水にまつわるちょっといい話、考えさせられる話をお届けします。
エピソード第5話 うちわと水 2007/8/31 「うちわ」も「水」もとても馴染みのある言葉ですが、そのふたつが合わさった「水うちわ」というのは、ご存知ですか? この「水うちわ」は1886年頃に誕生した岐阜県の工芸品です。 普通のうちわとは違って、骨に非常に薄い雁皮紙(がんぴし)という和紙を貼り、専用のニスを塗って仕上げるのが大きな特徴です。 見た目が水のように透けていること、また、水につけて扇ぐことで、気化熱の効果からさらに涼しく感じることから、「水うちわ」と呼ばれています。 原料である雁皮紙が手に入りにくくなったことなどから一度は生産が途絶えましたが、現在ではまた復活を遂げ、毎年完売するほどの人気だそう。 今年はすでに完売しているそうなので、来年の夏、 水うちわで涼を感じてみませんか。 【参考】 「水うちわをめぐる旅〜長良川でつながる地域デザイン〜」 著:水野馨生里 出版:新評論
エピソード第4話 文様と水 2007/8/28 みなさんは上の写真のような柄を見たことはありませんか? 食器や染織物などに描かれる、この模様は「青海波文(せいがいはもん)」といいます。 これは、同心の半円で波を表す模様として、古くから使われてきました。 ハニワの上着や、平安時代に宮中で行われた舞楽の衣装にも見られます。 また、江戸時代の寛永通宝は、裏にこの文様が彫られているため、「波銭」とも呼ばれたそうです。 文様の名前の由来は、前述の舞楽の曲名が「青海波」だったからという説や、元禄時代の漆職人・青海勘七(あおみ/せいかい かんしち)がこの文様を多用したからという説などいくつかあります。 今でも、染織品や陶磁器などに使われている文様。 人々の生活が平穏な波のように穏やかであってほしいという願いも込められているそう。 こんな身近なものにも“水”が表現されているのですね。 【参考】 「すぐわかる日本の伝統文様?名品で楽しむ文様の文化」 著:並木誠士 出版:東京美術
エピソード第3話 牛丼弁当と水 2007/8/16 みなさんは、牛丼弁当を作るには、どのくらいの水が必要だと思いますか? 「牛丼弁当にはあまり水分は含まれていないから、200ミリリットルくらい?!」 と考える方が多いかもしれません。 でも実は、その食べ物に含まれている水分以外にも、別の“水”を必要としているのです。 これを、“バーチャルウォーター(仮想水)”といいます。 輸入する農作物などを、「もし、自分の国でつくったら」と考えた時に必要となる水のことです。 例えば、牛肉80グラムと、ごはん茶碗一杯半(約110グラム)のお米で牛丼弁当を作るためには、約2トンの水が必要となります。 2リットルのペットボトルにすると、1000本分です。 お米を作るための水田を維持する水。 牛の飲む水や、えさとなる干し草やトウモロコシなどを育てる水。 これらをすべて合計すると、一個の牛丼弁当を作るために約2トンもの水が使われることになるのです。 日本は食材の6割ほどを輸入に頼っています。 バーチャル・ウォーターという視点で考えてみると、私たちは、相手の国の水を「がぶのみ」しているといえるのではないでしょうか。 【参考】 「食べものが世界を変えている コンビニ弁当 16万キロの旅」 監修:千葉保、出版:太郎次郎社
エピソード第2話 記念日と水 2007/8/6 さて、突然ですが、8月6日は何の日でしょう? 語呂合わせから、“ハムの日”“ハローの日”と言われますが、“雨水の日”でもあります。 これは、今から12年前の1995年に、東京都墨田区が制定したものです。 前年の1994年8月6日に、墨田区で市民主体による世界初の「雨水利用国際会議」が開かれたことにちなんで、翌年、この日を“雨水の日”とすることが宣言されました。 墨田区は、雨水利用に関しては、知る人ぞ知るパイオニア的存在です。 今でこそ、都内で1000を超えるビルが雨水利用を導入していますが、墨田区では、まだそれが一般的ではなかった1980年代から、取り組みが始まっていました。 両国国技館や区役所が、代表的な雨水利用施設となっています。 一般の家庭でも、タンクに貯められた雨水が、植木の水やりやトイレの洗浄水などに利用されているそうです。なかなかそこまでできない…という方も、今年は、小さなカップなどに雨水を貯めてみませんか? 貯まっていく雨の音を楽しんでみるのもいいかもしれませんね。 【リンク】 → 墨田区 雨水利用 → 雨水市民の会 ※みなさんは、雨水利用をされていますか? 今後やってみたいことも含めて、 waterdrop@ThinktheEarth.netまでぜひ教えてください。 (スパム対策のため〜@まで全角表示しています。ご了承ください。)
エピソード第1話 スポーツイベントと水 2007/8/6 大型スポーツイベントと水の関わりについて、考えてみたことはありますか? 大型スポーツイベントでは、膨大な量の廃棄物や汚染が発生します。 そこで2006年FIFAワールドカップ ドイツ大会は、ワールドカップ史上初となる環境コンセプト“グリーンゴール”を掲げ、積極的に環境対策を実施しました。 “グリーンゴール”の目標は、大会が環境に与える悪影響を最小限にとどめること。 「水」に関する具体目標としては、スタジアムにおける使用量の削減と水源保護などが挙げられました。 そこで多くの開催スタジアムが、雨水を集める地下貯水タンクを設置。 屋根やオープンエリアに降った雨水を集め、散水や清掃、トイレに利用しました。 散水には地表水(川や湖からの水)や飲用には適さない井戸水も活用されました。 また、スタジアム内の衛生設備には、節水型トイレ、自動的に水の止まる水道栓など、最新の節水技術が導入されました。 自然の水循環を回復するために、下記のような施策も実行しました。 ・駐車場などを透水性の高い素材で舗装しなおし、雨水の浸透を促進 ・地表から直接浸透しない水は、近隣の池、小川へと導水 ・屋上緑化により雨水を溜め、蒸発させる ・植林により、水を蓄え、浄化し、地下水の水位が下がり過ぎないようにする 更に、環境に配慮した物質を清掃などに採用し、地下水の汚染を防止するという目標も掲げられましたが、残念ながらこれは実現しませんでした。 世界中の人びとやメディアの注目が集まるスポーツイベントは、一般の環境に対する意識を高める好機。このようなスポーツ界の環境問題への取り組みは、今後ますます盛んになるでしょう。 皆さんも次にスポーツを観戦するときは、会場などでどんな水対策が実施されているのか、注目してみてはいかがでしょうか?