2016年02月26日

「東日本大震災に学べ! 東京防災の知恵を実践しよう」開催レポート

お知らせ

こんにちは、Think the Earthの鈴木です。おかげさまで、Think the Earthは2016年2月19日で15周年を迎えることができました。支援・応援頂く皆様のおかげです。ありがとうございます。

今回15周年特別企画イベントとして、Think the Earthの事務所の拠点となっている代官山から発信できることを考えました。そして、co-lab代官山の協力を得て、Think the Earth ✕ co-lab代官山 特別企画イベントとして2016年2月18日にSodaCCo STUDIOにて、「東日本大震災に学べ! 東京防災の知恵を実践しよう」を開催しました。

ゲストにお呼びしたのは、東京防災BOOKの共同編集長のNOSIGNERの太刀川さん。東京・都市部で有事が起きた時、どう行動すればいいのか、東京防災BOOKの意図を参加者と学ぶことと、実際に防災の知識として役立つワークショップ実施しました。

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「次に何かが起こった時に、躊躇なく動いてほしい」

NOSIGNER太刀川さんは、震災後に東北の現地に行ったり、デザインの力で復興に貢献できないかと考え行動してきました。そのひとつが、「OLIVE」というWikiを活用した、震災時に使えるアイデアのデータベース化。
機能としては、
①スグに使えるアイデアと、②流行っていないけど重要な知恵を残しておくため。
その重要性や使いやすさに共感した多くの人が震災後に投稿をしたといいます。
そしてわずか、3週間後のPVが100万にも登りました。

多くの人が活用することで、現場からは重宝されたはずですが、デザイナーとしては一つ葛藤があったそうです。それは、デザインの統一がとれないこと。アイデアとしてはすぐその場で使えるので、その点のクオリティは高いわけですが、イラストなどはデザイナーが書いているわけではないのでデザインフォーマットがバラバラになってしまうのです。

しかし、そこにOLIVEの運営経験で得た教訓があります。「不格好だけど、すぐにやりはじめる」ということ。緊急時には、何よりもスピードを持って用意することが求められます。

デザインでモノゴトを変革するデザイナーの仕事からすると、アイデアやデザインが美しくない場合も当時多数あったようです。ただ、アイデアが現場でどんどん活用されていくことで、不格好だけど「使える形」になっていくプロセスがとても大事だということを学びました。また、今後、防災の準備していることに越したことはないけど、有事が起きてしまったら準備だけでは役に立たないのでは?という問いの生まれでもありました。

「次に何かが起こった時に、躊躇なく動いてほしい」。

その思いで、自分にできる役割を探し行動できるように、防災のコミュニケーションのあり方をデザインから変える動きとして東京都の東京防災のプロジェクトに関わることになります。

東京防災BOOKで伝えたいことは、『防災やろう』。

「防災」と聞いてワクワクする人はどれだけいるでしょうか。実際、イメージとしてもあまりおもしろくないもの。太刀川さんは、「つまらないから防災をしないという意識はまずい」と考え、どうやったら色んな人に見てもらえるか、手にとってもらえるかを意識して、東京防災BOOKに工夫したデザインを盛り込みます。それが、早いコミュニケーションと遅いコミュニケーションを一緒にやるという考え方。

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たとえば、「パラパラ漫画をページの片隅に載せる」、「マンガ家が描いた防災マンガを載せる」、「文字で知識をしっかり載せる」など。東京都の全世帯に配布するものなので、様々なアプローチを試み、一冊にデザインしたそうです。個人が、ちょっとやりはじめる、という設計がデザインに反映されています。

お手元にある方は、再度見なおしてみてください。
またWebからもご覧になることができるので、東京に限らずご参考ください。
東京防災

想定力をつけることが大事。

後半は、東京防災BOOKに掲載してある知恵を実際にやってみるワークショップを実施しました。まずは3人一組になって、被災者体験談を知ること。手持ちのスマートフォンを使って、「被災体験」の記事を検索し5分間読み込みます。その後、1分間、今見たこと・感じたことを目を閉じて想像しました。そこからグループになった参加者同士で、何を想像したかを6分ほど共有しました。家なのか、オフィスなのか、通勤中なのか、実際に体験したことなのか、各個人の話が各グループで進みます。

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そのあとは、暖を取るワークショップとして、ダンボールや梱包材、新聞紙を活用して、どうやったら暖かいかを同じく3人一組になり作っていきました。

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実際に暖かいかを感じてもらうために、会場の窓をあけ室内の温度を下げて臨場感を出していきます。予想以上に盛り上がる参加者の皆さん。体に巻き付けたり、頭にかぶったり。

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身にまとうものを作るグループもあれば、小屋を作るグループもあり、お互いの創作意欲をかきたてあって、楽しんでワークショップは進みました。
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最後の交流会は、防災ワークショップらしく食事にも一工夫。お皿もペットボトルでつくりました。

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実際に防災食を食べ、どんな味か、どのくらい準備してくのがいいのか等、最後まで防災について話していました。

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防災は楽しくない・面白くないという懸念がウソのような会となり、盛況のうちに第1回目の代官山から東北復興・防災を考えるイベントは終えました。今回はイベントで知識・知恵を実際に体験し、参加者とともにサバイバル技術が向上しましたが、「もしも」の時の備えとして、日常の仕事や遊びの中で実際に動けるための体験はしておいて損はないと感じました。

太刀川さんがおっしゃるように、すぐに動く、いまやろうという意識がないと行動にはすぐに移せません。家族以外でも手を取り合える関係を築くために、まずは自分が何をすることができるか把握し「動ける姿勢」はもっておきたいですね。


(推進スタッフ 鈴木高祥)

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2016年02月16日

「シビックテックで地域の課題を解決!」 [セミナー&サロン]

セミナー&サロン

みなさんこんにちは。笹尾です。
ブログの更新、かなり久しぶりです。
時の流れは早いですね・・・。

すでにだいぶ時間が経ってしまったのですが、昨年の12月16日に開催した第28回セミナー&サロンの内容をレポートしたいと思います。今回はCode for Japan 代表理事の関治之さんをゲストに迎えました。

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場所はThink the EarthのオフィスがあるSodaCCoビル。最近夜はライトアップされていて、とてもキレイ。

【新しい寄り合いを作ろう!】

みなさんは、シビックテックという言葉を聞いたことがありますか? 私の理解は「地域の問題について、行政や企業、住民が一緒にテクノロジーを活用して解決策を考え、実施する」こと。関さんはこれをより分かりやすく伝えるために「ITによる新しい寄り合いをつくること」だと話してくれました。

寄り合いとは、室町時代から続く、地域コミュニティの元。昔は地域の人たちが集まって、お祭りをしたり、神輿を直したり、といったことを通じてコミュニティが自然と形成されてきました。それがだんだんと地域のつながりが切れて、行政の役割が増大し、今では「個」がバラバラになってしまっています。隣の部屋の人の顔も見たことない、という一人暮らしの人も多いのではないでしょうか。でも、それでいいのでしょうか? 自然災害は増えていますし、自分の住む地域のことに、隣人のことに、もっと関心を持つ必要があるように私は感じます。でも、地域とどう関わっていけばいいのでしょうか。関さんは改めて現代で通用する「新しい寄り合い」が必要だと言います。

地域コミュニティはどうやったら復活するんだろう? 関さんは、ずっと考えていたそうです。
まずは市民がつながること。自分ごととして考えて、地域の人とつながって、実際コミュニティを作ってみる必要がありました。

そうして、Code for Japanが立ち上がり、今では全国で50ほどのコミュニティが存在しています。各コニュニティの参加者は企業、自治体、市民、NPO、技術者など様々。多様な人が集まって、地域の課題の解決策を考え、自ら作り出しているのです。例えば、奈良県生駒市では、子育てアプリのアイデアワークショップを地域の子育てNPOが実施したり、富山県南砺市では、五箇山という世界遺産で公共交通のアイデアソン・ハッカソンが実施されました。

「これまでの寄り合いは、時間がある人だけが参加したり、偉い人が決めていて、合意形成に時間がかかるものでした。でも、これから必要な新しい寄り合いは、忙しい人も参加できる、合意形成はワークショップで明確に、そしてみんなが主体者であることが大事です」

そう言うと、関さんは行動を起こします! ゲスト自ら「座っている前後の人でグループを作って僕への質問を考えてください」という時間が開始15分で設けられました。

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近くの人と集まって、意見を共有する参加者のみなさん

【コミュニティデザインとの違い。ITだから出来ること】

どうやってコミュニティの質を保てるか?
どうやって合意形成しているのか?
資金は? サーバーは?
地域の企業と競合しないの?
誰が責任をもって活動をすすめるのか?

数分後、参加者からはたくさんの質問が出てきました。
その中のひとつに、「コミュニティデザインとの違いは?」という質問がありました。関さんは「基本は同じ。でも ITを使うことで、新しいコミュニケーションの提供が出来たり、解決策の再利用が出来たりと、すごく可能性の幅が広がる」そう言って、いくつか事例を教えてくれました。

ゴミを出す日が簡単にわかるアプリ 5374(ゴミナシ).jp
5374.jpを開くと、明日は可燃ごみ、明後日は資源ごみ、といったように、どのゴミをいつ出せばいいのかが簡単にわかる。さらに「可燃ごみ」「資源ごみ」に含まれるごみの種類も細かくわかるような機能も付いている。元々はCode for Kanazawaが開発。そのデータを共有し、今では各地に広がりを見せています。

保育園を地図から探す さっぽろ保育園マップ
こどもを「どこに」預ければいいんだろう? と迷うお父さん、お母さんのために、条件の合う保育園を地図上で探せるサービス。また、何時まで受け入れできるか、などの細かい検索もできる。

地域の困りごとをみんなで共有するオンラインプラットフォームSeeClickFix
これはアメリカの事例で、らくがきがある、木の枝が倒れてる、ライドが切れている、などちょっとした困り事をスマフォで写真をとって行政に送るサービス。ITを使うと普通の人がもっと行政に近くなる好事例。

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ひとつひとつの事例を丁寧に説明してくれる関さん

また、地域の課題は複雑なことが多いので、課題そのものを共有することもとても大事だと言います。課題を共有したり、離れた人同士をつなぐためにも、ITはとても有効です。

例えば、グーグルハングアウトを使って、各地のオーガナイザー同士がオンラインで毎月情報共有をしたり、毎日誰かがブログを書いて情報を共有する、などで各コミュニティの知恵が深まり、お互いのイベントの手伝いや連携が出来るようになります。

なんだか関さんの話を聞いていると、自分たちの町のことをよくするには、自分たちが動けば解決するんじゃないか、という気になってきます。

関さんはいい寄り合いを作るには、つなぐ人が重要だと教えてくれました。多様なプレイヤーを集めるためには、「自分のイベントに来てください」だけじゃなくて、他のイベントに出たり、行政に出向くことも大事。そして最終的に地域の問題を解決するのは、その地域の人たち自身なのです。

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関さんが活動をはじめたきっかけは3.11が大きいと言う。ITをもっとうまく使えるはずなのに!と強く思ったそうです。

まずは、人の気持ち。それにITの力を加えることで、公共サービスのあり方がもっといい方向へ変わっていく。いや、変えていく気持ちを自分も持ちたいと思いました。

最後に、関さんが当日使用したスライドも共有されていたので、ご紹介します。
ITによる新しい寄り合い作り - Code for Japan

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(笹尾 実和子)

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