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インタビュー:2 試行錯誤の地球針印刷


  九十九里浜にほど近い印刷工場

2007年11月16日

インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]地球時計の要となる、地球針。
今回は、wn-2から新たにラインナップに加わった、シルバー地球針の印刷工場を取材しました。

訪ねた先は、九十九里浜にほど近い、千葉県山武郡九十九里町にある株式会社大井製作所です。


大井社長、荒川専務、製作を担当された倉田さんの3人にお話を伺いました。
「ここでは化粧品の容器や、ガスマスクなど、多岐にわたるプラスチック製品の成型から印刷まで一貫した製造を行っています」と大井社長。


  パッド印刷とは?

半球体である地球針には、紙のような平面と同じ方法で印刷をすることができません。そこで今回の印刷には、パッド印刷という技術が使われました。

パッド印刷は版に流したインクを、シリコンパッドに移し、それを印刷対象物にプレスすることで印刷する方法です。弾力性のあるシリコンパッドが印刷対象物を包み込むため、球面にも印刷することができるのです。

「パッド印刷は、コンパクトのフタや曲面上のロゴマークに使われます。大井製作所では、化粧品のパッケージをはじめ、曲面への印刷経験は豊富ですが、小さなドーム全体に印刷を施したことは無かったので、試行錯誤しました。」
と荒川専務。

このシルバー地球針の印刷にあたっては、なんと、1年半前から試作を開始したそうです。 通常の印刷よりもずっと長い準備期間がかけられています。
一言で試行錯誤と仰っていましたが、ご苦労は相当なものだったことが覗えました。


  半球への印刷は試行錯誤の結晶!

インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]工場の製作現場をご案内いただいたのは、作業を担当された倉田さんです。
実際に作業を行ってくださいました。


インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]まずは原版を装置にセットします。


インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]次に、シルバーの地球針を固定します。


インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]原版に薄くインクをのせた状態で、シリコンパッドを押し当て、インクを移し


インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]さらに、そのシリコンパッドを地球針に押し当て、転写します。


インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]最後に印刷ののりをチェック


完成までの一連の流れはとてもスムーズですが、この流れを作るまでに大変なトライ&エラーがあったそうです。倉田さんに特に苦労なさった点を伺うと、
  • 印刷時のゆがみを考慮した正確な版をつくること
  • 半球の地球にフィットするシリコンパッドの形状と、柔らかさ
  • 塗料の硬さの調整
  • 地球針を固定する治具の製作
などの点を挙げられました。

「版の大きさは、歪みの加減を考慮しながら、細かく調整しています。版を作ること自体は難しくないのですが、それを転写したときぴったり合うサイズを見極めるのが難しいです」と試作された版を見せてくださいました。

インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]版に刻まれた地球の地図(インクを流す部分)の深さはたった2/100mm。


「パッドの素材はシリコンですが、中空にして、通常のものより柔らかくしました。普段中空のものは使用しないので、特別に作っています。これも、何個もサンプルを作って試し、最適なものを決定しました」

インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]パッドにインクをのせた状態。


インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]パッドを地球針に押し当てた状態。このとき、パッドも変形するので、その誤差を考慮に入れた版の作成が必要なのです。


塗料の硬さも調整します。硬すぎると色が濃くなり、小さい島や半島が表現できません。逆にゆるいと薄くなり、透けてしまいます。
溶剤を加えながら様子をみて印刷していきます。

インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]金型に流したインクはカミソリのような金属でかいて、エッジをきれいに出します。


インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]印刷時にドームを固定する治具も特注です。


インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]一通りの流れで印刷が終わっても、不良が無いか確認します。大陸の形と縮小率の正確さが、wn-2で正確な時刻を知るための一番の要になるので、特製器具を使ってチェックします。
よくある不良は島(細かいところ)が欠けることや、大陸(広いところ)がまだらになる点。この場合、インクを拭きとり、印刷しなおします。
「小さな島なら欠けても分からない…、と一瞬思うけれど、そこに住んでいる人のことを考えたら、しっかり表現できていないと」と倉田さん。
誰でもできる作業ではないので、地球針の印刷は倉田さんが全行程を完璧に把握して、受け持ってくださっています。

インタビュー[試行錯誤の地球針印刷]「最初のテストの時には、完成にこぎつけられるのか心配でした」と荒川専務が思い返されていたように、版の製作から始まり、インクの調整、パッドや治具など、様々な器具の製作を経て印刷に至るまでの試行錯誤と、創意工夫が結晶となったのがこのシルバー地球針なのです。

取材:中島愛子、山口倫之(Think the Earthプロジェクト)