2012年02月24日

福島の動物シェルターからの宿題

地球日記

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こんにちは。2月某日、TtE猫部初の移動教室で、福島市内の被災犬シェルターを訪問してきました。長くなりそうですがしばしおつきあいください。

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JR福島駅から奥羽本線で2駅。最寄りの庭坂駅を降りると、そこは雪国でした。目指す一般社団法人SORAのシェルターはあの山の方かな。

午前8時。スタッフ佐藤さんの車にピックアップしていただき、目的地へ。徐々に雪深くなる山道を進みたどり着いたそこには...、ブログで予習していたこの景色が広がっていました。
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奥の白い建物がシェルター。左右にぽつぽつ見える木づくりの四角いのは犬小屋です。ここには2012年2月現在30匹弱のワン達が暮らしています。20キロ圏内からレスキューされた子たち、避難暮らしが続く家族からの依頼で預けられている子たち、そして新しい家族を待っている子たち。

シェルターの作業は彼らをケージのある建物の中からこの大空の下、雪の積もる大地に連れ出すところから始まります。
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ワン達が外に出たら、お次はシェルター内のケージ清掃。私、以前このブログで伝えたとおり、震災後に猫シェルターでお掃除ボラをしていました。「お掃除なら私もできますので!」なんて事前電話で佐藤さんにアピールしていましたが、これが...、カルチャーショック笑。

当然ですが、犬と猫じゃ排泄物のボリュームはちがう。中には夜中のうちにケージでがまんができなくなっちゃう子だっている...いや、これこそ、命が朝を迎えるってことなのだよな。私の想像力が足りなかった。そんなことを考えながら、ボランティアのみなさんと数十分。無言でがしがしお掃除しました。

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外で朝ごはんをもらったあと、雪景色に溶け込むワン達。

作業の合間、スタッフの佐藤さんにお話を聞きました。
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私の質問よりも早く、口火を切ったのは佐藤さんでした。

「あの...時間と気持ちのある人たちを、気持ちがあれど時間だけがどうにもない人たちが支える仕組みを作ってもらえませんか?」

実はこの日は、ボランティアさんは人数的に充実していた。全国各地からいろんな肩書きの方たちが、駆けつけていた。
(正直、あれ、人員は潤沢なのかしら、なんて思った)

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いや、でもこれ、違うんですよね。ほとんどが首都圏や関西地方からのボラさん。平日はゼロなんて日もざらじゃない。佐藤さん一人で30匹の犬たち、別の場所にいる猫シェルターを朝晩ケアする...そんなことがやっぱりあるわけで。

「365日休みなし。逃げ出したいと思うことだってあります」

でも待っている命がある。そう思えば、逃げることなんかできない...

「朝がきて、俺がいかなかったら、あいつらどうなっちゃう?って。うんちもおしっこも夜の間ずっと我慢してるでしょう――」

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ところで、このシェルターが稼働したのは311後の5月とのこと。
震災前は動物愛護のための法改正などに携わっていたという代表の管野(かんの)さんに話を聞いた。
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福島出身で、子どものころから動物が大好き。いつも動物がそばにいた。

管野さんは311の後、20キロ圏内のレスキューした犬猫や、避難家族から要望を受けた子たちを自宅で預かり始める。でもすぐに一杯に。行政は人間優先でなかなか動けない。ならば...と実家の近くに土地を探し、開設したのが、このシェルターだった。

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「日本一楽しいシェルターをつくる」

佐藤さんと管野さんの夢。

「好きだから大切にしている。その思いは、(個人でも)シェルターでも変わらない」

管野さんの言葉が心に残りました。

そんなSORAには効率や衛生環境など、この短期間に、いろんな意見が寄せられてきたそうです。知恵をもっている人達は、非難ではなく、共有のためにそれを生かしてほしい。みんなで日本一のシェルターを目指したら、きっと早いし、できる。のではないかな。

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さて、ここからはこの日各地からSORAに集結していたボランティアさんたちのことを紹介します。

ここまで写真を見てきて、ワン達、寒そう、かわいそう、って思った方、少なくないのでは? でもそうでもないみたい。

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「ここの犬たちは他のシェルターの子らよりも人懐こいんですよ」
震災後に出会った想いを共有する人々と、たびたび自宅のある埼玉から東北へ動物ボランティアに通うという伊藤君。日中自然の中にいられるのは犬たちにとってもうれしいことのようです。

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311当時、たまたまアメリカに留学中だったという大原さん(写真左)。

ラスベガスのショーウインドウに、日章旗をモチーフにしたチャリティーTシャツが飾られたのを目にした時、涙が止まらなかった。
という経験を、まだ涙を拭きながら語ってくれた彼女が、短期留学を終えて、この日無我夢中で飛び込んだSORAで感じたこと。

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「私にもできることがあった。でも、毎日はできない。それを、毎日やってくれている人の存在を、東京に戻っても私は忘れない」

写真の右はえなみさん。普段は美容のお仕事をされているそうです。SORAにくるのは3回目。毎回5日間の休みを確保して、深夜バスで大阪から駆け付けています。ボランティアを通じていろんな方と知り合えることがいい刺激になると教えてくれました。

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福島や近県からも、定期的に通うボランティアさんがいます。

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関西から深夜バスで通う、美容師の中野さん。どんどん仕事をみつけて笑顔で作業していく姿が頼もしかったです。

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事務所の壁には全国から寄せられたメッセージが。

明るい兆しも。
石巻の動物救援センターが10月に解散した後、そこに集ったボラさんたちのコミュニティがSNSでできているそうです。福島へ行こう!という呼びかけで、引き続き支援する方たちが、この日、SORAにもきていました。

さて。徒然に書きました。正直、咀嚼するのにとても時間がかかりました。まだ十分ではないと思っています。でも、今回感じたこと、まとめます。

その1。現場の人のQOLをなんとかしたいです。
私たちの代わりに、意味あることをやってくれている人たちを、いつまでも苦労させているばかりじゃ、ダメだ、と思います。
私たちのかわりに、大事な命を守ってくれてる人たちを、応援したいです。

彼らを信頼するに何かが不足しているでしょうか。どうしたら補えるでしょうか。

その2。犬や猫の生き物たち以外にも、地方からいただいている豊かさに、私、もう少し自覚をもたないとだめだ・・と思いました。

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『ねこよみ』を立ち上げたのは、本を出したかったからではなくて、猫好きの人の気持ちを集めたい、そのきっかけにしたかったから。

ちなみに、SORAには猫シェルターもありますが、この日は時間の都合で犬たちの方のみ訪問しました。

SORAでは引き続きボランティアさんを募集しています。のぞいてみてください。

◎一般社団法人SORA福島被災動物レスキューブログ

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(鳥谷美幸)

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