2013年08月30日

生命の限界に迫る!なぜ地球は生命に満ちあふれた惑星になり得たのか?「しんかい6500」見学会レポート(後編)

アースコミュニケーター


前回に引き続き、「しんかい6500」見学会レポートです。
生命の限界に迫る!なぜ地球は生命に満ちあふれた惑星になり得たのか?「しんかい6500」見学会レポート(前編)

今度は海洋科学技術館。「しんかい6500」が獲ってきた深海生物を見てもらいました。
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フィギュアを前に「QUELLE 2013」で潜航した若手研究員が熱水噴出孔現場を解説

「QUELLE 2013」大航海の目的 ― 地球の生命起源は深海の熱水噴出孔ではないだろうか?

海洋科学技術館の奥の部屋には、一時帰国したばかりの「しんかい6500」が深海底から採取した獲れたて研究サンプルが展示されていました。会場でみた深海の模型は異様な世界でした。

深海は太陽光が全く届かない真っ暗な世界。地下のマグマで熱せられて噴出している熱水(温度400℃の高温状態)の近くに沢山の生物がいるそうです。

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自ら持ち帰ったサンプル(チムニー)を持って説明(Tシャツのイラストがカワイイ)

科学でひも解く。深海で生物が生きるすべとは?

素朴な疑問ですが、深海生物はどうやって生きているのでしょう?
太陽光が届かない深海世界では光合成ができません。一部の深海生物は海底下からわき出る硫化水素やメタンなどをエネルギーとして生きていけるそうです。上位種(体の大きい生物)はバクテリアなどの細菌を栄養源として摂取して食物連鎖が成立します。

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飼育中のユノハナガニ(名前の由来は「湯の花」)

熱水噴出孔周辺にいる個性的な深海生物たち

獲れたての深海生物が並べられていました。それぞれの名前の由来や体の特徴がユニークです。

● スケーリーフット (白スケ、黒スケ)
黒スケ(通称)は、体が硫化鉄という金属でおおわれて黒色です。一方、白スケは硫化鉄でおおわれていません。どうやって硫化鉄を帯びるのかなど、詳しい生態はまだ解明されていません。

● ゴエモンコシオリエビ 
日本を代表する深海熱水域に生息する甲殻類です。名前の由来は釜ゆでの刑にあった石川五右衛門です。

● リミカリス
エビの一種。目は退化して、背中の赤外線センサーで熱源を関しているのではないかと考えられているそうです。(このエビの機能は、まだ研究中だということでした。)

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写真右:黒スケは硫化鉄の甲羅を持つ深海生物。甲羅破片は金属的音がする

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熱水噴出坑周辺で生きている高温で生きる深海生物たち

元パイロットによるお話し 有人深海調査の歴史とこれから

川間技術副主幹は元潜航士で、「しんかい6500」を操るための技術やノウハウだけでなく、深海調査についての豊富な知見をお持ちでした。現場スタッフが研究の意義を社会に広める活動は、探査プロジェクトを続けていくために必要です。

「しんかい6500」は潜航して24年で、もう何百回も潜っています。現在、有人探査機としては世界で二番目に深く潜れるそうです。一番は中国の「蛇竜号」(ジャオロン号)で7000mへ行けるそうです。さらに深いところは無人探査機が調査します。

そして、次世代調査船の計画と期待を語られました。海外で開発されたいろいろな深海探査機を見せてもらいました。個性的な形と最新機能が面白 かっ たです。私も未来の潜水調査船をデザインしてみたいなと思いました。深海探査はまだ続きます。 「QUELLE 2013」の成果に乞うご期待ください!

この取材で、子どもの頃に読んだジュール・ヴェルヌの冒険SF小説『海底二万里』を思い出しました。リメイクやオマージュとして、アニメやマンガが何回も制作されています。人によって度合いに違いがあるけれど、未踏の世界に踏み出すことは、私たち共通の夢なんですね。

「QUELLE 2013」は航海の途中です。これからまた深海へ行って調査を続けられます。その成果がどんなものか明らかになるのが楽しみです。

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チムニーを持たせてもらって感激の記念写真

参考文献(リンク集)

有人潜水調査船しんかい6500公式サイト
生命の限界に迫る「しんかい6500」世界一周航海 QUELLE2013 特集サイト
有人潜水調査船「しんかい6500」特別見学会特設サイト 見学のしおり(PDFファイル)

(アースコミュニケーター 望月銀子)

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