2000年12月7日
丁寧に磨かれたガラスは
レンズと同じぐらい精度が高い!


wn-1の特徴である地球針をいつまでも美しく守る!?ガラスの研磨は、どのような方法で磨くかがカギになり、試行を繰り返して完成しました!
ドーム型をしたガラスを採用したのはwn-1が長年にわたって愛用されたい、という願いがあるからです。
「こういうガラスの時計、つまり極端な円弧のガラスを製造することは普通ないですよね。」
とインタビューに答える
沼田光器のガラス製造担当の
下川進さん。


「最初はね、どうやって磨くか、どんな方法が一番適しているのか、これはだめだ、とずいぶん失敗したんです。その試行錯誤の上で今のwn-1のガラスがあるんですよ。通常の時計ガラスとかなり違う円弧を削り込むのは大変なんですよ。そこでちょうどいい型をしたガラスを探して試行を繰り返し、正確な弧をえがくwn-1のガラスに仕上がったんです。そのガラスというのが本来はレンズにするガラスで、乱反射や屈折がほとんどゼロに近い。高品質の磨きですよ!」

ピッチ研磨と言って、一番精度のいい磨きのことで、レンズ業界で使う言葉ですが、そのピッチ研磨で製造しています。カメラのレンズや天体望遠鏡のレンズは、このピッチ研磨で製造されていますよ。普通のレベルの時計ガラスの場合に行う高速研磨で仕上がったガラスと比べてみてください。艶や光沢が全然違うと思いますよ。この光沢は他のものに比べて絶対いいです、自慢できます(笑)。わかりにくい人もいるかもしれませんが、輝きが違いますから。それだけ時間もかかっていますから大変ですけれどね。」

「アクリル使っていたら、柔らかくてゆがみが出てくるし、温度差があると膨張率が高くなり、防水が効かなくなってくるんですよ。傷も付きやすいしね。ガラスを使っているから地球針が引き立つ、でしょう(笑)。」

企画担当であるセイコーインスツル(株) の大友さんも続く。
「開発の最初の段階で、製品化する前のプロトタイプ制作ではアクリルでしたが、どうしてもガラスでやりたくてね。絶対ガラスだと。それでこのドーム型のガラスが出来ることになったときは非常に盛り上がりました!」

下川さんが工房内を案内しながら...
「まず内面を磨く前に、砂かけ(磨き粉をかけること)をして磨いていきます。このとき研磨道具にはダイヤを使って細かく磨いていきます。内面ができあがったら、上面、地球針をカバーしているガラスの表面のことで、つまり手で触れる表側を研磨していくわけですが、これだけの深さがある丸い形ですからね、固定させないと磨けないんですよ。固定をさせるための接着剤もやっかいで、あとできれいにはがす必要がありますから。」

磨き粉の種類によって色が違う
こちらは粗砥のための研磨剤を使っている
研磨が終わったガラスも まだザラザラした荒い表面になっている

古い機械と新しい機械の両方を使って製造しています。こういう古い機械も使用していますが、この機械だからこそドーム型のガラスを磨けるんです。高速機械だけではとても無理。傷がつくことも多いし、面精度が良くない。先ほども言いましたけど、仕上がりが全然違うからね!」

こちらは目の細かい研磨材を使用
この磨き粉を使い分け
だんだんとガラスが半透明になっていき
最後には良質のガラスが生まれる
ガラスを支えるための接着剤
研磨後には冷やしたり洗浄して
ガラスから接着剤を取り除く
足幅を磨く研磨機材
上面にブラシが付いていることで
ガラスの上面が傷つかないようになっている
通常なら回転させるための受け皿に
何個も入れて研磨できるが
wn-1の場合は受け皿1つに対して1個のガラス
しか入れることができない
1個1個が丹念に研磨できるよう
工夫がたくさんつまった研磨道具
最初の段階では乳白色だが
磨かれるうちに透明に輝いていく
通常のガラスに比べて柔らかさを感じる

「上面が磨きあがったら、強化処理をします。ガラスに焼きを入れるんですね。そして最後の仕上げに、足幅といってコアモジュールの台に接する面を磨きます。全てがぴったり仕上がってこそコアモジュールにはめ込むことができるんです。」

ピッチ研磨
面精度の高い磨きに仕上がる
ドーム型の真上までしっかり磨ける
強化処理への準備
この釜に数時間入れて強化処理を行う
温度は約530度!
最後に最終検査を行う
何度も研磨材をかけて丁寧に磨かれた後、冷やされたり高温の釜に入れられ、最後は洗浄してからさらに熱湯に入って1晩すごして煮沸されるwn-1のガラス。こうして美しい円弧のガラスに仕上がっています!
「もともと親父がレンズ屋でしたので、子供の時分から見て触っていましたよ。そうして親父の跡を継いだんです。一人前になるには難しい。良品を生み出すコツはやはり自分の目と勘ですね。それと家族ぐるみの職場ですから、いろんな処理や問題を検討しやすいですから、何度も話し合いを繰り返していて支えられていますね。」

「wn-1の価格が高いか安いかは個人によるでしょうけれど、大切に持ってくれると嬉しいね。コスト削減のために他国へ出して激安で売られたものより、細かい部品までオール・メイドインジャパンで丁寧につくって、大事にしてもらうものを作った方が作り手としても嬉しいですよ。 最近モノに対する愛着が薄れていることをよく感じます。壊れたら修理をしてまた大事に使うという感覚がほとんどないのが残念です。 本当に欲しいもの、貴重なもの、長く使うもの、そういう価値あるものをずっと作り続けたいですね。