2014年11月19日

地球合宿2014〜都市について考える〜

お知らせ

最近「都市」をテーマにしたイベントやカンファレンスがたくさん行われています。それは、2020年に東京オリンピックの開催が決まったことが大きいと思います。そんな中で、Think the Earthでも「地球合宿2014」と題し、都市の変化をテーマにしたイベントを未来館と共催で開催しています。(9・10・11月の3回連続イベントです!)

今や、世界中の人口の半分が都市に住んでいて、21世紀末にはおよそ7割の人口が都市に住むと言われています。東京の都市人口ランキングは今も、そして10年後も世界で1位。こんな狭い土地に世界で一番人がたくさんいる、って改めて考えるとちょっとビックリしませんか?(詳しくは最新のアースリウムでチェック)

日々忙しく過ごしていると、大きな視点で物事を見ることを忘れてしまいがちです。この「地球合宿2014」では、地球視点で都市を見る、ということにチャレンジしました。
10月に行われた「地球合宿2014〜TOKYO・オン・データ」のテーマは生物多様性と気候変動。まずは参加者みんなで自己紹介タイムです!今日参加した理由、知りたいことをチーム内でお話してもらいます。

1地球合宿.jpg
色画用紙を使って、自己紹介をしていただきました

2地球合宿.jpg
参加理由はみんなそれぞれ。こちらの方は「東京の未来について色々な意見が聞きたい」

この日お話をして頂いたのは、国立環境研究所 の肱岡靖明さんと五箇公一さんのお二人です。肱岡さんには、気候変動と都市の関わり方についてお話いただきました。

地球温暖化は、2100年とか遠い将来に起こると思われがちだが、どうやらそういう話でもないらしい。東京の気温は過去132年の間で3.3℃も上がりました。気温は長いスパンで上昇しています。東京の気温上昇が高い原因は温暖化と共にヒートアイランドの影響もあります。東京は緑地が少なく、どこもコンクリートで埋め尽くされているため、気温が下がりにくい、という特徴もあります。今後、東京の気温が上昇し、猛暑日がふえることは確実でしょう。

温暖化が進むことで、将来どういうリスクが起きるのでしょうか?
水不足、海面上昇による生態系の変化、そして、降水量の変化に伴った水害などが考えられます。例えば、今、下水道から水があふれる基準はおよそ50ミリを超える雨が降ると水があふれるようになっています。でも、最近のゲリラ豪雨に対応するのなら、もっと大きな下水管を作って、75ミリまで対応できるようにした方がいいでしょう。また、海面上昇に伴い、今ある防波堤より高いものに変えるべき場所も出てきます。でも、一度作った社会のインフラを変えるのは、お金も時間もすごくかかってしまうのです。

4地球合宿.jpg
みなさん、真剣に肱岡さんの話をきいています

気候が変化することで、社会が対応できなくなる。そこで「今の状況に合わせて個人や社会が変わろう」という適応策の考え方が出てきます。今すでに影響が出ていて、それに対して実施している活動は適用策と言えるのです。熱中症対策もそうです。今はスマフォで色んな情報を見ることが出来ます。降雨情報システム「東京アメッシュ」で、天気を予測して行動するのも、個人ができる「適応策」のひとつと言えます。

肱岡さんは都市を考える上で「自分たちがどういう社会を作りたいかを考えるべき」という視点を教えてくれました。世界のトップレベルの人材が集まる都市がいいのか、文化価値が高い都市がいいのか、教育、安全重視の暮らしやすい都市にしたいのか。それによって、自分たちの行動が変わってくる。本当にその通りだなと思いました。

3地球合宿.jpg
自分の求める都市はどんな姿ですか?と参加者に問いかける肱岡さん


続いて登場頂いた五箇さんには、生物多様性と人間の関わりについてお話いただきました。都市に住んでいると、生物多様性とは切り離された生活のように感じてしまいますが、そんなことはありません。都市ではたくさんのものが消費されています。

例えば、私の大好きなタコ。日本人が消費しているタコは、世界の約8割といわれていて、モロッコ/モーリタニアのたこを年間2万輸入したことで、絶滅しかかっているそうです。(ちなみに日本で一番タコを消費している都市は大阪だとか。笑)

タコに続いて今度はうなぎ。世界のウナギの7割は日本人の胃袋に収まっていると言われています。1990年代からほとんどとれなくなり、多くのうなぎはヨーロッパから輸入していますが、ニホンウナギはすでに絶滅の瀬戸際に追い込まれている状態です。

こうした都市での大量消費は、乱獲の原因につながり、生物多様性をなくして原因のひとつです。人間の活動によって動物たちがどんどんと絶滅している。未だかつてないほどのハイスピードで。人間も生き物だから、生態系の多様性があってこそ、私たちも生きていくことができるのです。当たり前のことなのに、都市に住む私たちは生き物の連鎖を感じることができていないように思いました。

5地球合宿.jpg遺伝子の多様性、生態系の多様性、景観の多様性・・・色んな多様性と人間の関わりについてお話してくださいました


また、生物多様性が崩れることによって、感染症が増えることも考えられます。例えば、
「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」という感染症は、死亡率が10%を超えるちょっと怖い病気。その媒介するのはダニの一種「マダニ」。都会などにも普通に出没するという。なぜ都会に出てきたのでしょうか?もとは野生動物の血を吸っていたけど、野生生物が都会にくるようになったかことが原因だそうです。

6地球合宿.jpg実はダニが大好きだと言う五箇さん。ダニのすばらしさも語っていただきました!笑

今、人間と野生生物の境界線が崩れてかけている。それは、人間にとっても、動物にとっても不都合が多そうです。そこで、五箇さんからは「野生生物と人間の住処をどうわけるか」というゾーニングの提案がありました。生態系の円の中に、私たちの住む都市、があります。都市は、人間が生き残るための、手段のひとつであり、人間が安全にくらせる大切な場所です。ただ、生物圏との関わりをどうするか、ということをちゃんと考えることがとても大事です。私たちは、生物多様性に負荷をかけない都市、というものを考える必要があると思いました。

お二人のお話を聞いた後は、参加者の方に「気候変動に立ち向かうために/生物多様性との共生・共存を目指した大都市 東京の理想的な未来像のために、行政 個人ができることは何か?」をチーム別で考えてもらいました。

7地球合宿.jpg行政のデータがつかえるんじゃない?人口減少をポジティブに考えてみたら?色んな意見が聞こえてきます


8地球合宿.jpg難しいテーマだけど、みなさんとても楽しそう!

発表のアイデアとしては、例えば、下水のあふれやすい場所が分かるハザードマップを作る、第2のふるさとを地方持つべき、自転車専用道路の設置、働く場所と生活する場所をうまく分けた「暮らしのゾーニング」など、たくさんの意見が出て、自分の生活と都市との関係が少しずつ見えたように思いました。

個人的には、9月と10月に開催した「地球合宿」を通して、都市は生き物ではないけれど、そこに集まる人、インフラ、構造物などの様々な要素によって都市の空気感は変わります。都市の変化の早さや動きはまるで生き物みたい。そんな不思議な感覚を持つようになりました。「都市」という生き物がどう生きていくのか。それを作っていくのは他でもない、都市に住む私たちです。

11月の「地球合宿2014」は今週の22日、23日に開催します。
地球合宿2014の締めくくりとなるこの日は、「東京/TOKYO」の「魅力」と「リスク」について、を参加者みんなで議論しながら、2日間にわたってアイディアを出し合います。たくさんの方に参加頂けることを楽しみにしています!ぜひ、お気軽にご参加下さい。


chikyuugasshuku.jpg

申込みはこちら↓

地球合宿2014「TOKYO・100人ディスカッション」

(笹尾 実和子)

この記事へのリンク

1