2014年02月14日

なにが何でも浜岡原発だけは動かしてはならないという理由・・・また原発問題かと笑わないでください

理事からのメッセージ

みなさん、こんにちは。
Think the Earth理事メンバーがスタッフブログに登場するコーナー、
第10回目は水野誠一理事長の登場です。

理事のみなさんの紹介はこちら
http://www.thinktheearth.net/jp/about/organization/index.html
---------------------------------------------------------------------------------

都知事選が終わり、残念なことに宇都宮・細川・脱原発派の両陣営が負けてしまいました。
自民党推薦候補が勝ったことによって、原発再稼働が進むことは間違いないでしょう。
脱原発の候補が二人立つことによって、脱原発票が分割され、譬え合計では勝てても、たった一人を選ぶ首長選挙では、ムダな闘いになることは明らかでした。そこで、両陣営に働きかけて、政策の摺り合わせと一方が出馬を譲るということもしようと試みました。しかし、宇都宮さんはあまりにも早すぎ、細川さんはあまりにも遅すぎたために、この調整は全く噛み合わないことになってしまったのです。

今回、たしかに都知事選の重要な争点のひとつに、エネルギー政策と原発再稼働問題がありました。なんでこれが都知事選の争点なのだ?と言う人もいます。また、今回の「Think the Earth」へのこの原稿に対して、「なんでまた原発問題なのだ?」というお叱りもあるかもしれません。だが、そんな悠長なことを言っていられない事態が迫っているからなのです。
私の最大の危惧、また今回の知事選では、細川さんも訴えていましたが・・それは再び日本を襲う「大地震」が迫っている危機なのです。これこそがまさに、Think the Earthなテーマなのではないでしょうか?

現時点で、いつ起きても不思議ではないといわれる震災には二つあります。
ひとつは、直下型の「関東地震」です。これは首都圏直撃の巨大地震です。被害総額も膨大になるでしょうが、それでも100兆円には行かないだろうと思われていることと、原発事故とは絡まない可能性が大きいことが、まだ救いなのです。

ところでもうひとつの危惧が、「南海トラフ地震」です。こちらは悠に200兆超えの損害規模だと言われています。この今回の南海トラフ地震は、過去の例からみて、東海・東南海・南海・三連動地震の可能性を意味します。ところが、その中でも一番恐ろしいのが、南海トラフと繋がっている駿河トラフで起きる「東海地震」なのです。

それは不確かな地震警告は出さない気象庁までが、「東海地震発生の切迫性」と題したレポートを発表していることからもわかります。しかも、東海地震は、「駿河湾から静岡県の内陸部を震源域とするマグニチュード8クラスの巨大地震」と位置づけていることに注目して戴きたいのです。

気象庁:東海地震発生の切迫性
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/tokai/tokai_eq2.html
03.jpg

それは何を意味するのでしょうか?
南海トラフ地震や駿河トラフ地震自体は、海溝型地震ですから、3.11の東北地方太平洋沖地震と同じく、津波被害が想定されますが、それによって引き起こされる東海地震は、直下型地震を伴う地震なので、浜岡原発を取り巻く活断層が動く可能性が高いということなのです。そうなれば、津波被害で電源喪失などという事故ではなく、炉自体が直撃破壊される危険性が伴う前代未聞の巨大事故となりそうなのです。

14年前に政府が「東海地震の可能性は30年間以内に83%」と発表したことがありましたが、それから14年経った現在では、残り16年間に起こる確率は更に高くなっているということなのです。

政府が最近発表した南海トラフ地震の被害想定によると、最大被害は220兆円というものでしたが、この中には浜岡原発の事故は想定されていませんでした。これを入れると福島程度の事故だったとしても、その被害総額が天文学的に跳ね上がる可能性があるのです。
それは、福島原発の事故と違って、浜岡原発が首都圏の西に位置するからです。偏西風に乗って高濃度の放射能雲が首都圏を覆う事態になれば、3000万人の住民が一斉に避難せざるを得ません。また都心との距離も200kmを切ります。その事故規模にもよりますが、最悪の場合は政治・行政を含む総ての首都機能喪失となります。

脱原発派知事候補に勝たせたいという思いはありますが、なんと言っても肝心なのは、全炉の再稼働を促進しようとしている安倍さんを思いとどまらせることなのです。そして、静岡県知事が絶対に再稼働許可を下ろさないことなのです。
それに向かう端緒としての都知事選ではありましたが、それが総てではないいうことなのです。

2011年の事故後、5月に菅首相が浜岡原発だけの運転停止を中電に要請しました。それによっていち早く停炉されたことを憶えていますか?あの時は、私が出馬した2001年の知事選での訴えが結実したのだ、と褒めてくれた方々もいましたが、実はそうではなくて、米国からの強い要請だったと言われています。プレートのズレの余波で、駿河トラフ地震が誘発されて浜岡原発がやられると、横須賀の米軍基地が壊滅するからだと言われていました。これは事実でしょう。ですから、この外圧が最後の安全装置なのです。
外圧に頼っても止められるなら好いと思いますが、出来れば我々日本人の気づきで止めるべきことなのです。
この危機について、改めて問題にすることが求められているのです。
そんな最中、中部電力が、再稼働申請を出すことが明らかになったのです。
薄っぺらな防波壁(塀)と、多少の手直しだけで、それこそ、過去にも未曾有の原発事故が起きうると予測されていた、この世界一危険な原発を再稼働させるとは、どう考えても狂気の沙汰でしょう。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD0602R_W4A200C1EB2000/
04.jpg

そこで、2011年の事故後、恐らく菅首相が浜岡原発を止めた直後に書いた原稿を、ここに再掲したいと思います。
この問題が如何に重要かを認識する上で、大事な補強的な解説になるからです。以下、長い引用をお許しください。

(以下引用)

浜岡原発を止める理由

21世紀になってなにやら20世紀の常識が覆され始めている。
今回の東北地方太平洋沖地震も様々な常識を覆している。
まず、地震の常識では滅多に起きないと思われていたマグニチュード9越えの地震が起きたこともさることながら、科学の粋を集め最新技術の塊の様に思われていた原子力発電では、次々に暴露されるその災害対策のお粗末さから、鉄壁の安全性という常識がいとも簡単に覆されてしまった。とりわけ、今まで安全の守護神の様に語られてきたECCSまでが破断し、格納容器に穴が開き、1号〜3号機でメルトダウンを起こした事実は、完全に「安全神話」の崩壊を意味する。

「なぜ浜岡なのか」

「浜岡原発が止まる!」
それは5月6日、菅首相の唐突な記者会見から始まった。
「かなり高い確率で起こり得る東海地震に備え、地震(津波)への対策ができるまで、浜岡原発の運転停止を中電に要請する」というものだった。その前日に海江田経産相が浜岡原発を訪ね、中電社長や静岡県知事と話をしているニュースが流れたので、何かが起きそうだとは思っていたが、あまりの唐突さに、長年浜岡原発の停炉を訴えてきた私ですらビックリしたのだから、事情を知らない人々はさぞ不思議に思ったに違いない。
実際その直後から、「浜岡原発はそんなに危ないのか?」「なんで浜岡原発だけなのだ?」「菅首相の延命のためのスタンドプレイか?」「電力不足も考えない拙速な独断では?」などの疑問が報道を賑わせることになった。
ところが意外なほどあっさりと、中電は政府の要請を受け入れ、運転停止を決定した。4号機は5月13日に、5号機は、復水器内で冷却用の海水が400トンも漏れ出して混入するというトラブルのオマケを伴いながらも、15日に停止した。

今回の運転停止問題には菅首相の説明不足も大いにあるのだが、受け止める側にも様々な勘違いもあるということで、少しこれらの疑問に答えてみたい。

これは「なぜ浜岡だけを止めるのか」という疑問に尽きるだろう。
答えは、浜岡原発が東海地震の危険性に晒されている危険度と緊急性が一番高い原発だということになる。
今から10年前に政府の「地震調査委員会」が「今後30年間に87%の確率でM 8、震度6〜7の地震が起きる可能性」があると発表した。さらに東海地震は1854年の安政南海地震のように東海・南海・東南海連動型地震となる可能性も高いと予想されており、これが生じた場合にM 9の巨大地震となると言われる。
浜岡原発の1号機が完成したのは1976年だ。中部電力の最初で唯一の原子力発電所であった。そんな時代に中部電力が候補地として白羽の矢を立てたのが浜岡だ。いかなる調査をし、いかなる判断で浜岡を選んだのか定かではないが、今から見ればその選択は最悪であったとしか言いようがない。

その理由の第一は「地層」の問題だ。
小村浩夫助教授(1981年当時)の調査によると、浜岡原発から8km以内周辺には8本の活断層が確認され、他に3本のリニアメント(擬似断層)があり、その内2本が原発敷地内を走っていると言われている。
しかも浜岡原発の立地する地盤は相良-掛川層群比木層 という砂と泥からできた地層であり、工学的には「軟岩」や「泥岩」に分類される。つまり中部電力が言うように頑丈な岩盤の上に建っている原発とはほど遠い代物なのだ。2009年8月の駿河湾地震では、5号機で地盤が10cm沈下し、廃炉中の1号機では逆に20cm隆起したという。
国内での評価だけではない。ウォールストリートジャーナル誌が世界の400を超える原発を調査して、その「危険度ランキング」を割り出した資料がある。それを見ても台湾の原発2機に続いて堂々世界第3位に位置していることがわかる。

二番目は、「海溝型地震」に限らぬ「直下型地震」の可能性だ。
東海地震の場合、駿河トラフが動くケースが十分に考えられる。駿河トラフや相模トラフの場合、震源域が人の住む日本列島の下まで及んでいるため、海溝型地震でありながら直下型地震と言っていいとされている。すなわち、プレートと原発直下の活断層が繋がった状態にあるというところに、直下型=比較的小規模な地震という常識が通用しないわけだ。
その場合は、原子炉の核燃料の核分裂は止められたが冷却水が間に合わなかったという事故ではなく、原子炉自体が跳ね上がり制御棒すら入れられない大事故が十分に考えられる。
むろん、津波の心配もないわけではない。だがもしも今回の東北並の津波が来たら15mの華奢な防波壁では何の役にも立たないことも明らかだろう。
2009年8月11日に駿河湾地震(M6.5)が起きた時は、浜岡原発は全炉自動停止し、幸い事故には至らなかった。また暑い最中であったのに電力不足は起きなかった。だが現在想定されている東海地震はこんな規模では済まない。政府予測によると、マグニチュード8の地震という想定である。マグニチュードが「1」上がる毎に32倍もエネルギーが増加する計算なので、少なくとも駿河湾地震の40倍以上の揺れが想定されることになる。

三番目は、今までに浜岡原発で起きた冷却水系の故障や事故履歴のあまりもの多さである。
手許の資料で見ると、2001年の平常時に起きた配管の破断事故から始まって、冷却水の漏洩などの大きな事故だけで7件、その他の火災事故、不正行為、データ改竄などを入れると16件の事故や問題があったとされている。
見逃せないのは、2009年8月の駿河湾地震の時、5号機で250本の制御棒の内30本の制御棒駆動装置が故障していたことをはじめ、24件の不都合が見つかった事実だ。さらに今回5号機の停止作業中には、復水器中のパイプが破断して400トンの海水が混入し、炉内にも5トンが混入するという事故が発生した。平常時でもこのありさまなのだから、地震が起きれば、設計上冷却系配管の破断は避けられないと、福島第一原発の設計者だった菊池洋一氏は警告している。
こんな状況の中で運転されてきた浜岡原発。1号機と2号機は安全対策投資の目処が立たずに廃炉を決断したわけだが、最新の5号機ですらこの状態であることを中電はどう説明するのか。

「停炉ではなく、廃炉でなければ意味がない」

「危険なことは分かったが、防波堤や冷却のバックアップ装置ができたら運転再開すべき」と考えている人は少なくない。これが大きな間違いであることは、直下型地震が起きる可能性が高い限りあまり意味がない対策だからだ。廃炉にすべきなのだが、廃炉ができないなら、少なくとも東海地震が来るまで休炉をすべきだろう。
また、「東電が電力不足の現在、慌てて止めなくても」という意見もあるようだ。
たしかに、琉球大学の木村政昭名誉教授のように、今回の東北地震によって東海地震は30年以上遠退いた、という見方をする地震学者もいる。だが、一方では今止めても30年先の地震に間に合うのかどうかという心配すらあるのだ。
まず、制御棒が入って核分裂が止まっても、冷却装置が壊れれば大事故になることは福島の事故から理解いただけると思う。しかし、我々は運転中の炉の停止ばかりを心配するが、廃炉が決まっている1号機、2号機の建屋のプールの中でも、使用済み核燃料が1600本も冷却中だということは見落としがちだ。ということは、運転中の4号機、5号機を止めても、その燃料を安全温度まで冷却するのには建屋内のプールで相当年数、冷却を続けなければいけないということなのだ。受け入れ先の目処が立たない使用済み核燃料を抱えたまま、地震が来ないことをひたすら祈ることになる。

福島第一原発事故では、何処までが天災で何処からが人災なのかという検証が始まるだろう。だが折角止めた浜岡を東海地震前に再稼働させたなら、これぞ100%人災になるということを肝に銘じてほしい。

(以上引用)

私は、恐らく2020年頃までに、この大型地震が到来するのではと思っています。来なければそれで結構なのですが、地球規模の危機を予め予防するために、これだけは聞き届けて戴きたいものです。

(水野誠一)

この記事へのリンク

« 高崎の街から「あすもあなたの会いたい人になろう」 | メイン | 3年と1日目 »