2009年10月22日

砂漠と熱帯雨林

地球日記

今年は「環境問題(人間問題)の現場に足を運ぼう」と、7月に中国・内モンゴル自治区に拡がるゴビ砂漠へ、そして9月にはマレーシア・ボルネオの熱帯雨林へと飛びました。同じ地球なのに、まったく違う光景に驚くばかり。

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中国・内モンゴル自治区アラシャン盟。人口増による過放牧が原因で砂漠が拡がり、3つの砂漠が一体化しようとしています。日本に降り注ぐ黄砂もこのゴビ砂漠から飛来しているわけで、人ごとではありません。

この砂漠の拡がりを阻止しようと、幅50km、長さ800kmのグリーンベルト「緑の回廊」を作ろうという計画を中国政府が進めており、そのプロジェクトに、日本のNGOである「オイスカ」が協力しています。

砂漠緑化は、手で植林してもほとんど効果がありません(植林による教育的効果は除き・・)。ここでの環境改善のポイントはスピード! 砂漠化と緑化の競争なのです。

そこで考えたのが「飛行機播種」という方法。中国軍が飛行機を用意し、一日に何度も飛行し、広い範囲に大量の種を空から撒いていきます。このあたりに降る雨は、1年間でたったの200mm。そのわずかな雨でも芽吹く強い植物の種を撒くのです。2000年頃からプロジェクトはスタートしていて、いまその効果が出はじめています。

NGOのオイスカは、現地の遊牧民たちが経済的にも豊かになれるような経済植物の種を撒くことをアラシャンの地方政府に提案しています。力業のハードは政府や軍、きめ細やかな調査や研究によるソフトはNGOの役割で、うまく二輪が回っているように感じました。

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※高度30mほどの低空飛行で種を撒いていく中国軍の飛行機

詳しくは、私も参加している環境難民救済がテーマのNPO「アースブレークスルー」のHPをご覧ください。


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さて、こちらはボルネオの熱帯雨林。東北大学のプロジェクトに同行させていただきました。湿度はほぼ100%。虫と鳥の声に包まれながら森の中を歩くとだらだらと汗が流れます。たくさんの生物がひしめきあい、せめぎあいながら生きている、まさしく生物多様性に満ちた場所。本来ボルネオ島はこうした熱帯雨林に覆われた大自然が拡がっていたのです。

ところが。北部のサバ州で見た光景は、地平線まで続くアブラヤシ(オイルパーム)のプランテーション。アイスクリームや冷凍食品、石けんや化粧品として、私たちが日々消費している植物性油脂はここからやってきます。

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※地平線まで続くプランテーション

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※プランテーションは1種類だけの植物の世界

私たちの大量消費が原因で、熱帯雨林が次々と切り開かれ、急速にプランテーションに変わり、そこで暮らしていた動物たちが絶滅に追いやられています。たった1種類の植物しかいないモノトーンのプランテーションと、多種多様な生物が織りなす熱帯雨林。「生物多様性」という難しい言葉で呼ばなくても、どちらが地球の未来にとって貴重かは一目瞭然です。

分断されてしまった森で絶滅の危機にある野生動物を救おうと、NGOのボルネオ保全トラストによって、中国の緑化と同じ名前の「緑の回廊プロジェクト」が進行中。分断された森をつなぎ、動物たちにより広い生活の場を作ることで、絶滅を防ごうという計画です。
詳しいことは次回の地球リポートにて書きますので、ぜひ読んでください。

最後に、ボルネオ島中西部のサラワク州、ランビルヒル国立公園に樹冠(樹木の最上部)の生態観察のために建てられた80mのクレーン・タワーからみた光景を。80mというと、だいたい20階建てのビルの高さ。このあたりの森の木々は、不定期に一斉開花するのですが、なんと今回、偶然にも一斉開花のタイミングで訪れることができました。あまりにも美しい光景に息を飲みました。まるで森の惑星にやってきた異星からの来訪者のような気分。このすごい自然を大事にしなきゃと素直に思えた瞬間でした。

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※80メートルの高さから見下ろした森の様子

中国の砂漠化は、人口増による過剰な放牧が原因。ボルネオの熱帯雨林消失は、大量消費が原因。どちらも環境問題というよりは、やはり人間の問題。そこで生きている人たちの経済も考えながら、この難しい問題を解決できるのも、やはり人間しかいない、と改めて思っています。

(上田壮一)

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