
気候変動の影響を強く受けている3つの島を舞台に作られた、ドキュメンタリー映画「ビューティフルアイランズ」。この映画の監督・プロデューサーをされた海南友子さんより、地球の水の話・美しい話についてお聞きしました。
日時:2010年7月21日(水)19:00~20:30
場所:東京・千代田区 丸の内さえずり館
先生:映画『ビューティフルアイランズ』監督 海南友子さん
聞き手:Think the Earthプロジェクト コーディネーター 原田麻里子
参加人数:32人
主催:Think the Earthプロジェクト
協力:丸の内さえずり館
:海南オフィス
プログラム:Think the Earthプロジェクトコーディネーターの原田が水を切り口に映画のこと、気候変動のことを海南監督にお伺った対談形式の授業です。
思い立ったら行動せずにはいられないという、海南監督の学生時代のお話から、監督が感じるこれから先の地球のことまで、監督自身の言葉で語っていただきました。
映画「ビューティフルアイランズ」は気候変動に揺れる3つの島 -南太平洋のツバル、イタリアのベネチア、アラスカのシシマレフ島- が舞台になっています。
ツバルは海抜が平均1.6m。現在、国土の全部が浸水の被害にあっています。ベネチアは高潮の影響で年間80回ほど水害に襲われているそうです。そして、シシマレフは永久凍土が溶け、島の表面積が激減しています。
どうしてこの3つの島が舞台になったのか?
2002年に氷河での取材で、南米チリのパタゴニアに行き、ロケ終了後に対岸の氷河が目の前で一瞬にしてなくなった体験をした海南監督。「自分の立っている場所から繋がっている場所が一瞬にしてなくなる怖さにショックを受けました」。この経験で、いつか自分の街にも似たようなことが起こるかもしれない、と思ったことがこの映画を撮る出発地点になったそうです。
そして、世界中の誰が観ても、どこかに何か共通点があり、自分の暮らしの何かを思い出したり、ふるさとを思い出したりできる・・・そういう作品にしたいという想いが、地域も気候も人種も違うこの3つの島を舞台にした背景にありました。

島の人たちは水の怖さ・水の大切さを、どう感じて生きているのか?
ツバルの人たちは、これまでずっと、ほぼ自給自足で生きています。しかし、島全体が海水の影響を受け、作物の取れ具合が次第に落ちたことで、食べ物を買わないといけない状況に直面しています。経済的にも厳しい状況の中、ツバルの人たちは、自分たちの国が沈まないと信じています。しかし、本音を聞くと、島で生きていく以外に選択肢がないので、楽観的に何かを信じていないといられないという現実があるようです。
「ビューティフルアイランズ」(配給:ゴー・シネマ)より(C)海南友子
ベネチアの人たちは、13〜16世紀からずっと、水の上に住む文化の中で生きています。1969年に169cmもの高波が街を襲い、市内の1階に住んでいた人が大量に引っ越しをしたことがありました。現在は、1年のうち10〜12月のたった3ヶ月の間に、80回も水没します。ベネチアに住んでいる人たちは、市の潮位センターから送られてくる潮の情報を、SNSのメッセージで受け取ることができます。私たち日本人が天気予報を観て、「雨降るかな?」「傘持っていく?」というのと同じ感覚で、「今日の潮は何cmだろう」ということが、冬場とても大事なことになっているのです。
「ビューティフルアイランズ」(配給:ゴー・シネマ)より(C)海南友子
15年前のシシマレフは気候変動の「き」の字もありませんでした。しかし、いま国土の面積が激減しています。彼らの島は永久凍土でできているので、それがどんどん溶け出しているのです。近年では、11月になっても海が凍らないシシマレフ。島民たちは、住民投票で島を出ていくことを決めています。そうしないと生きていけないからです。しかし、わずか600人の人口とはいえ、島民全員がそろって移住できる先が見つからないのが現状です。彼らは狩りをしながら生活をしているので、文化を守りながら生きていきたいのです。
「ビューティフルアイランズ」(配給:ゴー・シネマ)より(C)海南友子
監督が感じる、答え・希望・救いとは?
海南監督は「解決方法はこの世に全て存在している。技術的にも、人間の知的レベルにおいても、全てが提示されていると思っている」と言います。では、どうして私たちはすぐに対策ができないのでしょう?それは「心が動いていないからだと思う」と監督は語ります。
学生時代から環境問題に興味があり、大学を1年間休学し、A SEED JAPANという、青年による国際環境NGOを立ち上げました。興味があると突っ走っていく性格で、その頃からインドへは井戸掘りに、インドネシアには植林に行き、現場を経験してきたそうです。
「いま、関心のあることにちゃんと取り組むことで、すごく大きい環境問題が解きほぐされていく一歩に繋がります。ーー環境問題は、生きているスパンでは解決できないと思います。けど、やり続けることで、必ず良い変化を生み出しているという歴史を信じています」と確信を持った表情で話してくださいました。
※イベント当日の海南監督のメッセージを動画でご覧いただけます。是非ご覧下さい。
自分事として考える
私の心がまた一歩、動き出しました。
いま、世界中で、気候変動が原因だと言われる自然災害が、たくさん起こっています。その一方で、気候変動など起きていないと声を上げる人がいるのも事実です。けれど、実際にこの3つの島では、目の前で被害が起こっているのです。それを自分事として考えるためにはどうすればいいのか?それは、監督がおっしゃっていた、「生きているスパンでは解決できない」。この言葉に集約されている気がしました。目の前で起こっていることを、今すぐ解決できないからと言って、決してあきらめてはいけない。私たち一人ひとりができることは、とても小さなことかもしれません。しかし、それが大きなひとつの塊となって、未来に続いていくように、頑張り続けたい。映画を観て、監督自身のお話を聞いて、そう深く思いました。
→「ソーシャルブリッジTV」、海南友子さんのトークイベント「地球の水の話・美しい話」
「ソーシャルブリッジTV」は、世の中のイイコト(社会貢献、ソーシャル、エコ、CSR)を取材し、動画を通して素敵な活動をわかり易く伝えるサイトです。
参考:A SEED JAPAN


