これまでThink the EarthプロジェクトのWater Planet Campaignで街のあちこちで空のボトルに水を補給する場所、給水オアシスのウォーターサーバーを提供してくださっていた、いずみやさんの水「スイークレイ」。もちろんThink the Earthプロジェクトのオフィスでも使っている美味しい水です。この水がどんなところからやってきて、給水オアシスで皆の喉をうるおしてくれていたのか。水道水とはまた違うミネラルウォーターの源流を追うレポートをしてきました。
おいしい水って、どんな水?
ほたるは甘い水を好むという童謡もありますが、人間もそうなのでしょうか?
環境省の「名水百選」※1にも選ばれている群馬・榛名山(はるなさん)の箱島湧水。
樹齢400年の杉の根元からこんこんと湧き出るナチュラルミネラルウォーターを、
「スイークレイ」としてご家庭やオフィスに届けている(株)いずみやさんの工場を取材させていただきました。
※1「名水百選」に選定された名水は、飲用に適することを保証するものではありません。各自治体にご確認ください。
コンビニ、スーパー、自動販売機などでいつでも手軽に購入できるミネラルウォーター。
2009年の日本での一人あたりのミネラルウォーター消費量は、19.7ℓ(日本ミネラルウォーター協会調べ)。20年前に比べ、消費量は20倍以上に増えています。
生活に身近なものとなったミネラルウォーターですが、ではその定義とは一体なんでしょうか?
農林水産省によると、日本におけるミネラルウォーター類とは、「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」の4つ。
実は、ガイドラインにはミネラル量についての基準がないため、ミネラル分がほとんど含まれていない水、いくつかの水源をブレンドした水、人工的にミネラルを添加している水などもあります。また、水道水や河川水など、飲用できる水であれば「ボトルドウォーター」と呼べます。
ミネラルウォーターと聞いて私達がイメージしやすいのは、森などに降った雨や雪がゆっくりと大地にしみ込んで、土壌中のミネラル分が自然に溶け込んだものではないでしょうか? それは正確には、「ナチュラルミネラルウォーター」という分類になるのです。
参考図書:『おいしい水 きれいな水』(著 橋本淳司/日本実業出版社)
みずのがっこうでは、自然が時間をかけて作り出した「ナチュラルミネラルウォーター」を求めて群馬県の榛名山に行ってきました。
山頂に榛名湖を有する榛名山にある箱島不動尊。その脇にある樹齢400年の大杉の根元からこんこんと湧き出る「箱島湧水」は、日量およそ3万tを誇り、環境省の「名水百選」にも選定されています。
飲料水や農業用水、養鱒場用水としても利用されている箱島湧水。取材中にも、ポリタンクやペットボトルに水を汲む地元の方々の姿がありました。
箱島不動尊の大杉は、目通り5.30m、高さ23m。群馬県吾妻郡東吾妻町の天然記念物になっています。
この箱島湧水周辺には数カ所の湧き水があり、そのうちの一つをボトリングした「スイークレイ」を、1988年より東京を中心に家庭やオフィスに届けている(株)いずみやさん。箱島不動尊の近くには、いずみや榛名水工場があります。その工場にてスタッフの皆さんのお話を伺いました。
右から、取締役副社長の柳瀬勇二さん、工場長の茂木浩二さん、副工場長の村上紀之さん
茂木さん「榛名山は那須火山帯に属していることもあり、軽石などの地層があります。山に降った雨や雪はいくつもの地層のフィルターを通って、ミネラルを多く含む水に育っていくのです。」
柳瀬さん「箱島湧水は、ほのかに香る甘さが特徴で、北米インディアンの言葉であるSweet=「甘い水」から、『スイークレイ』の名が生まれました。厚生労働省のおいしい水研究会で検討された、おいしい水の要件があるのですが、『スイークレイ』はミネラル量や硬度など、その要件を満たしているんですよ。」

できるだけ手を加えずに、おいしい水をそのまま届ける
大杉からの湧水はいくつも枝分かれし、工場裏に流れる支流から「スイークレイ」を製造しています。原水を3層のフィルターでろ過し、洗浄したリターナブルボトルに充填。検品後、細菌検査に合格したボトルだけを、横浜の本社へと輸送します。
柳瀬さん「15年もの長い歳月をかけて作られた、いってみれば"スローなお水"なんですよね。地下水を汲み上げているわけではなく、自然に湧き出ているものだからこそエネルギーというかパワーも感じられる。だから加熱などもせず、できるだけそのままのおいしさをボトルに摂りこんで、届けたいと思っているんです。そのため、細菌検査などは食品衛生法よりも100倍ほど厳しく管理しているんですよ。」
また、配送するボトルには賞味期限だけでなく製造日も印字し、なるべくフレッシュな状態で飲んでもらえるように配慮しているという。
村上さん「自分達が育ってきた地元の水を『おいしい』と言ってもらえるのはとてもうれしいことですし、この環境を大事にしなくてはという気持ちが自然と強くなります。」
毎分100ℓという原水の水量に合わせてボトルに充填するため、1日に生産できる製品数は最大5ガロン(19ℓ)ボトルで1500本ほど。
空ボトルを回収して再使用するだけでなく、リタイヤボトルやキャップ等をボールペンなどに再利用しています。
細菌検査の結果がわかるのは48時間後。出荷までは、合掌造りと同じ構造で建てられた倉庫に保管されます。
ほたるは澄んだ甘い水を好むという童謡があるように、工場のある榛名山北麓は"ほたるの里"として知られています。地元ボランティア「箱島ほたる保護の会」をはじめ、地域をあげてほたるの保護に取り組んでいるほか、工場の目の前は保護区になっていて、6~7月には多くの鑑賞者が訪れます。
内海さん「光が長く、6月下旬に多く見られるゲンジボタルと、点滅するように光り、7月中旬に多く見られるヘイケボタルがいますが、農薬の使用などによってほたるの数が減ってしまいました。そのため、25年ほど前に『箱島ほたる保護の会』を発足し、ほたるの発生状況を調査しているほか、ほたるが飛びやすいように草を刈ったり、えさとなるカワニナを放したり、車で訪れる鑑賞者の交通整理などを行っています。」
茂木さん「僕が小さい頃は、窓を開けていると部屋の中にほたるが入ってくるほどたくさんいましたね。蛍光灯や車のライトは、ほたるの活動の妨げになるので、工場の窓に遮光カーテンを取り付けて光が漏れないようにしているほか、夏の夜間は工場前の道路が通行止めとなる事に協力しています。」
「箱島ほたるの会」顧問の内海辰男さん。
ほたるのえさとなるカワニナ。
地元の小学生が結成した「箱島こどもホタレンジャーの会」も、学習や体験、観察を通したほたるの学びをレポートし、平成19年度は「環境大臣賞」を、平成20年度は「特別賞」を受賞しました。
柳瀬さん「水から恩恵を受けている仕事だからこそ、ほたるの保護もそうですが、できるだけ環境に負荷をかけない努力をこれからも続けたい。」
ほたるを通して水を考え、水を通して環境を考える。
企業・地域コミュニティが協力しあい、地道な活動を続けてきたことで、観測できるほたるの数は年々増えているといいます。
箱島ほたるの里で見られるヘイケボタルの群れ。20:00~21:00頃が活動のピークだとか。
最後に復習を兼ねた水クイズです。
Q1 日本におけるミネラルウォーターの種類はいくつあるでしょう?
A. 3つ B. 4つ C. 5つ
Q2 私達が「おいしい」と感じる水の温度は?
A. 最高10℃以下 B. 最高15℃以下 C. 最高20℃以下
- → 答えはこちら
- Q1答え:B. 4つ
Q2答え:C. 20℃以下
参考URL
→スイークレイ
→環境省選定 名水百選
→厚生労働省 おいしい水研究会


