2013年09月27日

リニアが通る大地〜岐阜・中津川にて

地球日記

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自分が小学校の頃から耳にしてきた「夢の超伝導リニア」。先日その停車駅が発表されました。周囲を山に囲まれ、木曽川がキラキラと流れるここ、中津川はその一つだそうです。

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「景色はずいぶん変わるだろうね」そうつぶやくのは、この山に囲まれた土地で鉱泉宿を営む松井さん。

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松井さんが営む宿の裏山には、国定史跡となっている「苗木城」があります。最初の写真の景色は木曽川から170m高いその城跡からの風景です。

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苗木城が築かれたのは戦国時代。岩山の上の狭いエリアのなかで、天然の巨岩を利用して石垣などが組まれている全国でも珍しいタイプのお城なのだとか。

江戸時代、城の主だった遠山氏は、参勤交代の際には、木曽川をくだって、この城山を登ったそうです。松井さんのお話をたよりに、美濃や尾張、甲斐に囲まれた土地を見下ろしながら武将たちへしばし想いを馳せました。

さて、かつて計画された頃とはずいぶん社会や世界、地球の状況は変わってきていて、リニアの開通には意見が分かれているようです。

私自身も、たまたまこの風景に出会って以降、やはり気になっています。

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自然の力を上手に利用したお城のふもと、かつての城下町では、ちょうどお米の収穫が行われたばかり。前夜の雨に、田んぼの風景がキラキラと光っていました。

偶然の旅人の私たちにはとても豊かな暮らしに写ったけれど、きっとそこで暮らす人にはそれぞれが描くイメージもあるのかもしれません。

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ちなみに、中津川を訪れたのは、佐藤タイジさんがプロデュースした100%自然エネルギーによるロックフェス「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2013」に参戦するため。

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太陽光パネルがずらり並んだ会場では、気持ちのよい音が鳴り響き、いろんな世代の人がそれぞれに楽しんでいましたよ♪

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その日の午後、宿の裏の棚田の稲刈りをするという松井さんと、「来年は稲刈りお手伝いにきますね」と約束し、中津川を後にしました。
(鳥谷美幸)


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2013年09月05日

適応策へ

地球日記理事からのメッセージ

大丈夫か、地球。と思っている人は多いのではないでしょうか。
今年の夏、日本はひどい豪雨や竜巻といった極端な気象現象に悩まされ続けています。
ツイッターのまとめや記事を振り返ってみただけでも、こんな感じ↓

7月23日 ゲリラ豪雨で東京がやばい
8月9日 北海道・東北で猛烈な雨
8月24日 島根豪雨
8月25日 梅田駅冠水
9月2日 埼玉で竜巻
9月4日 名古屋駅冠水
9月4日 栃木で竜巻

7年前の2006年に『気候変動+2℃』という本を編集しました。
タイトルが「地球温暖化」ではなく「気候変動」というところがミソです。

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この本を出した後、アル・ゴアの「不都合な真実」という映画のヒットをきっかけに、地球温暖化という言葉はメディアでも幾度となく取り上げられることになりました。
でも、平均気温の測定から地球が温暖化しているのは確実ですが、原因については諸説あり、メディアがその議論(喧嘩)ばかりを強調したために、世の中に混乱が生じてしまいました。

環境問題について学校で教わってきた世代である、今の学生たちと話すと「よくわかんないから、もう、その話はいいや」という気分だそうで、これは悪影響としか言いようがありません。

でも、どうなんでしょう。「その話はいいや」と横に置いておけるような状況ではなくなってきているように思います。

2006年に今年のような気象が続いていたとしたら、もっと違う本を編集していただろうと思います。つまり、あの時、僕たちはもっと穏やかな気象のなかで、もっとノーテンキに生きていました。

そのことを、ちゃんと思い出したい。

僕たちは茹でガエル状態で、徐々に変化していることには、なかなか気づかないし、危機感を感じません。もし2006年の夏から、2013年にタイムスリップしたら、今もっとオロオロしているんじゃないでしょうか。実際に、年ごとに激しくなっていて、予測困難になってきており、来年はどうなる? という問いに明確に答えられる専門家もいません。

温暖化に対して、その原因物質と言われる温暖化効果ガス(二酸化炭素やメタンガスなど)を減らそうという政策を「緩和策」と言います。
気候変動条約の国際会議では、どこまで減らすかを、先進国と途上国が、それぞれの国益を背負いながら交渉するという構図です。国が行うチームマイナス6%とか、チャレンジ25とか、そういう数字が入った啓発キャンペーンも、基本的には「緩和策」に根ざした施策です。

一方、どんな原因であれ、現実の事象として「気候変動」、もしくは「極端な気象現象」が頻発してきている事実の方を直視し、それにどうやって対応するかを考える「適応策」の大切さが議論されるようになってきています。来年3月に横浜で行われるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の会議の議題も「適応策」です。

具体的には気候変動によって引き起こされる水害や渇水などの災害に対して柔軟な(レジリエントな)社会を構築しようという考え方で、遊水池のように、洪水になったら、いったん溢れさせ、文字通り水を遊ばせるエリアをつくる治水対策などは、従来から行われてきた適応策の典型例です。
(適応策万歳と言っているわけではなく、ジオエンジニアリングという、地球を改造しちゃおうというようなオソロシイ適応策もあるので要注意)

『気候変動+2℃』の中で、この適応策に触れている箇所があるので、引用します。横浜国大の伊藤公紀教授のコラムです。
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社会や生態系の中で気候変動に弱いところを見つけて強化する「脆弱性アプローチ」や、柔軟性を持たせ、回復力を増やしてやる「レジリエンス(回復力)アプローチ」のような、適応策をとるのが良いでしょう。これらのアプローチでは無駄なエネルギー消費を減らすといった、二酸化炭素削減と共通の対策に加え、もっときめの細かい、地域や文化に合った政策をとることになります。基本的には「温暖化」であろうと「寒冷化」であろうと「どう転んでも良い」ようにします。社会のなかの強すぎるつながりを弱め、新しいつながりをつくることが効果的です。
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Think the Earth Paper Vol.11で、インタビューさせていただいた岸由二さん(慶應義塾大学名誉教授)が唱える「流域思考」は、この適応策の先進的思想だと思います。対処療法的になりがちな「適応策」を、根本的な社会システムの変革の話へと発想を広げてくれます。

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問題の核心が都市であることは間違いがない。地球温暖化によって、やがて大きな海面上昇が現実となり、豪雨傾向が強まれば、海辺の都市群は巨大水災害に見舞われてゆく。だからこそ先進国の先端都市の真ん中から変えていくしかない。その時、「流域で考える」ことが現実的なベストの地図戦略になり得ると思っているんです。
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じっくり学びたいけど、その時間はないかもしれません、
次々と迫り来る事態のなかで、家族を守ることに必死になるような状況がやってきてしまう前に、いま何ができるんだろう、ということを考えなくてはならなくなりつつあります。

環境問題という言葉のイメージは、自然を守ることよりも、自然の脅威から自分たちの生命を守る、暮らしを守る、そのために自然と人間が共生する社会をつくる、というイメージに変わっていくでしょう。共生するという言葉には「美しく豊かな自然とともに生きる」ことと「激しく荒々しい自然の脅威とともに生きる」という二つの側面があるのです。

こうなってくると、国で言えば環境省だけでは手に負えない話で、国土交通省、経済産業省、農林水産省、などなど、さまざまな領域が手を取り合って取り組まなければならないテーマです(逆に言えば、縦割りの行政が取り組むのはとっても苦手な領域かも)。
ビジョンが決まれば、新しい街作りや、家造り、暮らし作りがテーマなので、産業界にとっては大きなビジネスチャンスとも言えます。経済活動と環境保全が無理なく両立する道が開ける領域です。

さて、どうしたものか、、、
強い雨の中を、ずぶ濡れになりながら仕事場に急ぎつつ、今朝はこんなことを考えていました。
(上田壮一)

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