2013年10月30日

Think with music #001 音楽家・上田 剛士さん (AA=) 第3部

Think with music

第3部 差異
aa06.jpg最後に、ちょっと実験的な質問をしました。キーワードは、「差異」。上田さんの中にある差異、社会の中の差異、地球上の差異。その意味。そして今読んでくださっているみなさんへのメッセージも。


Q8 両極・差異・価値
―AA=のフェアネスとラウドネスという「両極」に大きな魅力を感じています。今、均質が好まれる日本の社会ではなかなか突破口が見えないことが多い一方、世界規模での交わりの中では「差異」が次々と、対立のみではなく、「価値」を生んでいます。
そんな「差異」を、場所を変えるのではなく、個人として自分の中に持っていることを、どんな風に捉えますか。


確かに非常に、ぱっと見わかりづらいかもしれないな、と思うし、一般的なイメージとはだいぶ違う。もともと10代の頃から激しい音楽が好きで、それで生きてきたんで、それがもう基盤になっていて。

でも生きていく上で、進んでいく上で、自分の中のやるべきこととか、見なきゃいけないものとか、それは、イケイケな世界だけじゃない、というか。そこには意外と、何もなかったりとか。その場は盛り上がっても、問題は何も解決していなかったりとか。そういうのをすごく感じたので、自分の中でも意味のあることをやりたいっていう風にどんどんなっていったし。

世の中を変えることは容易ではないけれど、自分の周りや自分自身は、変えることができるので...そこは挑戦ですよね。

一見離れているものでも、自分の中では、自分という、上田剛士という枠の中に入れば一個のものにもなる。それをうまく形づけて、形作っていくっていうのは、ちょっと難しいものではあるけれど、それがおもしろいところでもあるし。

それこそ、国とか地域が違うと置かれている環境も本当に違うし。自分がこうやって音楽をやれているのもこの国に生まれ育ってこの時代を生きているからで。それができない人は本当にたくさんいて。

以前、インドのタミル地区の子に支援をしていた時、写真がたまに送られてきて。何年生になりました、とか、きれいなシャツを着て写っているんだけれども、やっぱり裸足であったりとか。

その差っていうのは、自分は明らかに恵まれているし、だからそこで、表現するチャンスがあって、表現する立場になれたので。そういうものは自分の中で、ちゃんと見るというか。目をつぶったり、見ないようにしたりしないように。それをどう表現していくかというのは自分の中の非常に難しいテーマなんだけれども、ちゃんと、やり遂げるというか、やれるようにしたいな、と思っています。


Q9 エネルギー
―差異は価値を生む一方、共感は差異を超えていきます。ライブやフェスの会場には、音楽に集う大きな共感の塊があります。そのエネルギーを、地球の問題、基、人間社会の問題にプラスにつなげていくのは可能だと考えますか?


それが正しい形でいけるっていうのは理想で、もちろんいけるとは思っているけれど。ただ気をつけなければいけないのは、それが危うい方にいく場合もあるので。集団の思いは、純粋になれば純粋になるほど強くなるし、強くなれば強くなるほど、どこか道を間違えた時にはとんでもない方向に行くと思うので。下手したら戦争に向かうこともある。そこは、音楽で人を集めているくせになんだけど、すごく怖いところでもあると思うので。音楽で何か表現して共感を得るときのリスクっていうのは、常に意識をしないと、と思っています。

「差異」が、やっぱり必要だと思うし。違いを拒否してしまうと、終わりになっちゃうので。違いをどのくらい受け入れられるか、というのはすごく重要だと思うんですよ。

たとえば原発の問題とか、普通考えたらNoですよね。でもYesと言っている人たちがいて、その人たちを、悪の象徴というか、あいつら悪い奴だ、という感じで片付けてしまった時点で、たぶん解決ができなくなるし、終わってしまうと思う。だからNoの立場から見てなぜYesがあるのかっていうのは、やっぱり、Noの人が考えるべき問題だと思うし。同じようにYesの人は、なぜNoと言っているのかも、考えるべきだと思うし。

そこから、答えというか、結論が、ちょっとでも、正解じゃないにしても、一歩前に進むってことができてくると思うるんで。そっちの方にもっていけたらな、というのは常に思っていますね。


Q10 Think the Earth? Think human?
―最後の質問です。環境問題は人間問題、という言葉があります。地球環境について考え、それぞれの立場で行動することを続ける読者のみなさんへ、メッセージをお願いします。


だから自分も仲間に入れて欲しいし、でも分からないこともたくさんあるので教えて欲しい。その上で、一歩でも前に進めるような答えを自分が見つけられたら、音楽に集まっている人たちにとっての意味も、大きく変わってくると思うので。

ぜひ、仲間に入れてください。ぜひ、話をさせてください。


aa07.jpg「そういうものは自分の中で、ちゃんと見るというか。目をつぶったり、見ないようにしないように。それをちゃんと、やり遂げるというか、やれるようにしたいな、と思っています」

>>第1部  >>第2部


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取材後記

昨年あるきっかけで音楽が生活・人生の一部になった。再会した音楽たちは、自分が社会に出てから、迷い悩みあきらめずに進んできた中で、気づけたこと、見つけてきたこと、知れたこと、そのすべてをすでに含んでいた。その時、異なる場所で、よりよくあろうと生きる人間同士として、奏でる人たちと話をしてみたいと思った。夢が生まれた瞬間でした。

Think the Earthに集う人、音楽に集う人、新しい差異との出会いにも期待しながら、ちょっと長くなりましたが、会話をシェアさせてもらいました。思えばこの取材そのものが差異だったのかもしれません。これからも差異と出会い、共有していきたい。気づけばまた新しい夢がそこにありました。私も、もう少し「夢の続き」を歩いてみようと思っています。

(鳥谷美幸 Think the Earth/取材・構成)


今回の対話の中で、ロックバンドAA=の音楽に対する徹底した姿勢と、常に変化し続けるアプローチは、上田剛士さんの社会問題との向き合い方にも、そのまま反映されていると感じました。

創造にも問題解決にも、徹底した姿勢と常に考え続けることが必要で、それは恐らく両方とも、答えがないからだと思います。

自分の中で正しいと思えるものを常に選んでいくのが、最良の結果を生んでいくと思うから、という上田さんの言葉には、個人や社会が抱える問題のヒントがあるように思えます。

答えの無いプロセスを歩んでいく覚悟。その覚悟を持って、創造や問題と向き合って行きたい、と改めて思えた対話でした。

(重松賢 クオリアピクチャーズ/撮影・編集協力)

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2013年10月25日

新しい『百年の愚行』の表現

お知らせ

書籍『百年の愚行』の続編を出版するためのプロジェクトをクラウドファンディングREADYFOR?にて立ち上げ75日目、たくさんの方に応援して頂き、目標の300万円を達成することができました!本当にありがとうございます。

◯書籍『百年の愚行』の続編を出版します!
https://readyfor.jp/projects/idiocy

目標が達成する前ですが、アートディレクターの佐藤直樹さんに『百年の愚行』の続編をどのようにイメージされているか、お話を伺いました。募集終了まであと数日となりましたが、このプロジェクトについてもっと知って頂き、一人でも多くの方に参加してもらえたら嬉しいです。


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Q:『百年の愚行』の続編はどんな本にしていきたいか、現段階でのイメージを教えてください。

続編は写真集というよりは、問題解決の糸口がつまっている書籍というイメージです。読んだ人たちの行動が変わる切り口、例えばそれは普段の消費活動かもしれないし、政治的なものかもしれない。何かそういうヒントを編集部で探っているところです。

今回、明らかに新しい視点として入っているのは「集合知」だと思うんですよね。20世紀の段階でも「集合知」によって何か解決しようという可能性は見えていたけど、それはまだ未来の話であって、現実的じゃなかった。インターネットの普及はまだ始まったばかりだったわけですから。

前作の話を少ししておくと、当時、今ある問題をまとめて、世に問おうとした時、新聞というメディアが蓄積していた写真を、ただ報道された写真という以上に、情報として伝わっていくための新しい扱い方を発明したいと考えていました。

新聞は20世紀になってから確立したメディアです。次第にテレビの役割が大きくなるけれど、それで新聞が死滅するわけではなく、交代するわけでもなく、並走するように新聞独自の力を持っていました。
これまでの100年間を振り返って、かつ、次によりよい方向へ自分たちの行動を変えていくかを考えた時に、報道写真の情報をどう見るか、どう分析するかという視点を無視することはできません。前作の表現は、そんなふうに考えていった先の必然だったと思うんです。それまで問題として明確に認識できていなかったことを、新しい表現で提示することで少しは変わるのではないか、と希望を持っていました。

ところが、10 年以上経って、どんどん手に負えない問題が増え、事態はより複雑になっています。小崎さんも言っていることですけど、9・11や3・11などの事件が起こって、まだ何も解決できていないという状況では、やっぱり表現形式も以前とは変わってきます。あの頃できなかったことを探りながらやっている。だから単純に報道写真を並べる、ということにはならないでしょう。これからもう一度論議を整理し、今という時代の必然性をもって、みんなに考えてもらうためにはどうしたらいいか、ということを考えています。


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Q:たった10年前のことだと思うのですが、お話を聞いていると、情報のあり方がずいぶん変わったように感じます。ご自身の体感としてどうでしょうか?

この10年で激変しましたね。たぶん、インターネットがあることがあたりまえの若い人たちは、『百年の愚行』が作られた時の、僕らの情報を集める時の困難さは、ちょっと想像がつかないのではないでしょうか。

10年前と比べて一般の人が写真を見て感じる価値観は大きく変わりました。いい、悪いではなくて、当時写真はもっと特別なものでした。
デジタルカメラのレベルも激変しました。10年前はデジカメで撮影した写真の品質はとても低かった。それがあっという間に画質、画素数、プリントの技術も飛躍的に向上しました。

今は誰もがカメラ機能をもった携帯を持ち歩いていて、すごい数のレンズが世界中にネットワークされている。それが今のリアルな現実です。
今、私たちがどんな情報環境にいて、何をリアルに感じているのか、写真を見た時の感じ方や伝わり方はどうか、そういうことを考えずにはいられない。これも10年前とは違う視点のひとつです。


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Q:写真の価値が変わったことで、続編で使う写真はどんなものになるのでしょうか?

今はiPhoneでとった写真が、新聞の一面にのる時代です。たまたまそこにいた人が、わーっ!と驚いて撮った写真が一番リアルだったりする。『百年の愚行』はプロが撮った写真でした。今この方法で作ると、演出が入っているように見える可能性があります。愚行として見せたくて撮った、という感じになっちゃう。そうなると、「今も愚行が続いています。」というメッセージばかりを強化してしまう可能性があります。反◯◯と言うことと、本当の意味でそれを無くすことは同じではないし、繋がらない。僕らはそういうことと向き合い、届くに値するメディアを作らなければならないと思っています。だから写真の集め方も含めて、この状況のリアリティをどう伝えるか、ということはしっかり考えたいです。

福島原発をテーマにした写真はたくさんあると思いますが、どんな表現にするべきか悩んでいます。例えば、海外で報道されている写真と日本のニュースで使われている写真がこんなに違う、という比較のしかたがあってもいい。必ずしも新聞の写真である必要はなくて、テレビの画像だっていいと思います。そこも含めて、もう一回議論しなきゃいけないところですね。それに、リアリティの感じ方は、これからまた変わってくるかもしれないですしね。

(聞き手;笹尾実和子)

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2013年10月16日

卒業のご報告&世界一周の旅に出ます!

地球日記

こんにちは! インターンの木村 俊介です。
約半年間、こちらでインターンとしてお世話になってきましたが、今月で卒業させていただくことになりました(...とはいえ、これからも、イベントのお手伝いや地球リポーターとして活動させていただきます!)。

今年の春、色々な偶然が重なって、私はこちらでインターンをさせていただくことになったわけですが、今振り返ると、全ては最初から決まっていたことのように思えます。そこに運命を感じずにはいられません。

Think the Earthで過ごした期間は、私の人生において間違いなく大きな転機となりました。素晴らしいスタッフのみなさんから、たくさんの出会いとチャンスをいただいたことに深く感謝しています。
いつもわいわい楽しく、たくさん笑わせていただきました。この場所が大好きでした。本当にありがとうございました。

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最後に、今後の私の活動について紹介させてください。
私は10月16日より、「オーガニック」「自然と調和した暮らし方」をテーマに、奥さんとふたり世界一周の旅に出ます(期間は一時帰国を含め約1年間です)。
世界各地の農場やエコヴィレッジへの訪問を主に、これからの暮らし方を考える旅にしたいと考えています。

また旅の間は、Think the Earthも参加している「いただきますの日」プロジェクトにも「いただきます夫婦」として、参加させていただきます。
いただきます夫婦のワールドレポート」として、世界各地の食のリポートや動画のアップなどをさせていただく予定です。

いただきます夫婦のワールドレポートはコチラ
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その他、旅行中に様々な情報を発信していくつもりですので、そちらのチェックも是非よろしくお願いします!

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世界各地で、 Think the Earth してきます!


(木村俊介)

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2013年10月09日

アースコミュニケーターインタビューVol.2 安斉紗織さん

地球日記お知らせアースコミュニケーター

こんにちは、インターンの木村です。
アースコミュニケーターの方へのインタビュー第二弾をお届けします。
今回はIsland Gallery(アイランドギャラリー)店長の安斉紗織さんです。

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安斉 紗織(あんざい さおり)
Island Gallery店長
http://islandgallery.jp/

1983年生まれ。女子美術大学卒。
大学在学中にドキュメンタリー映画『地球交響曲(ガイアシンフォニー)』に魅了され、学園祭で同作の自主上映会を開催する。卒業制作「自然をまとう」では、優秀賞を受賞。卒業後、しばらくは旅をしたり、西表島で制作活動をしたりして過ごす。さまざまな巡り合わせを経て、現職。ブログ「さおたんのしっぽ」http://saotan.jp/
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----まず、Think the Earthとの出会いや、これまでの交流について教えて下さい。

もともと、当店Island Galleryのオーナーである石島英雄がThink the Earth理事の上田さんと知り合いだったんです。石島はかねてから、上田さんの活動に注目していたようです。ある時、石島と上田さんが、都内の地下鉄でばったりと会う機会があり、ギャラリーに帰ってきた石島が私にそのことを話してくれました。「今日は、さおりの好きそうなことをしている人に会ったよ」と言われて。当時から私は、地球のことを考えるのが好きだったので、すごく興味をもちました。上田さんのことを知ったのが、Think the Earthのことを知るきっかけにもなりました。

それから少し経った2008年に、私たちは、明治神宮文化館で名嘉睦稔(なかぼくねん)の展覧会を行ったのですが、その時に上田さんをゲストとしてお呼びし、名嘉睦稔やThink the Earthの活動について、話していただきました。このとき、私ははじめて上田さんに直接お会いしました。イベント当日は会場で『百年の愚行』や『世界を変えるお金の使い方』、『地球時計』の販売も行いました。私もそこで、本を読ませていただいて、「こういうことを知りたかった!」と感銘を受けました。Think the Earthの具体的な活動を知ったのは、このときだったと思います。

その後も、みずのがっこうを一緒にやらせてもらったり、震災後、Think the Earth基金へ展覧会の売り上げの10%を寄付させてもらったりと、Think the Earthと交流を続けてきました。

----次にアースコミュニケーターになられた経緯を教えて下さい。

私はもともと地球のことに関心があり、大学時代は学園祭で『地球交響曲(ガイアシンフォニー)』の自主上映をやったり、自然に還る素材で作品を作ったりしていました。漠然と、地球の事を考える活動をしたいな、と思っていたんです。でも、いざ社会へ出て仕事をはじめてみると、日々の業務に追われ、なかなかそういう活動をできずにいました。すごく葛藤がありましたね。そんなとき、2009年くらいだったと思いますが、上田さんとお食事をさせていただく機会があったんです。その席で、上田さんから地球への熱い想いを伺いました。上田さんはちょうどボルネオから帰国されたばかりで、そこで見てきた厳しい現実と、未来への明るい展望をそれぞれ話してくださいました。お話を聞いて、自分も地球のためになにかできることがあるかもしれない、と改めて感じ、家に帰ってすぐに上田さんのお話をブログに書いたんです(http://saotan.jp/148)。

ブログを書いた後、もっとなにかできないかな、と思いました。すぐに行動しないと、この問題意識もいずれ忘れてしまうと思ったんです。そこで目に留まったのがアースコミュニケーターでした。地球のことを考え活動している人たちを応援するThink the Earthを応援する。遠回りではありますが、この方法でなら、地球のために私も活動できると思いました。気づいたら、会員登録のボタンをぽちっとしていましたね。

----続いて、安斉さんご自身のことについて伺います。先ほど大学時代に『地球交響曲』の自主上映会を開催されたとおっしゃっていましたが、その経緯をお聞かせ下さい。

きっかけは、大学一年生の時にたまたま『地球交響曲』を見たことでした。すごくハマってしまって。

----『地球交響曲』の第三番には、Think the Earth理事の上田が助監督として携わっていますが、それは当時ご存知でしたか?

当時は知らなかったです。後々知って、驚きました。すごい偶然ですよね。『地球交響曲』には本当に縁を感じているんです。自主上映会を開催するまでにも、不思議な偶然がたくさんありました。

大学四年生の春、私は『地球交響曲』の第四番を学園祭で上映したいと考えていました。理由は、純粋に『地球交響曲』のファンだったから、そしてその中でも特に第四番が好きだったからです。第四番には名嘉睦稔(なかぼくねん)という沖縄のアーティストが出てきます。私は彼のことがすごく好きでした。この方のことを少しでも多くの人に知ってもらいたいと思っていたんです。

自主上映会の開催に向け準備を進めていた頃、たまたま祖父の家へ行く機会がありました。そしたら、なんと祖父の家の前の駐車場に『地球交響曲』の監督がいらっしゃったんです! こんなことがあるだろうかと思いました。お話を聞いたら、祖父と同じマンションに住んでいらして。すぐに『地球交響曲』のファンであること、自主上映会をやろうとしていることを伝えました。すると監督が「今、第五番を作っていて、それがすごくいいから、楽しみにしていてね」とおっしゃって。家に帰ってすぐに、第五番のことを調べました。そしたら、第五番に、私の通う女子美術大学を卒業された方が出ているとわかったんです。染織作家の石垣昭子さんという方なんですけど。先輩ということで、すごく縁を感じて、急遽上映するのを第四番から第五番に変更することにしました。本当に色々なものが繋がっていくのを感じました。上映会当日は、石垣さんにゲストとしてきていただき、お話していただきました。その時の石垣さんとの出会いは、私の卒業制作、ひいては卒業後の活動にまで良い影響を与えてくれたと思っています。

私の卒業制作「自然をまとう」は、石垣さんの創作で出たゴミから作りました。ゴミといっても、自然にかえる素材で、美しいものでした。はじめて見たとき、これは使えそうだなと思いました。私は、後々ゴミになるようなものは作りたくなかったんです。私のゼミの先生が、植物からアートをつくる人だったことにも影響されています。私はずっとフラダンスをやってきたんですが、作品はフラの衣装からインスピレーションを得て作りました。

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----Island Galleryとの出会いについてお話いただけますか

ここには、学生時代にも何度か来ていました。その頃は、まだ店の名称が『ボクネンズアート東京』でしたね。名嘉睦稔が好きだった私にとって、すごく気になる場所だったんです。『地球交響曲』の自主上映会のチラシをここで扱ってもらったこともあります。当時からすごく居心地がよくて「いつかここで仕事ができたらな」と思っていました。ここで仕事をする自分の姿がすごくリアルにイメージできたんです。一度、スタッフを募集しているか問い合わせたことがあったのですが、その時はだめで、就職活動も途中でやめてしまっていた私は、卒業後、しばらくふらふらしていました。

けれど程なくして、私のブログにIsland Galleryからメッセージが入ったんです。新しいスタッフを募集しているので、やってみないか、というお誘いでした。Island Galleryのオーナーである石島と私は学生の頃から面識があり、ギャラリーで働きたいと直接伝えたこともありました。それを彼が覚えていてくれたみたいで。また、不思議と同じタイミングで石垣昭子さんからも、西表島で創作活動をしてみませんかとお誘いをいただき、悩んだ末、結局西表島に3ヶ月間滞在した後、Island Galleryのスタッフになりました。

----最近のIsland Galleryの活動について教えてください

お店の名称が変わったことからもわかるように、最近は名嘉睦稔以外の作家さんも扱うようになりました。動物写真家の高砂淳二さんや、サーファー写真家の芝田満之さん、沖縄を拠点に活動されているchojiさんなどの写真を扱っています。どの作家さんの作品も素敵ですよ。是非一度ギャラリーにお越しいただき、実際にご覧いただきたいですね。

また、先日ソーシャルネットワークのGoogle+を活用した展覧会も行いました。Google+上で、人気と実力があるアマチュアの方を3名選んで、その方たちの写真展をここでひらいたんです。すごく好評でした。普段、ネット上で、彼らの写真にコメントをしているファンの人たちが実際に顔をだしてくれる一幕もありました。是非今後もやっていけたらな、と思っています。ご期待ください!

----最後に、安斉さんがブログ上で度々使われてきた「アートのチカラ」という言葉について、お聞きします。安斉さんにとって「アートのチカラ」とは、どのようなものですか?

このギャラリーへ来てくださるお客様を見ていると、つくづく、アートは非日常に連れて行ってくれるものだなと思います。疲れていたり、悲しいことがあったりしても、ここへ来て、一枚の絵を見るだけで、一時それから離れることができる。励まされ、元気が湧いてくる。私にとって、「アートのチカラ」とは人を癒やす不思議な力のことだと思います。


----ありがとうございました!

*Island Gallery 展覧会のお知らせ*

10月21日より、名嘉睦稔さんの写真展が行われます。
11月2日、3日には、サイン会も開催されます。是非足をお運び下さい!

名嘉睦稔木版画展『太陽の花 星の花』
http://islandgallery.jp

会 期 10月21日(月)~11月4日(月・祝)
時 間 11:00-19:00
会 場 Island Gallery
    東京都中央区京橋1-5-5 B1
    tel / 03-3517-2125
※会期中無休・入場無料・11月2日(土)17:00まで

*Island GalleryのThink the Earthな商品*

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『究極の自然音 出羽三山〜神さまの通り道〜』
『究極の自然音 八重山〜神々が集う場所〜』

バイノーラル方式でレコーディングされた自然音のCDです。
コンテンツには音楽やナレーションは一切入っていません。
都会にいながらにして、奥深い自然の様子を感じることができます。
是非これを聞きながら、Think the Earthしてみてください!
究極の自然音シリーズ / IslandSound

Think the Earthでは引き続き、アースコミュニケーターを募集しております。
ご興味のある方は是非こちらをご覧ください。


関連記事:アースコミュニケーターインタビューvol.1 山阪佳彦さん

(インターン木村俊介)

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2013年10月07日

「未来の自分への手紙」in choroko秋まつり

地球日記プロジェクト裏話

こんにちは
インターンの高木彩香です。

先週10月5日(土)ルミネ北千住店屋上で<choroko秋まつり>が開催され、私たちThink the Earthも「未来の自分への手紙」を出展しました。

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当日はあいにくの雨...
しかし寒い中、たくさんの人が遊びに来てくれました!

「未来の自分への手紙」は会場でお好きなポストカードを選んでもらい、半年後の自分へ向けて手紙をかくというもの。

参加費100円のうち50円は切手代、50円は東日本大震災の復興支援活動の支援として「忘れない基金」に寄付されます。

みなさん真剣な目でポストカードを選んでいます!

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このたくさんのポストカードは、以前このスタッフブログで募集し、みなさんからご家庭で余ったカードを寄付していただいたものです。
本当にたくさん種類があって迷ってしまいます。

ポストカードには消しゴムはんこを押したり、絵を書いたり、シールを貼ったり...自分へのメッセージを書いて、オリジナルのポストカードのできあがりです!

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素敵なデザインのポストカードばかりで嬉しく思いました。
特に「未来の自分への手紙」ではお母さんと子供さん一緒に来てくださる方が多かったように思います。
現在頑張っていることの目標や、半年後誕生日を迎えるパパへのサプライズメッセージ、今ちょうど年長さんで、半年後が卒園の頃...ということで自分への「おめでとう」カードを書くお子さんなどなど...
たくさんの方に、心のこもったポストカード作りを楽しんでもらえました!

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ご自分宛の方、ご家族に書かれる方...色々な想いのつまったお手紙を魔法のポストに投函すると、半年後忘れた頃に届きます。
今回書いていただいたお手紙は、来年の春分頃(3月21日)届く予定です。
楽しみに待っていて下さいね!

<choroko秋まつり>では、「未来の自分への手紙」以外にも、様々なワークショップを体験することができました。
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ボタニカルキャンドルやメッセージがいれられるバスボム、土だんご作りや靴磨き教室などなど!
スティールパンの生演奏の音楽が流れて、とても楽しく温かい雰囲気でした。

子供たちは元気いっぱいで、雨の中芝生の上を走り回っていました!
(風邪をひかないようにしてくださいね!)
雨で残念でしたが、きらきらした笑顔をたくさん見ることができて本当によかったです!
ご来場くださったみなさん、ありがとうございました!

(高木彩香)

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2013年10月01日

モザイク都市と、モザイクの星。

理事からのメッセージ

みなさん、こんにちは。
Think the Earth理事メンバーがスタッフブログに登場するコーナー、
第8回目は小西健太郎理事の登場です。

理事のみなさんの紹介はこちら
http://www.thinktheearth.net/jp/about/organization/index.html
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@ブエノスアイレス
南米のアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに行ってきました。
旅行会社の方に、「ブエノスアイレスはモザイク都市だから気を付けて下さい」と、最初に注意を受けました。
「モザイク都市」?
聞き慣れない言葉ですが、これは悪い意味です。つまり、犯罪が通常の都市の常識である地区やエリアで括られて、その発生率の濃淡が分布しているのではなく、モザイク状になっているということです。

街を歩いてみると、1ブロック毎に近代的で安全そうなところとなんか危なそうなところが入り乱れている模様が実感できます。市内随一の高級ショッピングモールの向かいのブロックにはかなり昔に廃墟となった「ハロッズ」という名の百貨店がゴーストスポットのように放置されたままです。土地の価値を考えるとそんな一等地にどうしてそんなことが、と思うような建物がたくさんあります。そして、その廃墟の裏側は一変してヤバい感じで、足を踏み入れがたい場所に様変わりしているのです。
東京に例えると、銀座の和光の向かいの三越が廃屋で、その裏手が危険スポットといったピースが都市の広さだけ網の目のように織り込まれて、モザイク都市になっているのです。

実際に知り合いが、国会議事堂の前で後ろから羽交い絞めにされて、手に嵌めていた時計を抜き取られ、相方のバイクに飛び乗って逃走されるという白昼強盗にあっています。国会議事堂前の広場です。想像できますか?
かつては南米のパリと謳われた美しい街の面影は、かなり損なわれてしまっています。コロン劇場という世界三大オペラハウスの一つがあったりする街なのですが・・・。

現在、アルゼンチンは猛烈なインフラに襲われていて、社会不安が日に日に増大しています。2001年に国が破綻しIMFの管理下に置かれましたが、2度目の破綻も秒読みといわれています。そのため国民は、自国通貨を信用せずに、米ドルに資産を移そうとやっきになっています。国が定めた銀行の換金レートのほぼ2倍の料率で街の両替所でドルは換金でき、レストランでもドルで払うというと、その手のレートで勘定してくれます。旅行者としては得した気分を味わえますが、ともかく、めちゃくちゃな状況なのです。
しかし、人々の暮らしは日々続いています。街には、ハイクラスの人種の優雅な生活もあれば、スラム街の人々の過酷な暮らしもあり、誰もが生きるのに必死で、国の状態に絶望しているようには見えません。この人間の奔放なエネルギーがさらにモザイク化を加速させているように感じました。


@「地球」
地球も同じなのかな?
と、帰りの飛行機で南米大陸を上空から眺めながら思いました。
人間本位のモザイク化が、急速に、そしてバランスを著しく欠いて、地球上のあちこちで起きている。そのため地球温暖化などこの星の問題が、全体として軌道修正されることなく深刻化し続けている。私たちが生きている21世紀とはそういう時代なのでしょう。

国家という単位では対処できないのに、国家や民族という単位は頑強で、資本主義に代表される抑えがたいエネルギーによって、地球上のモザイク化が加速していく時代。
生態系はモザイク化されると脆く、消滅するリスクが高まるのは言うまでもありません。その母体である自然環境でもモザイク化が進むと全体循環の適正化がマイナスに振れて予想もしなかった気候変動が起きているようです。
奇妙なことに、というか厄介なことに、地球のモザイク化は枠組みが大きすぎて、人がなかなか気づくことができません。モザイク都市を歩いて感じるような危険のリアリティをもてないのです。

日本に帰った週末、台風18号が本州を直撃して、これまであまり耳にしたことのない竜巻を伴っての猛威を奮っていました。そういう変種の痛みで、ようやく、この星のモザイク状の組み上げがもたらしているであろう脅威に気づかされます。
久しぶりの日本のご飯の恵みに旅の疲れを癒されながら、そんなことを考えました。

(小西 健太郎)

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2013年09月27日

リニアが通る大地〜岐阜・中津川にて

地球日記

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自分が小学校の頃から耳にしてきた「夢の超伝導リニア」。先日その停車駅が発表されました。周囲を山に囲まれ、木曽川がキラキラと流れるここ、中津川はその一つだそうです。

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「景色はずいぶん変わるだろうね」そうつぶやくのは、この山に囲まれた土地で鉱泉宿を営む松井さん。

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松井さんが営む宿の裏山には、国定史跡となっている「苗木城」があります。最初の写真の景色は木曽川から170m高いその城跡からの風景です。

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苗木城が築かれたのは戦国時代。岩山の上の狭いエリアのなかで、天然の巨岩を利用して石垣などが組まれている全国でも珍しいタイプのお城なのだとか。

江戸時代、城の主だった遠山氏は、参勤交代の際には、木曽川をくだって、この城山を登ったそうです。松井さんのお話をたよりに、美濃や尾張、甲斐に囲まれた土地を見下ろしながら武将たちへしばし想いを馳せました。

さて、かつて計画された頃とはずいぶん社会や世界、地球の状況は変わってきていて、リニアの開通には意見が分かれているようです。

私自身も、たまたまこの風景に出会って以降、やはり気になっています。

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自然の力を上手に利用したお城のふもと、かつての城下町では、ちょうどお米の収穫が行われたばかり。前夜の雨に、田んぼの風景がキラキラと光っていました。

偶然の旅人の私たちにはとても豊かな暮らしに写ったけれど、きっとそこで暮らす人にはそれぞれが描くイメージもあるのかもしれません。

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ちなみに、中津川を訪れたのは、佐藤タイジさんがプロデュースした100%自然エネルギーによるロックフェス「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2013」に参戦するため。

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太陽光パネルがずらり並んだ会場では、気持ちのよい音が鳴り響き、いろんな世代の人がそれぞれに楽しんでいましたよ♪

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その日の午後、宿の裏の棚田の稲刈りをするという松井さんと、「来年は稲刈りお手伝いにきますね」と約束し、中津川を後にしました。
(鳥谷美幸)


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2013年09月05日

適応策へ

地球日記理事からのメッセージ

大丈夫か、地球。と思っている人は多いのではないでしょうか。
今年の夏、日本はひどい豪雨や竜巻といった極端な気象現象に悩まされ続けています。
ツイッターのまとめや記事を振り返ってみただけでも、こんな感じ↓

7月23日 ゲリラ豪雨で東京がやばい
8月9日 北海道・東北で猛烈な雨
8月24日 島根豪雨
8月25日 梅田駅冠水
9月2日 埼玉で竜巻
9月4日 名古屋駅冠水
9月4日 栃木で竜巻

7年前の2006年に『気候変動+2℃』という本を編集しました。
タイトルが「地球温暖化」ではなく「気候変動」というところがミソです。

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この本を出した後、アル・ゴアの「不都合な真実」という映画のヒットをきっかけに、地球温暖化という言葉はメディアでも幾度となく取り上げられることになりました。
でも、平均気温の測定から地球が温暖化しているのは確実ですが、原因については諸説あり、メディアがその議論(喧嘩)ばかりを強調したために、世の中に混乱が生じてしまいました。

環境問題について学校で教わってきた世代である、今の学生たちと話すと「よくわかんないから、もう、その話はいいや」という気分だそうで、これは悪影響としか言いようがありません。

でも、どうなんでしょう。「その話はいいや」と横に置いておけるような状況ではなくなってきているように思います。

2006年に今年のような気象が続いていたとしたら、もっと違う本を編集していただろうと思います。つまり、あの時、僕たちはもっと穏やかな気象のなかで、もっとノーテンキに生きていました。

そのことを、ちゃんと思い出したい。

僕たちは茹でガエル状態で、徐々に変化していることには、なかなか気づかないし、危機感を感じません。もし2006年の夏から、2013年にタイムスリップしたら、今もっとオロオロしているんじゃないでしょうか。実際に、年ごとに激しくなっていて、予測困難になってきており、来年はどうなる? という問いに明確に答えられる専門家もいません。

温暖化に対して、その原因物質と言われる温暖化効果ガス(二酸化炭素やメタンガスなど)を減らそうという政策を「緩和策」と言います。
気候変動条約の国際会議では、どこまで減らすかを、先進国と途上国が、それぞれの国益を背負いながら交渉するという構図です。国が行うチームマイナス6%とか、チャレンジ25とか、そういう数字が入った啓発キャンペーンも、基本的には「緩和策」に根ざした施策です。

一方、どんな原因であれ、現実の事象として「気候変動」、もしくは「極端な気象現象」が頻発してきている事実の方を直視し、それにどうやって対応するかを考える「適応策」の大切さが議論されるようになってきています。来年3月に横浜で行われるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の会議の議題も「適応策」です。

具体的には気候変動によって引き起こされる水害や渇水などの災害に対して柔軟な(レジリエントな)社会を構築しようという考え方で、遊水池のように、洪水になったら、いったん溢れさせ、文字通り水を遊ばせるエリアをつくる治水対策などは、従来から行われてきた適応策の典型例です。
(適応策万歳と言っているわけではなく、ジオエンジニアリングという、地球を改造しちゃおうというようなオソロシイ適応策もあるので要注意)

『気候変動+2℃』の中で、この適応策に触れている箇所があるので、引用します。横浜国大の伊藤公紀教授のコラムです。
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社会や生態系の中で気候変動に弱いところを見つけて強化する「脆弱性アプローチ」や、柔軟性を持たせ、回復力を増やしてやる「レジリエンス(回復力)アプローチ」のような、適応策をとるのが良いでしょう。これらのアプローチでは無駄なエネルギー消費を減らすといった、二酸化炭素削減と共通の対策に加え、もっときめの細かい、地域や文化に合った政策をとることになります。基本的には「温暖化」であろうと「寒冷化」であろうと「どう転んでも良い」ようにします。社会のなかの強すぎるつながりを弱め、新しいつながりをつくることが効果的です。
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Think the Earth Paper Vol.11で、インタビューさせていただいた岸由二さん(慶應義塾大学名誉教授)が唱える「流域思考」は、この適応策の先進的思想だと思います。対処療法的になりがちな「適応策」を、根本的な社会システムの変革の話へと発想を広げてくれます。

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問題の核心が都市であることは間違いがない。地球温暖化によって、やがて大きな海面上昇が現実となり、豪雨傾向が強まれば、海辺の都市群は巨大水災害に見舞われてゆく。だからこそ先進国の先端都市の真ん中から変えていくしかない。その時、「流域で考える」ことが現実的なベストの地図戦略になり得ると思っているんです。
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じっくり学びたいけど、その時間はないかもしれません、
次々と迫り来る事態のなかで、家族を守ることに必死になるような状況がやってきてしまう前に、いま何ができるんだろう、ということを考えなくてはならなくなりつつあります。

環境問題という言葉のイメージは、自然を守ることよりも、自然の脅威から自分たちの生命を守る、暮らしを守る、そのために自然と人間が共生する社会をつくる、というイメージに変わっていくでしょう。共生するという言葉には「美しく豊かな自然とともに生きる」ことと「激しく荒々しい自然の脅威とともに生きる」という二つの側面があるのです。

こうなってくると、国で言えば環境省だけでは手に負えない話で、国土交通省、経済産業省、農林水産省、などなど、さまざまな領域が手を取り合って取り組まなければならないテーマです(逆に言えば、縦割りの行政が取り組むのはとっても苦手な領域かも)。
ビジョンが決まれば、新しい街作りや、家造り、暮らし作りがテーマなので、産業界にとっては大きなビジネスチャンスとも言えます。経済活動と環境保全が無理なく両立する道が開ける領域です。

さて、どうしたものか、、、
強い雨の中を、ずぶ濡れになりながら仕事場に急ぎつつ、今朝はこんなことを考えていました。
(上田壮一)

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2013年08月30日

生命の限界に迫る!なぜ地球は生命に満ちあふれた惑星になり得たのか?「しんかい6500」見学会レポート(後編)

アースコミュニケーター


前回に引き続き、「しんかい6500」見学会レポートです。
生命の限界に迫る!なぜ地球は生命に満ちあふれた惑星になり得たのか?「しんかい6500」見学会レポート(前編)

今度は海洋科学技術館。「しんかい6500」が獲ってきた深海生物を見てもらいました。
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フィギュアを前に「QUELLE 2013」で潜航した若手研究員が熱水噴出孔現場を解説

「QUELLE 2013」大航海の目的 ― 地球の生命起源は深海の熱水噴出孔ではないだろうか?

海洋科学技術館の奥の部屋には、一時帰国したばかりの「しんかい6500」が深海底から採取した獲れたて研究サンプルが展示されていました。会場でみた深海の模型は異様な世界でした。

深海は太陽光が全く届かない真っ暗な世界。地下のマグマで熱せられて噴出している熱水(温度400℃の高温状態)の近くに沢山の生物がいるそうです。

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自ら持ち帰ったサンプル(チムニー)を持って説明(Tシャツのイラストがカワイイ)

科学でひも解く。深海で生物が生きるすべとは?

素朴な疑問ですが、深海生物はどうやって生きているのでしょう?
太陽光が届かない深海世界では光合成ができません。一部の深海生物は海底下からわき出る硫化水素やメタンなどをエネルギーとして生きていけるそうです。上位種(体の大きい生物)はバクテリアなどの細菌を栄養源として摂取して食物連鎖が成立します。

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飼育中のユノハナガニ(名前の由来は「湯の花」)

熱水噴出孔周辺にいる個性的な深海生物たち

獲れたての深海生物が並べられていました。それぞれの名前の由来や体の特徴がユニークです。

● スケーリーフット (白スケ、黒スケ)
黒スケ(通称)は、体が硫化鉄という金属でおおわれて黒色です。一方、白スケは硫化鉄でおおわれていません。どうやって硫化鉄を帯びるのかなど、詳しい生態はまだ解明されていません。

● ゴエモンコシオリエビ 
日本を代表する深海熱水域に生息する甲殻類です。名前の由来は釜ゆでの刑にあった石川五右衛門です。

● リミカリス
エビの一種。目は退化して、背中の赤外線センサーで熱源を関しているのではないかと考えられているそうです。(このエビの機能は、まだ研究中だということでした。)

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写真右:黒スケは硫化鉄の甲羅を持つ深海生物。甲羅破片は金属的音がする

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熱水噴出坑周辺で生きている高温で生きる深海生物たち

元パイロットによるお話し 有人深海調査の歴史とこれから

川間技術副主幹は元潜航士で、「しんかい6500」を操るための技術やノウハウだけでなく、深海調査についての豊富な知見をお持ちでした。現場スタッフが研究の意義を社会に広める活動は、探査プロジェクトを続けていくために必要です。

「しんかい6500」は潜航して24年で、もう何百回も潜っています。現在、有人探査機としては世界で二番目に深く潜れるそうです。一番は中国の「蛇竜号」(ジャオロン号)で7000mへ行けるそうです。さらに深いところは無人探査機が調査します。

そして、次世代調査船の計画と期待を語られました。海外で開発されたいろいろな深海探査機を見せてもらいました。個性的な形と最新機能が面白 かっ たです。私も未来の潜水調査船をデザインしてみたいなと思いました。深海探査はまだ続きます。 「QUELLE 2013」の成果に乞うご期待ください!

この取材で、子どもの頃に読んだジュール・ヴェルヌの冒険SF小説『海底二万里』を思い出しました。リメイクやオマージュとして、アニメやマンガが何回も制作されています。人によって度合いに違いがあるけれど、未踏の世界に踏み出すことは、私たち共通の夢なんですね。

「QUELLE 2013」は航海の途中です。これからまた深海へ行って調査を続けられます。その成果がどんなものか明らかになるのが楽しみです。

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チムニーを持たせてもらって感激の記念写真

参考文献(リンク集)

有人潜水調査船しんかい6500公式サイト
生命の限界に迫る「しんかい6500」世界一周航海 QUELLE2013 特集サイト
有人潜水調査船「しんかい6500」特別見学会特設サイト 見学のしおり(PDFファイル)

(アースコミュニケーター 望月銀子)

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2013年08月30日

生命の限界に迫る!なぜ地球は生命に満ちあふれた惑星になり得たのか?「しんかい6500」見学会レポート(前編)

アースコミュニケーター

「しんかい6500」は生命の限界に迫る世界一周航海「QUELLE 2013」から一時帰港しました。2013年1月、有人潜水調査船「しんかい6500」を搭載した母船「よこすか」が海洋研究開発機構を出港。インド洋、南大西洋、カリブ海、そして南太平洋を約1年かけて巡ります。

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見学者の前に立つ櫻井司令(左)と4名のパイロット

はじめまして。アースコミュニケーターの望月銀子です。
夏真っ盛りの8月18日、神奈川県横須賀市の海洋研究開発機構(JAMSTEC)へ行ってきました。

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京急追浜駅に集合。レポーター&取材陣は貸切りバスでJAMSTEC本部へ

誰しも考える問い 「―人はなぜ生命の根源を追い求めるのか?」

作品「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」は、フランスの画家ポール・ゴーギャンが1897年に描いた有名な絵画です。謎めいた題名に惹きつけられます。

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©Wikipedia

その命題を科学として研究している学問があります。「地球生命はどこから来てどこへ行くのか?」 そして「宇宙には地球生命以外の生命は存在するのか?」 という問いにチャレンジするのがアストロバイオロジー(宇宙生物学)です。自然科学分野間の学際領域として研究されています。私も地球生命の起源やE.T.の探求に興味があります。

未知なる深海の世界を探索するエクスプローラーに魅せらせて

7月1日に慶應義塾大学日吉キャンパスで行われたカリブ海とのライブ中継トークイベント「宙(そら)のがっこうー深海編ー/宇宙と深海はつながっている!しんかい6500&はやぶさ」に参加しました。モデレータは、はやぶさプロジェクトチームの矢野 創氏。中継先にいる地球生物学者の高井 研氏、会場には同じくJAMSTEC研究員の和辻智郎氏と、宇宙と深海における生命探査を熱く語られていました。皆さまの情熱と冒険心に触れて、地球生命探究に興味が湧き上がりました。

快晴の海日和!いざ、深海のアカデミアJAMSTEC本部へ

おりしも、今夏は深海ブームで上野の国立科学博物館で特別展「深海」が開催され、NHKでも「深海の巨大生物」が放送されたところでした。その発信源のJAMSTECが主催する「しんかい6500」特別見学会があり、取材へ出かけました。

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潜水調査船整備場前から臨む景色


深海へ潜るテクノロジーとメカニズムを熱く語るしんかい6500パイロット

まずは、「しんかい6500」の公開整備の様子を見学しました。櫻井利明司令が運航チームメンバーのご紹介と自作のプラモデルで有人潜水調査システムを解説して下さいました。
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自作プラモデルで「しんかい6500」テクノロジーを語る櫻井司令

6500mの深海へ26tもの重さがある調査船が潜るのは相当なテクノロジーが必要です。櫻井司令は、水圧に耐える潜水船の構造や潜航時の機能について説明してくれました。

● 深海へ潜るためのテクノロジー 耐圧殻(たいあつこく)
深度1万メートルの水圧に耐えるチタン合金製の球体。内径2.0mの狭い内部に潜航士2名と研究者1名が乗り込んで調査を行います。目的地が深海数千メートルの場合、1日8時間も潜航しているそうです。

● 深海の水圧に耐えるテクノロジー 浮力材
深く潜るほど水圧がのしかかります。潜水調査船は高い水圧に耐えられる強度が必要です。「しんかい6500」は、高い水圧でも変形することのない強度がある浮力材を使用しています

続いては、運航チームによる総合作動試験とマニピュレータ操作訓練を見せていただきました。見学者の中から選ばれた少年とネット中継のカメラが狭い耐圧殻に入りました。

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見学者が深海調査船の船内へ潜入

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約14cmの分厚いアクリル樹脂のぞき窓から船内を覗き込んでみた

整備点検のメインイベント!ロボットアームで捕獲活動

公開点検のラストは、マニピュレータのテストです。私たちの前で、櫻井司令がコントローラを操りながら説明してくれました。
実際は、パイロットは研究者の依頼を受けて、深海や熱水噴出抗などについたら、ロボットアームを巧みに操って、深海生物を獲ります。獲物はサンプル用バスケットに積込んで地上へ持ち帰れます。
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生物や海底の岩石の採取に使うマニピュレータの説明

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見学者から空き缶を持たされたロボットアームの力試し

そして次の見学は海洋科学技術館!なのですが、続きは後編でご紹介します。

生命の限界に迫る!なぜ地球は生命に満ちあふれた惑星になり得たのか?「しんかい6500」見学会レポート(後編)

(アースコミュニケーター 望月銀子)


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