2016年09月12日

講演「数百年先を見据えたものづくり --世界に発信する日本式」

地球日記

8月30日(日)、いつもお世話になっているデザイン会社「AXIS」で、講演がありました。

講演のゲストは、AXISで発行しているデザイン雑誌『AXIS』182号(2016年7月1日発売)のカバーを飾った、緒方慎一さんです。

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イベントの告知ページ(クリックでリンクに飛びます)


緒方さんは、和食料理店の「HIGASHI-YAMA Tokyo」や和菓子店「HIGASHIYA」の運営、陶・滋や漆プロダクトブランド「Sゝゝ(エス)」の展開など、和の文化を活かして新しいものを創りだしています。

緒方さんならではの哲学を、講演のタイトル「数百年先を見据えたものづくり --世界に発信する日本式」にもとづいて伺うことができました。

今回は、そのなかでも特に印象に残ったことについて書きたいと思います。


緒方さんによると、日本式は5つの形を持っているそうです。

・自然のかたち
・人間の感じるかたち
・陰陽のかたち
・儚いかたち
・無垢なかたち


この中でも興味深いと思ったのは、「自然のかたち」と「人間の感じるかたち」です。

まず、「自然のかたち」について語り始めた緒方さん。日本のものづくりは、すべて自然崇拝に繋がるのだそう。

日本人は、もともと自然の豊かな環境で暮らしてきました。

森で狩りをし、木の実を集め、海や川で漁をする......。自然に囲まれ、その恵みを受けながら暮らしていくうちに「自然=神様」という意識が生まれ、多神教になります。

そんな多神教の文化が他国の文化を取り入れ、和洋折衷な文化を生み出し、そこから現在の日本文化に繋がる「和」の美意識が生まれました。

日本文化の代表とされる"自然を生け捕る"借景や、"自然を見立てる"銀閣寺の「向月台」(庭園内にある、円錐形に盛られた砂の造形)、盆栽、和菓子などもその感性から生まれてきたのだそうです。

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銀閣寺の「向月台」


次の「人間の感じるかたち」は、ずばり"五感で感じる"ものを追求します。

例えば夏の窓辺に掛ける風鈴。高い澄んだ音色で、涼しさを演出します。暑さをしのぐ方法では、打ち水もよく行われていますね。これらは、人の感情に訴えかけ、心地よさをつくりだす"かたち"なのです。

緒方さんの作品である使い捨ての器「wasara」は、このエモーショナルなかたちを追求したもの。手漉きの紙のようなテクスチャーや手に馴染むかたちが、人の五感に働きかけ、心地よさを生み出します。

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WASARAのホームページ(クリックでリンクに飛びます)


講演後に、実際に手に取ってみましたが、手に乗る厚手の紙の重さと均されていない表面の触り心地が本当によく、「使い捨てとは本当にもったいない!」と思ったほど。

このお皿を普段使いできたら、一日一日をゆったりと過ごせるはずです。

講演のなかで緒方さんは「自分の活動は日本を意識してやってきたわけではなく、やってきたことを見たら、こうなっていた」と振り返ります。

わざわざ意識しなくてもにじみ出てくるものが、その人のルーツであり生きてきた環境そのものなのだ、と感じました。


◎緒方慎一さんが代表を務める会社
株式会社SIMPLICITY( http://www.simplicity.co.jp/ja/
◎緒方さんが運営するお店
八雲茶寮(http://yakumosaryo.jp/
HIGASHIYAMA-Tokyo(http://higashiyama-tokyo.jp/
HIGASHIYA(http://www.higashiya.com/
◎プロダクト
Sゝゝ(http://www.sss-s.jp/
WASARA(http://www.wasara.jp/


(松本麻美)

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2016年05月17日

第3回「地球のお医者さん」

地球日記

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こんにちは。インターン生の山下真奈です。さて!第3回目、ついに最終回となる今回は・・・毎年3月に行われ、多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコースを広く知ってもらうことを目的に学生の課題作品を発表するプロジェクト「できごとのかたち展の2016年度」に出展された、久保亮太さんと半田早奈英さんの作品をご紹介します。

二人は私と同じく、Think the Earthの上田さんの授業を受講していたゼミ仲間です。初回の記事で書かせていただいた「地球と健康」(※)というテーマの課題に対して、私と同様に制作をしていた二人はどのようなアプローチをしたのでしょうか。
※第1回「地球のお医者さん」

まずは久保亮太さんの作品を紹介します。
「江戸の時間で生きてみるツール」

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常に忙しなく、どこか生き急いでいるような現代人。そんな彼らに提案する、"江戸時代の時間で生活してみる"コンテンツです。江戸の人々は太陽の動きに合わせた「不定時法」という時間の刻み方で生活していました。そんな自然のリズムに合わせた、心にゆとりのある生活を現代でも送るために、不定時法に則って作られた日割りのスケジュール帳、それからその不定時法に合わせて鐘の音が鳴る、電子時計の二つのツールを制作しました。

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全部で4冊、春・夏・秋・冬の四季ごとのスケジュール帳となっています。和綴じをしていて、趣のある印象を受けます。江戸の時を感じる...という言葉にぴったり。

冊子の小口を見ていただくとわかるのですが、各季節ごとにオレンジの部分と青の部分の面積がちがいますよね。これは、その時々の「日照時間」を表しています。夏のスケジュール帳のオレンジの部分が多いのは、太陽の出ている時間が多いため。逆に冬のスケジュール帳の青の部分が多いのは、日照時間が少ないためです。

太陽の動きに合わせた「不定時法」に沿って作ったスケジュール帳ならではの工夫です。

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こちらは夏のスケジュール帳です。
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中身はこんな感じ。よく見ると、毎日毎週毎月、毎季節ごとに、時間の刻まれている間隔が違います。これは、昔の江戸の時間の刻み方「不定時法」の法則で作られているためなのですが、先ほどから何度か出てくるワード「不定時法」とは、一体何なのでしょうか?

不定時法とは、"夜明け"から"日暮れ"までの時間を6等分する時間法です。きっちりと時を刻む時計のような道具がなかった江戸時代以前までは、太陽の高さで大体の時刻を計る、この時間法が使われていたそうです。このスケジュール帳と電子時計は、そんな「不定時法」で毎日を過ごせるようなツールとなっているのです。

時の流れはいまも昔も一定で普遍的なもの。ですが、日の出と共に起き、日没と共に寝る...。そんな、自然と共にあるような過ごし方を江戸時代まではしていたんですね。

忙しく息の詰まるような現代の時の刻み方ではなく、自然と共に、ゆったりと、時を刻んで生きるということ。江戸の時を感じ現代人に「心のゆとり」を持たせるアイディアです。


次に半田早奈英さんの作品を紹介します。
「しゅうかん朝ごはん」

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朝ごはんを食べる、ということは日々の健康と深い関係があります。朝、きちんと食事を摂ることで気持ちよく、かつ健康的に一日を始められます。特に子どもにとってはとても大切なことです。

しかし、朝は食欲が出ず、嫌がってあまり朝ごはんをきちんと食べない子どももいます。しっかり朝ごはんを食べないと、栄養が頭に行かず、ぼんやり...体にもあまり力が入らず、だるくなってしまいます。朝ごはんをきちんと毎日食べる習慣をつけることは、成長期の子どもに特に重要なのです。

ですが、親にとって朝は忙しい...そこで、お皿を変えるだけで子どもが朝ごはんを進んで食べられる習慣をつくれ、手軽に朝ごはんに楽しさをプラスできる。そんな、一週間の朝ごはん用の日替わり紙皿を制作しました。

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種類は全部で、一週間分の7通り。カラフルでとても可愛らしいデザインです。それぞれに違う絵柄が印刷されていますが、なにやらところどころに何かを置けるような場所が...気になる使い方はこちら!

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朝ごはんを月曜日のお皿の上に乗せると、朝ごはんがキャラクターになりました!7つの違う"しかけ"がお皿に施されているので、朝ごはんをあまり食べられない子どもでもこれなら楽しく食卓に向かうことができそうですね。

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他にも、電球になって朝ごはんがぴかぴか光ったり、風船に連れられて飛んでいったり...様々な工夫が盛り込まれているので、明日はどんなご飯だろう?どんなお皿だろう?なんて、わくわくしますね!このお皿を使うことによって、朝ごはんをきちんと食べて、一日を元気よく健康に過ごしてもらいたい。そんな想いのつまったアイディアです。


こちらは「地球と健康」の課題の、最終プレゼンの様子です。作品の展示をし、受講者全員とその他の授業を担当していた先生方に対し、それぞれが作品をプレゼンします。

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「カバンの中身を整理して、心の整理整頓をするアイディア」

「"笑顔"を習慣づけ、心を健康にするアイディア」

「質の良い睡眠を促すアイディア」

「バーチャル温泉体験(!)」...などなど。

この「地球と健康」をテーマにした作品は、私や久保くん半田さんの3作品に限らず様々なアプローチのものがあり、どの作品も個性的でとても面白いものでした。

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「地球を健康にする」ことは、必ずしも地球の環境問題を改善する...ということではありません。

"地球"に住む人々、動物、そのほかいろんなもの・・・。

自分たちを取り巻く環境や生活を、よりよくしていくアイディアを考えること、行動をすること、発明をすること、提案をすること。なにか小さなきっかけから、自分やそのまわりの環境をよくしていくことはできます。それは誰かから気づかせてもらうこともあれば、自ずとひらめくこともあります。

その全てが「地球を健康にすること」であり、「地球のお医者さん」の仕事なのかなと、私は思います。また、地球おにぎりに関する広報のメディアとして「地球ドクター」というフリーペーパーを製作しました。こちらのPDFから内容の一部をお読みいただけますので、よろしければご覧下さい。

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今回は3回にわたりブログを読んでいただきありがとうございました!まだ、これからも「地球おにぎり」をより良いアイテムにしていくために、挑戦していきたいと思います。

(Think the Earthインターン 山下真奈)


「地球のお医者さん」全3回
第1回「地球のお医者さん」
http://www.thinktheearth.net/jp/staffBlog/2016/04/post-362.html
第2回「地球のお医者さん」
http://www.thinktheearth.net/jp/staffBlog/2016/05/2-6.html
第3回「地球のお医者さん」
http://www.thinktheearth.net/jp/staffBlog/2016/05/3-1.html

協力
・OISCA中国 植物博士 冨樫智さん
・Think the Earth 上田壮一さん/ 曽我直子さん
・多摩美術大学情報デザイン学科 教授 宮崎光弘さん
・多摩美術大学情報デザイン学科4年 
  久保亮太くん(「江戸の時間で生きてみるツール」) 
  半田早奈英さん(「しゅうかん朝ごはん」)
  近岡麗華さん(第2回・第3回 写真提供)

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2016年05月11日

第2回「地球のお医者さん」

地球日記

こんにちは。インターン生の山下真奈です。前回に引き続き、砂漠化問題についてのお話です。

自分なりのアプローチ方法を考え地球おにぎりの試作品を制作していた丁度その頃・・・、ゼミを担当していた宮崎先生と、Think the Earthの上田さんのご紹介で、実際に現地で活躍されリアルタイムで問題と向き合っている中国OISCAの冨樫智さんにお話を伺える機会をいただくことができました。

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それまではネットや本でしか知ることのできなかった「砂漠化問題」についての知識を、直接聞くことができた貴重な体験でした。その時のお話を紹介させていただきたいと思います。

冨樫さんは20代の頃から内モンゴルに入り砂漠化の対策に関わってきたといいます。当初を振り返り、自身の失敗談を語ってくださいました。

まずは現地の方の協力を得ることが大変だった、と言います。砂漠化をとめるための植林活動ですが、もっとも適した時期として春先に実作業を行うのが効率的なのだそうです。けれど春先というのは現地の方々にしてみれば、農作業や放牧などの生業で忙しい時期なのです。

また、現地の方にしてみると自然というものは永久資源である、と考えているところがあったらしく、植林作業の必要性に共感してくれず、なかなか自分たちの活動に積極的な思いを抱いてくれなかったのだそうです。

また、植林する植物の種類も間違えていた、と言います。当初、ポプラなどの生長が早く、しかも用材として注目されていた種類のものを使用していたそうなのですが、ポプラの特性上、生長するのにたくさんの水分を必要としていたため、降雨量の少ない内モンゴルでは枯れてしまい、対策には不向きだと分かったそうです。

このような、「どんな植物の種類」が向いているのかということも、長期スパンで実験をしなくてはならない環境問題の解決。1年に1、2回ほどしかできない長期にわたる実験をずっと繰り返してきたそうです。

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さて、現在中国の内モンゴルの方で研究を行われているそうなのですが、この地域では年々人口増加が進み、また砂漠化による耕地面積の減少も著しく、食糧問題が注目されています。このペースで行くと数年後には食べ物が足りなくて飢餓の問題に発展していくので、早急な対策が必要となっています。具体的な対策としては禁牧政策によって放牧の制限をし、耕地面積を少しでも広げたり・・・みなさんも耳にしたことがあると思いますが、一人っ子政策なども行われています。

冨樫さんのお話を聞き、中国では砂漠化という問題から二次被害の段階である食糧難を対策するレベルにまで、人々の生活に影響を及ぼしてきている状況なのだと知ることができました。

これからのこの問題に対する対策としては乾燥地域における耕地面積の増加がテーマとなってくるそうです。そうなると、やはり土壌改善の対策が必要となってきます。今まで行ってきたことの具体的な内容としては、バクテリアを砂に混ぜたり、固砂材を領したり・・・様々なことをされてきたそうです。

バクテリアというのは人間と同じで、ストレスを与えると多糖質という糖質を分泌します(私たちも疲れると、甘いものが食べたくなることがありますよね)。その糖質が土壌の栄養素となってくれるのだそうです。乾燥地帯に対して適した性質を持ち、土壌の改善に一役買ってくれています。

また固砂材というのは、砂の硬さを調節する薬のことです。植物が育つためには、「土壌硬度」というものが重要になってきます。その植物が育つのに適した土壌硬度よりも固い土壌だと、根が地面にもぐれず、うまく根付きません。畑を耕すという作業は、土壌硬度の調整をする作業なんですね。また柔らかすぎても風などの自然の力で砂や土が動いてしまい、植物がうまく根付かず、枯れてしまうのだそうです。それを防ぐため、大地を固めるのがこの薬の役割なんだそうです。

さて、次に冨樫さんが今具体的に行っている、環境対策のお話を聞かせていただきました。乾燥地帯での植林に適した種類の樹木を模索している、ということを前述しましたが、今あらたに注目されているのがソウソウ(梭梭)という植物。

このようにとても細かい種子です。

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ソウソウという植物は「砂漠のマングローブ」と呼ばれる自生植物らしく、一度根をはってしまえばなかなか枯れず、またあまり水分を必要としないので非常に生命力の強い植物として注目されているそうです。現地ではこのソウソウにホンオニク(漢方薬)という種子を寄生させて栽培する研修を行っています。

このホンオニクという漢方薬が非常にいいお金になるらしく、禁牧政策で生活基盤を失った方々がこれで生活をし始めたそうです。緑化しながら生活基盤を整えられ、一石二鳥ですね!

しかしこのソウソウという植物、とても速いスピードで発芽するものの、根付きが悪く、苗まで生長させることが非常に難しいそうです。今は苗まで育ったものを砂漠化した土壌に移し、根付かせるという方法を行っているそうなのですが、栽培が難しく時間的コストもかかるため、砂漠という厳しい環境には適しているものの実際に使用していくのにはまだまだ改善点が必要なようです。

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今回おはなしを聞かせていただく際に私が試作した地球おにぎりを見ていただいたところ、この割り箸をつかい、ソウソウを種子からうまく生長させられるようなアイテムができたら現地で役に立つのではないかとのご意見をいただくことができました。

けれど砂漠化に対して有効なデザインとしては、まだ形態が改善の余地があるのでは・・・というアドバイスもいただき、この地球おにぎりにはまだのびしろがあるな~と個人的に感じたのでした。

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それでは最後、第3回の記事では、初回の記事で書かせていただいた「地球と健康」というテーマに対して、私以外にも解決を模索していたゼミ仲間の作品を少し紹介させていただこうと思います。

彼らは「地球と健康」に対して、どのようなアプローチをしたのでしょうか・・・?お楽しみに!

(Think the Earthインターン 山下真奈)

第1回「地球のお医者さん」
http://www.thinktheearth.net/jp/staffBlog/2016/04/post-362.html

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2016年04月26日

第1回「地球のお医者さん」

地球日記

はじめまして、昨年12月からThink the Earthでインターンをさせて頂いている山下真奈です。この度、私が大学でクリエイティブと環境問題の課題解決について取組んできた1つのテーマについて、制作・実験・インタビュー等、これまで行なってきた課程の中で疑問に思ったこと、学んだこと、気づいたことを3回に分けてご紹介させて頂きたいと思います。

簡単な自己紹介をさせていただくと、私は小さな頃から何かモノをつくるということが大好きで、思うがままに手を動かし続けること十数年・・・気がつくと美術大学に通う大学生になっていました。

そんな美大生活3年目の昨年9月。私が所属するゼミにThink the Earthの上田さんを講師としてお招きした授業で、とある課題が出されたのです。それは「地球と健康」というテーマをもとに、自由に制作をするというもの。地球規模での問題解決を提案する・・・非常に壮大なテーマだと感じました。

以前から地球の抱える問題(=環境問題と私はとらえました)には関心を持っており、調査やレポートを行ったことがありました。なのでこの経験を生かし、なにか環境問題を解決することにつながるアイテムを作れたらいいなと思い制作に取りかかったのです。

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まずは「健康」から想像する様々な言葉を一生懸命思い浮かべてみました。そして頭の中で引っかかったのが、どこがどう悪いのかを診察し適切な処置をして、健康へと患者を導く「医者」というワード。そういえばこの世には様々なお医者さんがいるなと、ふと思い、試しに書き出してみると・・・人間のお医者さんはもちろんのこと、動物にもお医者さんはいます。細かく見れば内科医、外科医、心療内科医、眼科医、歯科医・・・。問題の数だけお医者さんがいる世の中になっていました。さらに調べものを続けていると、「樹木医」というお医者さんにたどり着きました。

突然ですが皆さんは「樹木医」の方とお会いしたことはありますか?人間のお医者さん、動物のお医者さんは身近にいることがありますが、植物のお医者さんというのはなかなか出会う機会が無いように思います。私自身にとっても、「樹木医」というものは未知なるお医者さんでした。

彼らは樹や植物が育つ為の土壌改善や環境の手入れ・見直しなどをして、それらの健康を保つお仕事をしているようです。樹や森が健康になるということは、豊かな「自然の恵み」を受け、動物やそのほかの生物も住処を得て繁栄していけるということ。また、その良質なサイクルが潤滑に行えるようになるということ、を指します。

そのことから樹木医は、大きな視野と長いスパンを持って"地球"のことを健康にしようとしている「地球のお医者さん」なのでは?と思いました。もちろん地球を健康にする「地球のお医者さん」は樹木医にとどまりません。どの問題に対して、どのように働きかけるか。その違いしかないのです。

ならば私もこの課題をきっかけに、「地球のお医者さん」として、「地球」を「健康」にしてみよう!と思い立ったのです。

数ある環境問題の中、私が「地球のお医者さんの仕事」として着手しようと決めたもの、それは、砂漠化問題でした。砂漠化が深刻な、サハラや内モンゴルなどでは居住区域や田畑が、押し寄せる砂漠に食われてしまっている現状。このままでは地球全土を巻き込む、食料不足問題が起こりかねないと言われています。この砂漠化問題を食い止めるために、砂漠の緑化を対策として考えました。なんとかして砂漠に植物を生やしたい!

そこで、バイオテクノロジーに詳しい知人から助言を頂きつつ・・・カラッカラに乾燥した、養分もほとんどない砂漠でも植物を育てることができるアイテムを作ってみました!

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「地球へのさしいれ」をコンセプトにしたこの地球おにぎり。その名の通り"地球に食べさせてあげる"アイテムです。何でできているかというと・・・使用済みの割り箸、オブラート、豆の種。これだけです。

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使用済みの割り箸を再利用することによって、自然に還してもゴミにならないエコ仕様となっています。作り方は、
①オブラートを溶かした水に細かく粉砕した割り箸を浸す。
②しっかりしみ込ませた割り箸に、具となる"タネ"をいれ・・・
③しっかり水気を切るように握る。
④日干しして完全に乾いたら完成!

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↓ちなみにこちらが完成した現物です!

\ じゃじゃんっ /

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あとはこれを土にうめて水をかけてやると、芽が出てくる。という、仕組みになっています。

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砂漠化した土地は、いわばカサカサのお肌。貯水するための"保水性"と"養分"が足りていません。なので雨が降ってもすぐ土が乾いてしまい、発育条件を満たすことができないのです。そこで割り箸という保水性ばっちりの素材を使い、発芽して、ある程度植物が育つまでの代わりの土壌として利用できないか、と考えたのです。またデンプンでできているオブラートを使うことによって、その粘り気によって粉砕した割り箸を1つにまとめることができますし、養分も保水性もさらに向上させることができます。

今回、地球おにぎりの具として豆の種を利用した理由は、豆が持つ「根粒菌」が砂漠でも力強く育つ手助けをしてくれ、食料不足問題のある現地での食料にもなると思ったからです。

制作を進めるうちに、もっと地球おにぎりの機能性をあげたいと考えるようになりました。そこで、実際に砂漠化の問題に取り組んでいらっしゃる専門家の方にも、お話を伺いました。砂漠の緑化対策に向けて研究をされている、中国OISCAの植物研究博士の冨樫 智(とがし さとし)さんです。

次回は冨樫さんにお話を伺った際のレポートをご紹介します。
それではまた!

(Think the Earthインターン 山下真奈)

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2015年05月20日

KIITO|デザイン・クリエティブセンター神戸に行ってきました!

地球日記

先日、地元に帰省した際にずっと行きたかったKIITO|デザイン・クリエティブセンター神戸に行ってきました!

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神戸市の中心部には近代洋風建築が多く残っており、今でも海運ビルや商社・銀行・ファンションビルなどとして利用されています(有名な観光地は神戸旧外国人居留地、神戸北野異人館街など)。KIITOも近代洋風建築の建物。神戸市の中心部三宮の海側に位置し、1927年に建設されたこの建物は、輸出生糸の品質検査を行っていた場所でした。そして、2012年8月にKIITO|デザイン・クリエティブセンター神戸として生まれ変わりました。

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建物の中に入ると、すぐ+クリエティブスタジオを見つけたので早速入ってみました。

KIITO_04.jpg       壁に書かれていたKIITOの紹介文

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この部屋はいままでKIITOで開催したプロジェクトや、「+クリエティブゼミ」で実際プロジェクトとして実施したものを展示しているようです。

今年の2月に開催したセミナー&サロンでゲストにお迎えした永田宏和さんはKIITOの副センター長。セミナー&サロンではKIITOでの活動のお話もしてくださいました。

▼スタッフブログ
いま社会に必要なのは「+クリエイティブ」 [セミナー&サロン]

その時にお伺いしたプロジェクトの展示もいくつかみつけたので紹介しますね。

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ちびっこうべ
http://kiito.jp/project/2014/01/10/58/

ちびっこうべは、神戸の子どもたちとクリエイターが一緒にまちづくりを行う体験型プログラムです。プロの仕事に実際に触れ、専門家から直接教わりながら、子どもたち自ら考え、自分たちの手でまちを創りあげます。

まちの中にはショップだけがあるわけではありません。ハローワークがあり、市役所や銀行まであるそう。まずは市役所で市民登録をしてハローワークでお仕事を探し、働いて得たキート通過を銀行でもらい、自分自身で使うことができるという仕組み。市民が多すぎると仕事がなかったり、きちんと計画しないと様々な問題が起こるそうです。ただ職業体験するだけではなく、お金の流れや都市計画まで考え、さらにプロのクリエーターと一緒に創りあげていくこの体験型プログラム。大人の私でも参加してみたいと思いました。

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もうひとつ気になったのはこちらの「date.KOBE」プロジェクト。
http://kiito.jp/schedule/news/article/7282/

このプロジェクトは神戸市の創造的活動支援事業として、観光コンベンション推進室と協力して2011年10月から2012年2月に実施した「+DESIGNゼミ vol.5 観光編 神戸プロモーション」で、クリエイターや学生、一般市民の有志で「神戸の観光」をテーマとして、生まれたプロジェクトです。

私も地元にいた頃は神戸によくデートに行っていました(笑)。神戸には夜景が見れる六甲山やヨットハーバー、近代洋風建築の建物が並ぶ街並み、神戸港の方には神戸モザイクという複合商業施設があるので、夜景を見た後はモザイクでご飯を食べるなど、ロマンティックに過ごせるデートスポットがたくさんあります。神戸の観光をデートスポットとしてブランディングしたのはなるほど!と思いました。

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こちらの写真は+クリエティブスタジオの目の前にあるKIITO CAFE。私が行った日は残念ながらお休みだったのですが、旧生糸検査所時代の検査機械や家具を活用した空間でとても味わいのある雰囲気のカフェでした。

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廊下に展示されている生糸検査時代の機械

KIITO_12.jpg1階奥のKIITOホール。ここでちびっこうべのまちができるようです!

次に向かったのは2階のライブラリと生糸検査所ギャラリーです。

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ライブラリ
http://kiito.jp/floor-guide/2f/article/32/

ライブラリにはたくさんのフリーペーパー、書籍や雑誌などがあり、ソファーや椅子に座って読むことができる空間でした。また、アイデアのヒントが入っている「ひきだしきいと」なるものがありました。 「れ」と書いている引き出しの中を見てみると、レッドベアサバイバルキャンプの手袋とプロジェクトの紹介をしている資料が入っていました。ただ置いている書籍や雑誌を読むだけではなく、アイデアのヒントをもらって帰ることができる場所にもなっているようです。

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最後に向かったのは生糸検査所ギャラリー。
http://kiito.jp/floor-guide/2f/article/30/

生糸検査所だった頃の機械が展示されていて、それぞれ機械の役割の紹介や、神戸港の歴史などを知ることができる場所になっていました。

この日は2階までしか行けませんでしたが、3階4階にはクリエティブラボといって、個人、団体、企業向けのレンタルオフィス、アトリエが入っているようです。また、ほかにもレンタルスペースがあり、3階の会議室スペースで「+クリエティブゼミ」等が開催されているようです。


私が住んでいるまちから神戸へは電車で30分で行くことができます。とても近くに住んでいて、子どもの頃から憧れていた神戸のまち。大人になってKIITOを通じて改めて神戸というまちを知ったときに、ますます好きになりました。


最後にお知らせです。今月からKIITOで始まった+クリエイティブゼミ vol.15 環境編 「地球温暖化対策プロモーション大作戦!!」。来週5月26日(火)にはThink the Earth理事の上田壮一がゲストで登場します。興味がある方はぜひ参加してみてください!

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(推進スタッフ 曽我直子)

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