2015年03月20日

ファッションができるまで 〜 繊維学部から学ぶ1日

地球日記

通過する軽井沢の駅では雪が降っていた。観光客だろうか。大きなキャリーケースが、雪道をぞろぞろと続いていく。

上田駅も雪かも...という心配を他所に、トンネルをいくつかくぐると、晴れ間が広がり積雪もない。地形による恩恵をこの上田市では活用しているのだろうと駅について思った。

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向かう先は信州大学繊維学部。
国立大学の中で唯一の繊維学部であり、産官学連携として国内の企業とともに繊維の研究をしている。最先端のファイバー繊維だけでなく、自ら農場を持ち、綿や蚕、羊を育て、あらゆる繊維を自分たちの手でつくり学んでいる。農学だけでなく工学も学べる貴重な大学機関であるのも興味深かった。
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今回は、クライアントの研修として同行させて頂いた。繊維の素材や成り立ちを知る機会が少ないため、非常に僕らとしても勉強になる一日だった。環境という視点で、ファッションにできることを考える時間だ。

まずは、蚕と綿について。普段皆さんが着ている洋服はどんな素材か知っているだろうか。また、それはどうやって生産されているか知っているだろうか。
糸ができるまでの養蚕のプロセスや、綿がどうやって繊維となるかを、講義と実習で知ることとなった。


◯養蚕が白(左)。天然が緑(右)。
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価格でいうと2円と70円の違い。しかし、キレイな繊維になることを考えるとゴミが少ない養蚕の白い蚕のほうが、生産性が高く人気という事実もわかった。


◯綿繰り機
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木製のハンドルをグルグルと回すと綿がローラーの間に入り、綿毛は奥に、種は手前に分かれる仕組み。ハンドルは予想以上に重たく力がはいった。ギコギコと音もかなり鳴る。一人用の機械だが、今回は二人一組で作業を行った。

午後は、近代化の技術を知る時間。午前中に、糸ができるまでにあらゆる生き物が関わっていることや手作業で行うことを体験したこともあり、その効率性の進化や機械の発展のありがたさを感じた。


◯ガラ紡機
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ガラガラと大きな音がなるからガラ紡機。下から繊維を引き上げると勝手に繊維が絡まり糸としてよりあがっていく。今回は、絹の糸。触らせてもらうと、ふんわりとして触っているのもわからないほどのきめ細やかさだった。


◯100年前の機械。
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日本でも数少ない機械達。いまでは見学者や学生のための実習用となっているが、機械が稼働した時の迫力には現役のマシンにも劣らない。また、機械の一つ一つの部品の動きは先人の知恵や技術が詰まったのかと思うと胸が熱くなる。日本の繊維業界を作ってきた要素だからだ。


◯最先端の研究と技術を知る。
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Fii棟(ファイバーイノベーション・インキュベーション施設)と呼ばれる企業が入居する施設がある。ここは、実用レベルの試作品や分析・評価までを大学の設備を活かして企業とともに開発をしている場所。

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見せていただいたのは、トヨタの織機(しょっき)。車のトヨタがなぜ?と思うだろうが、シートベルトやシートの研究をしているからだ。その作業スピードはとてもはやく参加者とともに驚くばかり。

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もうひとつは、3Dプリンタのように、接合部なく衣類ができあがる島精機製作所の吊り編み機。パソコンでプログラムを設定し、レイヤーごとに指示を与えることでその通りのものができあがる。これにも一同釘付けだった。

◯最後に、総合研究所を見学
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繊維学部が6年以上パートナーとして研究開発しているスーツメーカーのアオキの展示。汗をかきにくい、形状を保つなど、様々な研究の歴史を見ることができた。

また、2Fの疾走するファイバー展には、実際に触って学べる繊維がたくさんあり、楽しみながら知識を得られる。見た目が同じようでも性質が異なったりと、五感と繊維を研究する感性工学を体験できるのは面白かった。
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毎日着る洋服。何を基準にあなたは洋服を選ぶだろうか。色・形・デザイン・サイズ・機能性と色々とあるが、これからのファッションには"サステナブル"という視点が必要となっている。「オシャレ」なものに人は飛びつくが、「オシャレ+どのように作られているか」がこれからのトレンドになりそうな気がした。


(推進スタッフ 鈴木高祥)

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