2016年05月11日

第2回「地球のお医者さん」

地球日記

こんにちは。インターン生の山下真奈です。前回に引き続き、砂漠化問題についてのお話です。

自分なりのアプローチ方法を考え地球おにぎりの試作品を制作していた丁度その頃・・・、ゼミを担当していた宮崎先生と、Think the Earthの上田さんのご紹介で、実際に現地で活躍されリアルタイムで問題と向き合っている中国OISCAの冨樫智さんにお話を伺える機会をいただくことができました。

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それまではネットや本でしか知ることのできなかった「砂漠化問題」についての知識を、直接聞くことができた貴重な体験でした。その時のお話を紹介させていただきたいと思います。

冨樫さんは20代の頃から内モンゴルに入り砂漠化の対策に関わってきたといいます。当初を振り返り、自身の失敗談を語ってくださいました。

まずは現地の方の協力を得ることが大変だった、と言います。砂漠化をとめるための植林活動ですが、もっとも適した時期として春先に実作業を行うのが効率的なのだそうです。けれど春先というのは現地の方々にしてみれば、農作業や放牧などの生業で忙しい時期なのです。

また、現地の方にしてみると自然というものは永久資源である、と考えているところがあったらしく、植林作業の必要性に共感してくれず、なかなか自分たちの活動に積極的な思いを抱いてくれなかったのだそうです。

また、植林する植物の種類も間違えていた、と言います。当初、ポプラなどの生長が早く、しかも用材として注目されていた種類のものを使用していたそうなのですが、ポプラの特性上、生長するのにたくさんの水分を必要としていたため、降雨量の少ない内モンゴルでは枯れてしまい、対策には不向きだと分かったそうです。

このような、「どんな植物の種類」が向いているのかということも、長期スパンで実験をしなくてはならない環境問題の解決。1年に1、2回ほどしかできない長期にわたる実験をずっと繰り返してきたそうです。

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さて、現在中国の内モンゴルの方で研究を行われているそうなのですが、この地域では年々人口増加が進み、また砂漠化による耕地面積の減少も著しく、食糧問題が注目されています。このペースで行くと数年後には食べ物が足りなくて飢餓の問題に発展していくので、早急な対策が必要となっています。具体的な対策としては禁牧政策によって放牧の制限をし、耕地面積を少しでも広げたり・・・みなさんも耳にしたことがあると思いますが、一人っ子政策なども行われています。

冨樫さんのお話を聞き、中国では砂漠化という問題から二次被害の段階である食糧難を対策するレベルにまで、人々の生活に影響を及ぼしてきている状況なのだと知ることができました。

これからのこの問題に対する対策としては乾燥地域における耕地面積の増加がテーマとなってくるそうです。そうなると、やはり土壌改善の対策が必要となってきます。今まで行ってきたことの具体的な内容としては、バクテリアを砂に混ぜたり、固砂材を領したり・・・様々なことをされてきたそうです。

バクテリアというのは人間と同じで、ストレスを与えると多糖質という糖質を分泌します(私たちも疲れると、甘いものが食べたくなることがありますよね)。その糖質が土壌の栄養素となってくれるのだそうです。乾燥地帯に対して適した性質を持ち、土壌の改善に一役買ってくれています。

また固砂材というのは、砂の硬さを調節する薬のことです。植物が育つためには、「土壌硬度」というものが重要になってきます。その植物が育つのに適した土壌硬度よりも固い土壌だと、根が地面にもぐれず、うまく根付きません。畑を耕すという作業は、土壌硬度の調整をする作業なんですね。また柔らかすぎても風などの自然の力で砂や土が動いてしまい、植物がうまく根付かず、枯れてしまうのだそうです。それを防ぐため、大地を固めるのがこの薬の役割なんだそうです。

さて、次に冨樫さんが今具体的に行っている、環境対策のお話を聞かせていただきました。乾燥地帯での植林に適した種類の樹木を模索している、ということを前述しましたが、今あらたに注目されているのがソウソウ(梭梭)という植物。

このようにとても細かい種子です。

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ソウソウという植物は「砂漠のマングローブ」と呼ばれる自生植物らしく、一度根をはってしまえばなかなか枯れず、またあまり水分を必要としないので非常に生命力の強い植物として注目されているそうです。現地ではこのソウソウにホンオニク(漢方薬)という種子を寄生させて栽培する研修を行っています。

このホンオニクという漢方薬が非常にいいお金になるらしく、禁牧政策で生活基盤を失った方々がこれで生活をし始めたそうです。緑化しながら生活基盤を整えられ、一石二鳥ですね!

しかしこのソウソウという植物、とても速いスピードで発芽するものの、根付きが悪く、苗まで生長させることが非常に難しいそうです。今は苗まで育ったものを砂漠化した土壌に移し、根付かせるという方法を行っているそうなのですが、栽培が難しく時間的コストもかかるため、砂漠という厳しい環境には適しているものの実際に使用していくのにはまだまだ改善点が必要なようです。

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今回おはなしを聞かせていただく際に私が試作した地球おにぎりを見ていただいたところ、この割り箸をつかい、ソウソウを種子からうまく生長させられるようなアイテムができたら現地で役に立つのではないかとのご意見をいただくことができました。

けれど砂漠化に対して有効なデザインとしては、まだ形態が改善の余地があるのでは・・・というアドバイスもいただき、この地球おにぎりにはまだのびしろがあるな~と個人的に感じたのでした。

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それでは最後、第3回の記事では、初回の記事で書かせていただいた「地球と健康」というテーマに対して、私以外にも解決を模索していたゼミ仲間の作品を少し紹介させていただこうと思います。

彼らは「地球と健康」に対して、どのようなアプローチをしたのでしょうか・・・?お楽しみに!

(Think the Earthインターン 山下真奈)

第1回「地球のお医者さん」
http://www.thinktheearth.net/jp/staffBlog/2016/04/post-362.html

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