第8話
「水は1人1日 -20リットル」

Topics Drops

 1: 川ガキ
 2: 絵本
  『しずくのぼうけん』

 3: 水は支配できるか?
 4: 涸れゆく地下水、
  化石帯水層

 5: 水がはぐくむ京の暮らし
 6: 下町流
  雨を活かしたまちづくり

 7: 真夏の打ち水大作戦
 8: 水は1人1日 -20L
 9: 神々が息づく水源
10: 水の科学館 訪問記
11: 100年の水の物語
  映画『アレクセイと泉』

12: 今も残る東京・武蔵野の水車
   
難民キャンプのくらし@アフリカ・シエラレオネ
水は1人1日 -20リットル
2004/9/28


水は人間にとってなくてはならないもの。それは世界共通ですよね。それが難民キャンプであっても同じであるはず。そこで、実際の難民キャンプのようすについて、紛争地域や貧困地域での緊急支援を行っている国際協力NGOピース ウィンズ・ジャパン(PWJ)のスタッフ、福井美穂さんにお話をうかがいました。

*

「現在、PWJが運営している難民キャンプは、アフリカ西部、大西洋岸に面した国、シエラレオネにあります。2001年から国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協力し、同国内にある8つの難民キャンプのうちの2つ---約5000人が暮らすバンダジュマキャンプ(Bandajuma)と、約5500人が暮らすジミーキャンプ(Jimmy)---を運営しています。ここでは現在、隣国リベリアの内戦から逃れてきたリベリア難民が、祖国に帰れる日を待って生活しています。」

約5,000人が暮らすバンダジュマキャンプ

PWJボー事務所では、日本人2人を含む3人の外国人スタッフと80人の現地スタッフで、この2つのキャンプの設備建設・維持管理に衛生面の管理や指導、弱者支援、給水事業などを行っています。では、難民キャンプにとって“水”はどのような位置づけなのでしょう?

「UNHCRなど難民支援機関が決めている、難民キャンプ設営地を決めるにあたっての前提条件は2点。ひとつは近隣の村が受け入れに賛成してくれるかどうかということで、もうひとつは生活のための水が確保できるか、ということです。」

水があって初めて生活の最低条件がそろうということなのでしょう。もちろん、これは計画的に設営されたキャンプに当てはまることで、急な紛争の勃発などで緊急避難してきた人たちによって自然発生的にできた難民キャンプでは、こうした最低限の条件さえ満たしていないところもあるとのこと。“難民キャンプ”と一口に言っても、キャンプができる背景や土地の条件、気候などによって状況は千差万別なのです。

バンダジュマキャンプでは、地下水調査の結果キャンプ内で地下水が潤沢なポイントが少なく井戸が2本しか掘れなかったため、川から汲み上げて簡易ろ過装置を通した水を、塩素消毒し、キャンプ各所に給水しています。

「PWJが運営するシエラレオネのキャンプで1日に使える水の量はひとり20リットル。ちなみに国連の基準はひとり最低15リットル/日です。」

20リットルといえば、水洗トイレを1-2回流すのに使う量です。シャワーを5分間使うと約60リットルですから、それだけでキャンプの3日分ですね。ちなみに、東京に住む人が、風呂、トイレ、炊事、洗濯など、家庭で使う水の量はひとり1日約245リットル(!)、キャンプでの12日分です。

キャンプでは井戸の維持管理に関するワークショップを行い、難民の中から選ばれたポンプ管理者が、みんなの使いすぎをチェックしています。一方、使用できる水の量はもちろん、質…つまり衛生面の管理も重要だと、福井さんは言います。

「伝染病や、衛生状態が悪いために起こる皮膚病などが広がらないよう、衛生に関する知識を伝えたり、供給する水を塩素消毒したりしています。また、キャンプ内の共同トイレ・シャワーは、井戸から50m以上離して設置することが決められています。」


ジミーキャンプでは手堀りの井戸26本が暮らしを支えています
 
共同洗濯場にて
 
水くみは子どもの仕事です

水の確保は大切。水の衛生も大切。それは難民キャンプでも私たちの生活でも変わらないことだけれども、水が時として生死に関わるほど“生命”に近いものだという実感は、難民キャンプで暮らす人々、働く人々の方がより強く持っているのではないでしょうか。


 


特定非営利活動法人ピース ウィンズ・ジャパン(PWJ)
http://www.peace-winds.org/
紛争や貧困などの脅威にさらされている人びとに対して支援活動を行う国際協力NGOです。日本に本部を置き、世界各地で活動しています。

シエラレオネでのピース ウィンズ・ジャパンの活動
http://www.peace-winds.org/jp/F2/sierra.html

外務省ホームページ(シエラレオネ)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/s_leone/

東京都水道局資料
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/pp/syuukan/index.html

 

取材協力・写真提供:ピース ウィンズ・ジャパン
文:Think the Earthプロジェクト 原田 麻里子