2009年07月01日
針江のかばた
一昨年つくっていた『みずものがたり』という書籍で、この針江を取り上げた。敬愛する今森光彦さんの記事だった。
今森さんは、すばらしい里山の写真をいくつも撮っていて、それは結構彼が住んでいる滋賀のものが多いらしい。
いつか行きたいな〜と思っていて、ふと思い立って来てみました。
京都から電車で約1時間。
地元の人が実施している1時間半のツアーに参加しました。
針江地区は、生水の郷と呼ばれ、至る所に水路がある素敵なところ。
小さい水路が集合して、中規模の川になり、その「針江大川」が地域の中心を流れている。比良山系のわき水が川の水の7割を占め、水温は一年中16℃〜17℃。

梅花藻の群生地帯で、水はすこぶる綺麗。鯉が5月〜6月は産卵に琵琶湖から上がり、その後、鮎も鱒も来る。
50年前に稲を筏で運んでいたと言われる水路は、今ではもっぱら地元の子どもたちの遊び場だ。
この地域で家庭から湧き出ている水は107箇所。
主に鉄管を20mくらい地中に埋め込み、そこから13℃の地下水が湧き上がっているのだ。
その水を家庭で利用して来たのが「かばた」と言われる場所。
「かばた」には2種類あって、「外かばた」と「内かばた」がある。用途としては一緒だけど、玄関の外にあるのか、中にあるのか、その違いだ。
今でも、結構な家庭で、その「かばた」が現役で利用されているのが、この地区のすごいところなのだと思う。
以下にいろんな「かばた」を紹介しよう。

Aさんのかばた。これがいわゆる「外かばた」

鉄管があるところが「もと池」、次が「つぼ池」、ここで野菜を冷やしたりする。そして最後に「はた池」。ここでは鯉を飼っている。

ちょっと驚いたのが、鯉を飼っているということ。
水路で町中が繋がっているから、鯉や魚は出入り自由かと思っていたら、自分の家の鯉は自分の家の鯉で、逃げられないように、外からも入ってこれないようになっている。
この鯉がすばらしいシステムで、残飯やカレーの鍋でもこの「はた池」に入れておくとすっかり綺麗にしてくれるのだという。
鯉が浄化システムとなり、水を汚さない仕組みになっているのだ。
一年中水温が同じで、地下水で低いため、夏はかばた自体がひんやりとしているのだそう。だから、今では冷蔵庫にしまう「ぬか床」もここにおいてある家が多いとのこと。
Bさんの「かばた」。こちらも「外かばた」。


Cさんの「かばた」。
これは「内かばた」。

野菜が冷やしてありました。

家の外壁は、焼いた杉板のところが多いのだけど。炭と一緒で除湿効果があるので、水が多くて湿気たところには最適な昔ながらの知恵だという。
値段は普通の建材の3倍するとも言われていたが、100年くらい持つとの話。
針江は昔ながらの知恵が根付く、よき日本が残るところだった。
(佐々木 拓史)


