2015年03月24日

明日につながるソーシャルデザイン [セミナー&サロン]

セミナー&サロン

今年は2週間おきに開催しているThink the Earthの「セミナー&サロン」。

3月13日に開催した第25回の「セミナー&サロン」は、書籍『クリエイティブで世界を変える』の著者でもあり、ソーシャルプロジェクトを数々と手がける福島治さんをゲストにお迎えしました。

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元々は商業デザインを手がけてきた福島さんですが、「DESIGN FOR THE OTHER 90%」という言葉に出会って、ハッとします。
デザインは、本来人が生きるための知恵なのに、自分のデザインは10%の先進国の人たちが喜ぶことしか出来ていない。残り90%の人たちのためにデザインができることがあるんじゃないか。福島さんがすごいのは、そう考えただけで終わらせず「自分にできることから始めよう!」と自らプロジェクトを作ってきたことです。そして一番最初に始めた行動が「アートビリティ」を広める活動でした。

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アートビリティの作品を紹介する福島さん

アートビリティ」は、ハンディキャップを持った方たちが手がけるアート作品をWEB上で公開し、有料で貸し出ししています。売れた作品の60%の収入が作家さんへ支払われ、社会参加の機会を提供しています。福島さんは大学に出張授業をすることで、この活動を広めました。

福島さんがソーシャルデザインに目を向けるようになったきっかけは、6年前に奥さんを亡くしたことだと教えてくれました。大切な人を失った福島さんはとても落ち込み、立ち直る過程で奥さんや、自分を取り巻く人たちに対して「感謝」の気持ちが湧き上がってきたと言います。そうして、「自分のデザインの職能を活かして、誰かの笑顔につながる仕事がしたい」。そう思った時に3・11 東北東日本大震災が起こってしまいました。

そこで生まれたのが祈りのツリープロジェクト
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福島さんは、こどもたちにとって1年で1番の楽しみであるクリスマスに、被災地のこどもたちへ笑顔をプレゼントする企画を思いつきました。そこで、企画書を持って奔走した結果、日本で代表するクリエイターやデザイナー、そしてユニセフをも巻き込み、巨大プロジェクトへと成長させます。

紙製のオーナメントをクリエイターが3つデザインし、一つは展示用、二つ目はチャリティ、三つ目は被災地に届けるという仕組みを作りました。1年目は2000人のクリエイターが参加し、1600個のオーナメントと100本以上のツリーが被災地に届けられました。2年目はこどもたちがオーナメント作りに「参加」する仕組みにすることで、被災地で本当に喜ばれる支援のひとつになりました。祈りのツリープロジェクトは今も続います。

そして、福島さんのプロジェクトは「進化」していきます。
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祈りのツリープロジェクトと同じく2011年から始めた優しいハンカチ展。1年目は、東北のこどもたちを元気づけるためのハンカチをデザイナーが作って届けました。2年目は被災地の小学生に書いてもらった絵をデザイナーが手を加え、ハンカチにしました。そして、できたハンカチの収益の使い道を被災地の小学生に考えてもらい、実際に、被災地の小学校の鼓笛隊を復活させる支援金(楽器の購入支援)として使われました。そして3年目は今の被災地からの言葉をハンカチにして展示する、という方法で展示を開催しました。

プロジェクトを継続することはとても大切です。福島さんはプロジェクトを継続するだけではなく、毎年少しずつバージョンアップしたり、その年の被災地の状況に合わせた内容に調整して、実施しているところがすごいと思いました。

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福島さんが手がけるどのプロジェクトも「参加する」ということを、大事に考えられていました

その他にも、「GIFT HOPE」や「美味しい東北パッケージデザイン展」など、数々のプロジェクトを紹介し、これからもたくさんのソーシャルプロジェクトを作っていきたいと語る福島さん。福島さんカッコイイ!と感動していたら、最後にびっくりなカミングアウトがありました。

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6年前には1500万円あった貯金が今では0円になってしまった。。。

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これはヤバい!このままでは、若い人にソーシャルプロジェクトを繋いでいけない!

ソーシャルプロジェクトできちんとお金を生み出せる仕組みを作ること。最後に大きな課題が残されました。この大きな課題に対して、参加者からは共感&応援メッセージが殺到!セミナー&サロン史上、一番熱いサポーターたちが集まったのではないでしょうか?笑 「福島さんを助けたい!」というたくさんの声を聞いて、福島さんは、本当に愛されている人なんだなぁと感じました。

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最後はみんなで円になり、笑顔で終了〜!

今週末の金曜日がいよいよ今年度最後のセミナー&サロンになります。みなさんぜひ、遊びに来て下さいね。
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★申込み受付中★
次回、第26回セミナー&サロンは3月27日(金)
「サステナブルなファッションとは」 ゲストは生駒芳子さん
詳細はこちら
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(笹尾 実和子)

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2015年03月20日

ファッションができるまで 〜 繊維学部から学ぶ1日

地球日記

通過する軽井沢の駅では雪が降っていた。観光客だろうか。大きなキャリーケースが、雪道をぞろぞろと続いていく。

上田駅も雪かも...という心配を他所に、トンネルをいくつかくぐると、晴れ間が広がり積雪もない。地形による恩恵をこの上田市では活用しているのだろうと駅について思った。

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向かう先は信州大学繊維学部。
国立大学の中で唯一の繊維学部であり、産官学連携として国内の企業とともに繊維の研究をしている。最先端のファイバー繊維だけでなく、自ら農場を持ち、綿や蚕、羊を育て、あらゆる繊維を自分たちの手でつくり学んでいる。農学だけでなく工学も学べる貴重な大学機関であるのも興味深かった。
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今回は、クライアントの研修として同行させて頂いた。繊維の素材や成り立ちを知る機会が少ないため、非常に僕らとしても勉強になる一日だった。環境という視点で、ファッションにできることを考える時間だ。

まずは、蚕と綿について。普段皆さんが着ている洋服はどんな素材か知っているだろうか。また、それはどうやって生産されているか知っているだろうか。
糸ができるまでの養蚕のプロセスや、綿がどうやって繊維となるかを、講義と実習で知ることとなった。


◯養蚕が白(左)。天然が緑(右)。
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価格でいうと2円と70円の違い。しかし、キレイな繊維になることを考えるとゴミが少ない養蚕の白い蚕のほうが、生産性が高く人気という事実もわかった。


◯綿繰り機
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木製のハンドルをグルグルと回すと綿がローラーの間に入り、綿毛は奥に、種は手前に分かれる仕組み。ハンドルは予想以上に重たく力がはいった。ギコギコと音もかなり鳴る。一人用の機械だが、今回は二人一組で作業を行った。

午後は、近代化の技術を知る時間。午前中に、糸ができるまでにあらゆる生き物が関わっていることや手作業で行うことを体験したこともあり、その効率性の進化や機械の発展のありがたさを感じた。


◯ガラ紡機
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ガラガラと大きな音がなるからガラ紡機。下から繊維を引き上げると勝手に繊維が絡まり糸としてよりあがっていく。今回は、絹の糸。触らせてもらうと、ふんわりとして触っているのもわからないほどのきめ細やかさだった。


◯100年前の機械。
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日本でも数少ない機械達。いまでは見学者や学生のための実習用となっているが、機械が稼働した時の迫力には現役のマシンにも劣らない。また、機械の一つ一つの部品の動きは先人の知恵や技術が詰まったのかと思うと胸が熱くなる。日本の繊維業界を作ってきた要素だからだ。


◯最先端の研究と技術を知る。
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Fii棟(ファイバーイノベーション・インキュベーション施設)と呼ばれる企業が入居する施設がある。ここは、実用レベルの試作品や分析・評価までを大学の設備を活かして企業とともに開発をしている場所。

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見せていただいたのは、トヨタの織機(しょっき)。車のトヨタがなぜ?と思うだろうが、シートベルトやシートの研究をしているからだ。その作業スピードはとてもはやく参加者とともに驚くばかり。

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もうひとつは、3Dプリンタのように、接合部なく衣類ができあがる島精機製作所の吊り編み機。パソコンでプログラムを設定し、レイヤーごとに指示を与えることでその通りのものができあがる。これにも一同釘付けだった。

◯最後に、総合研究所を見学
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繊維学部が6年以上パートナーとして研究開発しているスーツメーカーのアオキの展示。汗をかきにくい、形状を保つなど、様々な研究の歴史を見ることができた。

また、2Fの疾走するファイバー展には、実際に触って学べる繊維がたくさんあり、楽しみながら知識を得られる。見た目が同じようでも性質が異なったりと、五感と繊維を研究する感性工学を体験できるのは面白かった。
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毎日着る洋服。何を基準にあなたは洋服を選ぶだろうか。色・形・デザイン・サイズ・機能性と色々とあるが、これからのファッションには"サステナブル"という視点が必要となっている。「オシャレ」なものに人は飛びつくが、「オシャレ+どのように作られているか」がこれからのトレンドになりそうな気がした。


(推進スタッフ 鈴木高祥)

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2015年03月09日

いま社会に必要なのは「+クリエイティブ」 [セミナー&サロン]

セミナー&サロン

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每年ご好評いただいているThink the Earthの「セミナー&サロン」。第24回は、NPO法人プラス・アーツ理事長 兼 デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)副センター長の永田宏和さんをゲストにお迎えしました。

プラス・アーツさんは2006年に神戸市で設立され、まちづくり、防災、環境、教育などをテーマに企画・運営を行っているNPOです。

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プロジェクトの一つ「地震ITUMO講座」はイラストを多用したスライドやクイズ、実演などを取り入れた、分かりやすく実用的な防災セミナー。企業や行政の研修プログラムとしても大変人気が髙いです。

また楽しみながら防災の知恵や技を学ぶことができる「イザ!カエルキャラバン!」は、従来の防災訓練は若い世代やファミリー層が集まらないという課題がある中、おもちゃの物々交換プログラム「かえっこバザール」の高い集客性に着目して企画したプログラムです。

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プラス・アーツの活動のフィロソフィーは「地域豊穣化」。
一般的に言われている地域活性化は、ともすると"活性化=賑わうこと"と捉えられがちですが、そうではなくて地域の人口が減り高齢化しても、そこにいる人たちがその場所で豊かに暮らせる社会を目指そう、と「豊穣化」という言葉を使っているそうです。

そして地域豊穣化には、「風の人」「水の人」「土の人」の存在が不可欠だと語ります。それぞれの人には以下のような役割があるそうです。

土の人:その土地でしっかり根を張り、活動しつづける存在。
水の人:その土地に寄り添う中間支援的存在。
風の人:その土地に種を運び、刺激を与える存在。

永田さんは自身を風の人と称します。なるほど。
自分はどの人に当たるのだろう?と考えながら聞き入ってしまいました。

その他にも「不完全プランニングのすすめ」「+クリエイティブという手法」などなど、魅力をつくるためのヒントをたくさんいただきました。

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永田さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

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★申込み受付中★
次回、第25回セミナー&サロンは3月13日(金)
ゲストはさまざまなソーシャルプロジェクトを手がけている東京工芸大学教授の福島治さんです。
http://www.thinktheearth.net/jp/info/2015/03/-24-1.html

下記URLからお申込みいただけますので、ぜひぜひご参加ください(^^)
申込フォーム:https://business.form-mailer.jp/fms/f429b36b40552

(関根茉帆)

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