンネル

川嶋さんのさりげない1言で、会場の空気が和らぎます。プレゼンの最中にも、1セットが終わり片付けている時にも小ネタが出てきます。「用紙を片付けている間には、力を抜いて参加者同士で雑談もしてください、KP法は呼吸のようなものなんです」と呼びかけました。

さらに、説明とプレゼンの違いを解説します。

「説明は論理的に、プレゼンは感性に訴えます。知性と感性、どちらで人が動くのか。"感動"という言葉はあるけれど"知動"という言葉はないでしょう? 感性に訴えて裏に理論を付けることが大事です。僕達は、人に行動を起こしてほしいからプレゼンをしているのです」

参加者で振り返り

今回のセミサロでは、前半と後半の間と最後に、「ペチャクチャタイム(PKT)」の時間がありました。参加者同士で思ったことを話すこの時間では「1セット終わるごとに、ひと目で全体が見えるのが楽しい」「KP法を会社のプレゼンでも使いたい」という率直な感想が聞けました。

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その他、じゃんけんでアンケート(GCPアンケート)を取るなど、内容のバリエーションも豊富です。

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「これを押さえれば大丈夫です! 不安な人には本もあります!」とさりげなくご自身の著書も宣伝される川嶋さんのお話は、1時間半もあっという間に過ぎてしまうほど、とても濃密で楽しい内容でした。



\川嶋さんのKP法がよくわかる本です!/

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『アクティブラーニングに導くKP法実践:教室で活用できる紙芝居プレゼンテーション法』(みくに出版)


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『KP法 シンプルに伝える紙芝居プレゼンテーション』(みくに出版)



(まつもとあさみ)

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2016年10月06日

未来の働き方を考える 〜おもいやりの"スイッチ"を入れる人を増やす〜

プロジェクト裏話おすすめ infoお知らせ

自分の中で、新しい時間軸と関係のフレームが再構築された。

これからの働き方、企業に所属しながらの複業に関心がある人が増えている。
今回のラウンジスイッチでは、会社員でありながら、社会との関係に目を向け、仕事(会社)だけにとらわれない生き方を提案している一般社団法人Work Design Lab代表の石川貴志さんをゲストに、参加者と共にこれからの働き方を模索した。

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石川さんは、1978年広島生まれの38歳。現在、企業の経営企画室で働きながら、社外活動も含め7枚の名刺を持ちながら様々な活動をしている。3児のパパだ。奥さんも、働きながら、社外活動もしている。石川さんが仕事以外に目を向けようと思ったきっかけは2つある。

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ひとつは、32歳の時、子供が生まれ「父」になったこと。「今まで、自分中心だけの社会構造だった世界観が『親--自分--子供』という新たな時間軸の関係性ができ、子供に何を残せるかを考えるようになりました。それは短期的なことではなく、100年後の他人事が自分事に変わるという意識の変化になり、地域に関わりたいと思い始めたんですよね」。石川さん自身、『社会性が増した』と笑いながら話す。

もう一つは、その考えのもと、社外活動のひとつとして関わった「SVP東京」の存在だ。簡単に言えば、士業の人を中心にお金を出し合い、これからの社会に必要な団体に、お金と知恵を投資していくシステム。最近では多くのサラリーマンも参加しており、プロボノの上級編と言ってもいいかもしれない。社会課題を解決させていく事業を育て、社会にインパクトを与えていくやり方に石川さんの意識もどんどん社会性を増し、自身が実現したい活動への一歩を踏み始めていった。

石川さん自身が家族を持ち、会社以外の時間でも「未来」を考えるようになり、いままで希薄だった自分の中の「家族」・「社外コミュニティ」・「企業」・「地域」のフレームが新しくカタチ作られていったのだ。


今は、会社をやめなくても面白いことができる。

「スイッチの入った人を応援したいんですよ」。熱量高く、けど爽やかに話す石川さんのメッセージは次のことだ。「例えば、個人に想いがあって仕事をしているけど、そのやり方や成果は会社の通常ルールからするとNGで怒られる。けど、社会的側面からすると、とても必要でいいこと言っているケースってないですか?新しい事業開発や、未来のコミュニケーションを作り出す際によくあり、会社のリソースを活用しながら、どうやって実現できるかに悩む人が多くいるはず。そういった会社を辞めずに社会にいい活動を行う人を応援したいんです。」

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また、考え方の整理として次のようにも語る。「Work(仕事)、Life(家庭)、Social(社会)の3つの枠が重なるポイントに継続的で、現実的な個人の理想的な活動があります。想いが先行しすぎると、経済的に成り立たなくなるケースも多いため、個人だけ応援していくのではなく、関係性を見ながら解決していくことが大切なんです。いまそれをしている一部の企業人が、自分がやりたいことをきちんと会社の利益を考えて実行している人が出てきていると思います。」

企業・組織の枠を越えていき、一緒に解決していく時代がいま既に起きている。石川さん自身も、運営するWork Design Labの始まりである『働き方と組織の未来ダイアログセッション』を通じて、本業を活かしながらいまのあらゆる活動つなげている。


働き方の未来は、個人と組織の関係性にある。

Work Design Labのビジョンは『イキイキと働く大人で溢れる社会、そんな大人をみて、子どもが未来に夢を描ける社会を創る』こと。

活動のひとつである『働き方と組織の未来ダイアログセッション』では、まずは社会と会社の今を知ることで、参加者に勇気と気付きを生みだす場を作っている。様々なゲストを呼び、事例を知れることもあり平日夜開催にも関わらず100名以上集まる回も少なくない。場の特徴として、企業側と個人側で、"ルール違反者"のゲストを呼ぶ。(※違反者とは時代に必要で新しいコトに挑戦している人を指し、現状の会社ルールが合わなくなっていることを指す)。

「働いていて、個人のミッションと組織のミッションのバランスが完全に一致するケースってどれだけ多いでしょうか(笑)。お互いが描くイメージの円が一緒に重なればハッピーですけど、ズレ続けると、個人は転職したくなり組織との距離が遠くなっていきます。長い期間会社で働いている人は苦労をした経験は見に覚えはないですか?」会場の参加者はドキリとしつつ、深く頷く。

もうひとつの活動として、サラリーマンイノベーターネットワークがある。これはオープンな対話の場ではなく、出会いの中で知り合った各企業のイントレプレナー同士を引き合わせ、事業を起こしやすい仕掛けを研究していく場だ。まずは、フレンドリーな研究の場から事前に一緒に考え、お互いにいい時期になったら正式な事業として、きちんとした段取りや許可を取って会社のリソースを使いビジネスとして実現していく。会社を辞めずに、会社にも個人にも社会にも利益をもたらす準備と言い換えても良いかもしれない。まさに所属する会社との関係性を継続させながら、自己実現させるためのやり方だ。また、基本的には人事やCSR部の人に声をかけ、組織としての新しい挑戦として社会に同じタイミングでコトを仕掛けようとしているのが面白い。


複業を成立させるための"個人の法人化"とは?

活動から3年が経過して社会が変わってきたと石川さんは語る。石川さんのように企業で働きながら社会に貢献したい人が増え、働き方の変化が個人と組織間で起こっているようだ。「主観ですが、個人の変化では、ライフワークバランスのように、個人の時間のコントロールをしたい人が増えているんじゃないかと思います。一方で、組織の変化では、パフォーマンスが高い社員ほど、社会貢献の場に参加することが多く、個人にとって利用価値の高い「場」として会社が機能しないと人材流出する可能性が増えている。両方の立場に立って考えることがこれからは必要ですが、個人がやりたいことを実現するためには、企業と個人のWhat/How/Why の3重円を行ったり来たりして考え、その人の根本的な考え方のWhyを共有することが仕事をする上でとても大事になってくると思います」。

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石川さんは、会社というコンセプトを手放し、新しい組織の雛形をつくることで、「個人の法人化」が成立し、人材の適材適所や業界を超えたスキル共有が、これからのキーワードとなってくると見ている。

また、個人だけのメリットだけを考えるのではなく、変化と成長をするには、場に貢献し育てていくことがやはり大切であることが前提であることも、しっかりと語る。「幸せの価値観の多様化があるからこそ、うまくいかないこともあるし、思い通りにならないこともたくさんあります。でもそこをしっかり向き合うことで自分が成長させられるんだなと実体験として感じています。自己の主体性と他者との関係性を考えながら行動する。これがこれからの働き方と複業のヒントになると思っています」。

石川さんの実体験を元に、なぜ今それをするのかというWhyの部分の話は、同世代の参加者や組織での管理クラスにも大きな共感があり、後半のスイッチトークも大いに盛り上がった。今後の個人と組織の関係性について、興味があれば、ぜひWork Design Labの場に参加してみたらいかがだろうか。働き方の新しいスイッチが、きっとONになるに違いない。

(推進スタッフ 鈴木高祥)

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2016年09月20日

壮大な大自然!@グランドキャニオン・ヨセミテ

地球日記

こんにちは、曽我です。
先日、夏休みをいただきサンフランシスコに行ってきました。そして、せっかく行くのでと思い、グランド・キャニオンとヨセミテにも行ってきました!

SFLV_01.jpgグランド・キャニオン

SFLV_02.jpgヨセミテ国立公園

まずは旅の前半、グランドキャニオンに行きました。ラスベガスからグランド・キャニオンまでの距離はなんと450km!これは、東京ー会津若松、大阪ー福岡間と同じくらいの距離になるそうです。今回はこの距離を陸路で向かいます。ほぼ信号がない道をずーーーーっと進みます。そのため、450kmという距離ですが4時間〜5時間で着きます。(飛行機で行くこともできます)

途中、東西アメリカ大陸を横断するのにとても重要な役割を果たしていた国道66号線、通称ルート66(Route66)が通る町セリグマンに寄りました。ルート66は1926年に国道として創設され、イリノイ州シカゴとカリフォルニア州サンタモニカを結んだ全長3755kmにもおよぶ国道。物資や人々が西に移動するための主要道路として使われていたそうです。高速道路の発達によりに1985年に役目を終え、廃線になりました。

SFLV_04.jpgSFLV_05.jpgピクサー映画のカーズのモデルになった車だそう!

1985年に廃線になりましたが、セリグマンに住む1人の男性が歴史的なルート66の保存を認めるよう働きかけ、再び地図上に名前がのるようになりました。セリグマンには30分ほどしか滞在しませんでしたが、思わぬ寄り道で少しアメリカの歴史を知ることができました。

さて、いよいよグランド・キャニオンに到着です!
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目の前に広がる巨大な峡谷!景色が壮大すぎて、これはいったい...と、ため息が漏れました。グランド・キャニオンの一番古い地層は恐竜時代より古く、最古の地層は20億年前だそう。一番新しい層でも2億5000万年前です。壮大な景色だけでなく、その地層の古さにもただただ驚くばかりでした。

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グランド・キャニオンは今から7000万年前に、この地を含む広い地域が地球の地殻運動で隆起し、広大な台地が形成されました。さらに、約4000万年前コロラド川による浸食が始まり、約200万年前に今の形状になりました。侵食は今も続いているそうです。

私が訪れた日は天気が悪く、途中雷雨にあいましたが夕方にはとても綺麗な夕日を見ることができました。グランド・キャニオンに沈む夕日を見ながら、地球の偉大さを感じました。

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さて、次に向うのはヨセミテ国立公園です!ヨセミテへは、サンフランシスコから、こちらも陸路で向いました。片道300km。グランド・キャニオンよりは近いですが、なかなかの距離です。

ヨセミテへ向う途中にAltamont Pass Wind Farmというとても大きな風力発電所を通過しました。

SFLV_08.jpgSFLV_09.jpgこの辺り一帯に数多くの風力発電が設置されています

後日調べたのですが、アメリカ国内でもカリフォルニア州は風力発電の数が一番多く、Altamont Pass Wind Farmは最も古い風力発電所だそうです。また、騒音問題や鳥類への被害も深刻で、新しい風力発電を導入するなど対策を行っていることがわかりました。一度ゆっくり見学に行ってみたいなと思いました。

さて、車はヨセミテへと近づいていきます。岩が白くとても天気がよかったので最初、遠目では雪山に見えたのですが、近くにくると全て岩ということに驚きました。

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ヨセミテ国立公園には森も川もあり、とても緑が多く気持ちのいい場所でした。これまでにアメリカの国立公園はいくつか行ったことがあるのですが、私が訪れた公園の中では一番緑が多く、ハイキングコースも多くありました。

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今回訪れたヨセミテ渓谷は一番観光客が訪れる場所ですが、国立公園全体の1%でしかありません。約9割は手付かずの自然が保護されているということでした。これほどの壮大な自然を目の前に、まったく想像できないスケール感に驚くばかりでした。

また4月には雪解け水が流れだすヨセミテ滝があり、その風景もとても素晴らしいとのこと(落差は739m、北アメリカで一番だそう)。8月には水が枯れてしまうため、私が行った日に滝は見ることができず、残念でした。

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最後にガイドの方が一番気に入っている絶景ポイントに連れて行ってもらい、ヨセミテの旅は終了です。ロッジに泊まっている方もいて、次回はぜひ1泊したいと思いました。

帰りもまた4時間ほどかけて帰ります。サンフランシスコの夏は日没が20時くらいのため、ダウンタウンに戻る頃にはまだ日が沈んでおらず、とてもきれいな夕日が見ることができました。

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旅をすると、その土地のことを調べたり、現地の人に話を伺ったりと自分が知らなかった世界が一気に広がるので本当に素晴らしい体験だなと改めて感じました。

またみなさんにオススメの場所など伺って、旅の予定を考えたいと思います!

(曽我 直子)


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2016年09月12日

講演「数百年先を見据えたものづくり --世界に発信する日本式」

地球日記

8月30日(日)、いつもお世話になっているデザイン会社「AXIS」で、講演がありました。

講演のゲストは、AXISで発行しているデザイン雑誌『AXIS』182号(2016年7月1日発売)のカバーを飾った、緒方慎一さんです。

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イベントの告知ページ(クリックでリンクに飛びます)


緒方さんは、和食料理店の「HIGASHI-YAMA Tokyo」や和菓子店「HIGASHIYA」の運営、陶・滋や漆プロダクトブランド「Sゝゝ(エス)」の展開など、和の文化を活かして新しいものを創りだしています。

緒方さんならではの哲学を、講演のタイトル「数百年先を見据えたものづくり --世界に発信する日本式」にもとづいて伺うことができました。

今回は、そのなかでも特に印象に残ったことについて書きたいと思います。


緒方さんによると、日本式は5つの形を持っているそうです。

・自然のかたち
・人間の感じるかたち
・陰陽のかたち
・儚いかたち
・無垢なかたち


この中でも興味深いと思ったのは、「自然のかたち」と「人間の感じるかたち」です。

まず、「自然のかたち」について語り始めた緒方さん。日本のものづくりは、すべて自然崇拝に繋がるのだそう。

日本人は、もともと自然の豊かな環境で暮らしてきました。

森で狩りをし、木の実を集め、海や川で漁をする......。自然に囲まれ、その恵みを受けながら暮らしていくうちに「自然=神様」という意識が生まれ、多神教になります。

そんな多神教の文化が他国の文化を取り入れ、和洋折衷な文化を生み出し、そこから現在の日本文化に繋がる「和」の美意識が生まれました。

日本文化の代表とされる"自然を生け捕る"借景や、"自然を見立てる"銀閣寺の「向月台」(庭園内にある、円錐形に盛られた砂の造形)、盆栽、和菓子などもその感性から生まれてきたのだそうです。

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銀閣寺の「向月台」


次の「人間の感じるかたち」は、ずばり"五感で感じる"ものを追求します。

例えば夏の窓辺に掛ける風鈴。高い澄んだ音色で、涼しさを演出します。暑さをしのぐ方法では、打ち水もよく行われていますね。これらは、人の感情に訴えかけ、心地よさをつくりだす"かたち"なのです。

緒方さんの作品である使い捨ての器「wasara」は、このエモーショナルなかたちを追求したもの。手漉きの紙のようなテクスチャーや手に馴染むかたちが、人の五感に働きかけ、心地よさを生み出します。

スクリーンショット 2016-09-07 17.20.39.png
WASARAのホームページ(クリックでリンクに飛びます)


講演後に、実際に手に取ってみましたが、手に乗る厚手の紙の重さと均されていない表面の触り心地が本当によく、「使い捨てとは本当にもったいない!」と思ったほど。

このお皿を普段使いできたら、一日一日をゆったりと過ごせるはずです。

講演のなかで緒方さんは「自分の活動は日本を意識してやってきたわけではなく、やってきたことを見たら、こうなっていた」と振り返ります。

わざわざ意識しなくてもにじみ出てくるものが、その人のルーツであり生きてきた環境そのものなのだ、と感じました。


◎緒方慎一さんが代表を務める会社
株式会社SIMPLICITY( http://www.simplicity.co.jp/ja/
◎緒方さんが運営するお店
八雲茶寮(http://yakumosaryo.jp/
HIGASHIYAMA-Tokyo(http://higashiyama-tokyo.jp/
HIGASHIYA(http://www.higashiya.com/
◎プロダクト
Sゝゝ(http://www.sss-s.jp/
WASARA(http://www.wasara.jp/


(松本麻美)

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2016年07月17日

新ソーシャルアクション企画塾「ラウンジ・スイッチ」がスタートしました

おすすめ infoお知らせ

みなさんは「おもいやりライト」ってご存知ですか?
おもいやりライトは、交通事故が一番多い時間帯(夕方16時〜18時)にヘッドライトの早期点灯を促し、交通事故を削減するための運動です。おもいやりライト運動はなんと今年で6年目。そこで新しい領域を照らそうと、一歩踏み出す人を応援するための新しい活動が始まりました。その名も「ラウンジ・スイッチ」。これから社会のために何かしたい!というポジティブなエネルギーをもった人たちと一緒に学び、活動するためのノウハウやマインドを共有するソーシャルアクション企画塾です。先日その第1回目が3×3lab futureで実施されました。

オープニングトークは思いやりライト運動プロデューサーの山名清隆さんとThink the Earthの上田の対談からスタートしました。二人は、ラウンジ・スイッチの支配人として、全7回の授業に参加者のみなさんと一緒に参加します。

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プロデューサーの山名清隆さん(左)とThink the Earthの上田(右)

山名さんと上田が今、キーワードとして考える「逸脱力」。自分たちがソーシャルデザインの活動を始めた10数年前は、「何か変わったことをしている人」という立ち位置でした。言うなれば「はみ出し者」だった二人。会社以外に何かを新しい事を始めるハードルがとても高かった。でも、今はSNSなどの進歩により、誰もが情報発信したり、会社以外で仲間を見つけて活動できる環境が作りやすくなったと言います。そこで、今度はソーシャルな活動をもうあと一歩進めるためのアイデアや方向性について議論は進んでいきます。

例えば、パブリックスペースを考える上で今、重要視されているタクティカルアーバニズム(TACTICAL URBANISM)という概念。バンクーバー ビエンナーレの事例では、水辺の何気ないスペースに彫刻を置くことで、市民の憩いの場になっているそうです。ちょっとしたクリエイティビティを加えることで、町が変わったのです。
(詳しい記事はこちら

また、2014年からパリでは市民参加型の予算編成を始めました。住民からどんな町にしたいか意見を募り、その中から予算を使うプロジェクトを住民投票で選ぶ制度です。
実際に、市民の意見を聞くための部署が設置され、5000のアイデアが集まり、さらに500に絞ったアイデアの中から、投票で選ばれたプロジェクトがすでに始まっているそうです。まさに今までにない、公共セクターを超えた逸脱セクションの誕生と言えます。

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二人の話を熱心に聞く参加者のみなさん

そうして数々の事例とアイデアを話した後は実際に企業と社会の境界線を飛び越えて活躍している今日のゲストの話へと移ります。第1回目の講師「 前橋〇〇部 」の藤澤さんの登場です!

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藤沢さんのスライドの1枚。ご自身の写真を大胆に使ったデザインが印象的

藤澤さんが2011年に前橋に戻った時に、地元の人に面白い場所や人を聞いても何も答えが返ってこなかったことに「ヤバい!ここには何もない!」と焦ったそうです。前橋は歴史的な建物もなく、文化的な世代間の会話もなかった。そして遊びに行くなら高崎に出ればいい、という空気感。
この状況を何とかしたいと考えていた時に、前橋自転車通勤部と出会います。何をしているかと言うと、単純に自転車で通勤をしている人たちの集まり。でも、小さなコミュニティの存在がそこにはありました。

そこで、「 前橋〇〇部 」と題して、前橋でたくさんの部を立ち上げることを思いつきました。パズルが好きならパズル部。パフェが好きならパフェ部。特に許可や申請の必要はなく、ゆるーい部活動の促進を、最初は一人でfacebookで部の立ち上げ宣言をしていました。そこで、序所に反応があり、次第に人が集まるようになりました。

前橋〇〇部の次は「前橋○○特区45DAYS」。前橋を〇〇特区にしたい、という市民の声を集める活動と、週末にはイベントを開催し、市民が集う場を、前橋市と共催で実現しました。ロゴからフライヤーまで藤澤さんご自身で手がけました。

昨年のアーカイブ動画

そして、最後には前橋でアイドルユニット「ハイタッチガールズ」を結成するまでに至ります。アイドルが町にいることで、場が華やかになる、そしてアイドルに会いにファンが来てくれる!元々アイドル好きだった藤澤さんは、「ハイタッチガールズ」のプロデュースに夢中になっていきます。この時のことを「猛烈に楽しかった!」と振り返る藤澤さん。しかし、楽しいだけではありません。悩みもたくさんありました。それはここだけの話として聞いたので、詳細はお伝え出来ませんが、最後は会場からは藤澤さんを応援する声で締めくくられました。

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成功したことも、失敗したこともすべてを包み隠さすお話してくれた藤澤さん。とっても素敵な方でした。

このラウンジ・スイッチはまだまだ続きます!
次回のLOUNGE SWITCHは7月19日(火)19:00~21:00でパクチーハウス東京の佐谷恭さんにお越し頂きます。次回からの参加、第2回のみの参加もOKなので、気になった方はお気軽にご参加下さい。詳しくはこちら

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最後はみんなで記念撮影!

(笹尾実和子)


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