2016年09月12日

講演「数百年先を見据えたものづくり --世界に発信する日本式」

地球日記

8月30日(日)、いつもお世話になっているデザイン会社「AXIS」で、講演がありました。

講演のゲストは、AXISで発行しているデザイン雑誌『AXIS』182号(2016年7月1日発売)のカバーを飾った、緒方慎一さんです。

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イベントの告知ページ(クリックでリンクに飛びます)


緒方さんは、和食料理店の「HIGASHI-YAMA Tokyo」や和菓子店「HIGASHIYA」の運営、陶・滋や漆プロダクトブランド「Sゝゝ(エス)」の展開など、和の文化を活かして新しいものを創りだしています。

緒方さんならではの哲学を、講演のタイトル「数百年先を見据えたものづくり --世界に発信する日本式」にもとづいて伺うことができました。

今回は、そのなかでも特に印象に残ったことについて書きたいと思います。


緒方さんによると、日本式は5つの形を持っているそうです。

・自然のかたち
・人間の感じるかたち
・陰陽のかたち
・儚いかたち
・無垢なかたち


この中でも興味深いと思ったのは、「自然のかたち」と「人間の感じるかたち」です。

まず、「自然のかたち」について語り始めた緒方さん。日本のものづくりは、すべて自然崇拝に繋がるのだそう。

日本人は、もともと自然の豊かな環境で暮らしてきました。

森で狩りをし、木の実を集め、海や川で漁をする......。自然に囲まれ、その恵みを受けながら暮らしていくうちに「自然=神様」という意識が生まれ、多神教になります。

そんな多神教の文化が他国の文化を取り入れ、和洋折衷な文化を生み出し、そこから現在の日本文化に繋がる「和」の美意識が生まれました。

日本文化の代表とされる"自然を生け捕る"借景や、"自然を見立てる"銀閣寺の「向月台」(庭園内にある、円錐形に盛られた砂の造形)、盆栽、和菓子などもその感性から生まれてきたのだそうです。

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銀閣寺の「向月台」


次の「人間の感じるかたち」は、ずばり"五感で感じる"ものを追求します。

例えば夏の窓辺に掛ける風鈴。高い澄んだ音色で、涼しさを演出します。暑さをしのぐ方法では、打ち水もよく行われていますね。これらは、人の感情に訴えかけ、心地よさをつくりだす"かたち"なのです。

緒方さんの作品である使い捨ての器「wasara」は、このエモーショナルなかたちを追求したもの。手漉きの紙のようなテクスチャーや手に馴染むかたちが、人の五感に働きかけ、心地よさを生み出します。

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WASARAのホームページ(クリックでリンクに飛びます)


講演後に、実際に手に取ってみましたが、手に乗る厚手の紙の重さと均されていない表面の触り心地が本当によく、「使い捨てとは本当にもったいない!」と思ったほど。

このお皿を普段使いできたら、一日一日をゆったりと過ごせるはずです。

講演のなかで緒方さんは「自分の活動は日本を意識してやってきたわけではなく、やってきたことを見たら、こうなっていた」と振り返ります。

わざわざ意識しなくてもにじみ出てくるものが、その人のルーツであり生きてきた環境そのものなのだ、と感じました。


◎緒方慎一さんが代表を務める会社
株式会社SIMPLICITY( http://www.simplicity.co.jp/ja/
◎緒方さんが運営するお店
八雲茶寮(http://yakumosaryo.jp/
HIGASHIYAMA-Tokyo(http://higashiyama-tokyo.jp/
HIGASHIYA(http://www.higashiya.com/
◎プロダクト
Sゝゝ(http://www.sss-s.jp/
WASARA(http://www.wasara.jp/


(松本麻美)

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