2015年12月09日

創造力のスパイラルを起こす!世界最先端のクリエイティブ教育 [セミナー&サロン]

セミナー&サロン

今年も開催しました!セミナー&サロン。
2015年11月26日のゲストはNPO法人CANVAS代表の石戸奈々子さん。実行委員長をつとめる子ども創作活動の博覧会「ワークショップコレクション」は2日間で10万人を動員する人気ぶり。13年間、子供たちに開催したワークショップは3000回。子供たちの学びの現場を前に石戸さんが気付いた点と、これからの教育に必要なことをお話しして頂きました。

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今回は、Think the EarthのオフィスがあるCo-lab代官山のビル1FのSodaccoのスペースにて開催しました。

◯CANVASの活動を通じて

未来に、機械ではなく人間しかできないこととは何か。今の仕事の65%がなくなっているという未来予測調査が発表された時、こども達に必要な力は何かと改めて、考えさせられたそうだ。石戸さんは子供にとって、これから大事となる2つの力に注目をした。それは「クリエイティビティ」と「コミュニケーション力」。
多様な価値観と協働して新しい価値を生み出すことが新しいチカラとなると確信し、ワークショップを通じた学びの場を提案している。

◯世界の子供たちと比べて、日本の子供は学びを面白いと思っていない。

学校の授業が面白かった人もいるし、そうでない人もいる。なぜ子供たちが楽しいと思えないのか。それは教育環境の現状と社会・企業が求めているものが離れてしまっているのではないかと指摘する。学び方の形式が社会にでるときに役に立っていないのだ。

一つはテクノロジーによる社会の変化が大きくあげられる。
「150年前から学びのカタチは変わっていないんです。例えば、150年前の外科医を現代に連れて来ても、技術の進歩により何の役にもたちません。しかし、教師を連れてきたら、その時代の学びはできるんです。」教育は変わっていないのだ。

そして、MITラボに所属していた頃、2つの言葉に出会うことが日本でのCANVASの活動に繋がることになる。
ミッチェルレズニック教授の「デジタルテクノロジーが学びを変える。」という言葉と、アランケイの「未来を予測する、最善の方法は未来をつくることである」という言葉だ。石戸さんにとって、デジタルテクノロジーが、これからの学習環境のキーワードとなったのだ。石戸さんは「デジタルを使って新しい学びをつくる」という意思を持ち、子供たちの創造の場であり、様々な立場の大人が手を取り合って学ぶ場を作り始める。150年変わらなかった学びのカタチを変えようという想いを抱いて。

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笑顔がとっても素敵な石戸さん

◯当時は500人だったワークショップコレクション

今では2日間で10万人も動員するワークショップコレクション。今ではワークショップという言葉は当たり前のように使われているが、当時は「?」と思う人がほとんど。そんなにも子供たちが大勢集まるようになったのには、石戸さんの学びのイメージを変えようとする姿勢がきちんと表現できているからかもしれない。「ワークショップコレクションはCANVASの活動を可視化したもの」と石戸さんは話す。 "主体的で""協調的で""創造的な"学びにしようと、ワークショップをファッションショーのようにPOPにできないかと考えているのだ。だからこそ、子供たちが自分で作り出す要素をもった150個のプログラムに、子供たちが集まっているのだろう。

すべての子供たちに学びを届けたいという想いは、次のステップに向う。ワークショップコレクションに来てもらうだけでは限界が来るため、全国各地でワークショップが開催されるよう自立分散型の仕組みを作り始めた。何より、地域に根ざす活動をしないといけないという気付きがあったためだ。ワークショップのパッケージ化である。「キッズデー」とするクリエイティブ月間を開催し、多くの子供たちにワークショップを展開できるようにしている。

また、「プログラミングエデュケーション ギャザリング」として、コミュニティを生み出すことを目的とした活動も始めている。人気が出始めたプログラミングのワークショップを通じて「プログラミングを学ぶのではなく、プログラミングで何かを学ぶことの重要性」を学習機会として提供しようというわけである。

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参加者のみなさん、真剣にお話を聞いています

◯ワークショップによる変化

ワークショップに参加することでこどもたちに何が起きるのか。石戸さんは次のように答える。『「学校で手を挙げるようになりました。」「家で会話が増えました。」「自分で朝、起きるようになりました。」と保護者から変化の声をいただくことも多いです。プチ成功体験が次の活動に繋がっているのではないかと思います。』
いきなりの大きな変化は起こらないものの、子供たちの小さな成長が確実にワークショップを通じて起きているのだろう。小さな変化を起こすためのコツとして石戸さんはCANVASがワークショップで大事にしている10の視点は共有してくれた。また同時にワークショップを進行するファシリテーターについてもヒントを頂いた。子供たちが、自分はコレがしたい、足りなければ探せばいいんだという考え方をもってもらうために工夫を欠かしていない。

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参加者から質問を受ける石戸さん

◯学校教育にテクノロジーを

「活動してきて13年間。子供たちへのアプローチはせいぜい35万人。所詮こんなもんだと思った」。衝撃的な言葉を石戸さんは放った。それには理由がある。
すべての子供たちに学びの場を提供したいからだ。日本全国の中学生1000万人に届くためには、学校教育の中で活動しなきゃいけない。実際にワークショップを通じて、子供の教育現場に触れているからこそ、想いはより強くなる。
「学校の情報化を変える。記憶型から創造型に変える学びの場へコミットしたかった」。その想いは、協賛企業150社と行うデジタル教科書協議会を立ち上げとなり、2015年までに1人1台のデジタルデバイスを普及させることを目指した活動とつながる。日本は世界的にみても、デジタル教育が遅れている国ということもある。
一方でウルグアイは100ドルパソコンで2009年にデジタル教科書を1人1台普及することを達成し、所得格差が教育格差となる問題にいち早く取り組んでいる。
デジタル化によって、教育がもっと平等に提供される時代となる。それは国内だけでなく、世界と繋がるからこそ見えている視点かも知れない。

とはいえ、デジタル教育が遅れていると言われているが、ここ2年ですごく変わっているという。
・企業など民間の参入。
・自治体レベルでは導入は進んでいるエリアが増えた。
・実証実験の始まり。

インターネット・テクノロジーが子供たちにとって創造性や学習意欲を無限に拡げる手段となっていることを伝えるためにCANVASは活動をしている。デジカル化によって、注目するのは「学力が上がるというよりは、学習意欲があがっていることが重要じゃないか。」ということだ。
学ぶことが楽しくなる。石戸さんが願うことでもあるし、我々もそうなりたいと思う願望でもある。

120分、石戸さんの世界に引きこまれたように参加者は話を聞く充実した時間となった。実践者の事例は、多くの学びに溢れていた。

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懇親会の様子


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懇親会の様子

(推進スタッフ 鈴木高祥)


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