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    <title>地球リポート</title>
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    <title>「R水素」は未来の話じゃない！　〜ロラン島から学ぶ再生可能エネルギーとまちづくり</title>
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    <published>2010-07-30T10:25:12Z</published>
    <updated>2010-09-01T14:21:31Z</updated>

    <summary>     目次へ移動     森と風の島、ロラン     目次へ移動     世...</summary>
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        <![CDATA[<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>森と風の島、ロラン</strong>
</p>

<p class="section-title-middle" id="One01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>世界最先端の"片田舎"</strong>
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="053-2.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/053-2.jpg" width="500" height="354" class="mt-image-none" style="" /></span>
ロラン島の周辺には風車が約500基あり、電気のほとんどを再生可能エネルギーで自給している</p>

<p>デンマークのロラン島はコペンハーゲンから南へ175km、人口約7万人の一見どこにでもある田舎です。のどかな風景のなかに目立つのがあちこちでグルグル回る風車たち。一番高い丘で海抜25mという平坦な土地にはひっきりなしに強い風が吹きつけます。ロラン島ではその恩恵を生かして、<strong>電気のほとんどを陸上・洋上合わせた約500基の風車で自給するなど、自然エネルギー（枯渇する化石燃料を使わない無尽蔵の資源という意味で、「Renewable」＝再生可能エネルギーとも呼ばれます）の分野ではトップランナーの"片田舎"</strong>なのです。</p>

<p class="caption"><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="053-3.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/053-3.jpg" width="500" height="375" class="mt-image-none" style="" /></span>泥んこになって遊びながら、自然から学ぶ「森の幼稚園」</p>

<p>風車の他にも、ロラン島は「森の幼稚園」が有名です。自然環境を利用した幼児教育として注目されている「森の幼稚園」は、1950年代のデンマークが発祥。夏でも冬でも一日中、外で子どもたちが泥んこになって、図画工作、料理、音楽など、森の中のあらゆるものをおもちゃに見立てて、自由な時間を過ごします。このような子どものころからの<strong>「自然の中で生きる力」の教育が、「風力でいこう！」という自然を生かしたエネルギー政策の決定にも、脈々と受け継がれている</strong>のかもしれません。</p>

<p class="section-title-middle" id="One02">
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    <strong>失業率20%から4%ヘ！ 〜 風を生かしたまちづくり</strong>
</p>

<p class="caption"><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="053-4.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/053-4.jpg" width="500" height="356" class="mt-image-none" style="" /></span>数十基が立ち並ぶ陸上風力発電パーク</p>

<p>今は豊かに見えるロラン島も、80年代は失業率が20%を超えていたそうです。そこでロラン市が目を付けたのが再生可能エネルギー産業。かつて造船業で栄えた港をリノベーションし、自然環境や海運といった地域の宝を生かして、今や時価総額では東芝を超える世界最大手の風車メーカーVESTAS社の誘致に成功。90年代にEUが脱化石燃料の切り札として再生可能エネルギーへのシフトを加速させると、やがて失業率は4%にまで減らすことができました。</p>

<p class="caption"><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="053-5.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/053-5.jpg" width="500" height="334" class="mt-image-none" style="" /></span>世界初の洋上風力発電所オンセヴィ気候パーク</p>

<p><strong>再生可能エネルギーを生かしたまちづくりの成功モデルとして、ロラン島には世界中の企業や政府などさまざまな視察団が見学に集まる</strong>ようになり、エコツーリズムのビジネスも花開きつつあります。たとえば、北西部のオンセヴィ気候パーク（Onsevig Climate Park）は、今から約20年も前の1991年に完成した世界初の洋上風力発電所。沖合では波力発電の実験や魚介類の養殖など一石二鳥の発電所を目指して研究中です。実はここ、1970年代に原発の建設計画が持ち上がった場所。市民が<strong>原発に反対して勝ち取った思い出の場所が、エネルギーシフトは可能だ！ というストーリーを実感できる絶好の見学スポットになっている</strong>のです。</p>

<p class="caption"><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="053-6.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/053-6.jpg" width="500" height="356" class="mt-image-none" style="" /></span>ナクスコウの港に停泊する風力発電＋波力発電の実験機POSEIDON</p>

<p>VESTAS社の拠点となっているのが、西側のナクスコウ（Nakskov）。港には世界に輸出される風車の羽が、そこかしこにスタンバイしていました。近くには実験施設もあり、地上100mというとにかく巨大な洋上風車の圧巻の姿を見学することもできます。</p>

<p>アメリカもいよいよ本腰になり、日本でも銚子沖での調査が始まるなど、世界的にトレンドとなっている洋上風力発電も、20年前は周辺に生息する動物や漁業への影響など、さまざまな不安が叫ばれていました。そこでデンマーク政府は100を超える調査を経て安全性を立証して、今ではあざらしが休みにくるほどに。</p>

<p>「これは前向きな保全なんです」とオンセヴィ気候パークの担当者の方は強調していましたが、<strong>世界で例がないからこそ自分たちでやる！ そして、そのノウハウをオープンかつグローバルにシェアして変化を加速させる！</strong> それらの意識がロラン島では徹底していました。数年後には島と対岸のドイツを結ぶ橋も完成するロラン島では、未来を見据えて再生可能エネルギーに特化した大学や研究所を増やす予定とのこと。<a href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2008/12/rpt-43.html">前回の僕の地球リポートで紹介したハワイ</a>もそうでしたが、制約が多そうな島からこそ、最先端のイノベーションは始まっているのです。
</p>

<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>世界初の「R水素コミュニティ」</strong>
</p>

<p class="section-title-middle" id="Two01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>■ R水素解体新書</strong>
</p>

<p class="caption"><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="053-7.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/053-7.jpg" width="500" height="327" class="mt-image-none" style="" /></span>
参考：R水素社会を分解した図<br /><a href="http://www.flickr.com/photos/rh2/4828050979/sizes/o/" target="_here">http://www.flickr.com/photos/rh2/4828050979/sizes/o/</a></p>

<p>さて、エネルギーの自給自足を達成しているロラン島が次に注目しているのが、このリポートの本題の「R水素」です。<strong>R水素のRはRenewableの「R」で、再生可能エネルギーで水を電気分解してつくった水素のこと。</strong>R水素はつくるときも使うときも有害なガスをほとんど出さず、水や空気を汚しません。そして、比較的安定した地熱や小水力だけでなく、気候に依存する太陽光や風力など不安定な再生可能エネルギーをもっと上手に使いこなすために、このR水素が脚光を浴びているのです。</p>

<p>R水素社会のテクノロジーを分解すると、大きく「再生可能エネルギー」「余剰電力で水の電気分解」「水素の貯蔵・運搬」「水素の使い道」の4つに分けることができます（詳細はこちら→<a href="http://rh2.org/chapter02_02/" target="_here">http://rh2.org/chapter02_02/</a> 　解説ビデオもあります）。</p>

<p>まず「再生可能エネルギー発電」これはロラン島の場合、風力ですね。ハワイやアイスランドでは地熱、カナダの渓谷では小水力、オーストラリアでは太陽光など、その選択肢は地域によってさまざまです。</p>

<p>続いて「余剰電力で水の電気分解」をします。必要な電力は再生可能エネルギーでまかない、ロラン島のように需要以上につくって捨てていたありあまる電気を水素の製造に使います。</p>

<p>「水素の貯蔵・運搬」の方法はコミュニティのインフラによって異なります。</p>

<p>そして最後に「水素の使い道」として、電気が足りないときに、水素と酸素を反応させる燃料電池による発電や、水素自動車の燃料、あるいはアンモニアにして肥料にするなど、<strong>石油やガソリンといった化石燃料の独壇場だった用途を、ほとんどR水素が代替することができる</strong>のです。
</p>

<p class="caption"><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="053-8.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/053-8.jpg" width="500" height="375" class="mt-image-none" style="" /></span>コペンハーゲンにある水素ステーション。水素は車の燃料として使っても排出物は水だけ。</p>

<p>と、どうしてもエネルギーの話は抽象的に聞こえますし、「水素は未来の話でしょ」ともよく言われてしまいます。そこで僕たちも実物を見なきゃ始まらない！ ということで、ロラン島のR水素コミュニティを訪ねました。</p>

<p class="section-title-middle" id="Two02">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>市民と行政と企業、みんなで進める"R水素特区"</strong>
</p>

<p class="caption"><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="053-9.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/053-9.jpg" width="500" height="334" class="mt-image-none" style="" /></span>北欧らしい煉瓦造りのR水素ハウス</p>	

<p>ロラン島の西側、ヴェステンスコウ(Vestenskov)という街に、世界初の「R水素コミュニティ」があります。面積は1平方キロメートルくらいで家の数は40軒ほど。ご近所の一角に水素発生装置と水素タンクがあり、数百メートルのパイプラインで水素を各家庭に運び、燃料電池で熱と電気をまかなっています。2007年から始まった実証実験は今のところ5軒。2012年までに街のほとんどの家庭に燃料電池が導入される計画です。</p>

<p>ここは言わば<strong>「R水素特区」</strong>。ロラン市公式のCommunity Testing Facilitiesというプログラムによって、行政が早い段階からプロジェクトに関わり、場所選びや関連する法令の整備など、実現までのリードタイムを大幅に短縮することができます。市にとってはインフラの質の向上や自治体の競争力向上などのメリットがあり、企業にとっては一定数の需要を見込んで商業化を早めることができ、また研究機関も具体的なプロジェクトからデータを仕入れることができるので、各ステークホルダーにとって参入メリットがあるというわけ。日本からもパナソニックなどの大企業がプログラムに参加して共同実験を始めるなど、ビジネスの輪は広がりつつあります。
</p>

<p class="caption"><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="053-10.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/053-10.jpg" width="500" height="375" class="mt-image-none" style="" /></span>風力の電気で水を電気分解して水素をつくる「水素発生装置」と水素を貯蔵する「水素タンク」</p>	

<p>ただ、そこは世界初の試み、自分たちで切り開こうとするデンマークといえども、実現までにはいくつかのハードルがありました。最大のネックは「水素の安全性」に対する誤解です。</p>

<p>「水素は危険でしょ？」とよく言われますが、家庭用燃料電池ENE-FARM（これは天然ガスからつくった水素なので、R水素ではありません）が少しずつ普及し、自宅で水素を使って生活している人が増えているという意味でも、安全性が認められているといっていいでしょう。このような事例がありながら、水素はまだまだ、爆発性の危険物だと思われていますが、なぜなのでしょうか？</p>

<p>着火すれば爆発するリスクを抱えているという点では、車に搭載しているガソリンや、家庭で使われている都市ガス・プロパンガス・灯油なども水素とかわりはありません。有名な実験では、米国エネルギー省DOE（Department Of Energy）の水素燃料自動車とガソリン燃料自動車の燃料に点火する実験があります。詳しくはR水素のサイトにありますが（http://rh2.org/faq_02/）、水素は燃焼しながら速やかに拡散し、対するガソリンは、長時間燃焼を続け、やがてクルマごと爆発しています。確かに引火はするものの、元素の中で最も軽いため直ちに上昇するという、安全性に優れた側面もあるのです。</p>

<p><strong>水素は馴染みが薄いために、安全性への不安をあおるような情報が広まりがちですが、正しい知識を持って使えば、ガスやガソリンに比べて特別に危険、ということはありません。</strong>また、水素＝爆発というイメージが広がった一例として1937年に起きた水素飛行船ヒンデンブルグ号の爆発・炎上事故がありますが、水素ガスではなく外皮の塗料が燃えたことが爆発の原因だったことが専門家の間での常識となっています。</p>　
　
<p>このような対話を数年かけて、住民全員に対し粘り強く重ねたことで、最後は住民は水素のことを受け入れむしろ誇りに思うまでになったのです。
</p>

<p class="caption"><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="053-11.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/053-11.jpg" width="500" height="333" class="mt-image-none" style="" /></span>（左）エベさんと燃料電池　（右）H2インタラクションで訪問者に教えてくれる子どもたち</p>	

<p>私たちが見学したのは、ご高齢エベ・ぺーダーセン（Ebbe  Pedersen）さんのお宅でした。R水素ハウスといえども、外観は普通の一軒家。唯一の違いが、家の奥に置かれていた冷蔵庫サイズの燃料電池です。側面には「POWERING TODAY AND TOMORROW」の文字。高齢のエベおじいさんも「自分は先はそんな長くないけど、次の世代のために今から取り組まないとね。十分な説明もあったから水素が危険じゃないって知っていたし、使っていて気持ちいいよ」と胸を張っていました。</p>

<p>また、町内にある「H2インタラクション」は、水の電気分解や余剰電力と燃料電池の組み合わせなど、先述の複雑そうな話をゲーム仕立てで学べる学習施設。そこでは「いつもは風がたくさん吹くからいっぱい電気をつくって、あまったら水素をつくっておくんだ。でも、ときどき風が吹かなくなることもある。そのときに、貯めておいた水素を使って電気をつくればOK。よくできてるでしょ？」と、<strong>将来を担う子どもたちが身振り手振り、「R水素コミュニティ」を自分事として語っていました。</strong>
</p>

<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>R水素コミュニティのキーパーソン</strong>
</p>

<p class="section-title-middle" id="Three01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>ロラン市議 レオ・クリステンセンさん「ボトムアップで中央政府を動かす」</strong>
</p>

<p class="caption"><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="053-12.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/053-12.jpg" width="500" height="334" class="mt-image-none" style="" /></span>ロラン市議のレオ・クリステンセンさん</p>

<p>では、なぜデンマークで世界初の「R水素コミュニティ」は可能だったのでしょうか。その背景には、1985年の脱原発宣言に代表される強靱な民意と、代替案としての新しいテクノロジーに対する政府と市民の積極的なマインドがありました。</p>

<p>たとえば現在500基といわれる風車のうち、約半数を島の住民が所有しています。きっかけは、<strong>電力の買い取り制度という再生可能エネルギーへの政府の後押し</strong>でした。地域の銀行から融資を受けた市民が、所有する遊休地に風車を建てるようになり、その実績がさらなる投資を呼び込んで「R水素特区」につながっていったのです。この一連のプロジェクトをずっと進めてきたのが、2009年からロラン市議となったレオ・クリステンセン（Leo Christensen）さん。</p>

<p>「地方政府が企業の技術開発を応援し、得られたベスト・プラクティスをボトムアップで中央政府に提示します。結果として、よりよい技術を社会全体に浸透させ、国家の持続可能性と競争力を向上させる政策をとることができるのです。<strong>今の時代は地方の方が魅力があり、生き残る力があります。大都市のコペンハーゲンだって、うかうかしていられないはずですよ（笑）</strong>」とレオさん。</p>

<p>ロラン島の電力はコペンハーゲンにも運ばれています。外部にエネルギーを依存する脆弱な都市に比べ、足もとに魅力的な条件がそろっていて、それが新しい価値になる。レオさんの力強いメッセージは、日本のどの地方自治体にとっても参考になるでしょう。
</p>

<p class="section-title-middle" id="Three02">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>BASS社 ヤン・ヨハンソンさん「エネルギーをもっとオープンソースに」</strong>
</p>

<p class="caption"><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="053-13.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/053-13.jpg" width="500" height="334" class="mt-image-none" style="" /></span>バルティックシーソリューションズ社のヤンさん</p>

<p> 続いて話を聞いたのが、実際に「R水素特区」を指揮するバルティックシーソリューションズ(Baltic Sea Solutions=BASS)社のヤン・ヨハンソン（Jan Johansson）さん。BASS社は10人くらいの非営利企業で、エンジニアリング、資金調達、社会学的分析などの専門家集団です。</p>

<p>「ありあまる風力の売電は、ロラン島にとってビジネスチャンスなんだよ。ただ2009年に電気系統の安定のため、低需要時に送電すると課金される法律が施行されたんだ。そこで電気を捨てるのではなく需給をコントロールし、<strong>エネルギーの一時的なストレージ(貯蔵)ができる技術として水素に注目したんだ。水素は自分たちのコミュニティで使うこともできるし、売電でビジネスができるからね。</strong>」</p>

<p>次のフェーズは2つの可能性を探っているといいます。1つめは1万軒という桁違いのR水素ハウス化という需要を起こし、燃料電池の量産体制を固めること。2つめは、特にインフラが整っていない田舎での電気系統から独立したR水素コミュニティモデルをつくること。BASS社が視野に入れているのはデンマークにとどまりません。土地柄に合わせた多様なケーススタディを実践して、すべてのノウハウをオープンに公開するつもりなのです。</p>

<p>「同じ水素でも、化石燃料を使って水素をつくるなんてまったくナンセンスだ。何の解決にもならないからね。R水素がフィージブル（現実的）かどうかと聞かれたら、まだそうとは言えないけど、<strong>結局重要なのはフィージブルにする！ と言う意志なんだよ。魅力的なビジョンによってお金や技術が集まれば自ずと近付いていく。</strong>それが今ロラン島で起こっていることなんだ。」</p>

<p>ヤンさんから学んだことは、ビジネスとしてだけでなく、「なぜやるのか」という大きな理想を語ることが大切だということ。デンマークでは当たり前のように、住民たちが自分のこととして未来を考えている。果たして日本はどうだろうか、どこか他人任せにしていないだろうか。ずっとそんなことを思いながら、日本への帰路につきました。
</p>

<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>R水素社会を実現させるために必要なたったひとつのこと</strong>
</p>

<p>　僕たちがデンマークを訪れた最大の理由は、「水素は未来の話じゃない！」ということを確かめるため。そして、<strong>既にテクノロジーは揃っていて、やろう！と思えばいつでもできる</strong>、と実感できました。それと同時に、「やるか」「やらないか」、意識と実行力の差も思い知らされました（いや、むしろ「やらなきゃ！」と火が付きました）。</p>

<p>その話をコーディネータの方にしたとき、こんな話を教えてくれました。「<strong>デンマークでは、『国は国民に対しておいしくて新鮮な水と空気、食料とエネルギーを約束しなければならない』という軸が、どんな政治家でもぶれない</strong>んです。」だからコストや効率は乗り越えるべき課題であっても、やらない理由にはならないのですね。僕が理事を務めるR水素ネットワークの代表理事・江原春義さんはよく<strong>「R水素社会を実現させるために必要なたったひとつのことは、今、政界や財界で化石燃料を管理している人々の意識に革命を起こすこと」</strong>と言いますが、それはまさにデンマークで実際に起こっている話だったのです。
</p>

<p class="section-title-middle" id="Four01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>そして「エネルギー・コモンズ」の実現へ</strong>
</p>

<p>この旅のもうひとつのヒント、それはエネルギーのノウハウは共有すべきモノ＝コモンズの領域なのではないか？ということです。個人の著作物をオープンにシェアすることで新しい創造を生み出す「クリエイティブ・コモンズ」や、科学版「サイエンス・コモンズ」、教育版「ccLearn」といった世界的な枠組みが既にあるように、<strong>人間が生きるための根源的なインフラであるエネルギーの領域でアイデアをオープンに共有し、化石燃料社会からの脱却を加速させること。</strong>それは遠い目標に聞こえるかもしれませんが、「待っていても絶対に来ない。自分たちで取りに行く！」という明確な意志の元、ムーヴメントにしていくことが絶対に必要です。</p>

<p>ロラン島だけでなく、ハワイにもカナダにも、R水素の専門家はたくさんいます。興味を持ってくれているジャーナリスト、クリエーター、科学者、ビジネスパーソンも増えています。水素だけでなく、太陽光、風力、地熱あらゆる再生可能エネルギーのプロフェッショナルを巻き込んだ「エネルギー・コモンズ」の実現へ。遙かにワクワクする新しいミッションに出会えた、実りある旅となりました。
</p>

<p>参考サイト：R水素ネットワーク（<a href="http://rh2.org" target="_here">http://rh2.org</a>）

<br /><br />

<p><strong>兼松佳宏 プロフィール</strong><br />
1979年秋田生まれ。2020年までにクリエイティブで持続可能な世界をみんなで実現するために、さまざまなプロジェクトでウェブディレクションやイベントプランニング、執筆活動などを行っている。最近では特に「エネルギー×デザインシンキング」にフォーカスし、再生可能エネルギーとそれによってつくった「R水素」の啓発アクションをあれこれ仕掛中。<br />
<a href="http://greenz.jp/" target="_blank">greenz.jp</a><br />


<br /><br />
<div style="text-align: right;"><p><small>
取材・執筆：兼松佳宏<br />
写真：兼松佳宏、R水素ネットワーク<br />
協力：ニールセン北村朋子、浅倉彩、井口奈保<br />
編集：上田壮一（Think the Earthプロジェクト）
 </small></p></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>絵本が開くエコロジーの可能性　〜ボローニャ国際児童図書展から</title>
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    <published>2010-05-12T03:11:58Z</published>
    <updated>2010-08-05T08:11:32Z</updated>

    <summary> 目次へ移動 ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア（ボローニャ国際児童図書展）...</summary>
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        <![CDATA[<p class="section-title">
<a href="#wrapper">目次へ移動</a>
<strong>ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア（ボローニャ国際児童図書展）</strong>
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-003.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-003.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
会場入口。世界各国の国旗が来場者を出迎える。入場券購入時には名刺の提出が求められ、同展に来た目的を聞かれる
</p>

<p>
<strong><a href="http://www.bookfair.bolognafiere.it/" target="_here">「ボローニャ国際児童図書展」</a>は、イタリアのボローニャで毎春開催される、世界最大の子どもの本専門の見本市です。</strong>児童書出版とマルチメディア産業に関わる世界各国の作家、イラストレーター、出版社、配給関係者、著作権・特許権関係者、マスコミ、司書などで例年賑わっています。1964年に始まった同展は、今年47回目を迎え、67カ国から1,200社以上が出展し来場者数は4,760名を超えました。（2010年3月23〜26日開催）。</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-005.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-005.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
来場者で賑わうイタリア<a href="http://www.corraini.com/" target="_here">CORRAINI社</a>のブース。ブルーノ・ムナーリの絵本を多く手がけることで知られている。展示作品の数はブース最大級
</p>

<p>同展は、出版社が作品を展示し版権を売買する場であると同時に、各国の出版状況や傾向について情報交換する場でもあります。出版に関わる専門家がコラボレーションし、新しいビジネスを生むチャンスにもなっています。さらに、世界中から児童書に関する最新情報が集まるため、ビジネス戦略を立てる機会にしている出版社もあります。日本からは、福音館書店や偕成社などの児童書出版社が出展しました。
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-007.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-007.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
「ボローニャ・ラガッツイ賞」ノンフィクション部門に入賞した『L'HERBIER』を出版するフランス<a href="http://www.editionsmemo.fr/" target=_here">EDITIONS MEMO社</a>のブース。作品を手に版権の交渉が行われている
</p>

<p>
出版社にとっては才能ある新しい絵本作家を発掘する機会であり、作家にとっては作品を売り込む大きなチャンスです。同展で才能を見出され出版につながるケースもあるため、みな真剣。絵本作家やその卵たちが自身の作品を抱きかかえ、出版社ブースの前に行列を作って並んでいる姿も見られました。
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-009.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-009.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
絵本作家やその卵たちが、自身の作品を売り込める掲示板が用意されている。作家の連絡先を持ち帰れるような配布形式のチラシが目立つ
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-011.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-011.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
各国のイラストレーターの原画を展示するエリアも設けられている。貴重なイラストに見入る来場者</p>

<hr />
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<strong>「ボローニャ・ラガッツイ賞」に異変あり？</strong>
</p>

<p>
<strong>同展が絵本作品を対象に設ける唯一の賞<a href="http://www.bookfair.bolognafiere.it/en/boragazziaward/" target="_here">「ボローニャ・ラガッツイ賞」</a>。芸術・技術の観点と、テキストとイメージのバランスという視点から、最も優れた作品に贈られます。</strong>受賞作品は広くメディアで紹介され注目を集めるので、大変重要かつ名誉な賞とされています。今年は34カ国から1,160作品以上の応募があり、フィクション、ノンフィクション、新領域（New Horizons）、新人（Opera Prima）の4部門において、全15作品が受賞しました。
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-013.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-013.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
「ボローニャ・ラガッツイ賞」受賞作品のポスターが会場入口に大きく掲示されている。場内にもいたるところに掲示されており、同賞に対する注目の高さがうかがえる
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-015.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-015.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
「ボローニャ・ラガッツイ賞」授賞式。受賞作家に盾が贈られた（ボローニャ・マッジョーレ広場に面したサラ・ボルサ図書館にて）</p>

<p>
応募される絵本のテーマは毎年様々。日々の生活を描いたもの、子どもの世界観を表現したもの、笑いを追求したものなど多岐に渡ります。そんな中、<strong>今年は特に自然をテーマにした作品が多く見られました。</strong>受賞した15作品のうち約半分の7作品が、自然やエコロジーを取り上げています。生きものの共生を描いた作品、樹の一生をハイライトした作品、チャールズ・ダーウィンの研究を物語にした作品、季節の変化を祝うダンスをテーマにした作品、植物標本をイラストで表現した作品、インド先住民族の暮らしを伝える作品、自然素材をイメージに使った作品です。
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-017.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-017.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
「ボローニャ・ラガッツイ賞」審査委員長アントーニオ・ファエーティさん。1939年ボローニャ生まれ。小学校教諭を経た後、ボローニャ大学教育科学部で児童文学の歴史を研究。現在ボローニャで読書を通じた教授法について教えている（ボローニャ・マッジョーレ広場に面したサラ・ボルサ図書館にて）
</p>

<p>
審査委員長のアントーニオ・ファエーティさんは、<strong>「自然をテーマにした作品が多かったことは、今年初めての傾向で驚いているんです。昨年がダーウィン生誕200周年だったことが影響していると思いますが、作家がこうした問題に敏感になっているのでしょうね」</strong>と話します。

<p>昨今、地球温暖化や森林破壊などが、メディアでも大きく取り上げられるようになりました。出版業界もこうした問題を取り上げ、自然や環境の大切さを描く作品が増えてきています。何世代にも渡って取り組まなければならない問題だからこそ、未来を生きる子どもたちに絵本でも伝えてほしいテーマです。</p>

<p>それでは今年、どんな作品が受賞したのでしょうか？<br />
フィクション部門と新領域部門を受賞した、オランダ・日本・インド発の３作品をご紹介します。<br />
</p></p>

<hr />
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<strong>自分で言葉を補い物語をつくる：『De boomhut』（フィクション部門受賞・オランダ）</strong>
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-019jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-019jpg" width="275" height="368" class="mt-image-none" style="" /></span>
『De boomhut』【ロナルド・トルマン（エッチング）、マライヤ・トルマン（イラスト）／LEMNISCAAT／2009】<a href="http://www.lemniscaat.nl/" target="_here">http://www.lemniscaat.nl/</a>
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-021.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-021.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
『De boomhut』の英語版は『The Tree House』というタイトルで、2010年LEMNISCAATから出版された
</p>

<p>
絵本は、絵と文がセットになっているかたちが一般的ですが、絵のない絵本、言葉のない絵本というかたちもあります。フィクション部門を受賞した『De boomhut』は、<strong>見開き2ページに一枚の絵が描かれた本。言葉は一言もありません。</strong>クジラ、クマ、サイ、フラミンゴ、パンダ、クジャク...といった動物たちが、ゆっくりとお互いを誘い合うように、まるで音楽を奏でるように一本の樹に集まる姿が描かれています。（"De boomhut"は「木の上の家」という意味です）
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-023.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-023.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
『De boomhut』の出版社LEMNISCAATのブース。数カ国の出版社が同時に商談中
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-025.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-025.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
『De boomhut』の絵が出版社LEMNISCAATの展示スペースの約半分を飾り、プロモーションに力を入れていることがうかがえる
</p>

<p>
作者は、エッチングを担当したロナルド・トルマンさんと、イラストを担当したマライヤ・トルマンさん。父と娘の親子による作品です。
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-027.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-027.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
ロナルド・トルマンさん。『De boomhut』でエッチングを担当。彫刻・絵画などの制作も行う（出版社LEMNISCAATのブースにて）
<a href="http://www.ronaldtolman.nl/" target="_here">http://www.ronaldtolman.nl/</a>
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-029.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-029.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
マライヤ・トルマンさん。『De boomhut』でイラストを担当。動物をキャラクターにしたイラストがユニーク（出版社LEMNISCAATのブースにて）
<a href="http://www.marijetolman.nl/" target="_here">http://www.marijetolman.nl/</a>
</p>

<p>
審査員はこの本を「私たち人間も自然の一部だということを、エコロジカルな視点から訴えた本」と称しました。様々な生きものが集まり一本の樹を住みかとする、という絵から、多様な生きものが共生する地球、という意味を読み取ったのでしょう。

<p>しかし、トルマンさん親子は、本に言葉を入れないことで、作者が特定の物語を作らないことを目指したと言います。</p>

<p><strong>「物語そのものが私たちに語りかけられるような余白と臨場感と自由を探求しました。読み手が自分自身の物語を作れるように。人々にこう考えなさいというような強制はしたくなかったんです」</strong>（マライヤ・トルマンさん）</p>

<p>「本から自然環境の大切さを読み取れるでしょうが、<strong>こうしなさいこう考えなさいと言わずに、みんながこの本について話して想像して言葉を与え、物語をつくることができるその自由こそを大切にしたいのです」</strong>（ロナルド・トルマンさん）</p>

<p>一人ひとりが絵から何かを感じ、意味付けするプロセスを大事にしてほしいという願い。自分自身で得た気づきは、その人の心にいつまでも灯る明かりになります。<strong>そして、他者との共生や自然の大切さに思いをはせることができる『De boomhut』は、私たちが生きる社会や環境について考えるきっかけを与えてくれます。</strong><br />
</p></p>

<hr />
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<strong>余白に込められた想い：『Little tree』（フィクション部門入賞・日本）</strong>
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-031.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-031.jpg" width="337" height="270" class="mt-image-none" style="" /></span>
『Little tree』【駒形克己（作）／ONE STROKE／2009】
<a href="http://www.one-stroke.co.jp/" target="_here">http://www.one-stroke.co.jp/</a>
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-033.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-033.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
『Little tree』の紹介を受けながらゆっくりページをめくる来場者
</p>

<p>
小さな木の芽が成長しながら四季折々の表情を見せ、次第に年老いてゆく樹の一生を描いたポップアップ絵本。見開きページの中央に、様々なステージの樹が立ち上がります。言葉はほんの少し。余白が大胆にとられているのが印象的です。

<p><strong>「モノであふれる現代社会に静かな美しさを創り出した本」</strong>と評され、フィクション部門に入賞しました。大量生産大量消費が主流の現代において、月に50冊しか生産できない手作りの絵本です。</p>

<p>ページをめくるだけでも美しい本ですが、作者の駒形克己さんは、<strong>樹の一生と自分の人生を重ねて、余白に読者の思いを書き込む楽しみ方を提案しています。</strong>この本が、その人が生きている証になり、大事な人に遺す本にもなる、という可能性を見出して。</p>

<p>というのも、この本には駒形さんのこんな想いが込められているのです。<br />
</p></p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-035.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-035.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
駒形克己さん。デザイン、出版、製品開発、展示、ワークショップなど、東京とパリを拠点に活動中（出版社ONE STROKEのブースにて）
</p>

<p>
「私の叔父が長い間意識不明のまま入院し、最後に亡くなってしまったときに、大切な人を失うことが周囲に与える影響を改めて感じたんです。生きている間にも、その人の存在を認めたり理解できたりしたら、人と接することや暮らすことがもっと大事にされるんじゃないかな。」（駒形さん）

<p><strong>「本は、その人の使い方によって変わっていいもの。自由に変えられるという解釈を含めて、ある意味『不完全なもの』であってもいいと思っています」</strong>（駒形さん）</p>

<p><strong>個人の思いや経験が書き加えられた絵本。それは、人の一生が尊くかけがえのないものであることを私たちに気づかせてくれます。</strong>そして、自分が手を加えた絵本は、その人の人生に寄り添う宝物になるに違いありません。<br />
</p></p>

<hr />
<p class="section-title">
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<strong>出版を超える総合的なプロジェクト：『Do!』（新領域部門受賞・インド）</strong>
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-037.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-037.jpg" width="275" height="354" class="mt-image-none" style="" /></span>
『Do!』【ギータ・ウォルフ（文）、ラメシュ・ヘンガディ（イラスト）、シャンタラーム・ダッペ（イラスト）／Tara Books／2009】
<a href="http://www.tarabooks.com/" target="_here">http://www.tarabooks.com/</a>
</p>

<p>
新領域部門を受賞した『Do!』は、西インド・マハラシュトラ州のワルリ族の暮らしを描いた作品です。この絵はもともと結婚式などの特別なイベントの際にワルリ族の家の土壁に書かれるもの。それをTara Booksのディレクター、ギータ・ウォルフさんと、ワルリ族のアーティスト、ラメシュ・ヘンガディさん、ラシカ・ヘンガディさん、シャンタラーム・ダッペさん、クスム・ダッペさんが絵本で再現しました。

<p><strong>ワルリ族は自然に神を見出し、畏怖と感謝の念をもって暮らしている少数先住民族。</strong>田んぼでお米を作り、川で魚をとり、土壁の家で牛や鶏と共に暮らしています。自然と共生しながら人々が助け合って生きている姿が、「Farm」「Grow」「Dance」といったシンプルな単語と共に、ダイナミックに描かれています。<br />
</p></p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-039.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-039.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
『Do!』土を耕し稲を育てるワルリ族の暮らしを描く。流れる線と単純な円や三角形から構成された絵は、清らかな呪文か象形文字のよう
</p>

<p>
出版社のTara Booksは、本の内容はもちろん、その製造過程まで大事にしています。<strong>『Do!』はシルクスクリーンで印刷され、手作業で製本されています。この他の本も、多くは印刷から製本まで全て手作りです。</strong>その仕上がりは、機械で作られた本には到底かなわない端正さ。<strong>紙は現地で作られた再生紙を使用しています。</strong>
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-041.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-041.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
『Do!』の帯には本作りの工程が描かれている。印刷、タイピング、縫製、製本まで全て手作り
</p>

<p>
<strong>制作は、普段壁塗りなどをしている低所得の人々が、絵本制作という違った分野で、その技術を活かせる機会でもあるのです。現地に新たな雇用を生み出すと同時に、制作に関わる人が共に生活し働く場ができているそうです。</strong>

<p>※『Do!』の制作過程はYoutubeでご覧いただけます。<br />
<object width="500" height="400"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/sP60hTjmZxI&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/sP60hTjmZxI&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="500" height="400"></embed></object></p>

<p>Tara Booksの本は、イギリスやアメリカなど海外に輸出され、ポルトガル語、イタリア語、スペイン語にも翻訳されて、世界中で読まれています。プロジェクト・コーディネーターのアルン・ウォルフさんは、<strong>「制作に携わる人々は、賃金を得るだけでなく、本作りを通して大きな自信と満足感を得ているのです」</strong>と話します。<br />
</p></p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="052-043.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/052-043.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
Tara Booksプロジェクト・コーディネーターのアルン・ウォルフさん（出版社Tara Booksのブースにて）
</p>

<p>
Tara Booksの仕事は単なる出版ではありません。<strong>人と自然が共に生きる民族の暮らしを伝え、製造過程では環境に配慮し、現地に雇用を生み出すという「総合的なプロジェクト」</strong>なのです。こうした好循環を生み出す多機能的なプロジェクトが、今後更に増えてくることに期待したいと思います。
</p>

<hr />
<p class="section-title">
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<strong>本作りのプロセスもエコロジーに</strong>
</p>

<p>
これまでも、自然やエコロジーをテーマにした優れた絵本がたくさん描かれてきました。『木を植える男』（ジャン・ジオノ原作、フレデリック・バック絵／あすなろ書房）や『せいめいのれきし』（バージニア・リー・バートン作／岩波書店）などを読まれた方は多いでしょう。これらの絵本は、「内容」からエコロジーの大切さを伝えていますが、<strong>今回ご紹介した絵本は「内容」に加え「手法」からもエコロジーに取り組んでいます。『Little tree』も『Do!』も少部数を手作りし、大量製品にはない価値を作り出した作品です。本作りのプロセス自体がエコロジーにつながっているのです。</strong>

<p>さらに、『Little tree』作者の駒形さんは、本作りについて「モノ化する本」という考え方を提案しています。</p>

<p><strong>「例えば、本がいろいろな角度や視点から眺めたり楽しめたりできるものになれば、本は情報をのせる媒体ではなく『モノ』として機能します。DMなどのすぐ捨てられてしまうものに紙を使うのではなく、世の中に紙が残されるかたちの本、オブジェのような本を作れば、紙にしかないぬくもりや質感を大事にしつつ紙の使用量を削減できるでしょう」</strong>（駒形さん）</p>

<p>本のかたちを再考することや、『Do!』のように製造過程をトータル的にプロデュースすることは、今後出版業界が取り組んでいくべきテーマです。<br />
</p></p>

<hr />
<p class="section-title">
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<strong>経験から得られる深い気づき</strong>
</p>

<p>
技術の発達に伴い、情報がますますデジタルメディアで発信されるようになりました。しかしその時代においても、本にしか担えない役割があります。それは、<strong>「経験」がもたらす「深い気づき」</strong>です。

<p>人の考え方や行動の根本を揺るがす気づきは、知識ではなく経験から得られるもの。自分で言葉とストーリーを補う『De boomhut』も、自分の生涯を木の一生に重ねる『Little tree』も、物語を自身に引き寄せて読む経験ができる絵本です。</p>

<p>私たちが直面している持続可能性に関する問題は、長期的に取り組まなければ成果が出ず、複雑で一筋縄ではいかないからこそ、経験を通した深いレベルでの気づきが重要になってきます。</p>

<p>親が子どもに絵本を読み聞かせるならば、<strong>お互いの声や体温、時間を共有する豊かな体験</strong>になります。そして、紙のぬくもりや手触り、時間の経過と共に色あせる紙の自然な感覚、紙に書かれた手書きのあたたかさは、<strong>デジタル媒体では決して経験できない特別なもの。</strong>さらに、<strong>自然界の木から作られた紙は、自然と人を結びつけてくれる媒体でもあります。</strong><br />
</p></p>

<hr />
<p class="section-title">
<a href="#wrapper">目次へ移動</a>
<strong>想像する力と今ここにない世界を描く力</strong>
</p>

<p>
多様な生きものと多様な環境が相互に関わり合い、たった一つの地球で生きているという事実。人の暮らしも社会の営みも、そしてそれを支える地球環境も、幾重にも編まれた関係性の網目でつながっています。

<p>しかし、現代の暮らしからは、手にとる製品がどんなふうにつくられたのか、使い終わったらどこへ行くのかという「モノの来し方行く末」を辿ることが難しい。さらに、離れた場所で起きている自然破壊や貧困などの問題が自分と関係している、という感覚をもつことは容易ではありません。そうした状況の中では、<strong>「想像する力」</strong>が大切になってきます。</p>

<p>絵本が育む想像力は、これからの時代を生きる私たちにますます必要になってきます。<strong>絵本の余白とイメージがもつ曖昧さには、解釈の多様性と無限の想像性があります。絵本で培った豊かな感受性は、現代社会で感じにくくなっている関係性を見いだす力につながるはずです。</strong></p>

<p>資本主義経済の限界が見え、幸せや豊かさの価値観が問い直される時代に、私たちはどこへ向かい、どんな社会をつくって行くのでしょうか？　<strong>大きな変化を伴う時代においては、現状から未来を「予測」するのではなく、つくり出したい世界を「描く」ことが大切です。そしてその世界に向かって、様々な状況が相互に関係していることを理解したうえで、行動していくこと。</p>

<p>想像力は、「今ここにはない世界を描く力」です。それは、この変化の時代に大人にこそ必要な力。</strong>絵本がもつ想像と経験の可能性は、子どもだけでなく大人にも開かれています。小さい頃に読んだあの本を、もう一度手にとってみませんか？<br />
</p></p>

<p></p>

<p>
<strong>星野敬子　略歴</strong><br />
シューマッハーカレッジ・ホリスティックサイエンス修士課程修了。(有)イーズ／チェンジ・エージェントで環境・持続可能性に関するコミュニケーション業務を経、2010年独立。『つながりを取りもどす時代へ』企画編集。現在、絵本・教材、つながりのデザインについて研究活動中。</p>
<br />
<div style="text-align: right;"><p><small>取材・執筆・写真：星野敬子<br />
編集：上田壮一（Think the Earthプロジェクト）<br />
協力：多木陽介、小塚泰彦<br /></small></p></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>美しい星空は誰のもの？　〜&quot;星空の世界遺産&quot;の試みが問いかけること</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2010/03/rpt-51.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2010:/jp/thinkdaily/report//7.1262</id>

    <published>2010-03-31T05:34:00Z</published>
    <updated>2010-08-05T08:15:33Z</updated>

    <summary> 目次へ移動 星の降る村、テカポ ニュージーランド南島の玄関口、クライストチャー...</summary>
    <author>
        <name>staff</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/">
        <![CDATA[<p class="section-title">
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<strong>星の降る村、テカポ</strong>
</p>

<p>
ニュージーランド南島の玄関口、クライストチャーチから車で３時間走ると、ミルキーブルーの氷河湖を前に、石造りの小さな教会がたたずむ村があります。テカポと呼ばれる、人口300人ほどの小さな村です。美しい山並みが湖をふちどり、湖に面した教会の大きな窓から臨む風景は、見る者の心をしんと澄ませる魅力をたたえ、世界中から観光客を引き寄せています。<br />
<br />
湖と教会の景観で知られるテカポに、「星空の美しい村」という評判を新たに生み出した人がいます。この村で15年ほど前に星空ガイドを始めた日本人、小澤英之さんです。
</p>

<p class="caption">
<img alt="051-002.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-002.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" />
＜上左＞先住民マオリの言葉で「夜の寝床」という意味をもつテカポ湖。氷河が削りとった岩の細かい粒子が湖水に含まれ、陽を受けると乳白色に輝く
＜上右＞ヨーロッパからの開拓民が1935年に建てた「善き羊飼いの教会」。石造りの素朴な味わいがこの地の自然によくなじむ
＜下左＞スターウォッチング・ツアーを提供するEarth&Sky社のオフィスは、テカポの村のインフォメーションセンターに隣接している
＜下右＞テカポでスターウォッチング・ツアーを始めた小澤英之さん。最初は奥さんと２人きりで始めたが、いまでは15人のスタッフを抱えるまでに
</p>


<p><strong>
テカポは、ニュージーランドでも指折りの星空観察に適した土地です。湖を見下ろす小高い山、マウント・ジョンの頂上には、1965年に天文台が置かれました。このマウント・ジョン天文台は世界最南端の天文台です。</strong><br />
<br />
北半球で暮らす私たちには見られない星も多く、その代表が南十字星。季節によっては天の川が頭の真上を横切り、天文ファンならずとも夢中で夜空を見上げてしまいます。そのうえ<strong>晴天率も高く、乾燥していて空気が澄み、大きな都市が近くにないために街明かりも少ない。それでいて、何千メートルもの高地に登ったりすることなく、誰でも簡単に満天の星を眺めることができる場所なのです。</strong><br />
<br />
実は日本の天文学者も、この地に拠点を持っています。マウント・ジョンには5基の天体望遠鏡があり、MOA-II望遠鏡と呼ばれるニュージーランド国内最大の望遠鏡は、名古屋大学が運用しています。ここでは、北半球では見られない「銀河の中心」とマゼラン星雲をターゲットにして、太陽系の外にある惑星や暗黒物質を探しています。
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="051-003.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-003.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
天体望遠鏡のドームが立ち並ぶ、日中のマウント・ジョン頂上（標高1030ｍ）。テカポ市街地は標高710mなので、ほんの数百メートル登れば頂上に着ける
</p>


<p>
小澤さんのツアーでは、日が暮れるとバスで山の頂上へ向かいます。夜のとばりが降りた山腹から、バスはヘッドライトを消して進みます。ライトが星空観察の邪魔になるからです。バスを降りたところでまず目を閉じ、そのまま顔を天に向けて数秒。パッと目を開けると、そこには息を呑むような星空が広がります。星空を見上げているというより、星のなかに放り込まれたような気分です。
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="051-004.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-004.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
夜のマウント・ジョン頂上。天の川をバックに南十字星が輝く。建物の床に寝転がって星を眺めることもできる
<p>
いっしょに夜空を眺めながら、小澤さんは言います。<br />
<br />
「星を見ていると、森林浴をしているみたいに、アルファ波が出てくるような気がするんです」<br />
<br />
森林浴ならぬ、星光浴。降るような星の明かりに身を浸すことができるテカポならではの体験です。<br />
<br />
星がよく見えると有名な場所でも、大都市から遠く離れた山奥にもかかわらず、大都市の方向の地平線近くがぼんやり明るくなってしまうところは多いものです。<strong>しかしテカポでは地平線のすぐ近くに星が明るく瞬きます。山の頂上に立って星を見ると、自分の目線の下にまで星があるような錯覚すら起こります。</strong><br />
<br />
けれど、地元の人たちにとっては、この星空は当然のもの。私たちが身の回りに空気がふんだんにあることを当然と思うように、星がこれほどたくさん見られる空が珍しいものという感覚はなかったそうです。<br />
<br />
「星空を見せてそれがビジネスになるなんて......」。地元の新聞は、星空ツアーを始めた小澤さんを紙面で揶揄したほど。けれど、<strong>徐々にその評判は国内外に広がり、いまではむしろ、ニュージーランド国内の人が星空ツアーを体験しにやってくることが増えています。</strong>
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="051-005.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-005.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
マウント・ジョン頂上の「アストロ・カフェ」。「テカポの星空を見たい」と国内外からたくさんの人が訪れる
</p>

<hr />
<p class="section-title">
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<strong>ところが、開発の波がテカポにも</strong>
</p>

<p>
<strong>2000年ごろ、ニュージーランドには開発バブルが起こりました。その波はここテカポへも押し寄せ、ひそやかに十数軒が立ち並ぶだけだった商業地はこれまでの何倍もの大きさになり、住宅地もはるかに大きく広がるという計画が打ち出されました。</strong>これではテカポの暗い夜空は失われてしまう。日本で育った小澤さんにはあまりにもはっきりと見える未来でした。<br />
<br />
日本で、世界の各地で、多くの街が開発とともに、本来持っていた美しい自然やその土地固有の景観を失っていく。それと同じ轍をテカポも踏もうとしている。小澤さんはそんな恐れを抱きました。<br />
<br />
とはいえ、ここは昔から天文台があった土地ですから、街明かりによって星空が見えなくなる"光害"に無頓着だったわけではありません。<strong>自治体は何十年も前から照明のコントロールを始めていました。いまでは、街灯には上に光が洩れないように傘がかけられ、星空観察に影響の少ないナトリウム灯が使われています。</strong>ただし、商業施設の照明規制はないので、このまま商業地が広がれば、間違いなく夜空は白くぼんやりと明るくなってしまうでしょう。
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="051-006.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-006.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
村の街灯には光害の少ないナトリウム灯が用いられ、さらに傘をかぶせて、できるだけ空に光がもれないようにしている
</p>


<p>
<strong>また、車のライトは以前から大きな問題でした。10kmも離れたところを走る車のライトがマウント・ジョンの頂上に届くのです。山のふもとをハイビームで走る車が頂上のほうをちらりと向くと、天文台のドームの壁に人の影がくっきり映ります。</strong>そうした明かりが目に入ると、いくら頭上に星が光っていてもよく見えなくなってしまいます。<br />
<br />
バブルの勢いのままに開発が行われ、商業地や住宅地が広がって、車の行き来が増えれば、星に満ちた夜空は失われてしまう。なんとかそれを阻止できないか。ある日、小澤さんは、こう思いつきました。<br />
<br /><strong>
「テカポの星空を世界遺産にしてはどうだろう？」</strong><br />
<br />
ユネスコの世界遺産として「星空」が採択されたことはありません。そのときにはあまりにも途方もない思いつきでした。<br />
<br />
しかし、星空ツアーを提供する会社の共同経営者であるグラエム・マレーさんは、小澤さんの「この空を守らなければ」という訴えに心動かされます。<br />
<br />
「<strong>この星空のもとで育った僕たちには、夜空が暗くて星がたくさん見えるのは当然のことだった。失われるかもしれないはかないものだとは思ってなかったんだ。ヒデに言われて初めて、この星空がどれほど貴重であるか気づいた。次の世代に残していくべき大事な遺産だ、とね。</strong>それに、世界遺産化は、僕たちのやっている、天文という科学の分野と旅という娯楽の分野が融合した『アストロ・ツーリズム』を強く後押ししてくれるだろう」
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="051-007.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-007.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
Earth&Skyの共同経営者グラエム・マレーさん
</p>

<hr />
<p class="section-title">
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<strong>強力なリーダーの出現</strong>
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="051-008.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-008.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
ニュージーランド政府で閣僚を歴任したマーガレット・オースティンさん
</p>

<p>
グラエムさんはその後、ユネスコの本部に強いパイプを持つマーガレット・オースティンさんにこのことを訴え、協力を仰ぎました。<br />
<br />
マーガレットさんは、かつてニュージーランド科学技術省の大臣を務めた人物です。テカポが世界初の「スターライト・リザーブ（星空保護区）」として指定されることで、ニュージーランドに限らず世界の人々、とりわけ子どもたちの星空への科学的な関心、さらには、科学全般への関心が高まることが期待できる。その思いが、マーガレットさんをこの活動の推進役へと向かわせる原動力となりました。<br />
<br />
「それに、ニュージーランドは、ポリネシアから船でやってきたマオリの人々が発見した土地。<strong>マオリにとって星は、航海の際には船の行き先を示し、陸では暦となって農耕の時期を教えてくれる、きわめて重要な存在です。白人で最初にここへ到達したクック船長も星に導かれてやってきました。</strong>この国を作った星は、まさに私たちニュージーランド人の遺産です」<br />
<br />
実は、マーガレットさんがその話を耳にした2005年ごろ、ユネスコが本部を置くパリでも「世界遺産として"天文"のジャンルを作るべきではないか」という議論が行われるようになっていました。<br />
<br />
世界遺産条約では、「歴史」や「芸術」や「自然保護」の観点からだけでなく、「科学」の観点からも世界遺産に値するかどうかを検討すると謳っているのに、科学を軸にした世界遺産はこれまでにないのです。<br />
<br />
天文学は人間がもっとも古くからなじんできた科学の一分野です。天文にまつわる建造物や自然景観を遺産として考えようという議論が起きたのは、自然な流れでもあったのでしょう。<br />
<br />
さまざまな論議のすえ、<strong>星空を世界遺産に含めるかどうかを検討するためのテストケースとして、テカポのほか、ハワイのマウナ・ケア山など、世界中から５カ所の候補が挙げられましたが、最終的に、テカポおよび近接するアオラキ山（マウント・クック）が選ばれ、テカポはいま、世界遺産にきわめて近い位置にいます。</strong>
</p>

<hr />
<p class="section-title">
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<strong>取り残された地元の人</strong>
</p>

<p>
ユネスコおよび国内の重要人物であるマーガレットさんがリーダーとして参画したことで、テカポの世界遺産化はぐっと現実味を帯びてきました。その一方で、テカポで暮らしている人々の間には、ある不安がわき起こっていました。<br />
<br />
テカポ周辺に広大な土地を所有し、牧羊業を営むアンドリュー・シンプソンさんはこう言います。<br />
<br />
「テカポの世界遺産化という大きな動きが国際的なレベルで進んでいながら、これまで、住民は何も知らされていませんでした。このままでは誰ともわからない人がやってきて厳しい規制をかけるのではないか、自分で自分の運命を決められなくなるのではないか、という不安を持つ人は多いはずです。たとえば、開発禁止という規制が作られるとしたら、それは私たちにとって重大な問題です」<br />
<br />
開発とは、経済的な成長を目的とした開発のことですか、と問うと、<br />
<br />
「経済成長、社会的な機能の整備、環境保護の仕組み、すべてにおいての成長です。<strong>たしかにここの星空はすばらしい。でも『星空だけが最優先、ほかのことはすべて我慢しなさい』ということであれば、住民としては見過ごせない事態です</strong>」
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="051-009.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-009.jpg" width="500" height="166" class="mt-image-none" style="" /></span>
＜左＞9700ヘクタールの農場（牧羊地）のほかにも広い土地を所有するアンドリュー・シンプソンさん<br />
＜右＞地元のビジネスマンであるカール・バーチャーさん
</p>

<p>
クアハウスやスケート場などのレクリエーション施設を運営しているカール・バーチャーさんも、<br />
<br />
「私はレクリエーションビジネスをしているので、世界遺産になるメリットを期待していないわけではありません。けれど、地元住民の生活やビジネスのほうが、より心配です。たとえば、スケート場の夜間照明を暗くしろと言われたら、ビジネスには大きなダメージです。私のビジネスに限らず、ユネスコの定める規制次第では、テカポは手足を縛られてしまい、やっていけなくなるでしょう」と懸念を表しています。<br />
<br />
地元の自治体はどう考えているのでしょうか。テカポを含むマッケンジー市の市長ジョン・オニールさんは、このように話してくれました。<br />
<br />
「市としては、照明規制などでテカポの夜空を守ることにも配慮してきましたが、同時に、開発を進める権利も含めて住民の生活の向上を図ることも大事な役割だと考えています」<br />
<br />
<strong>市長さんは先ごろ、これまで世界遺産化を推進する目的で開催されていた星空保護区委員会に、地元住民を代表できる人を入れるべきと考え、前出のアンドリューさんを委員会のメンバーとして招聘しました。地元住民と委員会とのコミュニケーションは、やっと始まったばかりのところです。</strong>
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="051-010.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-010.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
マッケンジー市の市長ジョン・オニールさん
</p>

<hr />
<p class="section-title">
<a href="#wrapper">目次へ移動</a>
<strong>開発と暗い夜空の保護は両立できるか？</strong>
</p>

<p>
天文台がこの地に置かれたのは、天文学者であるアラン・ギルモアさんが米国ペンシルバニア大学の依頼でニュージーランドの各地を検分してまわり、テカポが最適だと判断したことによります。1965年、ここに天文台ができた当初からテカポの村と夜空を見つめ続けてきたアランさんは、こう言います。<br />
<br />
「テカポの村は私が来てから３倍の大きさになりました。でも星が３倍見えなくなったかといえばそうではない。テカポが世界遺産となり、さらに市街地が大きくなっていっても、よりよい照明法とテクノロジーの進歩によって、光害は防げると思います」<br />
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="051-011.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-011.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
マウント・ジョン天文台の管理責任者、アラン・ギルモアさん
</p>

<p>
世界の大都市には、いたずらにあたりを照らすだけで、明るくしようとした場所（たとえば道路）を照らす役に立っていない街灯があふれている、ともアランさんは指摘します。<br />
<br />
「こうした照明は、単なるエネルギーの浪費です。その上、星空をも見えにくくしてしまう。いまでは、電球に上から傘をかぶせるだけでなく、ナトリウム灯などの新しい照明も開発されています。こうしたテクノロジーもこの先、さらに発達するでしょう」<br />
<br />
<strong>マーガレットさんも、グラエムさんも、世界遺産の実現を機に開発を全面的に禁止し、テカポの今の暮らしを規則で縛る必要はないと言います。これまでテカポは照明をコントロールしてきた歴史と実績があり、野放図な開発は規制するにせよ、いくぶんかの開発が行われたとしても、夜空に配慮した街のデザインは可能だという考えです。</strong><br />
<br />
「世界遺産化によって、より暗い夜空が実現できるのでは？」と話してくれたのは、マウント・ジョンで観測を続けている名古屋大学の研究者、住貴宏さんでした。
</p>

<p>
「僕がテカポに通い始めた10年前から比べると夜空は明るくなりつつあり、観測に影響が出てきているのは事実です。星空が世界遺産になるということはそこが暗い夜空であることが前提になるでしょうから、いま、街灯だけにかかっている照明規制が商業施設にも適用されるなど、暗い夜空が守られるような開発が行われることを期待しています」</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="051-012.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-012.jpg" width="500" height="166" class="mt-image-none" style="" /></span>
＜左＞名古屋大学太陽地球環境研究所の住貴宏さん<br />
＜右＞ニュージーランド最大、直径1.8ｍの望遠鏡。大型CCDカメラを取り付けて夜空を撮影する
</p>

<p>
一方、小澤さんは開発に大きな危惧を抱いています。<br />
<br />
「僕はテカポが世界遺産に指定されることでビジネス上の恩恵を受ける立場。でも<strong>世界遺産をきっかけに、この地域が大きく開発され、夜空は明るくなり、自然が破壊されるのではないかということを非常に心配しています。世界遺産化の活動は、状況によっては引き返したほうがいいように思う</strong>」<br />
<br />
とまで言っています。開発を止めようとして考えたことが、逆に次の開発の引き金を引くかもしれない。発案者としての責任を強く感じているのでしょう。
</p>

<hr />
<p class="section-title">
<a href="#wrapper">目次へ移動</a>
<strong>「星空の世界遺産」の切符は、そこに暮らす人が持っている</strong>
</p>

<p>
小澤さんはいま、「ここで静かに暮らしている人にとって、世界遺産化にどんなメリットがあるのか」を常に自問しています。<br />
<br />
「スキー場の照明はダメ、スケート場の照明もダメ、とよそから来た人間が言うのは簡単なことですが、スケート場は昔からこの村の生活の一部です。夜間の暗い道をセキュリティライトで照らすのも、人々の安全がかかっている。そうした、いわば村の文化を否定したり、生活を犠牲にしたりして星空を守れ、と一方的に言っていいものではない、と僕は思うのです。村の人、一人ひとりと話をして、世界遺産になることを望むかどうか、その意思を聞いてみたいと考えています」<br />
<br />
テカポの自然に魅かれて6年前に移り住み、オーガニックコーヒーを出すカフェを営むデブラ・ハンターさんは、私たちにこう言いました。<br />
<br />
「私は世界遺産化に賛成よ。でも、<strong>夜空を守ることと自分たちの生活をどう折り合わせるかについては、自分たちで答えを見出すのがいいと思う。誰かに"あなた方はこうしなさい"と命令されるのでなく、"自分はこの星空を守ることに貢献してるんだ"と誇りに思えたら、それが一番よね</strong>」
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="051-013.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-013.jpg" width="500" height="332" class="mt-image-none" style="" /></span>
カフェを営むデブラ・ハンターさんに意見を聞く小澤さん。小澤さんは地道に住民を訪ねてまわり、会話のなかから解決のヒントを探ろうとしている
</p>

<p>
<strong>世界遺産というのは、守るべき風景、自然、街並を切り取って写真のように固定し、保存するだけではなく、そこに住む人を包含したものであってほしい</strong>と私も思います。人間を排除した遺産は、いったい誰のための遺産でしょう。<br />
<br />
世界遺産が実現することで、ユネスコが要請する規制が暗い夜空を守る大きな傘となり、照明や環境の保護を前提とした、これまでの常識を覆すような新しい考えで開発が行われることも期待できます。逆に、小澤さんが心配するように、世界遺産を当て込んだ開発が始まり、下手をすれば、世界遺産どころか、暗い夜空が失われることもありえるでしょう。<br />
<br />
<strong>テカポはどのような道を選ぶのでしょう？</strong>　私たちが取材の過程で出会った人々は、形の違いこそあれ、みな、テカポの自然の美しさやコミュニティをとても大切に思っていると熱をこめて話してくれました。その方々の決断を、日本から見守り続けたいと思います。願わくは、いわば「お上」が決める世界遺産ではなく、そこに暮らす人たち自身が、世界に二つとないテカポの美しい夜空を大事に思い、守り続けてくれることを。
</p>

<p class="caption">
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="051-014.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/051-014.jpg" width="500" height="650" class="mt-image-none" style="" /></span>
テカポ湖畔の「善き羊飼いの教会」に沈む天の川と南十字星
</p>
<br />
<p>
<strong>江口絵理　略歴</strong><br />
1973年生まれ。阪急コミュニケーションズ(元、TBSブリタニカ)勤務を経て、イ
ギリスの出版社ブルームズベリーにインターン勤務の後、フリーランスの編集
者・ライターに。著書に『ボノボ ― 地球上で、一番ヒトに近いサル』『ミーアキャットの家族』（そうえん社）。</p>
<br />
<div style="text-align: right;"><p><small>取材・執筆：江口絵理<br />
写真：上田壮一（Think the Earthプロジェクト）<br />
協力：小澤英之（Earth & Sky）<br /></small></p></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>ダムを壊すという初めての選択～赤谷プロジェクト</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2010/01/rpt-50.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2010:/jp/thinkdaily/report//7.1099</id>

    <published>2010-01-29T01:25:37Z</published>
    <updated>2010-02-10T07:57:29Z</updated>

    <summary> 目次へ移動 温泉地の近くで 撮影 茅野恒秀 今回訪れた国有林「赤谷の森」は、新...</summary>
    <author>
        <name>staff</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/">
        <![CDATA[<p class="section-title">
<a href="#wrapper">目次へ移動</a>
<strong>温泉地の近くで</strong>
</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_003.jpg" alt="" />撮影 茅野恒秀</p>

<p>今回訪れた国有林「赤谷の森」は、新潟県との県境に近い群馬県みなかみ町にあります。最寄りの上毛高原駅までは、東京駅から新幹線で1時間半弱。車でも関越道経由でほぼ同じくらい、と都内から比較的交通アクセスの良い場所です。道中には湯宿温泉に猿ヶ京温泉、川古温泉、法師温泉など雰囲気の良い温泉地がいくつもあるので、温泉好きの人は、もしかしたら足を運んだことがある場所かもしれません。</p>

<p>そんな観光地の近くで、生物多様性復元を目指したとても先進的な活動が行われているのです。皆さんはご存じでしたか？</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_004.jpg" alt="" />一般的には30-40年ほど前に降った雨・雪が地中で温められ、湧き出したものが温泉。豊かな森林がもたらしてくれます（法師温泉・長寿館） 撮影 茅野恒秀</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_002.gif" alt="" />赤谷プロジェクトマップ<br />
様々な表情を持つ赤谷の森はおおまかに6つのサブエリアにわけられています。管理のテーマもそれぞれの特性に合わせて考えられたものです。</p>

<ol>
<li>赤谷源流エリア　巨木の自然林の復元、イヌワシの営巣環境を守る</li>
<li>小出俣（おいずまた）エリア　植生を守る。環境教育の研究やテキスト開発、実践　</li>
<li>法師沢・ムタコ沢エリア　水源の森を育てる。クマタカの営巣環境を守る</li>
<li>旧三国街道エリア　旧街道を理想的な自然観察路にするための森づくり、<strong>渓流環境を取り戻す</strong></li>
<li>仏岩エリア　炭焼きや道具づくりなど、伝統文化や生活にかかわる森林利用の研究、技術を伝える</li>
<li>合瀬（かっせ）谷エリア　実験的な、新しい時代の人工林管理の研究と実践</li>
</ol>


<p>今回私が取材したダム撤去プロジェクトが進む茂倉沢は、エリア4に属します。赤谷プロジェクトの中では、渓流環境復元ワーキンググループが担当しています。
</p>


<hr />
<p class="section-title">
<a href="#wrapper">目次へ移動</a>
<strong>現場を見る・感じる</strong>
</p>

<p>昨年11月10日、ダムが撤去された現場での合同見学会に参加しました。これまで防災目的で、自然の中にコンクリート製のダムを建設することは数えられないほど繰り返されてきましたが、それが<strong>公共事業によって日本で初めて「なくされる」歴史的な現場をじかに見たい</strong>と思ったことがきっかけでした。
</p>
<p>今回撤去対象となったのは、利根川水系の赤谷川の支流、茂倉沢の2号ダム。下流側から数えて2番目にあるダムです。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_005.jpg" alt="" />工事前の2号ダム</p>
 
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_001.jpg" alt="" />昨年10月26日に工事が始まり、幅28メートル、高さ9メートルのダムの中央部、幅約8.6メートルが取り除かれました　撮影 茅野恒秀</p>

<p>昭和20年から30年代に茂倉沢本流と支流には、合わせて17の治山ダムがつくられました。直接的なきっかけとなったのは、1947（昭和22）年に発生したカスリーン台風です。カスリーン台風は全国で1,000人以上の死者を出しましたが、群馬県では最大の592人が死亡。激しい土石流がもたらした痛ましい悲劇は、60年以上経った今でも語り継がれるほどです。当時は戦中戦後の資源不足の影響で山に木がほとんどなく、そのことが被害に拍車をかけ、茂倉沢上流部辺りでも大きな崩落が起こりました。あの八ッ場ダムも、計画のきっかけはこのカスリーン台風の襲来でした。</p>

<p class="section-title-middle" id="Two01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>治山ダムってどんなダム？？</strong>
</p>

<p><strong>「ダム」とひとくちに言っても、実はいろいろな種類があります。</strong>洪水調節などを目的につくられる「治水ダム」、水の確保や発電などに利用される「利水ダム」、それらの目的をあわせ持った「多目的ダム」、土砂災害を防ぐためにつくられる「砂防ダム」などが主なものとしてあげられます。</p>

<p>今回撤去されたダムは、「治山ダム」と呼ばれます。一般の人はあまり聞き慣れませんが、森林を管理する「森林法」に基づき、大雨が降ったときに山肌が崩壊しそうな渓流につくられます。
期待される防災効果は</p>
<ol>
<li>土砂を止める</li>
<li>土石流が発生した場合、傾斜を緩やかにし、土砂のスピードを弱める</li>
<li>山の足元（専門用語では山脚＜さんきゃく＞）を固定する</li>
の3つ。
</ol>


<p>治山ダムの建設目的は、簡潔に言えば、「山を治すこと」なので、森林が回復すればその使命はだいぶ果たしたことになります。全国の治山ダムに損傷や劣化も目立っていますが、<strong>これまでに撤去が意図的に行われたことはなく、逆に現在でも建設半ばの治山ダムが全国各地にあるのだそうです。</strong></p>

<p>治山ダムは山深い渓流につくるため、多くの場合、移動してもらう人家などへの補償を伴いません。災害時の大きな土嚢（どのう）のような役割を果たすものなので、規模も小さめ。<strong>防災手段としてはつくりやすく、そのために全国の渓流を必要以上に固めてきてしまった</strong>と言います。渓流環境はダム設置で大きなダメージを受けますが、そのデメリットが表立って議論される機会はあまりありませんでした。</p> 

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_006.jpg" alt="" />川は例えれば、人の血液。よどみなく流れることで渓流環境の「新陳代謝」を促します　撮影 茅野恒秀</p>

<p class="section-title-middle" id="Two02">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>ターニングポイントにある治山事業</strong>
</p>

<p>赤谷プロジェクトの構成団体である日本自然保護協会（以降、NACS-J）が発行する会報『自然保護』の特集記事「渓流環境の修復を考える」（2008年3・4月号）の中で、富山県立大短大環境システム工学科准教授の高橋剛一郎さんは、次のように書いています。</p>

<blockquote>防災対象がなくなったり変化したところでは、安易にコンクリート製のダム設置を計画することを考え直すのはもちろん、見直し（補修や改修）などの際に、治山ダムの小型化や撤去などを検討することも十分可能であると思います。しかし、実際にはそれらが行われたことはほとんどありません（抜粋）。</blockquote>

<p>高橋准教授は、時代とともに社会の考え方も、法<strong>（※）</strong>も変わってきていることから、従来の治山ダムを主体にした「治山」が時代のターニングポイントにあることを鋭く指摘しています。</p>

<p class="cond"><span class="highlight">※　</span>関連する法律には、第三次生物多様性国家戦略（2007年策定）や、失われた自然環境を取り戻すことを目指す自然再生推進法（2003年施行）などがある。また、山地から海まで土砂が運ばれないことで起こる河道や海岸の浸食を防ぐため、「流砂系」という新しいことばで土砂管理の方針転換を示した「流砂系の総合的な土砂管理」なども、従来のダムによる土砂遮断から、土砂を流すことに意識を向けていくことを示している</p>

<p class="section-title-middle" id="Two03">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>沢を歩き、石ごろごろの道を行く</strong>
</p>

<p>スパイクのついた長靴をお借りし、落ち葉をザクザク言わせながら道のりを急ぎます。途中、沢の中を歩くので、スニーカーなどでは濡れてしまいます。
</p> 
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_007.jpg" alt="" />一歩一歩、足を「よいしょ」と持ち上げる感じで歩きます
</p>
<p>参加した関係者の皆が口をそろえて、「50年前とはだいぶ森林の様子も変わってきている」と言います。長い年月をかけ、山は豊かな森をようやく取り戻しつつあるのです。
</p> 

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_008.jpg" alt="" />撮影 茅野恒秀</p>

<p>撤去された2号ダムより先に下流の1号ダムに着きました。コンクリートを覆う緑色のコケが設置からの年月を物語ります。沢の水がゆるやかに流れ落ちていました。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_009.jpg" alt="" />撤去されたダムとほぼ同時期、同サイズでつくられた1号ダム
</p>
<p>撤去された2号ダムは、8年前の洪水で底抜けを起こし、土砂が流出。そのため、2号ダムまでの道のりに川の水はあまりなく、ごろごろとした石の道（専門用語では、堆砂敷＜たいさじき＞）が数百メートル続きます。
</p> 
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_010.jpg" alt="" />長い堆砂敷。川は端の方を流れています</p>

<p>いよいよ撤去された2号ダムの現場に着きました。</p>
 
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_011.jpg" alt="" />ブレーカーで崩された跡がそのままになっていました</p>

<p>見学会の時点では、底にまだ数メートルの土砂が溜まっていて、水は撤去された中央部でなく、パイプを使って底抜けを起こした右壁下側にう回させてありました（仕上げ工事は11月末に完了）。
</p>
<p>通常は作業道をつくって重機を入れるそうですが、今回は小さなモノレール道を設置して資材の運搬をしました。工事はクマタカの営巣が確認されたことで当初の予定を遅らせましたが、モノレールも周りの環境に影響を与えない配慮とのこと。</p> 

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_012.jpg" alt="" />資材を運ぶミニモノレール</p>

<p>見学者からは、ダムの両袖が残されていることに質問が集中しました。「これでは、一般の人はダムを撤去したと思えないのでは...」と厳しい見方も。実際には、両袖まで撤去するのが理想なのですが、土砂の過剰な流出や山腹の崩壊リスクを考慮し、第1段階としては中央部撤去としたそうです。</p>
 
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_013.jpg" alt="" />撤去ダム前に集まる参加者</p>

<p>例えば、サケが産卵時に川を上がるためなど、動物や魚の行動範囲を邪魔しないよう櫛（くし）状のスリットを入れる「スリットダム」や魚道などは、全国に先例がありますが、<strong>基礎部分までとってしまう大胆な試みは全国初</strong>。NACS-J職員で、プロジェクトを長く担当している茅野恒秀さんは、「底の部分が横断するかどうかが、ダムであるかどうかの判断基準。今回は基礎部分もすべてコンクリートをとってしまったから、ダムではない」と回答していました。基礎が残ると、水面のわずか上を飛ぶ昆虫などには、生息環境に影響が出ます。</p>

<p><strong>「川は川につくらせる」</strong>、印象に残った茅野さんのことばです。ダムを撤去すると、水も土砂も自由に流れるようになり、<strong>川そのものが川の流れをつくる</strong>というパワーを持つようになります。<strong>撤去の一番のねらいもそこにあります。</strong></p>

<p class="section-title-middle" id="Two04">
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    <strong>難しい防災との両立</strong>
</p>

<p>2号ダムを見学した後、再び1号ダムとの中間くらいの地点に戻ります。ここには、洪水が起きた場合の水や土砂の流れをコントロールする措置として、新たに「保全工」がつくられました
。</p>

 
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_014.jpg" alt="" />両サイドに見えるコンクリートの壁が保全工。2号ダムと1号ダムのちょうど中間くらいにあります</p>

<p>中央部分を11メートル空け、左右に低めのコンクリートの壁をゲートのようにつくってあります。大雨が降って、土石流が発生した場合の激しいがけ崩れを想定しています。今後モニタリングを続け、なくても安全に山を保てることがわかれば、「撤去していく」とのこと。</p>

<p>赤谷プロジェクト内に渓流環境復元を担当するワーキンググループが発足したのは2005年でした。その際、専門家の先生による組織「新治地区茂倉沢治山事業全体計画に関する検討委員会（委員長：太田猛彦・東京大学名誉教授）」との連携体制がつくられました。防災面の検証には、専門的な調査や知識が欠かせませんから、こうしたバックアップもダム撤去の根拠を裏付けています。</p>

<p>現在では森がだいぶ回復したこと。万が一、土石流が流れ出しても周囲に民家がないこと。下流に被害を食い止める1号ダムがあり、その上流でダム撤去の技術開発に取り組めること。これらの条件がそろい、ようやくGOとなった今回のプロジェクト。目的は渓流環境を元に戻し、生物多様性を回復させることなのですが、防災と両立させることは、なかなか難しい判断であることをうかがわせます。</p>

<hr />
<p class="section-title">
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<strong>意思決定の新しい形</strong>
</p>

<p>治山ダムの一部撤去を「ささやかな試み」と感じる人もいるかもしれません。<strong>でも、これまで自然の中につくられるばかりだったコンクリートの建造物を国もかかわって、意図的に壊すということ。</strong>つまり、国税でその作業を行うということですが、<strong>その意思決定が地域の人々も交えた議論とコンセンサスの上になされたことは、とてつもなく大きな一歩</strong>だと思いました。
</p>
<p>では、この意思決定の場はどのように形成されたのでしょうか？</p>

<p class="section-title-middle" id="Three01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>スタートは必然的に</strong>
</p>

<p>赤谷プロジェクトの正式名称は、「三国山地／赤谷川・生物多様性復元計画」と言います。長い正式名を持ったこのプロジェクトは、林野庁関東森林管理局とNACS-J、赤谷プロジェクト地域協議会の間で2004年3月30日に結ばれた協定に基づいて行われています。</p>

<p>地元には、バブル期に浮上したスキー場やダム計画への住民の反対運動が下地としてありました。NACS-Jとの縁もそのときからだと聞きます。森はとびっきりおいしい水や豊かな温泉を恵んでくれるばかりでなく、絶滅危惧種であるイヌワシやクマタカ、ツキノワグマ、ニホンカモシカなどのすみかであることも運動を展開する中で明らかになっていきました。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_015.jpg" alt="" />
（左上）ツキノワグマ、（右上)クマタカ、（左下）カモシカ、（右下）イヌワシの親子<br />
イラストは2005-2007年まで赤谷の森を担当していた林野庁の森林官・平田美紗子さん</p>

<p>2000年、バブル崩壊の流れにも後押しされ、スキー場もダムも開発中止になります。しかし、住民の皆さんは、そこで「終わり」ではなく、守られた自然をもっとよくする仕組みをつくってみたいと感じるようになっていました。NACS-J側も、評価方法がとても難しい生物多様性を取り戻していく過程を世の中に見せたいという思いから、そのモデルケースにふさわしい場所を探していました。両者の思いがうまく重なり合い、赤谷の森一帯の国有林の共同管理を林野庁に持ちかけてみようということになったのです。</p>

<p>担当局・関東森林管理局の反応は思いのほかよく、準備会議の開催がスムーズに決まりました。それまで国有林の管理は国がリードして行ってきましたが、赤谷の森の決めごとには地域協議会とNACS-Jのメンバーを交えて開く「企画運営会議」での了承が必要になりました。法律上の管理者は現・関東森林管理局ですが、<strong>局は計画に赤谷プロジェクトで話し合った事柄を反映させると協定で約束した</strong>のです。</p>

<p>重い腰を上げた林野庁の思い切りのウラには、国有林を巡る時代の変化があります。戦後から生産してきた木材の価格が70年代に暴落。人工林の育成に力を入れてきた従来の方針に行き詰まりが見え、2001年に森林・林業基本法が見直されました。そこでは、森林がもともと持っていた能力の数々、例えば、水や土壌を守ったり、人と共生したり、資源として循環していくといった役割により力を入れていくことが決められました。</p>

<p>それまで林野庁とNACS-Jは国有林伐採で意見がぶつかり合うこともあり、新聞記事などでは、両者の「歴史的な和解」と書かれたりもしました。関東森林管理局・赤谷森林環境保全ふれあいセンター所長の田中直哉さんは、「川古ダム（国交省が計画）に反対する一連の住民運動も見ていたし、<strong>未来の森づくりは皆でやっていかなければといった機運が高まっていた</strong>のだと思います」と当時を振り返ります。</p>

<p class="section-title-middle" id="Three02">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>森を取り巻く多様な声</strong>
</p>

<p>赤谷プロジェクトにはコア団体の構成メンバーの他に、おそろいの帽子が目印のボランティアサポーターが関東一円に50、60人ほどいます。赤谷の森には、かつて人工林の苗床を育てていた作業小屋の建物を再利用した拠点「いきもの村」があります。月始めの週末に開かれる<a href="http://www.nacsj.or.jp/akaya/iv_akayadayreport.html" target="_blank">「赤谷の日」</a>には、有志がここに集まって森の生物を調査したり、地域と接点を持ったり、昔ながらの炭焼きに挑戦したりしています。森を取り巻く多様な声が、プロジェクトをより豊かなものにしています。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_020.jpg" alt="" />地元・猿ヶ京小の子どもたちが「いきもの村」周辺で遊びながら学ぶ様子を平田さんがイラストでまとめたもの</p>

<p>「ものを考える仕組みとか、かかわる姿勢とか、どうやって合意をとるのかとか、何かが起きたときに何を考えればそれをきちんと考えることになるかとか、そういうプロセス自体、モデルだと思っています」、茅野さんはそう言います。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_018.jpg" alt="" />NACS-Jの茅野さん</p>

<p>治山ダム撤去については前例がないことから、評価技術もありません。生物多様性についても判定基準はないので、これから、絶滅危惧種の生物はもちろん、渓流沿いの森林や土砂の流出状況、昆虫や魚などについても丁寧にモニタリングを続け、データを収集していきます。5年後、10年後に「あれは大きな一歩だったと言われるようにしたい」というのが、かかわっている皆さん共通の願い。<strong>全国各地で老朽化が進み、改修時期を迎える治山・砂防ダム管理のモデルケースとなることを目指している</strong>のです。</p>

<p class="section-title-middle" id="Three03">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>人と森とのかかわりをヒントに</strong>
</p>

<p>猿ヶ京ホテルの大女将で旧新治村（現みなかみ町）の民話研究第一人者である持谷靖子さんは、明治生まれの地元のおばあちゃんからこんな話を聞いたと言います。</p>
 
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_016.jpg" alt="" />森の上空を飛ぶイヌワシ　撮影 <a href="http://birdimages.jp/""target="_blank">高野丈</a></p>

<blockquote>ある家の嫁が5月の田植えの時期に弁当をこしらえて田んぼに入った。赤子を置いて作業を始め、田植えしちゃ子どもの様子を見ていたが、つい夢中になって目を離したすきに、大きなワシが連れ去ってしまった。<br />
「オラ（私）ガ（の）アカッコー（赤ちゃん）」「オラガアカッコー」と、嫁は泥だらけの足で後を追いかけたが、子どもは見つからない。「オラガアカッコー」と泣くうちにその嫁はついにカッコーになってしまった。</blockquote>

<p>「ほんとに今でも5月になると田んぼに探しに来るのよ、すごく低空飛行でね」、持谷さんは言います。霜降り模様をした足を持つカッコーを、泥だらけの足で子どもを探す母の姿に重ねているのです。赤子を連れ去ったワシがイヌワシかどうかは、詳しく語られていませんが、大型のワシが日々の暮らしの中でどのようにとらえられていたか、その情景まで浮かんでくる話です。</p>

<p>茅野さんは、例えば<strong>「イヌワシがこの地域の人々にとってどういう存在だったのかを考えることが、この地域をどう守っていこうかという力につながる」</strong>と言います。地元の人と森とのかかわりを丁寧にひもとき、尊重している姿が印象的でした。
</p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
<p>今後の課題は「昔の森に戻したい」という地元の願いをかなえていくこと。地域協議会は、まだ
町も積極的に参加していないため、「地域の代表と言っても、ほんの一部」と考えています。まだまだこれから、なのです。</p>

<p class="section-title-middle" id="Three04">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>まとめにかえて～防災の時間軸
</strong>
</p>
	
<p>さて、今回の見学会に参加し、ダム撤去を「伝えること」の難しさを肌で感じました。生物多様性を取り戻すと言っても、その効果はすぐには目に見えて現れませんし、その「効果」とは、人間にとってのわかりやすいメリットではないからです。例えば、「明日の紙面に載せる」といったスピードで事業の概要を正確に伝えることはとても難しい、そう感じました。</p>

<p><strong>森がなくなった場所にダムがつくられた<br />
→その後、長い時間をかけて再び森がつくられた<br />
→ダムがなくても大丈夫ではないかという状態になった</strong></p>

<p>今回のダム撤去はそうした長い時間軸をたどって決断されたものですが、<strong>大事な流れ</strong>だと感じました。<strong>私たちは普段、なかなかそうした余裕幅を持って「防災」をとらえることをしていないように思い、はっとしたのです。つまり、私たちと森とのかかわりを大切に考えた上での持続可能な「防災」のあり方を、です。</strong></p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_017.jpg" alt="" />工事完了後の2号ダム　撮影 茅野恒秀</p>

<p>「赤谷プロジェクトのゴールは設けられない」と話していた茅野さん。かかわっている誰もが、森の再生、そして、生物多様性の復元には、自分の人生を超えた時間を想定していました。まずは、その時間軸を共有すること。それが第一歩なのだと思いました。自然の声に繰り返し耳を傾けては、細かな合意形成を重ねていく―。ときにはもどかしいほどの地道なプロセスこそが、赤谷プロジェクトのパイロット・プログラムとして使命なのだと私も感じ始めていました。</p> 

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/imgs/reports/050_019.jpg" alt="" />撮影 出島誠一</p>

<br />
<p>関連リンク<br />
<a href="http://www.rinya.maff.go.jp/kanto/" target="_blank">林野庁関東森林管理局</a><br />
<a href="http://www.nacsj.or.jp/" target="_blank">日本自然保護協会（NACS-J）</a><br />
<a href="http://www.nacsj.or.jp/akaya/" target="_blank">赤谷プロジェクト</a><br />
</p><br /><p><strong>岩井光子　略歴</strong><br />
地元の美術館・新聞社を経てフリーに。2002年、行政文化事業の記録本への参加を機に、地域に受け継がれる思いや暮らしに興味を持つ。農家の定点観測をテーマにした冊子「里見通信」を2004年に発刊。<a href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/news/">地球ニュース</a>編集スタッフ。高崎在住。</p>

<div style="text-align: right;"><p><small>取材・執筆：岩井光子<br />
写真：佐々木拓史（Think the Earthプロジェクト）<br />
写真提供・協力：日本自然保護協会（NACS-J）</small></p></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>くらしの時間を取り戻そう。広がれ、弁当の日！</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2009/12/rpt-49.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2005:/jp/thinkdaily/report//7.1016</id>

    <published>2009-12-18T00:46:25Z</published>
    <updated>2010-03-03T06:23:07Z</updated>

    <summary> 目次へ移動 子どもが作る「弁当の日」とは？ 今、全国各地の小中学校に「弁当の日...</summary>
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        <![CDATA[
<p class="section-title">
<a href="#wrapper">目次へ移動</a>
<strong>子どもが作る「弁当の日」とは？</strong>
</p>

<p>今、全国各地の小中学校に「弁当の日」という取り組みが広がっています。これまでにも「弁当の日」を設ける学校はありましたが、それは通常、作るのが親。<strong>今回紹介するのは、子どもが作る「弁当の日」です。献立作りから買い出し、調理、片づけ、箱詰めまで、全部子ども自身がやるのです。</strong><br />
この取り組みは2001年、香川県綾川（あやがわ）町にある町立滝宮（たきのみや）小学校が独自に始めました。初年度は、家庭科で調理の基本を学んだ5、6年生計126人が年5回の弁当作りに挑戦。1つとして同じものはないオリジナル弁当を食べました。<br />
子どもが家庭の台所に立ち、朝から弁当を作る－。簡単なようでも、現代家族にとっては"大変"なことです。「弁当の日」を発案した当時の校長・竹下和男さんに、PTA役員は「無理です」と即答したといいます。理由は、「危ないからガス栓や包丁を触らせたことがない」「早起きできるはずがない」。慌ただしい時間帯に台所を占領されるなんてとんでもないという事情もあったようです。<br />
　<strong>ところが、滝宮小学校の挑戦から9年目の今年、「弁当の日」は全国各地に広がってきています。2009年11月末現在の実践校数は、大学まで含めて37都道府県557校。宇都宮市では昨年度から、管轄する全小中学校93校、約4万人の児童・生徒と年数回のペースで実施しています。</strong></p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/049_002.jpg" alt="" />「弁当の日」を提唱した竹下和男さん</p>


<p class="section-title">
<a href="#wrapper">目次へ移動</a>
<strong>広がる背景にある数々の物語</strong>
</p>

<p>"大変"だったはずの「弁当の日」なのに、これほど実践校が増えているのはなぜでしょうか。その理由を詳しく知る機会が10月下旬、香川県でありました。竹下さんが企画し、賛同する人たちが集った「第1回全国交流会in香川」です。参加者は、実践を支えた教諭や町長、PTA、実践校の卒業生、婦人会ら地元の61人と、全国各地の教育、行政関係者、助産師、農業関係者ら79人の計140人。筆者も参加しました。</p>

<p>交流会の冒頭、竹下さんはこんなエピソードを紹介しました。佐賀県内の学校が実施した初めての「弁当の日」。テーマは「感謝弁当」でした。6年生の女の子は朝5時に起きて、3つも弁当を用意。1つ目は、単身赴任先の大阪に戻るお父さんのための弁当。2つ目は、病院にいるおばあちゃんのための弁当。3つ目は、自分が学校で食べる弁当。「親は手伝わないで」と言われていた両親は、食卓のイスに座って、1人で台所に立つ娘の後ろ姿をずっと見ていました。"愛娘弁当"を新幹線の中で食べたお父さんは、会社の昼休みにお母さんへ電話。「娘にありがとうと伝えてくれ。おいしくて、うれしくて、泣きながら食べたよ」。おばあちゃんは、お母さんから弁当を受け取ると、涙声でこう言いました。「私はこれまでたくさんの弁当を作ってきたけど、作ってもらったのはこれが初めて。おいしいよ、おいしいよ」。<br />
　この女の子は、今中学2年の本多美智子さん。当日会場に来ており、<strong>「お弁当を家族が喜んでくれたから、台所に立つことがとても楽しくなりました」</strong>と笑顔でした。母親の恵美子さんは、<strong>「子どもたちはとてもやりたがっているし、やらせればできる。それを大人がわかっていなかったんだと気づかされました」</strong>と、子どもの力を信じて見守る大切さを振り返りました。<br />
　こうした「弁当の日」の物語は、実践した学校、家庭で次々と生まれています。<strong>台所で子どもたちの「成長力」に触れた大人たちが、「弁当の日」の取り組みを応援する側に回ったことが、この広がりの背景にあるのです。</strong></p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/049_003.jpg" alt="" />「弁当の日」のエピソードは、こちらの本が参考になります。左から
竹下和男著『"弁当の日"がやってきた』『台所に立つ子どもたち』『始めませんか子どもがつくる「弁当の日」』（自然食通信社）、佐藤剛史著『すごい弁当力！』（五月書房）</p>

<hr /><p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>家庭のくらしの時間が変わる</strong>
</p>

<p><strong>「弁当の日」を実践すると、家庭のくらしの時間が変わります。</strong>子どもが作った卵焼きや唐揚げの余りが家族の朝食になる。「これどうやって作ったの？」と食卓での会話が増える。「ご飯できたよ」と呼ぶ前から子どもが台所に来るようになる。親が忙しいときや病気のとき、子どもが食事を用意するようになる...。<br />
3年前にそれを知り、「ぜひ、全国の子どもたちに取り組んでほしい」と応援し続けている福岡県の助産師・内田美智子さんは、「弁当の日」の意義をこう説明しました。「性感染症や10代の妊娠、中絶など性のトラブルを繰り返す若者に共通するのは、家族の会話が乏しいこと。家庭に居場所がないから、体目当ての男性でも求めてしまう。『弁当の日』には、その現状を根本から変える力があると思います」。内田さんは全国各地で、性教育ならぬ「生教育」の講演をしており、その中で必ず、家庭のくらしの時間の大切さと「弁当の日」の取り組みを紹介しています。<br />
　<strong>家族の団らんが子どもの育ちに大切であることは言い尽くされていますが、実際には、どうやってその"団らん"を取り戻すかが社会の課題。「弁当の日」は、それを実現するための具体的な提案なのです。</strong></p>


<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>発案のきっかけは「給食への感謝」</strong>
</p>

<p>「弁当の日」には、「給食を否定しているのですか？」という質問も出ます。しかし、真意は逆。<strong>竹下さんが、子どもに弁当を作らせようと思いついたきっかけは、給食に感謝する気持ちをはぐくみたいと思ったことでした。</strong><br />
校長として学校給食会の会議に出席した際、多くの関係者が食材の管理や搬送、献立や調理などの段階で工夫や努力を続けていることが分かりました。しかし、一方の子どもたちには、給食を感謝して食べる様子が見られなかった。「ならば、食材を選ぶことから調理まで、子ども自身に全部やらせよう」と、"気付かせる仕掛け"を発想したわけです。<br />
　<strong>「弁当の日」を経験した子どもたちは、「毎日食事を作るのはすごいことだったんだ」と気づきました。「嫌いなものでも、残さないで食べたい」という行動がみられるようになり、滝宮小学校の給食残食はほとんどなくなりました。</strong>竹下さんが異動した高松市立国分寺中学校、現在校長を務める綾川町立綾上（あやがみ）中学校でも「弁当の日」に取り組み、学校給食の残食は「ほぼゼロ」が続いています。</p>

<hr /><p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>いろいろな応用編も登場</strong>
</p>

<p>滝宮小学校では、校長によるトップダウンで始まった「弁当の日」。しかし、交流会に参加した実践者たちは、それぞれ現場にあった応用編を生み出していました。<br />
福岡市の小学校教諭・稲益義宏さんは、「弁当の日」を知った当初、「自分は校長じゃないから無理だ。給食を止められない」と二の足を踏んだそうです。しかし、できる方法を考えるうち、「もともと給食がない遠足や社会科見学の日を活用しよう」とひらめきました。<br />
家庭科がない3年生の担任だったので、「コース別弁当の日」を提案。完ぺきコース（子どもだけで作る）・おすすめコース（親と作る）・ベーシックコース（おにぎり作りと詰める手伝い）・エンターテインメントコース（思い切り感謝を伝える）の4コースから、子ども自身が選ぶ方法にしました（イナマス方式と命名）。<br />
　初めての遠足当日、実にクラスの95％が完ぺきコースか、おすすめコースに挑戦。回を重ねるごとに、子どもの手づくり弁当は増加し、運動会に自作弁当を持って来る子どもを見つけたときは感激したそうです。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/049_004.jpg" alt="" />＜左上＞全国から集まった交流会　＜右上＞本多さん親子
＜左下＞助産師の内田美智子さん　＜右下＞イナマス方式の稲益義宏先生</p>


<p>また、小学校1年生から中学3年生までを対象にした宇都宮市では、全体の目標を「中学を卒業するまでには自分1人で弁当を作れるようになる」と設定。いわば、小中連携で「9年計画」の取り組みにしたのです。<br />
　大学生に広がっている「弁当の日」は、九州大学（福岡市）から始まった「1品持ち寄り方式」。「名前の頭文字から始まる食材を使ったおかず」「100円以内の食費で作るおかず」など、毎回テーマを決め、キャンパスでお互いの弁当を食べ合います。学生たちの「弁当の日」をサポートする同大助教・佐藤剛史さんは、こう言います。「みんなのために作るとなると、値段の安さより、食材そのものに目が向き始めます。できるだけ地元の食材、安全な食材を選びたくなる。自給率は上げるものではなくて、"上がるもの"なのです」。<br />
　有意義に続く取り組み方は、それぞれの状況によって変わるということ。<strong>「どうすれば『弁当の日』を実践できるかと、よく助言を求められますが、答えは現場の人にしか出せません。しかも、困難を乗り越える方法を考えることこそ醍醐味。それを人任せにするなんてもったいないですよ」と竹下さんは言います。</strong></p>


<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>「かわいそうな状況」を放っておかない</strong>
</p>

<p>「親が料理を作らない家庭もある。『弁当の日』をやるとかわいそうではないでしょうか」。こうした不安が、実践の壁になることもあります。これに対して、竹下先生はこう意見します。<strong>「かわいそうな状況があるなら、それをそのまま放っておく方がかわいそうだ。親ができないなら子ども自身ができるようにしてやればいい。それは一生の財産になるし、助かるのは親の方でしょう」。</strong><br />
　交流会では、その"未来予想図"といえる体験談も聞けました。綾上中学校の事務員・水澤加代子さんは子ども時代、母親から家事を厳しくしつけられたそうです。子ども3人で毎朝家事を分担、さぼればご飯を食べられない日々。高校入試の前日、「今日ぐらいはいいでしょ？」と尋ねたら、「当然のように生きておきながら、生きるために必要なことをしなくていいとはどういうことか」と叱られたことが忘れられないといいます。母親は、彼女が高校3年のときに他界。その後、子どもだけで日々のくらしを難なく切り盛りできたことで、ありがたさに気づいたそうです。「私は料理が作れることをとても幸せなことだと思っています。母に感謝し、今は自分が母親として、子どもに同じことをしています」。<br />
交流会で参加者たちは、子どもを守るため、大人が本当にすべきことは何なのか、熱心に語り合いました。</p>

<hr /><p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>「頑張ることはかっこいい」という価値観</strong>
</p>

<p>交流会翌日は、竹下さんが校長を務める綾上中学校（生徒数135人）で、「弁当の日」を視察しました。この日は、教諭も弁当持参です。担任が1人ひとりの弁当を写真に収めるクラス、全員分の弁当を一カ所に集めて記念撮影をするクラスなど、楽しげな声が校舎に響いていました。<strong>生徒たちの表情を見ても、ふたを開く前に中身をこっそり確認していたり、友だちから「おかず交換して」と言われ照れ笑いしたり、通常の給食時間とは明らかに違う「どきどき感」「わくわく感」が伝わりました。</strong><br />
「本当に自分で作ったか」は、どの先生も確認しません。子どもが作りたがっていても、親が手を出すこともあるのですが、「それを調べる必要はない」と学校側は言います。<strong>級友同士なら、本当に自分でご飯を炊いたか、煮物を作ったかは、会話や態度を通して分かるもの。自分で作った級友を立派に感じ、自分で作らなかったことを悔しく思った生徒は、「次回は自分で作ろう」と自ら秘かに決心するというのです。頑張ることはかっこいい。自立することはかっこいい。そうした価値観がうまくはぐくまれていると感じました。</strong></p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/049_005.jpg" alt="" />弁当箱を開ける瞬間は、どきどきわくわく（綾上中）</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/049_006.jpg" alt="" />この日は先生も手作り弁当を作ってきます。先生も生徒も笑顔！（綾上中）</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/049_007.jpg" alt="" />この日のテーマは「いろどり弁当」。個性ある、色とりどりの弁当が揃いました（綾上中）</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/049_008.jpg" alt="" /></p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/049_009.jpg" alt="" /></p>


<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>先輩の背中に刺激される「成長力」</strong>
</p>


<p>視察は楽しいものでした。ただ、"一見さん"の筆者には、弁当を食べる様子だけでは、生徒たちがどう成長したのかまで分かりません。それを垣間見ることができたのが、実は、弁当の時間の後に体育館であった合唱コンクールでした。<br />
　この日は、年に一度の文化祭。保護者や地域の人が、生徒の発表を楽しみに集まる日です。まず驚いたのは、体育館に全員集合した生徒たちが私語をしないことでした。全員がきちんと背を伸ばし、前を向いて着座。注意して回る先生もいません。当然のことではありますが、近年の小中学校ではなかなか見られない光景ではないでしょうか。<br />
合唱の様子にも目を見張りました。1年生より2年生、2年生より3年生が見事な歌声を披露したのですが、全員が顔を上げてひな壇に立ち、恥ずかしそうにふざけ合う姿は一切ありません。先輩の舞台は後輩が拍手や声援で盛り上げ、人の話が始まればさっと席に戻って静かに聞くという具合。一部の生徒は入学当時、座って人の話を聞けない状態だったと後で知り、さらに驚きました。<br />
　閉会時の竹下校長のあいさつに、"秘訣"の一端をみた気がします。「3年生の合唱に感動しました。それを見ている1、2年生の瞳はとってもきれいでした。『3年生までにあそこまで成長しなくては』と感じたのだと思います」。翌年度は学校活動の中心となる1、2年生。彼らが「自分もかっこいい先輩になりたい」と感じるような"先輩像"の見せ方をして、本能的な「成長力」を刺激したのだと思います。
</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/049_010.jpg" alt="" />合唱コンクールで見事な歌声を披露する綾上中の生徒たち</p>


<hr /><p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>通過儀礼としての「弁当の日」</strong>
</p>

<p>実は、滝宮小学校でも、子どもの「成長力」を刺激するため、同じような"仕掛け"が行われてきました。竹下さんの異動後、後任の校長になった末澤敬子さんが始めた「見せる『弁当の日』」です。弁当を作らない低学年を並ばせて、先輩の弁当を見て回らせるのです。しかも、給食前のぐうぐうお腹が空いている状態で。<br />
これには、大きな効果がありました。「おいしい弁当を作れるかっこいい5年生になりたい」とやる気になった子どもたちが、親にくっついて料理を覚えようという行動に出始めたそうです。<strong>実践が9年目に入り、「弁当の日」が大人になるための"通過儀礼"として定着した滝宮小学校では、子どもたちの弁当のレベルが年々向上しています。</strong></p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/049_011.jpg" alt="" />現在の滝宮小学校では、児童たちが自分の弁当を大写しにして発表していました</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/049_012.jpg" alt="" />友達の弁当にコメントする。授業のスタイルはクラスによって違います（滝宮小）</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/049_013.jpg" alt="" />弁当を食べる子どもたちに声をかける竹下さん（滝宮小）</p>

<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>「弁当の日」に込めた6つの夢</strong>
</p>

<p><strong>「大人が子どもたちに『一家団らんの楽しい食事』という『DNA』を伝えれば、それは100年後の子どもたちにまで届くと思っています」。そういう竹下さんの願いは、「弁当の日」を通して、日本の子どもたちが育つ環境を変えること。</strong>竹下さんが100年後に伝えたい「DNA」を連ねた「『弁当の日』に込めた6つの夢」を最後に紹介します。</p>

<p><strong><ol>
<li>「一家団らんの食事」が当たり前になる夢</li>
<li>食べ物の「命」をイメージできるようになる夢</li>
<li>子どもたちの感性が磨かれる夢</li>
<li>人に喜ばれることを快く思うようになる夢</li>
<li>感謝の気持ちで物事を受けとめられるようになる夢</li>
<li>世界をたしかな目で見つめるようになる夢</li>
</ol></strong></p>


<p>今の社会に生き難さや危うさを認めるなら、同じことを経験させないよう次世代をはぐくむのが大人の務め。子どもを台所に立たせることから日本の未来をひらこうという提案に、目の前の子どもたちを"仲間入り"させる人の輪を広げたい。そうすれば、"DNA"のリレーが面的に広がり、ひいては地球の未来をもひらく力になり得るだろうと感じました。</p>

<br /><br />

<p class="cond"><span class="highlight">※参考</span><br />
「弁当の日」のホームページ<a href="http://www.bentounohi.com/" target="_blank">http://www.bentounohi.com/</a><br />
「弁当の日」最新情報の掲示板<a href="http://e-kyudai.com/imgbbs/index.php" target="_blank">http://e-kyudai.com/imgbbs/index.php</a></p> 

<br /><br />

<p><strong>著者プロフィール</strong><br />
渡邊美穂（わたなべ・みほ）<br />
1997年西日本新聞社に入社。2003年から長期企画「食卓の向こう側」の取材班。自ら食生活を見直し、体調も改善した。06年6月、転勤族である夫と同居するために退社。現在は東京在住で、同新聞の契約記者兼フリーライターとして執筆活動を続ける。</p>
<br /><br />

<div style="text-align: right;"><p><small>取材・写真：渡邊美穂<br />
協力：竹下和男<br />
写真協力：上田壮一(Think the Earthプロジェクト)</small></p></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>緑の絆は結べるか　〜ボルネオの熱帯雨林で起きていること</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2009/12/rpt-48.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2009:/jp/thinkdaily-renewal/report//7.996</id>

    <published>2009-12-09T09:22:02Z</published>
    <updated>2009-12-09T14:54:48Z</updated>

    <summary>     目次へ移動     熱帯雨林の島、ボルネオへ 今回のリポートは、『いき...</summary>
    <author>
        <name>staff</name>
        
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/">
        <![CDATA[<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>熱帯雨林の島、ボルネオへ</strong>
</p>

<p>今回のリポートは、『いきものがたり』で監修協力をお願いした中静透教授がリーダーを務める<a href="http://gema.biology.tohoku.ac.jp/" target="_blank">東北大学 生態適応GCOEプログラム</a>のコンソーシアムに筆者が参加したことが縁で実現しました。大学院教育の一環で、博士課程の学生たちが森林生態研究の現場を視察するというのが大きな目的。行き先は世界で３番目に大きな島、ボルネオ。東南アジアではまだ少ないFSC認証林の視察や、サバ州、サラワク州の森林政策についての講義など、盛りだくさんの内容でしたが、このリポートでは、主にボルネオ島の北東部、サバ州のキナバタンガン川下流域で起きていることを中心にお伝えします。『いきものがたり』でも、この地域の保全活動の紹介をしていますが、筆者にとっては初めての訪問。実際に現地を見て度肝を抜かれることになりました。</p>


<p><img alt="地図" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/048_map.gif" width="500" class="mt-image-none" style="" /></p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>地平線まで埋め尽くすオイルパーム</strong>
</p>


<p>マレーシアに着いて、<strong>とにかく驚かされたのは、見渡す限り地平線まで続くオイルパームのプランテーション</strong>です。飛行機の窓からは、一見すると緑豊かな大地に見えますが、実は<strong>たった１種類の植物が大地を埋め尽くしている光景。</strong>プランテーションに近づいてみると、林立するオイルパームのそばに、虫や鳥の姿はほとんど見られません。オイルパームの実を狙うネズミと、それを補食するコブラがいるそうですが、なんとも殺伐とした生きものの連鎖です。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/048_oilpalm-horizon.jpg" alt="オイルパームのプランテーション" />地平線まで続く広大なオイルパームのプランテーション</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/048_plantation.jpg" alt="プランテーションは一見すると緑の世界" />プランテーションは一見すると緑の世界だが・・・</p>

<p>パームオイル産業はなぜ拡大したのでしょうか。単位面積あたりの収量が他の植物性油脂に比べて圧倒的に多く、年間を通じて収穫が可能、価格が安い、石油と違って再生産が可能で枯渇しない、など資源として優れていることがその理由です。熱帯雨林を伐採しプランテーションに変えたとしても、植物を植えているので、二酸化炭素は吸収してくれるため「地球にやさしい」と宣伝されたことさえあります。いまでは植物油の生産量では、大豆油を抜いて世界一に。その結果、マレーシアでは、1980年代に100万ヘクタールだったプランテーションの面積は2008年には480万ヘクタール(MPOA統計)まで増えました。東京都の面積の20倍以上です。年間輸出量は1540万トン、そのうち日本は55万トンを輸入。<strong>世界全体の生産量は3800万トン。いまや世界経済に組み込まれた大きな産業になっています。</strong></p>

	
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/048_oilpalm_truth.jpg" alt="オイルパームの果房" />オイルパームの果房</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/048_oilpalm.jpg" alt="オイルパームの実と断面" />オイルパームの実と断面</p>


<p>オイルパームは20メートルほどの高さに生長し、10〜12ほどの果房がつきます。重さ30kg以上にもなる一房の果房からは数百個の実が採取できます。果実にも、種子にも油分がたっぷりと含まれています。<br />
<strong>オイルパームの実は収穫後すぐに品質が劣化していくため、24時間以内に搾らなければならず、プランテーションのすぐ近くに搾油工場が必要です。</strong>ひとつの工場を経営するためには、最低でも4000ヘクタールの土地がないと採算がとれないのだそうです。こうして広大な土地が次々にプランテーションに変わっていきました。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/048_truck.jpg" alt="サラワク州のパームオイル工場。" />サラワク州のパームオイル工場。次々にトラックで運び込まれるオイルパームの房</p>


	
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/048_tank.jpg" alt="巨大なタンクが並ぶ" />巨大なタンクが並ぶ</p>


<p>パームオイルは私たちの暮らしにすっかり浸透しています。<strong>スナック菓子、チョコレート、アイスクリーム、冷凍食品、インスタントラーメン、マーガリンなどの食品が８割以上。食品以外では、石けんや洗剤、化粧品、ろうそくなど。おそらくパームオイルに触れたり食べたりしない日は一日もないほどです。</strong>日本人の消費量は欧米諸国に比べれば少ないのですが、それでもひとりあたり年間平均37リットルのパームオイルを使っているといわれています。</p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>オランウータンが危ない　野生動物たちの悲しい聖域</strong>
</p>


<p><strong>そんなパームオイル産業の拡大が、熱帯雨林の野生動物たちを絶滅に追いやろうとしています。</strong>今回訪ねたボルネオ島の北東部、サバ州のキナバタンガン川下流域でも、オランウータンをはじめとする野生生物が絶滅の危機に瀕しています。この地域は、<strong>もともとは豊かな熱帯雨林が拡がっていましたが、プランテーションが熱帯雨林を浸食していったことによって、森が細かく分断（断片化）されてしまいました。</strong>そのため、野生の生きものたちが狭いエリアに閉じ込められることになってしまったのです。<strong>動物たちが生きていくためには、ある程度の広さの土地が必要です。狭い森で十分な餌を採り、パートナーを見つけて繁殖していくことはなかなか難しいのです。</strong><br />
絶滅に瀕している代表的な動物がオランウータン。<strong>野生のオランウータンが生きていくには7万ヘクタール以上の広さの森が必要ともいわれています。</strong>現在保護区になっているこの2万7000ヘクタールのエリアに、2003年の推定で1125頭が暮らしていることがわかっていますが、イギリスのカーディフ大学の調査研究によれば、このまま分断された森の状態が続くと、50年後には95%が絶滅すると推測されています。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/048_kinabatangan.jpg" alt="キナバタンガン川" />キナバタンガン川</p>


<p>ボートに乗って川沿いに棲む野生生物を観察しに行きました。出会ったのは、本来の森の住民たち。ラッキーなことに、オランウータン、カニクイザル、岩ツバメ、カワセミ、レッドリーフモンキー、ワニ、ボルネオゾウ、テナガザル、テングザルなど多くの動物たちに出会うことができました。「今回は特別ラッキー」と言われましたが、観察できる野生動物が比較的多いために、エコツアーも盛んで、川沿いには居心地の良さそうなロッジやキャンプなども多く作られています。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/048_animals.jpg" alt="出会った動物たち" />出会った動物たち　オランウータンの雄（左上）、テングザル（右上）、カワセミ（左下）、サイチョウ（右下）</p>


<p><strong>なぜこれほどまでに多様な生きものたちと出会えるのでしょうか。それにはちょっと悲しい理由があります。実はよく見ると、川沿いに森は残っているものの、そのすぐ奥にプランテーションが迫ってきていることがわかります。たくさんの動物に出会えるのは、わずかに残された狭いエリアに、動物たちが逃げ込んできて暮らしているからだったのです。</strong>保護区の中に違法に植えられたオイルパームもあります。何も知らずに訪れると、豊かな水辺と森に囲まれた動物たちの聖域のように思えますが、実は人間によって追い込まれた悲しい聖域だったのです。写真に写っているオランウータンも、このエリアに残った最後の一頭の雄です。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/048_oilpalm_behind.jpg" alt="川のそばまで迫るプランテーション" />川のそばまで迫るプランテーション</p>

	
<p class="caption"><iframe width="500" height="352" frameborder="0" scrolling="no" marginheight="0" marginwidth="0" src="http://www.google.co.jp/maps?ie=UTF8&amp;t=k&amp;source=embed&amp;hq=&amp;hnear=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E4%B8%96%E7%94%B0%E8%B0%B7%E5%8C%BA%E8%B5%A4%E5%A0%A4%EF%BC%92%E4%B8%81%E7%9B%AE%EF%BC%93%EF%BC%94%E2%88%92%EF%BC%91%EF%BC%92&amp;ll=5.174507,118.382621&amp;spn=0.015045,0.021458&amp;z=15&amp;output=embed"></iframe><br /><small><a href="http://www.google.co.jp/maps?ie=UTF8&amp;t=k&amp;source=embed&amp;hq=&amp;hnear=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E4%B8%96%E7%94%B0%E8%B0%B7%E5%8C%BA%E8%B5%A4%E5%A0%A4%EF%BC%92%E4%B8%81%E7%9B%AE%EF%BC%93%EF%BC%94%E2%88%92%EF%BC%91%EF%BC%92&amp;ll=5.174507,118.382621&amp;spn=0.015045,0.021458&amp;z=15" style="color:#0000FF;text-align:left">大きな地図で見る</a></small><br />キナバタンガン川の南側、同じく野生生物の絶滅が心配されるセガマ川流域の衛星画像。森が川沿いの小さなエリアに追い込められていることや、プランテーションの海の中に、分断された森が小島のように浮かんでいる様子が良くわかる</p>





<p class="caption"><object width="500" height="315"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/3TJ4fVjr2rs&hl=ja_JP&fs=1&border=1"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/3TJ4fVjr2rs&hl=ja_JP&fs=1&border=1" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="500" height="315"></embed></object>森が分断されたため、直接会うことのできない対岸の雌ザルに、せつない鳴き声で呼びかける雄のテナガザル。霊長類の一種であるテナガザルはオランウータンと同じように泳げないので、プランテーションからの排水路や川が自然のバリヤーとなってしまう。パートナーが見つからなければ絶滅に直結する</p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>緑の絆を取り戻そう　ボルネオ保全トラストの活動</strong>
</p>


<p>このキナバタンガン川下流域の野生動物を守る活動をしているのが<a href="http://www.borneoconservationtrust.org.my/" title="ボルネオ保全トラスト(BCT)" target="_blank">ボルネオ保全トラスト(BCT)</a>というNGOです。<a href="http://www.bctj.jp/" title="日本事務所（BCTJ）" target="_blank">日本事務所（BCTJ）</a>代表で、星槎大学准教授の坪内俊憲さんは言います。<br />
　「（先進国の）私たちが便利だと信じて毎日の暮らしで使っているものが原因で、森が分断され、動物たちが隔離されてしまっています。その現実を知って欲しい。知らないということは、それだけで一種の罪だと思います」</p>


	
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/048_tsubouchi.jpg" alt="ボルネオ保全トラストジャパン理事長の坪内俊憲さん" />ボルネオ保全トラストジャパン理事長の坪内俊憲さん</p>


<p>BCTの活動にはいろいろあります。もともと獣医だった坪内さんは、<strong>野生動物救出センターを作りたい</strong>と考えています。狭い森で食べものがなくなったボルネオゾウなどが、餌を求めてプランテーションに入り、安い賃金で働く労働者が野生動物の肉を得るために仕掛けたワナにかかって死んでしまうケースなどもあります。そうした動物を見殺しにせず、救いたいという想いからです。</p>

<p>また、<strong>分断された森をつなぎ、野生生物の絶滅を防ぐために「緑の回廊」を作ろうと呼びかけています。</strong>プランテーションを買い取って元の森に戻し、分断された森と森をつなぎ、動物たちの通り道にしようという計画です。キナバタンガン河と南のセガマ川流域で2万ヘクタール分の土地を購入して回廊を作ることで絶滅が避けられるといいます。<strong>カーディフ大学の調査では、緑の回廊が完成すれば、50年後にオランウータンが絶滅する確率は5%にまで下げられるとのこと。</strong>1ヘクタールの土地の代金は約120万円（2009年9月時点）。2万ヘクタールまでの道のりは長いですが、坪内さんたちの呼びかけによって、賛同者も増え、少しずつ買い進めています（現在は3号地、4号地の寄付を募集中）。</p>

<p>さらに、土地の買取りだけでなく、分断された森をつなぐアイディアとして、日本の動物園や橋の設計者たちの協力によって、<strong>川幅の狭い場所にオランウータンが渡れる吊り橋をつくる活動「命の架け橋プロジェクト」も行なっています。</strong></p>


	
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/048_bridge.jpg" alt="吊り橋" />2008年4月にかけられた吊り橋。消防ホースを使って作られている。残念ながらオランウータンが渡ったという報告はまだない</p>

<p class="caption">

<object width="500" height="315"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/C76oUVeHEVg&hl=ja_JP&fs=1&border=1"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/C76oUVeHEVg&hl=ja_JP&fs=1&border=1" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="500" height="315"></embed></object>

今回の視察中にテングザルが渡っているところを目撃。森と森をつなぐ役割はちゃんと果たせている。あとはオランウータンが渡ってくれれば！</p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>持続可能なパームオイル産業をめざして</strong>
</p>


<p><strong>パームオイルが引き起こす環境問題に気づき、活動を始めている企業もあります。</strong>石けんや洗剤メーカーの<a href="http://yashinomi.co.jp/" title="サラヤ" target="_blank">サラヤ</a>は、BCTの設立に参加し、その活動をサポートしています。同社の代表的な植物性洗剤「ヤシノミ洗剤」の<strong>売上の1%をBCT「緑の回廊」プロジェクトに送金することを消費者と約束し、オランウータンの「命の吊橋」プロジェクトや、傷ついたボルネオゾウの救出活動などを行なっています。また、消費者の代表が現地視察してリポートする「ボルネオ調査隊」を実施してホームページで情報公開する</strong>など、本気で取組んでいることが伝わってきます。今回、坪内さんと共に現地を案内いただいたBCTJ理事／サラヤ広告宣伝部の代島裕世さんによれば、こうした活動を通じて、パームオイルを使った事業のあり方を見直し、企業として<strong>事業と生物多様性保全との両立をめざそうとしている</strong>とのことです。</p>

<p>さらに国際的な取り組みとして、2004年にはWWFの呼びかけで<a href="http://www.rspo.org/" title="RSPO（Roundtable on Sustainable Palm Oil）" target="_blank">RSPO（Roundtable on Sustainable Palm Oil）</a>という団体もできました。パームオイルに関わる企業やNGO、政府などが参加して、人も野生動物も持続可能なパームオイル産業のありかたを考えようという取り組みです。話し合いはまだ始まったばかりですが、認証制度の整備などが進めば、消費者が環境保全に配慮して作られた油を使った商品を選べるようになるかもしれません。2009年時点で、日本の企業もサラヤをはじめ6社が加盟しています。</p>

<p>オイルパームの生産を今すぐ止めましょうというのは非現実的な話です。世界人口が増え、暮らしが豊かになり、拡大していく消費。世界経済のニーズを満たしながら、絶対に失ってはならない生物多様性の保全をどう両立させていくか。さらに地元の人たちの暮らしを支えるローカルな経済も視野に入れる必要があります。<strong>現場は頭で考えて動く世界ではない、と坪内さんは強調します。森林保全活動をしている人を暴力によって阻止しようとする人たちもいて、重傷を負わされたり殺されたりするケースもあるそうです。</strong>実際に現場に立ってみると、問題の複雑さを前に、ただ立ち尽くすばかりです。そんな中で諦めずに活動を続ける坪内さんたちの熱意には本当に頭が下がりました。</p>

<p>目先の利益のために野生動物の絶滅を座視すれば、次に絶滅するのは私たちの番です。<strong>豊かな自然の恩恵なしに人間は生きていくことはできません。</strong>オイルパームの問題はコーンや大豆によるバイオエタノール生産が抱える問題も連想させます。急<strong>速かつ過剰な生産拡大は、回復不可能なまでに自然を壊すことになるのは全く同じ構造です。</strong>2010 年には名古屋で生物多様性国際会議（COP10）も開かれます。こうした問題と向き合い、経済と生態系保全の両立を実現する知恵を、早急に生み出していく必要があります。「必要なのは人間と生態系とを結ぶ緑の絆」。坪内さんの言葉が胸に残ります。このリポートが、まずは現実を知ることの一助になれば嬉しいです。</p>


<p class="caption">

<object width="500" height="315"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/ZgMtqdXZmWk&hl=ja_JP&fs=1&border=1"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/ZgMtqdXZmWk&hl=ja_JP&fs=1&border=1" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="500" height="315"></embed></object>

ゴマントン洞窟のそばで出会ったオランウータン。このオランウータンの未来と人間の未来は重なっている。</p>


<br /><br />

<div style="text-align: right;"><p><small>取材・撮影：上田壮一（Think the Earthプロジェクト）<br />
Special Thanks：<a href="http://gema.biology.tohoku.ac.jp/" title="東北大学 生態適応GCOE" target="_blank">東北大学 生態適応GCOE</a>、<a href="http://www.bctj.jp/" title="ボルネオ保全トラスト" target="_blank">ボルネオ保全トラスト</a>、<a href="http://yashinomi.co.jp/" title="サラヤ株式会社" target="_blank">サラヤ株式会社</a><br />
関連プロジェクト：<a href="http://www.thinktheearth.net/jp/ikimonogatari/" title="『いきものがたり　〜生物多様性11の話』" target="_blank">『いきものがたり　〜生物多様性11の話』</a> </small></p></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>コミュニケーションもグリーンに。ロンドンのグリーンエージェンシーを訪れました</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2009/07/rpt-47.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2009:/jp/thinkdaily-renewal/report//7.998</id>

    <published>2009-07-31T13:41:32Z</published>
    <updated>2009-12-17T14:36:05Z</updated>

    <summary>     目次へ移動     DEMOS　（デモス） www.demos.co....</summary>
    <author>
        <name>staff</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/">
        <![CDATA[<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>DEMOS　（デモス）</strong>
</p>

<p><a href="http://www.demos.co.uk/" target="_blank">www.demos.co.uk</a></p>

<p>DEMOSのスローガンは「ビルディング・エブリデイ・デモクラシー（building everyday democracy）」。<strong>自由でパワフルな市民社会の実現のために、政策や政治分野に焦点をあてたシンクタンクです。人々をエンパワーし、市民自らがよりよい社会を築くために、</strong>活動を行っています。<br />
私たちにDEMOSについて説明してくれたのは、リサーチャーのジョナサン・バードウェルさんとリサーチ・ディレクターのジュリア・マーゴさんです。</p>

<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/047_demos01.jpg" width="500" height="352" class="mt-image-none" style="" /></span></p>

<p>DEMOSのロンドンオフィスで働いているのは約20名のメンバーと、8〜9名のインターン。メンバーのバックグラウンドは、コンサルタント、アカデミックなリサーチャー、広告のクリエーティブなど。<strong>業務範囲はメディア、PR、プロジェクトの企画、コンサルタント・・・と多岐にわたります。</strong>DEMOSのメンバーは、得意分野はもちろんありますが、全員がリサーチや分析、メディアなど必要な専門知識を持っており、全てに対応可能。そのためのトレーニングメニューも自分たちでつくっているそうです。</p>

<p>DEMOSのプロジェクトにはいくつかの種類がありますが、全て企業／行政とのパートナーシップによって成り立っています。</p>

<p>まずひとつ目は、シンクタンク業務。クライアント（企業／行政）に対して、意思決定・政策立案のリサーチと分析を行います。ただし、<strong>DEMOSには「よりよい社会のために」という理念があるので、特定のクライアントの利益追求ために働くということではなく、パートナーシップに基づいて社会のため、人々のためにリサーチを行います。</strong>クライアントはその結果を、意思決定や政策の立案・改善の参考にしたり、パブリシティや、ネットワークの強化のために使用します。全体におけるこの業務の占める割合は低いとのことでした。</p>

<p>ふたつ目のパートナーシップのあり方として、「パートナーシップ・プログラム」というのがあります。<strong>プログラムありきでパートナーシップを結んだ企業・団体がいくつか集まる、というやり方</strong>です。例えば、「市民権について考えるプログラム」では、問題に関して市民パネリストも含め意見を交換しあいました。こうしたプログラムに参加することによって、参加企業／団体は知見を深め、意思決定や政策立案に役立てることができます。</p>

<p>そして3つ目が、<strong>自ら方向性をもってプロジェクトを立ち上げ、それをサポートしてくれる企業を募る、というやり方</strong>です。DEMOSは「社会を変える」というミッションをもったシンクタンクなので、この分野に最も力を入れています。プロジェクトの期間は8〜12ヶ月ほどで、投資銀行や、大手流通などなどが協賛しています。参加企業／団体にとって直接的な効果が分かりにくいため、プロジェクトをサポートし続けてもらうことが難しいこともありますが、目指す社会の実現のために、プロジェクトのパブリシティを行ったり、世の中に広く認知してもらえるようにしたりしているそうです。</p>

<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="047_demos02.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/047_demos02.jpg" width="500" height="352" class="mt-image-none" style="" /></span></p>

<p>DEMOSのすべてのプログラムは、健全な社会形成を目指して、以下の4つのテーマによって特徴づけられています。</p>

<ol>
<li><strong>independence</strong><br />
個人と行政の関係を調査し、人々の自立を推進する。</li>
<li><strong>security</strong><br />
個人の社会における役割を調査し、国内および国際的な安全確保を推進する。</li>
<li><strong>capabilities</strong><br />
個人の人的及び物質的能力の向上のために、社会・環境の改善を推進する。</li>
<li><strong>citizenship</strong><br />
社会を形成する意思決定の一員として、個人の積極的な社会参加を推進する。</li>
</ol>

<p>「セキュリティ」をテーマとした一例として、昨年政府に対して行った、テロや災害などあらゆる事態を想定した安全確保を考察するプログラムがあります。既存のセキュリティシステムの、全てのプロセスについてヒアリング、リサーチ、レビューを行い、危機別のシナリオや、テロなどの緊急事態にも早急に対応できうる新しいセキュリティシステムをプランニングしました。セミナーやカンファレンスにおいて、行政に報告し、改善を提言しました。</p>

<p>そのほか、<strong>企業の社会的取り組みをリサーチしてフィードバックしたり、イギリス国内における社会的諸問題</strong>（例：犯罪やアルコール依存症の問題など）<strong>を調査し、それらに対して各企業がどのような行動を起こせるか、社会的責任を果たしていくべきか、ということも考え提案しています。</strong>様々な企業／団体とパートナーシップを築きながら、社会を改善していく方法を模索しています。</p>

<p>こうしたプロジェクトを実施できるのは、約20年にわたるDEMOSの歴史のなかでたくさんの企業や財団などとの強くて長い関係をつくってきたから、とのことでした。</p>

<hr />
<p class="section-title">
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    <strong>Clownfish（クラウンフィッシュ）</strong>
</p>

<p><a href="http://www.clownfishmarketing.com/" target="_blank">www.clownfishmarketing.com</a></p>

<p>私たちがオフィスを訪問してまず目にとまったのが、日本でも人気のインテリア・雑貨ブランドCath Kidston（キャス・キッドソン）とTESCO（テスコ、英国の大きなスーパーマーケットチェーン）とのコラボレーションによるショッピングバッグです。昨年日本だけでなく世界中のプレスでかなり話題になったので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。説明してくれたのはCEOのダイアナ・ヴェルデ・ニエトさんです。</p>

<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="047_clownfish01.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/047_clownfish01.jpg" width="500" height="352" class="mt-image-none" style="" /></span></p>

<p>世界中で話題になったこのバッグは、ただかっこいいから、という理由だけで作られたわけではありません。レジ袋の使用削減という環境保全の観点に加え、<strong>人々が健康であり幸福で満たされている状態（well being）を実現することも狙いのひとつ</strong>です。このバッグをつくるにあたっては、ライフサイクル、つまり原材料調達から流通までの、マーケティングコミュニケーションを含む一連の流れの中で環境負荷を下げることが考慮されています。回収したペットボトル６本分を原材料として使用、製造工程でも通常より少ない縫製を追求、印刷はSOY INK、サプライチェーンも短くしました。そのために、リサイクルボトルを扱う適正な企業から、適正な縫製工場、無駄を省いた流通まで、すべてにおいて最善の道のりを提案し、実現しました。バッグは不要になったらTESCOに送り返すこともでき、また他の生地へと生まれ変わらせることもできます。社会的な面についても、マリクレール誌とのコラボレーションにより、このバッグの全利益が乳ガン基金へ募金される仕組みになっています。ユーザーはバッグを買うことで自然にチャリティーにも協力できるのです。<strong>人々が、実際にチャリティーに参加し、「何かいいことをしている」と感じることも well beingのひとつと考えている</strong>からです。実用面でも、丈夫さを保ちつつも軽量化し、汚れても洗うことができる、など使いやすさにもこだわったつくりになっています。また価格も 3.50ポンドという安さで、経済的な面でも優れています。つまり、360度、全ての観点に配慮して作られた製品なのです。</p>

<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="047_clownfish02.png" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/047_clownfish02.png" width="500" height="352" class="mt-image-none" style="" /></span></p>
	
<p>「このように、<strong>Clownfishは、社会的な意味、環境的な意味、経済的な意味のすべてを追求しています。このうちのどれかひとつでも欠けてしまったら、サステナビリティの実現は不可能になるからです。</strong>ただ寄付をする、それだけではサステナブルとはいえないのです」とダイアナさんは言います。</p>

<p>Clownfishのロンドンオフィスでは環境テクノロジー、環境デザイン、マーケティングコミュニケーションなどをバックグラウンドにした30名ほどのメンバーが働いていて、現在はニューヨーク、上海など世界中にネットワークを広げています。</p>

<p>前述のショッピングバックの事例のように、<strong>Clownfishは、サステナブルなコミュニケーション・コンサルタントとして、あらゆる側面からクライアントに提案しています。</strong>そしてこのショッピングバッグのプロジェクトでは、TESCOとマリクレール誌、Cath Kidston、工場や社会・人々を繋ぐことに成功しました。そのほかにも、ユニリーバ､ナイキ、コカ・コーラなどのクライアントに対し、サステナビリティを生み出すエキスパートとして関わっています。</p>

<p><strong>人々（People）、地球（Planet）、利益（Profit）の３つのＰがClownfishのキーワード。</strong>消費者ニーズの汲み取り、ブランド価値や企業評価の向上から、従業員の労働意欲向上、ボトムラインの改善、経費削減に至るまで・・・<strong>ストラテジーからコミュニケーションのあらゆる段階において、サステナビリテイ実現のための価値を提案しています。</strong></p>


<hr />
<p class="section-title">
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    <strong>CURB（カーブ）</strong>
</p>


<p><a href="http://www.mindthecurb.com/" target="_blank">www.mindthecurb.com</a></p>

<p>CURBについて、創設者のアンソニー・ガンジュウさんに話を聞きました。<strong>CURB は自然のマテリアル（太陽光、砂、土、水・・・）を利用して、少ない環境負荷で効果的な広告を作り出す｢ナチュラルメディア・カンパニー｣。クライアントに、そして環境にダメージを与えることなく、世の中にインパクトを与える優れた「ナチュラルな」マーケティングを提供することを標榜しています。</strong><br />
設立されたのは2008年9月。まだ1年も経っていませんが、完成度の高さは世界的にも有名で、韓国や日本の雑誌にも掲載されたことがあるそうです。また彼らの活動は、BBCでも取り上げられました。</p>

<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="047_curb01.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/047_curb01.jpg" width="500" height="352" class="mt-image-none" style="" /></span></p>

<p>CURBの作品には、いくつかの種類があります。<br />
上記のCURBホームページに掲載されている作品たちは、必見です。</p>

<p><a href="http://www.mindthecurb.com/our-gallery-images.asp?ID=13" target="_blank">Clean Advertising</a><br />
壁や歩道にステンシルの型を当てて部分的に汚れを取り除き、元々の色と汚れた現在の色との際立った対比でデザインを浮かび上がらせます。洗浄には雨水を貯めた水を使用。</p>

<p><a href="http://www.mindthecurb.com/our-gallery-images.asp?ID=14" target="_blank">Logrow（芝）</a><br />
芝生を利用してブランドロゴを制作。</p>

<p><a href="http://www.mindthecurb.com/our-gallery-images.asp?ID=9" target="_blank">Sand Sculpture（砂）</a><br />
砂を利用し制作したバッキンガム宮殿は、中の人が今にも動き出しそうな精密さで、見に来たエリザベス女王も喜んでおられたそうです。</p>

<p><a href="http://www.mindthecurb.com/our-gallery-images.asp?ID=24" target="_blank">Snow Tagging（雪）</a><br />
雪に型を押し付けてマーキングするというシンプルな、しかし斬新な手法。今年2月の大雪のときに実施したエクストリームスポーツ専門放送局のための作品では、広告費に換算して5000万円以上のパブリシティ効果がありました。</p>

<p><a href="http://www.mindthecurb.com/our-gallery-images.asp?ID=7" target="_blank">Solar Art（太陽光）</a><br />
アーティストが虫眼鏡ひとつで木製の板に焼き付けていきます。信じられないほど緻密なビジュアルが出来上がります。</p>

<p><a href="http://www.mindthecurb.com/our-gallery-images.asp?ID=17" target="_blank">H2 Show（水）</a><br />
コンピュータ制御により、上から降ってくる水の量をコントロールし、それによって文字や模様を描きます。</p>

<p><a href="http://www.mindthecurb.com/our-gallery-images.asp?ID=19" target="_blank">Crop Ad</a><br />
広い畑に、ミステリーサークルのようにマークを制作。直径は120mに及ぶものまで（巨大なキティちゃんなど）あり、｢次は人工衛星からじゃないと見えないものにも挑戦したい｣（アンソニーさん）。</p>

<p>すべての作品は、一流のアーティストたちとチームを組み制作しています。しかしなぜ、彼らは、自然のマテリアルにこだわっているのでしょうか。アンソニーさんは<strong>グリーンマーケティングや、環境コミュニケーションを考える際に、そのメッセージを伝えるメディアそのものも自然であるべき</strong>と、シンプルに考えたと言います。作品に使用したマテリアルは、植物などであればそのまま残すこともできますし、雪や水を使った作品は自然に戻ります。また、自然素材を用いてつくられていることで、人々に強いインパクトを与え、例えば写真を撮って友達にメールを送ったり、口コミでもその話題は広がります。また、そのクオリティの高さから、出版物になったりしたときにも、より大きなインパクトを残します。こうした手法は、環境にとっても、クライアントにとってもよい方法であると彼らは考えています。</p>


<hr />
<p class="section-title">
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    <strong>BASH（バッシュ）</strong>
</p>

<p><a href="http://www.bashcreations.com/" target="_blank">www.bashcreations.com</a></p>

<p>BASHのあるショーリッジという地区は、ロンドンの中でも若いアーティストや美術館、クリエイティブブティックなどが集まった場所。<strong>BASHは英国のエンターテインメント産業にエコロジカルな方向性を紹介している、クリエイティブ・エージェンシー＆イベント・プロダクションで、倫理的なクリエイティビティとエコ・エンターテインメントを標榜しています。</strong><br />
取材の行われたBASHのあるビルの屋上は"roof project"として庭園になっていました。</p>

<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="047_bash01.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/047_bash01.jpg" width="500" height="176" class="mt-image-none" style="" /></span></p>

<p>BASH のメンバーは、仕事の合間にここへきて、緑に触れたりのんびりビールを飲んだりします。ちょっとしたパーティーや、時にはライブまで行われるそうです。そんなリラックスしたムードの中、クリエイティブ・ディレクターのダニエル・シルバーさんと、オペレーション・ディレクターのエリカ・プロブストさんが BASHについて話してくれました。</p>

<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="047_bash02.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/047_bash02.jpg" width="500" height="352" class="mt-image-none" style="" /></span></p>

<p>BASH は３年前に、ジョゼフ・オリバーさんによって設立されました。ジョゼフさんは「ロンドン・リーダーズ」プログラムのリーダーの１人に選出されており、カルチャー、政治、政府のリーダーと協働し、メディアにも働きかけ、ロンドンにサステナビリティを導入しています。またBASHはカルチュアル・セクター（図書館、博物館、文書館）とともに活動を行っている英国で最初の団体です。<strong>BASHのクライアント・参加者・メンバーはアーティスト、ファッションデザイナー、ミュージシャン、学生などであると同時に、企業やNGO、政府機関などとも一緒に働きます。アーティストと環境に関する両方の知見をもち、双方をクロスオーバーに結んでいます。</strong></p>

<p>それから、BASHのもうひとつの特徴は、<strong>ロンドンにおけるサステナビリティ・ネットワークを構築していることです。サステナビリティを考える環境づくり、またサステナビリティの実現のために、アーティストや企業を繋いでいるのです。</strong></p>

<p>BASHでは、特に16歳〜30代前半の若い人々に向けて、サステナブルな文化を浸透させるようなイベントやキャンペーンを企画しています。</p>

<p>BASHは下記の3つの分野で、あるいは3つを組み合わせて効果的なプロジェクトを提案・実施しています。</p>


<ol>
<li><strong>イベント</strong><br />
親しみやすいカジュアルな内容のイベントから、堅めのものまで。また小規模なものから、国際的な企業カンファレンスまで。内容・規模ともに幅広く、環境に配慮した形でイベントを実施しています。</li>
<li><strong>マーケティング</strong><br />
プロダクトデザインから新聞やテレビといったトラディショナルなメディアを使った広告まで、サステナブルで環境配慮型のソリューションをクライアントに提供しています。</li>
<li><strong>コンサルティング</strong><br />
サステナブルなコンサルティング企業として、クライアントに対し、グリーンなコミュニケーションや、どのように環境問題に取り組んでいけばよいかをコンサルティングしています。</li>
</ol>


<p>他には、オフィスの入っているビルの運営も行っています。1階がクラブ（その名もBlack Lotus Karate Club）になっていて、オーガニックフード＆ドリンクを楽しめる・・・そんな素敵な場所もプロデュースしています。</p>

<p>彼らが行っている様々なプロジェクトのうち、一例を紹介してもらいました。<br />
「現在バービカン・センターで行っているエキシビション"Radical Nature"の管理・運営にも携わっています（バービカン・センターとは、シティ・オブ・ロンドンにある、ヨーロッパ最大の複合文化施設です）。<br />
まず、エキシビションの告知キャンペーンのために50人のダンサー、パントマイマーに若手アーティストがデザインした木の衣装を着てもらいました。50人のパフォーマーたちそれぞれが木となり、時々立ち止まって森となったり、フォーメーションを変えながら歩いていきます。世界最大の金融街であるシティで朝 8時半から行ったので、通勤途中の人々がたくさん目にすることとなりました。それからセントポール、ピカデリーサーカスなどといった、人々の目に多く触れるルートや時間帯を計算し、歩いてもらいました。この様子は写真やビデオでリアルタイムに次々とWebにアップされ、Web上のディスカッションシステムで、ロンドンの木や自然に関するディベートが巻き起こり、大きな話題になりました。エキシビションが終了する午後6時頃には、バービカンの著名なキュレーターなどが、環境に関する話やこのプロジェクトの説明を行いました。<br />
これは、エキシビションの宣伝のために行ったものですが、同時に、人々が環境問題を考えるきっかけにもなりました。</p>

<p>単に、環境に配慮した手法で広告を行うとか、エコプロダクツを使用する、というだけではなく、<strong>人々が環境に関して直接考えられるように、問題を提起できるように</strong>考えています。そのためのひとつの方法として、社会の盛り上がりをつくるために、SNS（ソーシャル・ネットワーク・システム）なども活用しています」</p>

<p>最後に。BASHの"roof project"には実はもうひとつミッションがありました。2012年ロンドンオリンピックのメディアセンターの緑の屋根建設のために、堆肥（PAS100）と資材との相互作用、植物への影響などを科学的に調査しているのだそうです。</p>


<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="047_bash03.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/047_bash03.jpg" width="500" height="352" class="mt-image-none" style="" /></span></p>

<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>おまけ</strong>
</p>

<p>世界のソーシャルコミュニケーション最前線＠カンヌ国際広告祭     <a href="http://www.canneslions.com/" target="_blank">http://www.canneslions.com/</a></p>

<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="047_canneslions.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/047_canneslions.jpg" width="500" height="352" class="mt-image-none" style="" /></span></p>

<p>今年も6/21〜27の1週間、第56回カンヌ国際広告祭が開催されました。今年も目立っていたソーシャル・環境系のキャンペーンをいくつかリポートします。</p>

<p>●TRILLION DOLLAR CAMPAIGN（ジンバブエ）<br />
<a href="http://work.canneslions.com/outdoor/" target="_blank">http://work.canneslions.com/outdoor/</a><br />
<a href="http://work.canneslions.com/titanium/?award=2" target="_blank">http://work.canneslions.com/titanium/?award=2</a><br />
<a href="http://work.canneslions.com/media/?award=2" target="_blank">http://work.canneslions.com/media/?award=2</a></p>

<p>1兆ドル、という名前に驚いてよくみると、なんとポスターが何百枚、何千枚ものお札でできていた！という衝撃的なキャンペーン。キャンペーンのスポンサーはTHE ZIMBABWEANという新聞社。ムガベ大統領政権が選挙を不正に操作したり、野党を解体したり、貧困や災害、経済の崩壊の原因となっているということをリポートし続け、そのため国外に追放されたこの新聞社が発行している新聞は、ムガベ政権により55％もの贅沢品税をかけられています（あたかも言論の自由は高価、というように）。この新聞をジンバブエの人々の手に取り戻すには資金援助が必要であり、そのためにはジンバブエの外で認知を高め売上を伸ばさなければ、ということでこのキャンペーンが実施されました。<br />
キャンペーン開始数時間でプレスの取材を受け、2日後にはTV、ラジオで全国に紹介され、インターネットで世界に広がり、New York Times site、Yahoo News、the Huffington Postなど何百ものウェブサイトやブログで紹介されました。<br />
インフレの世界記録の症状である1兆ジンバブエドルの札束こそ、ジンバブエ崩壊のシンボル。一塊のパンも、ましてや広告など買えない１兆ドル・・・逆にその1兆ドルを広告媒体にしたらどうだろう。というのがこのキャンペーンです。<br />
クリエイティブ・ディレクターに会場で少しだけ話が聞けました。「逮捕される、とか思わなかったんですか？」「もちろん危険は覚悟していました。すべてのキャンペーンはゲリラ的に、4日間でやりきったんです。そうしたら、世論が味方についてくれました。だから彼ら（政権）は手が出せなかったんです」</p>

<p>●SELLING HOPE（ポルトガル）<br />
<a href="http://work.canneslions.com/promo/?award=2" target="_blank">http://work.canneslions.com/promo/?award=2</a><br />
<a href="http://work.canneslions.com/pr/?award=27" target="_blank">http://work.canneslions.com/pr/?award=27</a></p>

<p>2008年のクリスマスシーズンに行われた赤十字のキャンペーンは、それまでの寄付のやり方を変えました。リスボンのいちばんにぎやかなショッピングモールに誕生したそのショップでは、商品に触ることもできなければ、見ることも、着たり、聞いたりすることもできません。ただ、感じることができます。その商品とは、HOPE（希望）。他の店と同じようにハンガー、窓、試着室、販売員、バッグなどが置いてあるのですが、ただひとつの違いは、人々は手ぶらで店を出て行くこと。物を買う代わりに寄付をし、心の中はいっぱいにして。<br />
世界がかつてないほど強くHOPEを必要としていた時期に、このキャンペーンは奇跡的なタイミングで実施されました。初日の売上はモールのトップ10に入るほど。ボランティアを希望する人、初めて募金をする人、そして赤十字のパートナーになる企業も増えました。</p>

<p>●YUBARI（日本）<br />
<a href="http://work.canneslions.com/promo/" target="_blank">http://work.canneslions.com/promo/</a><br />
<a href="http://work.canneslions.com/pr/?award=27" target="_blank">http://work.canneslions.com/pr/?award=27</a></p>

<p>夕張市の町おこしキャンペーン。ニュースなどでご覧になった方も多いのではないでしょうか。多額の負債を抱え、2007年に財政破綻した夕張市。しかし夕張には、離婚率が日本一低いという事実がありました。そこで「金はないけど、愛はある」というコンセプトで「夕張夫妻」（いうまでもありませんが負債と夫妻がかかっています）というキャラクターが生まれ、キャンペーンが始まりました。キャラクターのモチーフは夕張メロンです。夕張市役所内には「夫婦円満課」が発足、ここを訪れた夫婦には「夫婦円満証」が発行されます。また、キャラクターソングが発売されたり、キャラクターを使ったグッズやお土産も多数販売されたり、キャラクターが雑誌に連載されたり・・・。100の新聞、100のオンラインメディア、30のTV番組、53100のブログで紹介されました。そして夕張市を訪れる人の数も毎年10％増加しています。しかしなにより重要なのは、夕張の人々が自分たちの街に再び誇りを取り戻したことなのです。</p>

<p>●KHEDE KASRA（レバノン）<br />
<a href="http://work.canneslions.com/pr/?award=27" target="_blank">http://work.canneslions.com/pr/?award=27</a></p>

<p>レバノン社会における女性の社会的役割の不平等に社会の目を向けさせるために、このキャンペーンは企画されました。アラビア語は発音するアクセントによって男性向けの言葉になったり女性向けの言葉になったりします。女性向けの言葉になるアクセントを「KASRA」アクセントといいます。<br />
このキャンペーンは、「レバノン社会では普段の会話の中で（男性女性を問わず）いかに男性に向けのアクセントで話すようになっているか」をデモンストレーションする、というもの。単語にKASRAマーク（赤いライン状の印）を付け、そのアクセントで話すと意味が変わる、ということを、ポスターやビルボードなどでデモンストレーションしました。あわせてYouTubeやFacebook、eメールなどデジタルメディアでも展開。2009年3月8日の世界女性の日には、いくつかのTV番組でパーソナリティーがKASRAのバッジをつけました。「ほんのわずかなアクションで世の中は変えられる」「あなたの印をつけましょう」というこのキャンペーンは新聞や雑誌で大きな話題となり、女性に不利なレバノンの裁判システム（離婚訴訟の際9歳以上の子どもの親権を失う、DVがはびこっている、など）についての議論に火をつけました。</p>

<p>●LET IT RING...（ベルギー）<br />
<a href="http://work.canneslions.com/promo/?award=2" target="_blank">http://work.canneslions.com/promo/?award=2</a><br />
<a href="http://work.canneslions.com/direct/?award=2" target="_blank">http://work.canneslions.com/direct/?award=2</a></p>

<p>ベルギーでは携帯電話で話しながらの運転による事故が増え続けています。その危険性を訴えるには、バーチャルで体験してもらうのがいちばん効果的、というキャンペーンです。その仕組みはこうです。まず、キャンペーンサイトから、体験させたい友人のメールアドレスと携帯電話の番号を入力します。すると、友人にあなたの名前でメールが届きます。友人がメールを開き、そこにあるURLからインターネット上にある一見何の変哲もない、車を運転している目線でつくられた映像を再生。すると、途中で友人の携帯電話がなります。何も知らない友人が携帯電話に出ると......映像の中で、友人は事故を起こしてしまうのです（電話に出ないと事故は起きません）。かなりショッキングな映像です。「電話は鳴らせておきなさい」というのが、このキャンペーンのメッセージです。</p>

<p>他にもたくさんのソーシャルな、優れたコミュニケーションがありました。（例年同様、アムネスティ、グリーンピース、ユニセフなどが多数受賞していました。）会場のホワイエや隣のホールでは、ソーシャルなグラフィック広告だけのエキシビションが開催されていて、また、会場前のビルボードには、今年12月にコペンハーゲンで開催されるCOP15に向けたIAA国際広告協会の世界共同キャンペーン「Hopenhagen」のポスターが掲出されている......時代の風は確実に、広告業界の進む方向をも変えようとしていると実感しました。</p>

<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="047_canneslions02.jpg" src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/047_canneslions02.jpg" width="500" height="352" class="mt-image-none" style="" /></span></p>


<br /><br /><br />



<p><strong>籠島康治　略歴</strong><br />
1968新潟生まれ。筑波大学大学院教育研究科卒業。広告会社とNGO 2025PROJECTでコピーライター、クリエーティブディレクターとして活動中。共著に「たりないピース｣「Love,Peace & Green たりないピース２」「エコトバ」「大丈夫だよ｣。</p>

<p><strong>岡崎陽子　略歴</strong><br />
1980年広島生まれ。フィンランド、ハワイ留学の後、上智大学法学部法律学科卒業。広告会社とNGO 2025PROJECTでコピーライター、プランナーとして活動中。共著に「大丈夫だよ」。</p>

<p><strong>2025PROJECT 概要</strong><br />
2025PROJECTは、 2025年に持続可能な社会になっていることを目指して活動しているNGOです。世界と未来を変えていくためのコンテンツを、継続的にプロデュースしていきます。今年のカンヌ国際広告祭では「Tigers Save Tigers!」キャンペーンがPR部門に入賞しました。
http://www.2025.jp/</p>

<br />
<div style="text-align: right;">
<small>
取材　籠島康治、岡崎陽子（2025PROJECT）<br />
撮影　籠島康治、近藤和泉（2025PROJECT）<br />
<br />
取材協力<br />
井上邦彦　KUNIHIKOINOUE（ロボット）<br />
Wakyo Production / Wakyo Green<br />
Mick Nakamura (WAKYO Production)<br />
Moto Yoshida (WAKYO Production) 
</small></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>笑顔で持続可能な社会を作るツール＝トランジション・タウン</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2009/05/rpt-46.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2009:/jp/thinkdaily-renewal/report//7.999</id>

    <published>2009-05-19T08:00:14Z</published>
    <updated>2010-01-29T07:47:22Z</updated>

    <summary>     目次へ移動     トランジション・タウンとは？ エコビレッジという言...</summary>
    <author>
        <name>staff</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/">
        <![CDATA[
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>トランジション・タウンとは？</strong>
</p>


<p>エコビレッジという言葉を聞いたことのある人は多いでしょう。地域での自給自足を実現するために新しいコミュニティを作り上げるコミューン型から、できるだけ環境負荷の少ないエコ住宅を中心とした街づくり、あるいはコレクティブハウスまで多種多彩ですが、何もないところに新たなコミュニティを作り上げるという点では共通しています。理想通りのコミュニティを作れる可能性がある反面、家から農地、共同体の仕組みをゼロから作って行かなくてはなりません。そのためには、膨大なエネルギーと時間を必要とします。</p>

<p>トランジション・タウンとは、ひとことでいえば、既存の町や市といった地域をエコビレッジ化していく運動です。<strong>トランジションという言葉は、「過渡期」「移行」「移り変わり」という意味です。</strong>何から何に「移行」するのか？　それは、<strong>「安くて大量の化石燃料に依存しきった脆弱な社会」から「地域をベースにした、しなやかで強い社会」への移行</strong>を意味します。とはいえ、特別な社会組織や特殊なイデオロギーが念頭にあるわけではありません。「移行」する「先」にある社会の姿は、地域によって違いがあるのは当然で、その姿は<strong>「行動しながら考えればいい」。それがトランジション運動の考え方です。</strong>エコビレッジ運動が、あるべき姿に突き進む目的志向だとすれば、<strong>トランジション運動はプロセスに重きを置いたプロセス志向</strong>という言い方ができるかもしれません。</p>

<p>もちろん、目指すのは低炭素社会です。そのためには、何が必要なのか？　もうすでに私たちは多くの答え、技術を持っています。有機農法、パーマカルチャー、自然農法を使った農作物の地産地消、バイオマスエネルギー、太陽光発電、風力発電などによるエネルギーの自給、コミュニティ・トランスポート、カーシェアリング、レンタサイクルなどによる交通の簡素化、身体に優しく環境負荷の少ないエコ建築、新鮮な野菜の比重を増やした食生活、農業を始めとして手や身体を動かすことの重要性などなど、低炭素社会を語るボキャブラリーは、わたしたちはすでに多すぎるほど手にしているのです。<strong>それをうまく組み合わせて使うには、あとはコミュニティの同意、コミュニティの成員同士の協働だけが足りなかっただけなのです。トランジション運動には、こうしたこれまでの個別の運動をつないでいく触媒としての役割も含んでいるのです。</strong></p>



<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>トットネス　トランジションの始まり</strong>
</p>


<p>トランジション運動が始まったのは、2005年秋。イギリス南部デボン州の小さな町トットネス。人口8000人の町でスタートしたこの運動は、3年半ほどの間にイギリス全土はもちろん、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなどさまざまな地域に飛び火し、<strong>現在では170もの町が公式なトランジションを宣言し、1000を超える町がその準備段階にあると言われています。</strong>なぜ、このように短い期間に、これほど数多くの町の住人がトランジション運動に巻き込まれたのでしょうか？　</p>

<p>最初のトランジション・タウンであるトットネスは、3年の間に大きな成果をもたらしていますが、それとて目に見える形で町が様変わりしたというわけではありません。<strong>つまり、実例が魅力的だから後続が相次いだ、というのとは違うようなのです。</strong>では、なぜこれほど多くの賛同者が現れ、これほど多くの町がトランジション化しつつあるのでしょう？<strong>その理由の一つに「プロセスが楽しい」というのがあるような気がします。</strong>その町の事情に寄り添いながら、独自のリソースをうまく活かす方法が、プロセスとして明記されているのです。それが12のステップなのですが、その前にトランジション運動の特徴を見てみましょう。</p>

<blockquote>
<p>
<strong><ul>
<li>ピークオイルと気候変動という「双子の問題」に同時に対処し得る根本的かつ包括的な解決策の提示をめざす</li>
<li>地域レベルに焦点を当てる</li>
<li>地域住民の創造力、適応力および団結力を引き出す</li>
<li>その地域にすでに存在する資源を最大限活用し、それらを有機的につなげる</li>
<li>頭(Head)・こころ(Heart)・身体(Hands)の「3H」のバランスをとる</li>
<li>よりよい未来を描き、その実現は十分可能であると信じ、楽しみながら取り組む</li>
</ul></strong>
（トランジション・ジャパンHPより）
</p>
</blockquote>


<p>すべてが重要なのですが、<strong>この中でトランジション運動の最も大きな魅力といえば、最後の「よりよい未来を描き、その実現は十分可能であると信じ、楽しみながら取り組む」でしょう。</strong>社会をいい方向に変えていこう！　という気持ちはあっても、それを実現するために歯を食いしばってバーンアウト（燃え尽き症候群）を引き起こしがちです。そうではなく、みんなと力をあわせて楽しみながら取り組む。そして、「あり得るかもしれない未来への怖れ」から行動を起こすのではなく、「こうありたいと願う未来に向けて」行動する。これがトランジション運動のいいところ、あくまでも肯定的な部分です。</p>

<p>そして、<strong>次に重要なのが「頭(Head)・こころ(Heart)・身体(Hands)の「3H」のバランスをとる」という点。頭でっかちではなく、身体も動かす、生活に必要なスキルも身につける、そして心の問題を置き去りにしない。</strong>実際に、トランジション運動にはコアメンバーが燃え尽き症候群に陥らないためのメンタル面の手当も用意されています。</p>


<p class="caption" style="text-align: center; margin:0 auto; width:250px;"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_01.jpg" alt="" width="250" />トランジション運動の「いいだしっぺ」であるロブ・ホプキンス。飛行機を使わない、を信条にしており、先日行われたエコビレッジ国際会議にもビデオでの参加になりました</p>



<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>トランジション12のステップ</strong>
</p>

<blockquote>
<p>12のステップ<br />
第1ステップ：コア・グループを結成しよう<br />
第2ステップ：みんなで問題を考えよう<br />
第3ステップ：関連団体と連携しよう<br />
第4ステップ：大々的にお披露目をしよう<br />
第5ステップ：ワーキング・グループを形成しよう<br />
第6ステップ：創造的なミーティングを開こう<br />
第7ステップ：目に見える実例をつくろう<br />
第8ステップ：基本的な技能の再習得を促進しよう<br />
第9ステップ：行政機関との協働関係を築こう<br />
第10ステップ：お年寄りから学ぼう<br />
第11ステップ：流れに任せよう<br />
第12ステップ：エネルギー消費削減行動計画をつくろう<br /></p>
</blockquote>

<p>ステップ1から5までが準備段階。ステップ6から10までが、成長段階。そしてステップ11が全体の心構え、ステップ12が当面の最終目標ということになるでしょう。これらのすべてのステップに関してロブ・ホプキンスがひとりで考えたというわけではないでしょうが、彼の考えが色濃く反映していると見た方がいいでしょう。ここで想い出されるのは、彼がパーマカルチャーの講師であり、自然建築の専門家であるという事実です。一つひとつの要素が多様な機能を持ち、それぞれが他の要素に支えられている。多様性を重視し、自然のパターンを最大限に活用するといった原則が、社会運動に適用されているように思われます。</p>

<p>もちろん、この12ステップを順番にこなしていかなければならない、というわけではありません。あくまでも目安であって、やりやすいように進めればいいのです（現在では、この12ステップそのものも捨てようという動きになっているようです。しかし、トランジション運動の特徴が理解しやすいと思い、あえて掲載しました）。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_02.gif" alt="2006年12月のトットネスのイベントの数々を紹介するチラシ" />2006年12月のトットネスのイベントの数々を紹介するチラシ。目玉は、トランジションのお披露目。その他にも講座やセミナーが目白押しです</p>

<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>ピークオイル</strong>
</p>

<p><strong>トランジション運動では、気候変動とピークオイルを双子の問題として、重視します。</strong>ピークオイルとは、現在発見されている油田の産出量がピークにさしかかる時、という意味です。それならばまだ半分くらいあるのでは？　と思われるかもしれませんが、油田の産出量がピークを迎えた後は、採掘にも手間がかかり、産出する原油のクオリティも悪くなります。つまり、現在のように水よりも安い原油が手に入りづらくなる、ということです。</p>

<p>いうまでもありませんが20世紀の文明は、石油を大量に消費することにより成り立っていたといえますが、それは石油が安価であったからこそ、です。ピークオイルを扱った映画『エンド・オブ・サバービア　郊外生活の終焉』は、そうした機微をよく捉えています。アメリカではガソリンに税金がかからないため、1リットルあたり50円程度でガソリンが手に入ります。だからこそ、燃費の悪いアメリカ車が販売されてきたわけですし、その車に乗って職場から100km以上離れた自宅との往復が可能だったわけです。それが、もし倍の100円になったら、あるいは200円になったら・・・。</p>

<p>もちろん、通勤だけではありません。農産物や加工食料品、あるいは木材、鉄といった資材の輸送にもガソリンは不可欠です。石油の価格が跳ね上がれば、流通が大きな傷手を受けるのは、一時期の石油の高騰を見れば誰しも納得できるでしょう。さらに、石油はあらゆるものに「化ける」のです。食料、衣料、ペットボトル、プラスチック、電気。パソコンから、ゲーム機、DVDを始めとするソフトウェアのパッケージ、スーパーの食品トレイまで。原料、製造、輸送のいずれか、あるいはそのすべてが石油に依存しています。石油由来のものや、石油由来のものに依存していないものはほとんどありません。</p>

<p>その価格が現状の倍、あるいはその倍になったと考えると、突然私たちの生活は危機にさらされることになります。足下が揺らぐような出来事です。<strong>トランジション運動は、石油への依存を少しでも減らしていき、ピークオイルを迎えてもびくともしない社会を地域レベルで築いていこうという運動なのです。</strong>そして、それは気候変動の影響を可能な限り小さくしていこうという流れと重なることはいうまでもありません。トランジション運動により、地域の低炭素社会化が進み、食と農、エネルギーなどの地域での自給自足が軌道に乗れば、排出されるCO2が減少するのは明らかでしょう。</p>


<hr />
<p class="section-title">
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    <strong>トランジション藤野</strong>
</p>


<p class="caption" style="text-align: center; margin:0 auto; width:410px;"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_03.jpg" alt="藤野" />森と湖の町、藤野には、豊かな自然を求めて多くの芸術家が移住しています</p>



<p>日本では藤野が公式のトランジション・タウンとして活動しており、葉山、小金井、相模湖、鎌倉、逗子、高尾などが、準備段階にあります。トランジション藤野を立ち上げた榎本英剛さんにお話しを伺いました。榎本さんは日本におけるトランジション運動の「いいだしっぺ」です。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_04.jpg" alt="" />トランジション・ジャパンの代表として、エコビレッジ国際会議でトランジション運動の紹介をする榎本さん</p>


<p>「トランジション・タウンのことを聞いたのは、私がスコットランドのフィンドホーンというエコビレッジに暮らしていた2007年11月のことです。ロンドンで開かれたあるカンファレンス（Be The Change Conference）でスピーカーの１人として招待されていたロブ・ホプキンスの話に釘付けになりました。ピークオイルのこともその時に初めて聞きまして、その深刻さにショックを受けたのと同時に、その解決法としてトランジションというやり方があることも知りました。</p>

<p><strong>まず、地域をベースにしている点、市民の力を活用するという点にひかれました。</strong>市民ひとりひとりの力を引き出せれば、人類文明がぶつかっているシステム的な問題に対処できるかもしれないと考えたわけです。<strong>それから、問題を直視することは必要だと思うのですが、その結果訪れるかもしれない暗黒の未来という「恐怖」を行動に結びつけるのではなく、自分なりの明るいビジョンを持って行動できるという点。</strong>石油のない未来は、もしかするといまより豊かな未来になるかもしれない。<strong>ピークオイルを怖れるのではなく、きっかけとして捉え、「そちらの方が豊かなんだから、そっちに向かっていこうよ」という発想ですね。</strong></p>

<p>もうひとつ、私たちに入りやすかったのは、ロブ・ホプキンスがパーマカルチャーと自然建築の講師をしていたという経歴です。トランジション運動も、パーマカルチャーを土台にしている部分があります。<strong>キーワードはつながりですね。目に見えていないが、確かに存在するもののつながりを使うという発想。それを街づくりに活かそうとしている</strong>ように理解できたわけです。多様性に満ちた人々や、町のさまざまな資源を繋げていく触媒のような役割を果たす。そんなイメージですね」。</p>

<p>神奈川県藤野町は人口約1万人。2007年に相模原市に編入されましたが、地域自治区が2011年3月まで設置されることになっています。森と湖と芸術の町と呼ばれ、芸術家が数多く移り住んでいます。また、パーマカルチャーセンタージャパンがあり、日本におけるパーマカルチャーのお膝元ともいえる町です。さらに、シュタイナー学校も3年ほど前から開校しています。オルタナティブな文化を背景にした人々が数多く移り住んでいる地域といえます。</p>

<p>「藤野のトランジション運動は、引っ越して10年以下の3人の新住民がコアになって始めました。それから、地元に古くから住んでいる人、地域の活動をしている団体や個人を個別に訪問して、理解してもらい、後ろ盾になってもらうための活動を開始しました。元町役場の幹部の方に、関係者を集めてもらって、プレゼンをしたこともありました。古くから住んでいる人たちに、新住民がトランジションという横文字を持ち出していくわけです。拒絶反応を示されるのではないかと、びくびくしていたのですが、虚心坦懐に話を聞いてもらい、逆に地域をこうしていきたい、とみなさんが語りはじめてくれたのです。この時は、うれしかった。『ここにきてよかった』と思いましたね」（榎本英剛さん）。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_00.jpg" alt="" />トランジション相模湖と合同で行われている心と魂のワークグループのひとこま。トランジション運動では、低炭素社会を実現するための目に見える活動だけでなく、「内なるトランジション」、つまり、生きる意味や価値観の変容も大きなテーマのひとつとして重視しています。トランジション藤野には、他に再生可能エネルギーあるいは保存食などのワークグループがあり、それらをまとめる企画・運営ミーティングは、啓蟄、清明といった二十四節気の変わり目に行われています。自然の移ろいを敏感に感じながら暮らすことを重視する藤野の人たちの心意気を感じます</p>
	



<hr />
<p class="section-title">
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    <strong>トランジション葉山</strong>
</p>

<p>葉山も芸術家が数多く移り住んでいる地域として知られています。さらに、葉山の環境を好み、移り住んできた新住民も多く、環境に関しては先進的な地域といえます。そんな葉山で持ち上がったのが、遊歩道の建設計画です。トランジション葉山の吉田俊郎さんも、その遊歩道建設反対を訴えたグループのひとりです。</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_06.jpg" alt="" />トランジション葉山の吉田俊郎さん。違和感を感じながらも勤めていた会社を2008年に退社。納得のいく「暮らし方」を葉山で切り開こうとしている 	</p>


<p>「町長選が終わり、葉山をエコビレッジにできたらいいなと考えていた矢先でした。3月に榎本さんに誘われてフィンドホーンに行き、そこでロブ・ホプキンスの講演を聴いて、トランジション・タウンのことを知ったのです。これは葉山でやるしかないな、と思いました。葉山には、海の幸、山の幸もあるし、里山も残っている。芸術家たちも30年以上前から移住している。地元を愛している人、環境を愛している人も多い。5月に葉山に帰ってきてからすぐに活動を開始し、トランジションの説明会を3回ほど行いました。葉山、逗子、鎌倉などから、いろんな人が来てくれました。その他、環境イベントへの参加や、稲刈り、収穫祭、川の清掃など他の団体との連携も深めつつあるところです。また、地産地消のための直売所も作りました。まだ、農産物を細々と扱っているだけなのですが、いずれは地元の漁師さんが穫った魚などの海産物も扱えるようになればいいな、と思っています」（吉田俊郎さん）。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_07.jpg" alt="" />トランジション葉山のイベント「聞いておきたい昔の葉山」のもよう。先輩たちから昔の葉山では何を食べていたかなど、暮らしぶりを聞く会。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_08.jpg" alt="" />葉山の名物漁師「シローさん」が普段の陽気さとは裏腹の切実な声で「築地では漁獲量の少ない葉山の魚はまともに相手にしてもらえない。葉山の魚は葉山の人たちに食べて欲しい。その方が売る側もうれしいしね」と訴えていました。こんな夢を実現していく力がトランジション運動にはあるのではないでしょうか</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_09.jpg" alt="" />トランジション葉山のイベント、『ぶんぶん通信Vol.1』の上映会でのひとこま。祝島の原発反対運動からのエネルギーの問題をみんなで考えていくイベントです。鎌仲ひとみ監督（左）とトランジション葉山の吉田俊郎さん</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_10.jpg" alt="" />ワールドカフェスタイルのミーティング。トランジション・タウンでは、この他にオープン・スペース・テクノロジーなど、ビジネスの現場でも使われている手法をうまく取り入れ、創造的なミーティングを開き「集団の英知」を引き出すことに重点を置いています</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_11.jpg" alt="" />手作りの食事やコーヒーなどで、ミーティングはより楽しいものになります</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_12.jpg" alt="" />トランジション葉山が地元の人たちと協力して作った農産物の直売所</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_13.jpg" alt="" />トランジション葉山チーム畑にて。パーマカルチャーを援用した自然農法でさまざまな作物を育てています</p>



<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>多様性を活かす大きなうねり</strong>
</p>

<p>ここまでの文章で、トランジション運動が、多くの人々を瞬時にして引きつける理由の一端でも理解いただけたら幸いです。<strong>これまでの社会運動、環境運動が同じ志、同じ目的意識を共有することから始まることが多いのに対し、トランジション運動では、共有すべきなのはピークオイルに関する認識とそれを乗り切るための低炭素社会の実現だけです。それ以外は、どんなイデオロギー、どんな思想を持っていても協働できるのです。</strong></p>

<p>もうひとつの大きな特徴が、地域からの運動であること。食やエネルギーをどうするか、といった問題は国レベルの政策に関わることでした。しかし、その発想そのものが過度の中央集権を生んでいたのも事実です。食べ物やエネルギーを遠くに運べば運ぶほど石油をたくさん消費するのです。食もエネルギーも地産地消ができれば、それが理想です。そうした仕組みを政府や自治体にさきがけて実例を作ってしまう。教育や福祉についても同様。さらにはビジネスのあり方までローカル化していく。すべては、一人ひとりの市民の自発性、創造性にゆだねられているのです。</p>

<p><strong>「労働力」「消費者」などという、大きな流れから押しつけられた役割を脱ぎ捨て、一市民として考え、地域の人々とともに行動する。個人の知恵ではなく、集団的英知を結集することによって、大きな問題を解決していく。</strong>トランジション運動を始めたのはロブ・ホプキンスという個人ですが、彼は仕組みを作り上げただけで、それを実行するのは地域に住む市民一人ひとりなのです。まずは、気の合う地域の人々と「いま住んでいる地域をどうしていきたいのか」といったことを話し合うだけでも十分です。<strong>あなたの町でもトランジション・タウンの活動を始めてみませんか？</strong></p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/046_14.jpg" alt="" />始まったばかりのトランジション・タウン高尾のミーティング風景。同じ土地に住む人たちで、その地域の未来を語れるのは、大きな喜びにつながります。</p>


<br /><br />

<p>トランジション・タウンに関する情報は、</p>

<ul>
<li>トランジション・ジャパンのホームページ<br />
<a href="http://www.transition-japan.net/" target="_blank">http://www.transition-japan.net/</a></li>
<li>Transition Towns WIKI<br />
<a href="http://transitiontowns.org/" target="_blank">http://transitiontowns.org/</a></li>
<li>トランジション藤野のブログ<br />
<a href="http://blog.canpan.info/team-80/" target="_blank">http://blog.canpan.info/team-80/</a></li>
<li>トランジション葉山のブログ<br />
<a href="http://tthayama.blog10.fc2.com/" target="_blank">http://tthayama.blog10.fc2.com/</a></li>
<li>「ジモティーで行こう。」トランジション・ジャパンのメンバーによるブログ
<br /><a href="http://ttown.exblog.jp/" target="_blank">http://ttown.exblog.jp/</a></li>
</ul>

<br /><br />

<p><strong>加藤久人　略歴</strong><br />
1957年東京生まれ。立教大学文学部フランス文学科卒業。株式会社バショウ・ハウス主宰。環境、エネルギー、気候変動、リサイクル、ローカリゼーションなどに関する執筆活動を続けている。NPO法人懐かしい未来理事。著書に『<a href="http://www.thinktheearth.net/jp/ecoyomi/">えこよみ ecoyomi3</a>』など。</p>

<br /><br />

<div style="text-align: right;"><small>
取材・執筆・写真：加藤久人<br />
編集：佐々木拓史<br />
</small></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>「僕のルール」が届くまで 〜ワクチン支援のラスト・ワン・マイル</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2009/03/rpt-45.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2009:/jp/thinkdaily-renewal/report//7.1000</id>

    <published>2009-03-31T13:43:11Z</published>
    <updated>2010-01-29T07:47:41Z</updated>

    <summary>     目次へ移動     仕組み 初めて耳にする企業の技術が、先端の宇宙開発...</summary>
    <author>
        <name>staff</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/">
        <![CDATA[<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>仕組み</strong>
</p>

<p>初めて耳にする企業の技術が、先端の宇宙開発を支えていたり、スポーツで突然頭角を現した国を、実は日本人の監督が指導していたり。人知れず、価値ある何かを動かしている人や仕組みがあります。<br />
今回の舞台もそれとちょっと似ているかもしれません。</p>

<p>ミャンマーは中国、インド、タイさらにラオス、バングラデシュと国境を接するASEAN、東南アジア諸国のひとつ。『ビルマの竪琴』、敬虔な仏教国、軍事政権、多民族国家、世界の最貧国、といった修飾語とともに語られることが多いなか、ある世代以上の方に共通するのが、この国がもつ「懐かしさ」。かつての日本が発展する過程で失った何かが、この国には残っているようです。</p>



<p class="caption" style="margin:0 auto; text-align:center; width:410px;"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_yangon.jpg" width="410" alt="" />ヤンゴン市街地。金色に輝くのは、ミャンマー最大のシュエダゴン寺院の仏塔<br /> ©HIROSHI ITO</p>

<p class="section-title-middle" id="One01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>最終目標はこの国が自立できるようになること<br />
〜ユニセフの日本人プロジェクトマネージャー</strong>
</p>

<p>世界の最貧国と形容される<strong>ミャンマーは、一人当たりのGNPが220ドル、約2万円</strong>といわれています。加えて政治的な理由で、欧米からの国際支援も届きにくい。一人当たりの国際支援金が、たとえばルワンダの6,000円に対して、ミャンマーは300円というのが現状です。</p>

<p>そのミャンマーで、国の発展に欠かせない子どもの予防接種事業は、現地政府、国連ユニセフ、そして支援金を提供する寄付団体らが連携する形で行われています。今回のポリオNIDにおける主要な登場人物は3者。途上国におけるワクチン供与の豊富なノウハウをもとに、プログラムの計画・実施を技術指導、助言するユニセフ、プロジェクトの主体であり、大都市から小さな村々にいたるまで、実際に人員を確保し、接種を運営するミャンマー政府・行政、そして、「僕のルール」のような個人支援者からの寄付をもとにワクチンの購入資金を提供する認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを日本委員会（JCV）。この3者が連携することで、NIDは実現しています。</p>

<p>ユニセフ・ミャンマー事務所の医師、國井修さんは、若い頃、ソマリアで医療活動をしていた際に、多くの感染症の患者を看たそうです。<strong>その現場では、患者さんを治療しても、また他の感染症にかかり、それを治療してもまた別の感染症にかかり、結局亡くなってしまう子どもや女性がたくさんいる。そもそもこれらは予防可能な病気なのに･･･</strong>と、とても無力感を感じたといいます。予防医療の大切さを痛感して、臨床医から公衆衛生専門家にキャリア転換をされた國井さんに、ミャンマーで5歳以下の子ども全員にポリオの予防接種を行う、全国一斉予防接種（NID）の全体像について話を聞きました。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_001.jpg" alt="" />ユニセフ・ミャンマー事務所の國井修さん。NID視察地にて（写真中央）©HIROSHI ITO</p>


<p>「予防接種事業は、大きく2つのプログラムで構成されています。毎月1歳未満の子どもを対象に継続的に行われている定期予防接種（ポリオ、麻疹、DPT三種混合、BCG、B型肝炎の5種類）と、それで十分にカバーできない予防接種のみをリスクの高い地域で、または、全国レベルで、一斉に行う追加予防接種です。ポリオはミャンマーで2000年から6年間発生がなかったのですが、2006年に<span class="highlight">ワクチン由来株*1</span>、2007年には<span class="highlight">野生株*2</span>のポリオが流行してしまい、2006年には地域を限定して、2007年からは全国一斉のNIDを年に1度実施することに決めました。全国の子ども約740万人を対象に、95%の接種率達成を目指して実施しています」</p>

<p class="cond"><span class="highlight">※1</span>　ワクチン由来株：投与されたワクチンが変異して毒性を持ちウィルスとなること<br /> 
<span class="highlight">※1</span>　野生株：自然界に生存していたウィルス</p> 

<p><strong>ポリオをはじめ、はしかやBCGなど予防接種に必要なワクチンには、熱や光に弱いという特徴</strong>があります。そのため、種類によって、凍らせたり、（凍らせずに）冷やしたりと、管理のためには適正な設備や人材教育が必要です。それが不十分であると効果を失ったワクチンを子どもたちに届けてしまう危険性もあります。予防接種を効果的に機能させるためには、ワクチンを届ける仕組みを作ることが必須です。その仕組みは、途切れずにつながる鎖を模して、<strong>コールドチェーン（冷たい鎖）</strong>とよばれています。</p>

<p>ここミャンマーのコールドチェーンはどのような道のりをたどるのでしょうか。<br />
まず、JCVに日本全国の支援者から寄付金が集まります。JCVは、WHOやユニセフの現地事務所とミャンマー政府が作成した予防接種計画に基づく要請を受けて支援を決定。必要資金をユニセフへと支払います。そのお金をもとに、ユニセフのデンマーク・コペンハーゲンにある物資調達センターがワクチンの調達にかかります。実際に、世界中のワクチン製造会社がその都度入札を行っているため、品質が保証されたワクチンをできる限り低コストで購入でき、さらに、指定された納期に指定された場所へ確実に配送される仕組みになっています。<br />
ワクチンの種類や時と場合によって若干事情が異なるものの、このように世界各地の工場で手配されたワクチンが、空路ミャンマーへと集結します。</p>

<p>「海外から届く全てのワクチンは、いったん、ヤンゴン市内の中央コールドルーム（保冷庫）に集められます。この施設はユニセフやJICAの支援で作られました。ワクチンはここを起点に全国19か所の保管施設を中継し、325のタウンシップとよばれる街区の中央病院へと運ばれていきます。冷蔵庫や冷凍庫を機能させるための自家発電施設があるのはここまで。そこから先の地域保健センター（RHC）や、さらに先の僻地保健センター（SHC）では、設備が不十分ななか、いかにワクチンを適正な温度に保つかが大きな課題です。助産師さんたちのなかには、自腹で氷を買い、ワクチンを冷やして届けている人も少なくありません」</p>

<p><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_coldchain.gif" alt="ミャンマーのコールドチェーン" style="display:block; margin:0 auto; width:410px;" /></p>

<p>國井さんによれば、課題はあるものの、ミャンマーでの予防接種事業は順調に進んでいるといいます。</p>

<p>「当初こそわれわれが準備・計画から実施・評価に到るまで技術的・資金的援助を繰り返し実施してきましたが、今では、中央から地方、現場にいたるまで NIDの重要性が周知され、技術的には独自に実施できる体制になっています。ただし、私たちの究極の目的は、ポリオのNIDに限らず、すべての予防接種事業において、技術・資金の両面で政府が独自に進められるようにすることです。<strong>援助の最終目的は、援助なしでその国が自立できるようになること</strong>です」</p>

<p>今回のNIDの後、重点エリアのみで地域一斉に予防接種を実施する縮小版のサブNIDが数年間繰り返される予定です。そこで95%の接種率が確保されれば、近い将来ミャンマーではポリオフリー（根絶）を宣言できるとのこと。ユニセフは、すでにそのプランを描いているようです。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_002-003.jpg" alt="" />（左）ポリオウイルスは感染し発病すると、手足の麻痺など重い後遺症を引き起こす。各地で見かけた啓発ポスター©HIROSHI ITO（右）國井さんとともにプロジェクトに携わるユニセフのミャンマー人スタッフの一人、優秀な若手医師のチョー・ミン・アウンさん。「ミャンマー中の人を一人でも多く助けたい」©HIROSHI ITO</p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>役割</strong>
</p>


<p>ワクチンを安全に届けるための仕組み、コールドチェーンに沿って、実際にそこで働く人たちを追いかけました。</p>


<p class="section-title" id="Two01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>ミャンマー全土のワクチンを管理
〜保健省スタッフ</strong>
</p>

<p>海外からミャンマーへと送られたワクチンはすべて、いったんヤンゴンにある中央コールドルームへと届けられます。施設を管理するのは、保健省のチョー・カン・カンさんです。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_004.jpg" alt="ヤンゴン市内の中央コールドルーム" />ヤンゴン市内の中央コールドルーム</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_005.jpg" alt="" />中央コールドルームの管理者、保健省のチョー・カン・カンさん（写真右）と上司のタン・テン・ウィンさん</p>

<p>「ここは古い倉庫を改築したもので、これまでのコールドルームが老朽化しキャパシティーも不足していたため、2年前に建設されました。実際に稼働を開始したのは、昨年のサイクロン被災後です。人が自由に歩きまわれるサイズの"ウォーク・イン・コールドルーム"が7つ。<strong>常時40万人分のワクチン</strong>が保管されていて、それぞれ、<strong>種類によって冷凍・冷蔵など、決められた温度で管理</strong>されています」とチョー・カン・カンさん。</p>

<p>ヤンゴン中心部から車で10分足らず。近代化した衛生的なコールドルームですが、まだ課題も残っているようです。</p>

<p>「電圧事情が不安定なミャンマーでは停電も少なくありません。そのため、ここでは自家発電設備を備えて、24時間体制で温度管理を行っています。ここから各地にワクチンを発送するのですが、輸送用の車両も十分とはいえない状況です。けれど、ミャンマー全土のワクチンを一手にあずかる役割として、10名のスタッフが連携して厳正に温度管理を行い、ワクチンを無駄にしないよう取り組んでいます」</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_006-007.jpg" alt="" />（左）ウォーク・イン・コールドルーム（右）日本では9本の針でおなじみ（？）のBCGは、結核予防のためのワクチン ©HIROSHI ITO</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_008-011.jpg" alt="" />（上段左）このひと瓶に、20人分のポリオワクチンが（上段右）運搬のためのアイスパックや保冷剤も保管されている © TAKASHI MORIOKA（下段左）サイクロンの際にも活躍した発電機（下段右）ワクチンはこのボックスに入れられ、陸路・空路で各地に運ばれていく</p>

<p>彼らにとって<strong>ミッションは明快そのもの。</strong><br />
上司にあたる保健省の予防接種プログラムの統括マネージャー、タン・テン・ウィンさんに国としての目標を聞いたところ、明確な答が返ってきました。</p>

<p>「<strong>ポリオ根絶、肺炎の削減、はしかの予防がわが国の3大目標</strong>です。そのため常に新しいワクチン情報を研究し、導入しています。JCVをはじめとする支援団体との交渉や関係作りも大切な仕事です」</p>

<p>粛々と。ワクチンは、コールドチェーンの緻密なシステムに沿って、ここから陸路、ときには空路で、全国21か所の地域保管施設へ、そこからさらに325か所のタウンシップへと配送されていきます。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_012.jpg" alt="" />施設内の菩提樹</p>



<hr />
<p class="section-title" id="Two02">
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    <strong>サイクロンを乗りこえNIDを見守る<br />
〜地域医療の女性リーダー</strong>
</p>

<p>人口約5,000万人、面積が日本の1.8倍のミャンマーには325のタウンシップという行政区分があります。各タウンシップに設置された総合病院の病院長であり、地域の医療責任者が、タウンシップ・メディカル・オフィサー、通称TMOとよばれる人たちです。</p>

<p>話を聞いたのは、<strong>2008年5月に発生したサイクロンで大きな被害を受けたイラワジ管区</strong>のボーガレーというタウンシップにて。ここのTMOは、女性医師のラー・ラー・ジーさん。1997年以降全てのNIDに携わっており、当地には、サイクロン発生の少し前に赴任したそうです。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_013.jpg" alt="" />タウンシップ・ボーガレーのTMO、ラー・ラー・ジーさん（右）。「昨日はボートで3か所視察してきました」。片腕の看護婦長とともに</p>

<p>「この街は人口約32万人。サイクロンでは3万4千人もの命が奪われました。今回、ポリオワクチン接種の対象となる全ての5歳未満の子どもたちは、人口の約1割にあたる3万1千人です。NIDは2日にわたって行いますが、初日の昨日は域内531箇所の会場で接種を実施し、99％達成することができました。 2日目の今日は、家が遠いなどの理由から接種会場まで来ることができない遠隔地の子どもたちが対象です。リストを元に、一軒ずつボートで出向いて接種を行います」</p>

<p><strong>イラワジ管区は、イラワジ川の河口にあたる地域で、大小の支流が静脈のように縦横に走る広いデルタ地帯です。移動手段として活躍するのはボート。</strong>けれど、南の海に近い地域では高波も多く、場所によっては1日で行けないところもあり、ひとつひとつの集落に足を運ぶのは容易ではありません。そんななか、看護婦長らスタッフとともに、ボートで視察にやってきた女性TMOの姿に、おどろく住民は少なくないといいます。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_014.jpg" alt="" />移動手段にボートが欠かせない。雨季には水かさが増し景色が変わる</p>

<p><strong>サイクロン被害の際には区域内の7、8割の建物が全半壊してしまい、ワクチンが水浸しになるなどコールドチェーンも大きな打撃を受けたそうです。一時、定期予防接種もできないほどの状況でしたが、被害の2ヵ月後から復旧</strong>しました。被災直後からのユニセフのきめ細かい援助もさることながら、TMOの経験と高い意識の力を感じずにはいられません。</p>

<p>「<strong>この病院ではソーラーを含む自家発電機を備えているので、ワクチンの温度管理は万全</strong>です。また、周辺に漁業人口が多く、氷が入手しやすいため、村や集落へも比較的安全にワクチンを運べます。実際にポリオやはしかにかかる人が目に見えて減ってきているので、<strong>親たちの間で予防接種に対する認知があがってきている</strong>ことも実感します」</p>




<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_016-019.jpg" alt="" />（上段左）ユニセフの援助で設置されたソーラー発電。日本円で60万円（上段右）病院内の冷蔵庫。ここから接種会場へワクチンが届けられる ©HIROSHI ITO（下段左）冷やしている間にラベルがはがれたりしないよう、ワクチンを個別にビニールで包装している ©TAKASHI MORIOKA（下段右）管区内の接種会場にて、運搬ボックスの中のワクチンは、しっかり氷で保冷されていた</p>

<p>325のタウンシップは場所や地域により事情が異なります。<strong>北部の国境付近ではヒマラヤ山麓の険しい山が続く広範な地域を限られた人員でカバーせねばならなかったり、また、ある地域では域内に言語の異なる少数民族を抱えて、予防接種の効果をなかなか伝えきれなかったり</strong>とまだまだ困難は多いようです。ただ、ここ、ボーガレーで、ラー・ラー・ジーさんはサイクロン被害を乗りこえてNIDを成功させました。彼女の経験と自信は、次は別の地域へときっと活かされていくでしょう。</p>



<hr />
<p class="section-title" id="Two03">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>NIDのラスト・ワン・マイル<br />
〜ボランティアとともに地域医療をあずかる助産師</strong>
</p>

<p><strong>タウンシップの先は、いよいよ子どもたちが待つNIDの接種会場です。地域保健センター（RHC）や、さらに下のレベルにあるサブRHCなどがその会場</strong>となります。コールドチェーンの旅もまもなく終わり。いわゆる支援の「ラスト・ワン・マイル」です。</p>

<p>同じイラワジデルタのピアポンというタウンシップにある、川沿いの村、チョンキンジーのサブRHCを訪ねました。ここは<strong>多くのRHCやサブRHCと同様に、助産師さんが責任者を務めています。</strong>今日はNIDの初日。会場前には対象となる5歳以下の子どもとその母親たち、取り囲むように、村中の人が集まりごった返しています。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_020-021.jpg" alt="" />予防接種会場に集まる人々 © TAKASHI MORIOKA</p>


<p>このサブRHCをきりもりする助産師のタン・タン・メイさんにNID実施のようすについてうかがいました。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_022.jpg" alt="" />視察団の質問にこたえる助産師タン・タン・メイさん © TAKASHI MORIOKA</p>

<p>「この村には307家族、1470人、5歳以下の子どもが187人、1歳以下の子どもが42人暮らしています。昨日ピアポンの中央病院から（ここよりひとつ上のレベルである）チョンダー村のRHCに届いたワクチンを、今朝一番にとりに行きました。ここからだと歩いて30分くらいです。<strong>ワクチンを運ぶケースの中には氷も一緒に入っているので、NID期間中の24時間から48時間は安全に保つことができます</strong>」</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_023.jpg" alt="" />この地域で移動手段にボートは欠かせない。タン･タン･メイさんも地域訪問の際は、ボートか、ご主人の運転するバイクで移動されているそうです</p>

<p>「<strong>まず入り口でリストを見ながら、子どもとお母さんのさん名、年齢をチェック</strong>します。今回、ポリオと同時にビタミンAを投与しますが、その年齢識別のための札を渡します。<strong>次にポリオワクチンを順番に、一人一人の口に2滴ずつ投与していきます。</strong>続いて、ビタミンAを投与します。そのあと、いったん外で15分ほど休憩してもらいます。投与済みの目印になるよう、終了した子どもたちには爪に黒のマジックでしるしをつけます」</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_024-027.jpg" alt="" />（左）なかには、お父さんに連れられた子も ©HIROSHI ITO（右上段）ポリオワクチンは甘い味がする。痛くないけど、泣き出してしまった子 ©HIROSHI ITO（右中段）接種が終わった子どもの爪に、識別のためしるしをつける ©HIROSHI ITO（右下段）数十名規模にのぼる地元のボランティアが協力 ©TAKASHI MORIOKA</p>

<p>狭い会場のなかには受付、ポリオコーナー、ビタミンコーナーと区分けされ、子どもは指定の順番通りめぐっていきます。人でごったがえしているものの、大きな混乱はないようです。普段は助産師さんが一人で切り盛りしている施設ですが、<strong>NIDの当日には心強い助っ人がバックアップ。そろいのユニフォームをまとった母子愛育協会などの女性たち、消防団の男性たちをはじめとするボランティアたち</strong>です。</p>

<p>この村だけではなく、どの村に行っても、<strong>NIDは、村をあげて実施</strong>されていました。ワクチン支援のラスト・ワン・マイルで印象に残ったのは、子どもとお母さん・お父さんたちの笑顔とともに、助産師さんを筆頭に会場を切り盛りする多くのボランティアたち、子どもの成長を見守る村人たちなど、会場を取り囲むさまざまな人たちの存在でした。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_028.jpg" alt="" />会場に集まったたくさんの村人たち
©TAKASHI MORIOKA</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_029.jpg" alt="" />接種会場のようすを見つめる少年少女 ©HIROSHI ITO</p>


<hr />
<p class="section-title" id="Two04">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>「定年まで、がんばりたい」<br />
〜助産師さんインタビュー</strong>
</p>

<p>NIDのラスト・ワン・マイルをあずかる助産師さんたちは多忙です。<strong>日本の助産師の役割に加え、看護師、保健師、ときには医師の役割もこなします。</strong>待遇面も決して恵まれているとはいえないなかで、それでもがんばる彼女たちはどんな想いで働いているのだろう。その存在をもう少し身近に感じたくて、 NID前日、ヤンゴンから車で１時間ほど離れたトンテイ・タウンシップにあるゾティ村のRHCを訪ねた折、センターを切り盛りする助産師さんに話を聞きました。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_030-031.jpg" alt="" />（左）助産師になって今年で15年目　（右）彼女が担当するRHC。サイクロンで建物が全壊したが、イタリアのNGOの支援で再建された。ボランティアスタッフとともに</p>

<p>普段の仕事内容は？<br />
「<strong>午前中は、ここでクリニックを開き、風邪や病気などを治療しています。午後は地域の巡回医療</strong>が主な仕事です。仕事をはじめて15年になります。1週間のうち平日はここに泊まり、土日は実家に帰っています」</p>

<p>仕事は好き？　大変なことはありますか？<br />
「仕事は楽しいです。私はここから車で30分ほど離れた隣村の出身なのですが、ここのみんなには自分の村のようによくしてもらっています。<strong>この村には医師がいないので、出産で難しいことがあると大変ですが、無事に赤ちゃんが生まれたときはとてもうれしいです</strong>」</p>

<p>これからの目標は？<br />
「この村はとても静かでみんな良い人たちなので、60歳の定年になるまで勤めあげたいと思っています。それが私の目標です」</p>

<p>シンプルでバランスのとれた回答が印象的でした。役割は多くとも、とりまく事情が、日本よりもずっとシンプルなのかもしれない。そうして、小さなことにも左右されがちな日本の働く現場を思い浮かべていたら、なぜか、「本質」という言葉が頭に浮かんできました。</p>



<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>想い</strong>
</p>

<p>正しい仕組みと、粛々と役割を果たす人。持続可能に機能していくために欠かせないのが、潤滑油となる人々の想いではないでしょうか。</p>

<p class="section-title" id="Three01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>「僕のルール」を届ける<br />
〜NPO職員</strong>
</p>

<p>日本とミャンマーの間に立って、双方の人々と直接言葉を交わし、コールドチェーンをつなぐNPOの人は、どんなことを考えているのでしょうか。今回のNIDで、ポリオワクチンの8割におよぶ支援をした認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会（JCV）」の事務局次長である江崎礼子さんが大切にしていることは。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_032.jpg" alt="" />サイクロン被災地の接種会場を訪れた江崎礼子さん（左から4人目）</p>

<p>「ミャンマーで10年以上支援をしてきて、JCVという名前は、ミャンマーの医療関係者にもずいぶんと知られるようになりました。けれど、JCVという<strong>団体自体が寄付をしているのではなく、子どもからお年寄りまで日本中のふつうの人たちがミャンマーの人々のために寄付をしてくださっている</strong>という事実を、伝えるようにしています」</p>

<p>日本で集まったお金は、ミャンマーの村々で、子どもたちの健康な成長に欠かせないワクチンに変わっていました。国際社会の知見をもとに練り上げられたシステムがあり、明快な役割を果たすたくさんの人たちがいました。また、地域の協力体制も機能しているようでした。しかし、お金を寄付した誰もが現地に行けるわけではありません。確かにお金が生きたことを、どうすればイメージできるのでしょうか。</p>

<p>「もちろん支援の実績の数値などのデータは必要だと思いますが、一番はリアリティだと思っています。これまでたくさんのJCVボランティアの方がミャンマーでのワクチン支援視察に参加されました。その後の進路に影響を受けたという人も少なくありません。そういう方たちが、それぞれの経験を会話やブログなどさまざまな場面で周囲にひろげていくことで、ミャンマーのようすを共有する。すそ野を広げることが大事だなと思っています」</p>

<p><strong>国を越えた協力体制のもと、一国の国家規模で運営されるシステムで、粛々と役割を果たす人々。</strong><br />
そこで感じたのは、<strong>仕事への責任感や、誇り、国の将来に対する使命感、さらに役割を託す人への尊敬と信頼の想い。</strong>というと、大げさでしょうか。<br />
私たちが寄付をする理由。何かを変える力になりたいと願い、寄付をする理由。言葉にすることをためらいがちなその想いと、通じる何かがあるように感じました。<br />
そして子どもたちのために、お金をリレーし、ワクチンを届ける人たちの姿がありました。笑顔の母子と、村人たち、心強いボランティアの人たちの姿がありました。<br />
いつか、<strong>携わるみんなの、そういった形のないものが大きな力につながっていく日がくるかもしれない。</strong>そうあってほしいと思います。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/045_033.jpg" alt="" />接種会場を後にする視察団へ、笑顔で手を振る人々 ©TAKASHI MORIOKA</p>

<p><strong>私たちがお金を使う瞬間、それは私たちが世界を動かしている瞬間でもあります。</strong></p>

<br /></br />
<div style="text-align: right;"><small>
取材・執筆・写真：鳥谷美幸（Think the Earthプロジェクト）<br />
写真・伊藤洋、森岡孝志（XINADA）<br />
協力・認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会（JCV）<br />
<a href="http://www.jcv-jp.org/" target="_blank">http://www.jcv-jp.org/</a><br />
財団法人日本ユニセフ協会<br />
<a href="http://www.unicef.or.jp" target="_blank">http://www.unicef.or.jp</a></small></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>いにしえの雑穀が教えてくれるもの 〜岩手県二戸・高村英世さんの有機雑穀</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2009/02/rpt-44.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2009:/jp/thinkdaily-renewal/report//7.1001</id>

    <published>2009-02-16T16:48:47Z</published>
    <updated>2010-01-29T07:48:02Z</updated>

    <summary>     目次へ移動     お米よりも先輩の雑穀 雑穀。調べてみると、イネ科で...</summary>
    <author>
        <name>staff</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/">
        <![CDATA[<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>お米よりも先輩の雑穀</strong>
</p>


<p>雑穀。調べてみると、イネ科で小さな実をつける穀類を総じてそう呼ぶのだそうです。米や小麦のように主食でない、食べる機会の少ないといった意もあるようです。ですから、ハト麦や大麦、古代米や赤米、また、イネ科ではありませんがソバや豆類、ゴマなども雑穀の仲間です。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_002.jpg" alt="" />高キビ／写真提供：高村英世</p>

<p>日本では縄文時代の約5000年前からアワやヒエ、キビといった雑穀や木の実などを工夫して食べこなしてきました。稲作が伝わったのが3500年前と言われますから、雑穀の方がかなり先輩だったわけです。</p>

<p>例えば、国内有数の産地として知られる岩手では、主に次の5つを五穀と呼んでいます。</p>

<p style="clear:both;"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_003awa.jpg" alt="" class="isleft" />【アワ】イネ科。原種はエノコログサ（ネコジャラシ）とされる。原産地はインドからアフガニスタン。もち性とうるち性がある。</p>

<p style="clear:both;"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_004kibi.jpg" alt="" class="isleft" />【キビ】イネ科。原産地は中国、またインドから中央アジアとされる。もち性とうるち性がある。</p>

<p style="clear:both;"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_005hie.jpg" alt="" class="isleft" />【ヒエ】イネ科。日本起源説が有力。うるち性が主流だが、もち性もわずかだが見つかっている。</p>

<p style="clear:both;"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_006takakibi.jpg" alt="" class="isleft" />【高キビ（モロコシ）】イネ科。アフリカ原産。中国ではコウリャンとも呼ばれる。赤茶と白のまだら模様が特徴。</p>

<p style="clear:both;"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_007amaransas02.jpg" alt="" class="isleft" />【アマランサス】ヒユ科。原産は中央・南アメリカとされ、アンデスの山岳地帯で先住民族が栽培。</p>

<p>現在、全国の雑穀作付面積はソバなどを加えると多くなるのですが、前出の五穀に関しては549ヘクタール（2004年<strong>※</strong>）。ピークの明治25年（1892年、ヒエ・アワ）、大正3年（1914年、キビ）を2004年の生産量と比較するとヒエが230分の1、アワは5000分の 1、キビが290分の1まで落ち込んでしまっています（財団法人農産業振興奨励会のデータ参考）。最近の雑穀ブームで需要は高まっていますが、国産品は高価なために輸入量が急増中。現在日本で流通している雑穀は95％が輸入品。国産は何と5％に過ぎません。</p>

<p class="cond"><span class="highlight">※</span>　同年以降の統計は出ていません。</p> 



<hr />
<p class="section-title">
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    <strong>ちっちゃな種が2メートルに！</strong>
</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_008.jpg" alt="" />アマランサス畑の風景　写真提供：高村英世</p>

<p>私が雑穀の生産で知られる岩手県北の二戸に行ってみたいと思ったのは、一枚の写真がきっかけでした。それは、真っ赤な穂をつけたアマランサスの写真。<br />
雑穀の中でも飛び抜けてちっちゃな実とは対照的に、鮮やかな穂の色はまるで南国の植物のよう。</p>

<p>しかも、背丈は2メートルもあると知り、びっくりしました。そのとき雑穀の<strong>小さな粒に秘められた生命力の強さ</strong>を同時に感じとったような気もしました。</p>

<p>写真を見て、畑を実際に見たい気持ちが高まりました。岩手県は雑穀の生産量の約7割を占め、中でも二戸は主力産地として知られています。</p>




<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>高村さんを訪ねて</strong>
</p>

<p>有機雑穀農家の高村英世さんを訪ねたのは2009年1月末。高村さんは有機雑穀生産グループ「伊加古（いかこ）五穀の会」の立ち上げにかかわるなどして、二戸の「雑穀ルネサンス」をけん引した人です。</p>

<p>高村さんは、北岩手古代雑穀代表として仲間や県内の大学教授と栽培法や機能性について研究したり、県外で話をしたり、地元の子どもたちを畑に招いて食育や環境の授業をしたり、二戸の雑穀の「顔」として忙しい毎日を送っています。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_009.jpg" alt="" />とっても仲の良いご夫妻、高村英世さんと民子さん</p>




<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>伝統食のおもてなし</strong>
</p>

<p>奥さんの民子さんが二戸の郷土料理でもてなしてくださいました。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_010.jpg" alt="" />昆布以外、すべて二戸産。右手前から（時計回りに）ひっつみ、雑穀ご飯、ひき昆布、カブの漬物、アユ、とろろ。「ひっつみ」は、薄く伸ばした南部小麦の生地をつまむ（ひっつむ）ことから</p>

<p>「岩手の県北は伝統食の宝庫」と高村さん。民子さんが思いつく名前をあげていきます。「このひっつみに、ひなまんじゅうでしょ。おもちだったら、かますもち、くしもち、しとぎ--」。「まだまだあるよ」と高村さん。この土地に根づく食の豊かさを感じました。 特においしくてびっくりしたのが、雑穀ご飯。アワ、ヒエ、キビ、アマランサスが絶妙にブレンドされた高村さん自家製のご飯ですが、こんなおいしいご飯は食べたことがないと思うほどふっくらしていて、やさしい味でした。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_011.jpg" alt="" class="isleft" />へっちょこ</p>

<p>郷土食として有名な高キビの「へっちょこだんご」も最後にいただきました。ユニークな名の由来は、秋作業が一段落した庭仕舞（にわじまい）に「へっちょこはかせやした（ご苦労かけました）」と食べたことから来ているとか、あるいは、作るときにだんごの中央をへそみたいに指で押すから、など諸説あります。</p>

<p>「伝統食はすべて神様へのあげものなんです」と高村さん。「へっちょこだんごでも、ひっつみでも。山の神やおしら様（<strong>※</strong>）、いろんな神様がいます。今でも月に一度は神様の日があって、お米のご飯と伝統食をあげてからいただくことが多いです」</p>

<p>食に対する二戸の人たちの真摯（し）な心に触れ、身が引き締まるような思いがしました。</p>

<p class="cond"><span class="highlight">※</span>　おしら様　東北地方で信仰されている家の神で養蚕の神、馬の神などと言われる。</p> 


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>1000年以上続く循環型農業</strong>
</p>

<p>北岩手の伝統食は、昔から長く続いていた農業の在り方と深く結び付いています。</p>

<p>コンバインなどを導入した近代農業が広まるまで、この地方の農家は馬を大切にしていました。馬がいることによって堆肥がとれ、田畑を耕し、重い荷を運ぶことができます。また、ヒエの殻は馬のえさになります。当時の人間の主食はヒエでした。「馬とヒエと人間」という三位一体型の循環型の農業は、何と 1000年以上も脈々と受け継がれていたのだそうです。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_012.jpg" alt="" />ヒエ畑／写真提供：高村英世</p>

<p>そして、ヒエ、麦、大豆という二年三毛作も1000年以上続いていました。<strong>世界的に見てもそれだけ長く続いた輪作体系は例がない</strong>と言われています。</p>

<p>十和田の火山灰地で窒素やリン酸、カリなどを足さないと作物が全く育たない土地も、豆科の作物の後に雑穀を植えると窒素が豊富な土になります。また、馬の堆肥を少し入れるとヒエがたくさん実ります。<strong>昔から続いた輪作の知恵は、実はとても理にかなったもの</strong>でした。</p>



<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>近代農業と農薬</strong>
</p>

<p>高村さんは当初から雑穀農家ではなく、しばらくは野菜農家でした。「私は親の生活をよく見て育ちました。食事はヒエ飯と干し菜汁と塩魚がちょっと。ヒエが入るとご飯が真っ黒く見えます。昔のヒエは蒸して太陽に干していたから黒ーくなるんですよ。私は貧しい生活だと思って否定しておったんです」</p>

<p>一時は芸術家を夢見ていた高村さんは「美術の学校へ行きたい」と家族に打ち明けますが、農家の長男は後を継ぐことが当然の時代。高村さんは県立浄法寺営農高等学園へ進学します。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_013.jpg" alt="" />印象派が好きという高村さん。昔ながらの農村風景「ヒエ島」は、モネの積みわらを思い出します／写真提供：高村英世</p>


<p class="caption" style="clear:both;"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_014.jpg" alt="ヒエ島" class="isleft" />ヒエ島は、縄文時代晩期（蝦夷＜えみし＞の時代）から行われてきたヒエの自然乾燥法。実を日に当てないよう茎の中に織り込んであります。茎や葉の養分が実に集まり、栄養価も糖度も増していきます</p>

<p>農業学校で学んだのは機械を導入し、化学肥料と農薬を使って効率的に収量を上げ、売り上げアップを目指すいわゆる近代農業。高村さんは学校で教わった農法での野菜生産に心血を注ぐようになります。</p>

<p>ところがそうした生活を20年以上続けた1987年のこと。高村さんは、農薬散布の影響と思われる症状が肝臓に深刻に現れ、倒れてしまったのです。</p>

<p>「農薬をやめたいと思ったのですがやめられない。虫が野菜を食ってしまうから。ピカピカの野菜でないと市場では売れないんです。挑戦してみてもなかなか農薬から離れられない時代でした」</p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>再び訪れた雑穀との縁</strong>
</p>

<p>耐性ができた虫にはより多くの農薬が必要です。体調が思わしくない高村さんにとっては悪循環が続きました。健康を立て直し、一家を支えるためには、何とか別のやり方を模索しなければなりませんでした。方向性に悩んでいた高村さんの前に改めて現れたのが地元の雑穀でした。</p>

<p>秋になると直売所に「イナキミ」と呼ばれるキビが並びます。中山間地では、おばあさんたちが昔から変わらない堆肥を使った農法でキビを育てていました。それほど気にも留めていなかったキビが、実は古米に混ぜて炊くと新米のようにおいしくなるし、体にも良い、非常にパワーのある食材であることを知るのです。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_015.jpg" alt="" />キビ畑／写真提供：高村英世</p>

<p>1993年、地域おこしの一環として雑穀を使った伝統料理の勉強会が行政と市民の協働事業としてスタートすることを聞き、高村さんは民子さんに参加するように促します。3年後、事業の終了年に高村さんが一念発起して立ち上げたのが伊加古五穀の会でした。</p>

<p>都会にはアレルギーやアトピーで米や小麦を食べられない子どもたちがいて、安全でおいしい雑穀を切実に求めているという事実に高村さんは耳を傾けます。「そうした親子の力になれるよう安全でおいしい雑穀を届けたい」。<strong>時代が有機の雑穀を求めている</strong>と直感した高村さんは3年の転換期間を経て、日本初の有機雑穀を名乗るのです。二戸市が東京都との有機農産物等流通協定を結んだことにより、都内での販売を実現させます。</p>



<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>前例のない有機　手間と苦労</strong>
</p>

<p>岩手の冷涼な気候は無農薬栽培に適しているのですが、それでも有機認証を持続するためには並々ならぬ努力が必要です。小型の雑穀刈り取り機は西澤直行・岩手大学特任教授の協力で開発されていますが、地道な手作業に頼らなければならない部分もまだまだたくさんあります。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_016-19.jpg" alt="" />二又枝の道具「まどり」を使い、種をとります。昔は脱穀もこれで行っていたそうです（左上下）。キビは「はせ掛け」をして自然乾燥させます（右上）　写真提供：高村英世</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_020.jpg" alt="" />小さな異物（ピンセットの間）などを取り除く作業。目と肩が疲れますが、高い品質を維持するためには、外せない工程です</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_021.jpg" alt="" />雑穀の背が数メートルと高いのは、野生の姿に近いから。イネも、もともと同じくらい背高ノッポだったそうです。現在、田んぼで1メートルほどの高さにきれいにそろっているのは、機械での収穫を容易にするため。人間が品種改良を重ねた結果だそう／写真提供：高村英世</p>

<p>「アワは連作するとアワノメイガという虫が茎を食べてしまう。それを防ぐには農薬をかけるのが簡単ですが、二戸では少々収量が減っても農薬を使いません。キビには除草剤が効きますが、それも使いません。手で草を取ります」</p>

<p><strong>こうした地道な作業の継続こそがおいしさを蓄積し、遺伝させていきます。</strong>「とにかく畑を見てくれ」と繰り返し主張する高村さんの情熱が伝わります。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_022.jpg" alt="" />雪に覆われた高村さんの畑。3.5ヘクタールのうち、2ヘクタール弱が有機。オレンジの看板は有機認証の畑であることを記したもの</p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>高村さんの反省と気づき</strong>
</p>

<p>高村さんたちが有機雑穀を売り始めたころは、まだ世間の関心も低く、（ご本人曰く）「笑っちゃうほど」売れなかったと言います。</p>

<p>そのころの高村さんを支えたのは、重いアトピーやアレルギーの症状に苦しむ子どもを持つお母さんたちからの「かゆみが止まった」「膿（うみ）が治った」という喜びの声でした。</p>

<p>また、岩手大学農学部の西澤直行特任教授との雑穀の共同研究も高村さんを勇気づけました。おばあさんたちが口承で伝え続けてきた「体に良い」が、データとして裏付けられ、雑穀の高い栄養価と機能性が次々に証明されたのです。例えば、ヒエ、アワ、キビのたんぱく質には、善玉コレステロールである血中の高密度リポたんぱく質（HDL）コレステロール濃度を上げる働きがあることなどがわかっています。</p>

<p>最新の研究では、二戸地方在来種のヒエがHDLコレステロールやアディポネクチンなどの数値を改善し、動脈硬化やメタボ予防につながること、また、血糖値の上昇を緩やかにすることなどがわかり、その実験結果が2009年2月20日付の岩手日報で報道されました。</p>

<p>ヒエをまいて、草を刈って、馬を飼って、ヒエを刈って--。高村さんは、若いときには否定していた親の農業の偉大さに気付いていくことになります。「<strong>よくよく勉強したら年寄りとかおやじとかが苦労したことが順々と私の体から噴き出してくる</strong>んです。私がその価値をわかっていないだけだった。それが、自分の人生を反省するきっかけになりました。後半の人生は環境と健康と安全、これでいこうと。<strong>昔のまじめさこそが最高の未来の食の安全につながっている</strong>ことが身にしみてわかったんです」</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_023.jpg" alt="" /></p>
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_024.jpg" alt="" />紅葉した秋の畑、棚にかけられた高キビ。どちらも息をのむような美しい風景です／写真提供：高村英世</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_takamura.jpg" alt="" class="isright" />高村さんはこう言います。「<strong>自分の論理を適応させるのでなく、自然状況に適応していかなければ。まず自然を認め、人間として一生懸命知恵を出し、自然と調和しながら生きていくということをしないとだめですね。</strong>農業には矛盾がいっぱいありますよ。でも、それは生死の矛盾そのもの」</p>



<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>地元の子どもたちと</strong>
</p>

<p>高村さんは1998年から地元の中央小学校の子どもたちを畑に招いて農業体験や食育、環境の授業を行っています。田植え体験で、裸足で田んぼに入ってもらうのは、<strong>トロトロとした有機の感触を理屈でなく、柔らかな感性で感じ取ってもらいたい</strong>と願っているからです。</p>

<p>氷河期の生き残りと言われる長寿の「カワシンジュガイ」が近くの馬渕川に生息し、卵のうを守る珍しいクモ「オオトリノフンダマシ」が見られるのも高村さんの畑ならでは。子どもたちは有機の畑を取り巻く環境には貴重な生態系が生息できることを学びます。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_025-26.jpg" alt="" />（左）5年生が作る有機栽培のお米は、作業工程のかかし（子どもたちの手づくりです）が完成作（非売品）のシールになっています。（右）子どもたちの感謝状です</p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>今後の夢</strong>
</p>

<p>今後は「食の提案」にも力を入れたいと高村さん。二戸のおばあさんたちが知るたくさんの伝統食レシピを今のうちに次世代につなぎたい、そんな思いがあるようです。</p>

<p>2009年2月8日、食の提案をテーマにしたユニークな雑穀イベントが東京都渋谷区広尾のイタリアン・レストラン「アクアヴィーノ」で開かれました。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_027.jpg" alt="" /></p>

<p>二戸の雑穀と久慈（くじ）特産の山ブドウを人気シェフがオリジナルコースにアレンジするという企画で、主催は岩手県二戸地方振興局と同久慈地方振興局。コーディネートを手がけたのは、「食財」のプロモーションを行うグッドテーブルズでした。</p>

<p>会にはゲストとして高村さんと、昨年12月まで二戸駅構内の雑穀茶屋「つぶっこまんま」を切り盛りしていた安藤直美さんが招かれました。</p>

<p>安藤さんはお子さんがアトピーだったことから食生活を見直す中で地元の雑穀の良さを再確認。高村さんが取り組む有機雑穀を食の面から応援しようと、郷土料理の普及やアレンジの提案に熱心に取り組み続けてきた方です。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_028.jpg" alt="" />山本謙治さん（左）安藤直美さん（右）。司会を務めたのはグッドテーブルズの山本謙治さん。農産物流通のプロである通称「やまけん」さんは、高村さんや安藤さんとのお付き合いも長く雑穀についても博識</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_029.jpg" alt="日高良実シェフ" class="isright" />「雑穀の食感をどう活かすかをポイントにメニューを考えた」と日高良実シェフ </p>		



<p class="caption" style="clear:both;"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_030-35.jpg" alt="" />二戸の雑穀が見た目も味も抜群のイタリア料理に大変身！</p>


<p>安藤さんに感想を伺いました。</p>

<p><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_036.jpg" alt="" class="isleft" />
<strong>試作のときから日高先生の作品は全く違和感がなくて不思議に思っていました。でも、それは昔ながらの作り方と昔ながらの調理法がベースにあってアレンジしているからだと気づきました。イタリアにもソバがあるし、パスタがあるし、昔から雑穀が食べられているということでは二戸と共通点がある。こうやって今後もいろんな形でコラボしていければ楽しいですね。若い人たちが雑穀を食べてくれれば次の世代につながります。</strong></p>

<p style="clear:both;">雑穀の基礎知識についても「やまけん」さんがレクチャーを行いました。以下はその一部です。</p>

<blockquote>
<p>
<ul>
<li>雑穀は輸入1万トンに対して国産がたった660トンほど（2004年）しかなく、国産はとても貴重。</li>
<li>二戸地域は有機でなくとも生産者側が全国的にも珍しい独自のブランド「雑穀生活」（写真）を立ち上げており、無農薬、土づくりでの一定量以上の有機物の使用、種子の限定など6項目を取り決めて質の高い雑穀作りに取り組んでいる。</li>
<li>米には選別の機械などがすべてそろっているが、雑穀にはない。手作業の工程が多く、識別作業などに農家は大変苦労している。質の良い雑穀はきちんとした値段で買ってほしい。</li>
<li>（最後は安藤さんのアドバイスから）雑穀を米に混ぜて炊く場合は、一緒に研いだ方がヌカ分が流れておいしくなる。本当にいい雑穀であれば、少し置けば水に沈む。</li>
</ul>
</p>
</blockquote>

<p><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_037.jpg" alt="" class="isright" />知っているようで知らない雑穀の基本情報。ちょっとした工夫でおいしい雑穀がよりおいしく食べられることがわかりましたし、また、国産の有機雑穀がどれほど貴重かということも参加者の記憶に強く残ったようです。</p>


<p style="clear:both;" class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_038.jpg" alt="" class="isright" />おいしい食事を楽しんだ皆さんからは「食感がおもしろい」「普段の食事にもっと入っていていいと思った」「雑穀の可能性の広さを教えてもらった」などの声が聞かれました（右は「良いものは残していかないと、ですね！」と話していた料理研究家の藤野嘉子さん）</p>



<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>終わりに</strong>
</p>

<p>アクアヴィーノで開かれた二戸の雑穀イベントは半日で予定した30席が満席になるほどの人気だったそうです。メタボ予防、アレルギー対応食といった「特別なもの」でなく、雑穀に好奇心を持ち、できれば気軽に食事で楽しみたいと思っている人が増えているという印象を受けました。</p>

<p>雑穀の潜在能力はまだまだ未知数です。米に対し、カルシウム27倍、鉄分19倍、食物繊維25倍と飛び抜けて高い栄養価を誇るアマランサスなどはNASAが21世紀の主要食になると注目しているという話も聞きました。</p>

<p>そのように世界で雑穀が再注目される中、Japanese milletとも呼ばれる優秀なヒエを誇る二戸が、豊かな雑穀文化を次世代につないでいくためには、理解ある消費者の応援が欠かせません。「畑を見て違いを知ってほしい」というのが、きっと高村さんたちの本音でしょうが、まずは雑穀を買い求めるとき、産地をよく調べてみる、食べ比べてみる、まずはそんなことから気にしてみてはいかがでしょうか？</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/044_039.jpg" alt="" style="display:block; margin:0 auto; width:300px;" /></p>

<br /><br />


<p><strong>岩井光子　略歴</strong><br />
地元の美術館・新聞社を経てフリーに。2002年、行政文化事業の記録本への参加を機に、地域に受け継がれる思いや暮らしに興味を持つ。農家の定点観測をテーマにした冊子「里見通信」を2004年に発刊。地球ニュース編集スタッフ。高崎在住。</p>


<div style="text-align: right;"><p><small>取材・執筆：岩井光子<br />
写真：岩井光子・横山ゆりか（Think the Earthプロジェクト）<br />
写真提供・協力：高村英世、グッドテーブルズ</small></p></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>持続可能な水素経済を目指すハワイ州の取り組み</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2008/12/rpt-43.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2009:/jp/thinkdaily-renewal/report//7.1002</id>

    <published>2008-12-14T02:56:33Z</published>
    <updated>2010-07-23T01:41:28Z</updated>

    <summary>     目次へ移動     「地球のへそ」ハワイ島 ハワイ島に住む h2テクノ...</summary>
    <author>
        <name>staff</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/">
        <![CDATA[<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>「地球のへそ」ハワイ島</strong>
</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/043_photo_001.jpg" alt="" />ハワイ島に住む h2テクノロジーズのガイさん</p>

<p>太平洋のど真ん中に位置し、ポリネシアン・トライアングルの北端を担うハワイ諸島。ワイキキビーチなど観光地としてあまりにも定番ですが、自然のエネルギーが湧き出すようなスピリチュアルなスポットとしても注目されています。そしてビッグアイランドと呼ばれるハワイ島に、水素経済に向けたビジネスを手がける h2テクノロジーズがあります。実はこの会社、僕がクリエイティブ・ディレクターを務めるウェブメディア<a href="http://greenz.jp/" target="_blank">greenz.jp</a>を運営する株式会社ビオピオの大切なビジネスパートナー。水素経済を目指すというビジョンに共鳴し、"未来会議"と称して定期的に情報交換を行いながら、日本とハワイをつなぐプロジェクトを進めています。</p>

<p>COOであるガイ・トヤマさんは、<strong>「水素経済は決して遠い未来の話ではない。今だからこそ可能なんだ」</strong>と強く主張します。豊かな自然を有効に活用して、世界のロールモデルを目指すハワイの取り組みを肌で感じ、僕自身もその現実味を感じることができた貴重な旅でした。</p>


<p class="section-title-middle" id="One01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>チカラに満ち満ちたビッグアイランド</strong>
</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/043_photo_002.jpg" alt="" />東側のヒロサイドはうっそうとしたジャングルが</p>

<p>6時間あれば島を一周できる島ながら、溶岩とビーチ、ジャングル、乾燥した山あいと、あっという間に移ろっていく景色がとても印象的。それもそのはず、ハワイ島は13の気候区分のうち、砂漠と北極以外のすべての気候が存在すると言われています。冬には雪も積もる巨大な山々が島の真ん中で雲を遮る。その影響で、西側のリゾート地コナは常に乾燥し、東側のヒロでは常に雨が降るので、毎日のように虹が出現します。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/043_photo_003.jpg" alt="" />マウナ・ケア山頂からのご来光。クルマで4000mを登りきります。</p>

<p>そびえる、というよりもなだらかに佇む二つの山。原住民にとって聖地でもある標高4205mのマウナ・ケアは、北半球でもっとも星空がキレイに見える場所で、日本のすばる望遠鏡を始め、世界各国の天文台が設置されています。裾野に当たる太平洋の海底から測ると標高は10000mを超えるとか！また、大気中の二酸化炭素計測所がある標高4169mのマウナ・ロアは、標高25,000mという火星のオリンポス山に次いで、山の体積が太陽系で2番目に大きな山なのだそうです。</p>

<p>ガイドさんが、「地下のマグマが必死に出口を探して、たどり着いたのがハワイ島なんだよね」と説明してくれましたが、キラウェア火山などいまだに噴煙を吐き出す<strong>この島は、まさに地球大というスケールの自然環境が存在します。この圧倒的なチカラが、自然に宿るとされる聖なる力「マナ」につながっていて、ハワイにおける環境保全活動やエネルギー政策の根底に流れている</strong>のだなあと素直に感じました。</p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>ハワイのエネルギー事情と未来への投資</strong>
</p>


<p>とはいえ、そんなハワイにあっても課題はたくさんあります。一番大きな問題は、エネルギーの外部依存です。</p>


<p class="section-title-middle" id="Two01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>家計を圧迫する石油</strong>
</p>

<p>ガイさんによれば、<strong>ハワイには石油や天然ガス、石炭といった化石燃料が存在しないにも関わらず、ハワイ州で使用するエネルギーの90%は石油に依存し、そのうち71%はアメリカ国外から輸入した石油となっています。</strong>これは全米の中で最も高い数字です。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/043_photo_004.jpg" alt="" />オアフ島では慢性的な渋滞が </p>

<p>1997 年のハワイ州の統計では、石油を買うのに一年間に10億ドル（1000億円）を費やしていて、そのうち26%が電力に、55%が陸海空の運送／輸送に使われているそうです。電車のインフラが整っていないハワイでは90万台の車が走っていて、ホノルル付近は特にいつも大渋滞。ガソリン価格は本土よりも慢性的に25%ほど高くて、レンタカーに乗っていても財布が痛いなあという印象でした。現実的に家計も観光業界も、ほとんどガソリン代に圧迫されています。だからこそ<strong>「トランスポーテーションの分野で脱オイル＝水素や燃料電池が実現できれば、ハワイの産業はガラリと前を向くはず」</strong>（ガイさん）なのです。</p>



<p class="section-title-middle" id="Two02">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>100%の自給が可能な自然エネルギーのポテンシャル</strong>
</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/043_photo_005.jpg" alt="" />ネルハ・ゲートウェイ（NELHA GATEWAY）の外観。ハイウェイから太陽光パネルがよく見える。 </p>	

<p>ここで、天がハワイに与えたチカラの出番です。「100%再生可能エネルギーを実現できる、アメリカでも数少ないポテンシャルを秘めている」とガイさんが言うように、地熱、風力、水力などの再生可能エネルギーへの転換がこの地では可能なのです。彼が今が勤めているハワイ州立自然エネルギー研究所（NELHA）が中心となって、さまざまな基礎技術の研究やグリーンビジネスの誘致が進んでいます。</p>

<p>2008年10月、「2030年までに州内で使用するエネルギーの70%を、化石燃料から再生可能エネルギーによる供給に移行する案」にハワイ州とハワイ電力が合意しましたが、ハワイ島の地熱発電やマウイ島の風力発電など、各島々のポテンシャルを再発見し、その特徴を生かしていくエネルギー戦略がいよいよ具体的に動き出しました。将来的には各島間を海底ケーブルでつなげて電力を供給する計画もあるようです。</p>

<p class="section-title-middle" id="Two03">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>ハワイの優位性と未来への投資</strong>
</p>

<p>加えて、<strong>ハワイにおけるグリーンビジネスへ投資を集めるための制度も充実しています。</strong>例えば、ACT221という仕組みは、ハワイ州が認定したグリーンビジネスに対して、投資した金額すべてが税額控除となり、さらに同じ金額の還付金が5年以内に戻ってくるという、投資家にとってこの上ないインセンティブ。単純に計算すると元本を一切失わずに、未来のビジネスのリターンが期待できるということになります。新しいビジネスを花開かせるために、ハワイ州の将来を賭けた意気込みが伝わってきますね。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/043_photo_006.jpg" alt="" />再生可能エネルギーについて説明してくれるガイさん </p>	

<p>他にも既にハワイ大学など最先端の自然エネルギー研究施設があり、ベンチャー企業をインキュベートできる土地も豊富にあること。また、アメリカと日本をつなぐ環太平洋ビジネスの拠点という地理的なメリットも考えると、化石燃料に乏しい島国ならではの問題を、溢れる自然のチカラと水素を組み合わせた再生可能エネルギーで解決するという"世界のロールモデル"となる可能性は十分にあるといえそうです。</p>

<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>そもそも水素って何？</strong>
</p>

<p>さて、ここで水素について軽くおさらいしておきましょう。</p>

<p>アメリカを代表する文明批評家ジェレミー・リフキンの著書『水素エコノミー--エネルギー・ウェブの時代』は、僕がオススメする必読書のひとつです。そこには水素社会の可能性が輝かしく描かれていますが、中でも僕たちが興奮しているのは、「分散型電源と局所的かつ世界的なエネルギー・ウェブ」によって実現される双方向エネルギー共有の可能性です。</p>

<p>ちょっと小難しいですが、ここ数十年のインターネットと双方向コミュニケーションによる情報の共有という流れと結びつけるとわかりやすいでしょうか。一言で言えば、「エネルギーの民主化はいかに可能なのか、そしてそこから人類のマインドはどう進化（深化？）するのか」ということかもしれません。「水素社会になれば、石油に起因する戦争はなくなる」という見方もありますが、<strong>社会構造がグローカルな分散ネットワーク型へと向かう中で、水素が未来のキープレイヤーであるのは間違いありません。</strong></p>

<p class="section-title-middle" id="Three01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>水素は未来のエネルギー？</strong>
</p>

<p>水素は宇宙で最も豊富にあり、最も軽い元素です。燃やしても、電気と水と、ごく微量の窒素しか発生せず、<strong>地球温暖化に寄与しないサステナブルなエネルギー源</strong>とされています。燃料電池車のFCXシリーズを開発するHondaがカリフォルニアに自社の水素ステーションを持って公道でテストしたり、FedEXや UPSが運送に燃料電池車の導入を進めたりするなど、特にクルマの分野では研究が進んでいますね。最近のgreenzの記事では、水素クルマ椅子が話題になりました。</p>

<p>ただ水素は単体では自然界にほとんど存在しないので、水の電気分解や天然ガスからの水蒸気改質などの化学反応を利用することになります。現状で主流の天然ガスからの製造は、結果的に二酸化炭素を発生させるので、水の電気分解の方が望ましいとされていますが、その反応を起こすために膨大な一次エネルギーが必要です。また貯蔵と供給、ポータブルな発電機である燃料電池の効率など、さまざまなフェーズで、まだ世界がしのぎを削っている段階で、コレという技術が確立しているわけではありません。</p>

<p class="section-title-middle" id="Three02">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>水素懐疑論</strong>
</p>

<p>そんな状況にあって、環境のオピニオンリーダーでもあるレスター・ブラウンをはじめ、水素に対する懐疑論はたくさんあります。何においても批判がある方が健全ですが、そこまでペシミスティックになる必要はないのではないかと僕なんかは思ってます。そこで今回ハワイで話を聞いた、エネルギー政策の提言に関わるメードリン・オースティンさんが編集した『FREEDOM FROM MID-EAST OIL（中東の石油からの解放）』という本に、ちょうどよくあるツッコミに対する、適切な答えがあったので、一部抜粋してみました。詳細が気になる方は、これも是非オススメしたい本です。</p>

<ul>
<li>うわさ1：<strong>爆発性があり危険である</strong><br />
→ 水素は軽いので熱を放出せずにすぐに空中を上昇する。よっぽど今の可燃性燃料の方が危ない。</li>
<li>うわさ2：<strong>効率が悪くコストが高くつく</strong><br />
→ Wellhead-to-wheels（坑口から車輪まで）を考えると、水素はガソリンよりも3倍効率が良い。</li>
<li>うわさ3：<strong>ゼロから始めなければならず、インフラ整備に時間が掛かる</strong><br />
→ 現存するパイプラインなら問題なく使える。今すぐコンバートが可能なインフラがあるので決してゼロからではない。</li>
</ul>
 

<p>この本でも、実際に消費者のレベルで目に見えて変化が起こるのは、2015年以降としていますが、環境面でのサステナビリティと間近に迫った実現性、そして何よりも公平なエネルギーがもたらす人間社会の意識変革を考えると、水素なしに目の前の社会問題の根本的な解決はない、と個人的に強く思っています。</p>

<p class="section-title-middle" id="Three03">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>水素のつくり方をめぐって</strong>
</p>

<p>あのブッシュ大統領も水素・燃料電池技術諮問委員会（HTAC）という肝いりプロジェクトを進めていましたが、「水素には敵がいない」とよく言われます。しかしここで注意深く見る必要があるのは、「どうやって水素をつくるのか」ということです。</p>

<p>HTACが1次エネルギーとして前提としているのは原子力エネルギーです。一方ハワイ州が究極のゴールとするのは、再生可能エネルギーを活用し、水の電気分解によって水素を製造することです。発電そのものでは二酸化炭素を発生しない"クリーン"とされる原子力が、本当にサステナブルなのかは議論の余地があるでしょう。<strong>原子力と水素は、エネルギーを一極集中にするか、分散型にするかという未来社会のコンセプトの違いと言えるかもしれません。</strong></p>

<p>水素社会のインフラ整備を実現するまでにさまざまな提案が出るでしょうが、過渡期に必要な代替案なのか究極のゴールにつながるアイデアなのか、いろんな議論の中で見極めていくことが大切だと思います。</p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>動き出したハワイの水素ハイウェイ計画</strong>
</p>

<p>最後にh2テクノロジーズが進める、ちょっと未来のワクワクする仕事を紹介したいと思います。</p>


<p class="section-title-middle" id="Four01">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>h2テクノロジーズの仕事とその周辺</strong>
</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/043_photo_007.jpg" alt="" />水素発生装置とエンジニアのチェスター・ロウリーさん</p>

<p>h2テクノロジーズは、水素に関連して2つのビジネスを行っています。ひとつめは電気分解による水素製造とガソリン車やディーゼル車の水素車へのコンバージョンといったエンジニアリング。ふたつめは、水素経済のインフラづくりです。</p>

<p>僕たちも驚いた最近のビッグニュースは、「特別歳入担保債」の発行に対して、h2テクノロジーズのための法案が成立したことです。「特別歳入担保債」とは、ある特定の目的のプロジェクトについて社債を発行する場合、債権を買った人に対する利息が免除になる仕組みです。この債権が発行できるとハワイ州のお墨付きとなり、投資に対する信用力を得ることができます。しかも<strong>水素経済への移行を「歴史的な機会」として捉え、「水素ハイウェイの達成を早める」など、水素経済への意気込みが法案の文面からもよく伝わる内容</strong>になっています。先述したACT221も申請中で、コトがスムーズに運べば仕事の規模もますます大きくなるでしょう。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/043_photo_008.jpg" alt="" />チェスターさんがハロウィンのためにつくった音の鳴るレーザー装置</p>

<p>CEO 兼発明家のタク・ワダさんが中心となって設計された電気分解による水素発生装置は、既にモックアップが完成し、チェスターさんの家にある工房で研究が進んでいます。「ここまでは電線が来ていないから、裏で流れているウマウマ川から水をくみ上げた小水力発電で、家の電気をまかなっているんだ。そこで余った電気を使って水素をつくっているんだよ。この家に関して言えば、本当にエネルギーの自給率は100%になっているね。次はスーツケースくらいの大きさにつくって、投資家に見せて回るんだ」とチェスターさんは意気込んでいます。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/043_photo_009.jpg" alt="" />NELHAに展示中の水素エンジンにコンバートした原付バイク</p>

<p>水素カーへのコンバージョンについては、その足がかりとして水素エンジンにコンバートした原付バイクを走らせることに成功しています。コンバートした車は日本の法律では改造車扱いになってしまうようですが、<strong>数百万円で新車の燃料電池車を買うよりも、数十万円で水素カーにコンバートする方が、現存するクルマの台数を考えると環境負荷的にもリアリティがありますね。</strong>今ある天然ガス車もまったく手を入れずに、15%までは水素を混ぜても効率も安全性も問題ないことが判明したので、既にほとんどが天然ガス車である日本のタクシー業界も、近い将来水素カー中心に変わっていくかもしれません。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/043_photo_010a.jpg" alt="" /></p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/043_photo_010b.jpg" alt="" />NELHAの広大な敷地で、さまざまな実験が進行中。</p>

<p>ガイさんが中心となって進めているインフラづくりでは、<strong>実際にハワイの電力会社、ガス会社、州政府の間に入って、水素ハイウェイ構想を進めています。</strong>手始めとしてNELHAの敷地にガソリン、バイオエタノール、天然ガス、そして水素を補充できるオルタナティブな燃料ステーションが、数年後に登場することになるでしょう。「電力会社から余剰電気を安く買い、水素発生装置で水素をつくって燃料にする。このパッケージを世界に広めたい。」と彼は言いますが、いくつかの日本企業とも具体的な話が進んでいるようなので、日本にいる僕たちにもできることがたくさんありそうです。</p>

<p class="section-title-middle" id="Four02">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>"Island of Adventure" から "Island of Innovation" へ</strong>
</p>

<p>サステナブルな社会の基盤となりうる水素経済へのシフトは、住民、行政、企業それぞれにおいて明確なメリットがない限りスムーズには実現しないでしょう。再生可能なエネルギーが豊富なハワイはあくまで特殊なケースで、電力会社の存在感が大きい日本では、なかなか受け入れられないかもしれません。しかし、決して夢物語ではないということが、ハワイでの取材を通じて心揺さぶられた重要なメッセージでした。</p>

<p>実はアメリカの水素への取り組みは、「マツナガ水素研究開発法」（1990）から本格的に動き出しました。これは、ハワイ州選出の民主党上院議員だった日系人のスパーク・マツナガ氏が、亡くなる直前に議員立法で成立させた法案です。20年の時を経て、いよいよそのハワイから水素をベースとした持続可能な社会のビジョンが発信されることになります。</p>

<p><strong>ナノマテリアル、バイオテクノロジーだけでなくエネルギーウェブを支えるインターネット技術など、水素経済の周辺にはさまざまなイノベーションが期待されています。</strong>観光に支えられた"Island of Adventure"から持続可能な社会のロールモデルとしての"Island of Innovation"へ。この確かな軌跡を、今後もウォッチしていきたいと思います。</p>

<br /><br />


<p><strong>兼松佳宏 プロフィール</strong><br />
greenz.jpクリエイティブディレクター／株式会社ビオピオ取締役。79年秋田生まれ。現在「デザインとビジネスとサステナビリティ」をつなぐをテーマに、デザインや執筆、イベントプロデュースなどを行っている。<br />
<a href="http://greenz.jp/" target="_blank">greenz.jp</a><br />
<a href="http://www.whynotnotice.com/" target="_blank">whynotnotice inc.</a><br /></p>


<br /><br />
<div style="text-align: right;"><p><small>
取材・執筆・写真：兼松佳宏（greenz.jp） </small></p></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>インディアン・ヒマラヤのオルタナティブ教育</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2008/10/rpt-42.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2009:/jp/thinkdaily/report//7.1024</id>

    <published>2008-10-08T02:31:10Z</published>
    <updated>2010-02-09T12:49:27Z</updated>

    <summary>     目次へ移動     チベットよりもチベットらしい ラダックは広大なイン...</summary>
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        <![CDATA[

<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>チベットよりもチベットらしい</strong>
</p>


<p>ラダックは広大なインドの最北部に位置します。標高は3,000mから7,500mほど、周囲はヒマラヤの山々に囲まれ乾燥した砂漠の大地が広がります。ジャンムー・カシミール州の一角を担い、面積は約59,000平方kmで四国と九州をあわせた大きさです。人口は約24万人、これはインド全体の 0.02%に過ぎません。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_map.gif" alt="" /></p>
	
<p>ラダックはよく「インドのチベット」と呼ばれます。それはここが、チベット高原の西端に位置し、古くから今日に至るまでチベットの文化が深く根付いているからです。 どの村にもチベット風の寺院（ゴンパ）が建ち、通りには仏塔やマニ壇などが並びます。</p>

<p>中国に文化的に侵略されてしまったチベットに比べ、インドに位置していたことや、冬季は道路が雪により分断され陸の孤島となり、他の文化が入りにくかったことから、皮肉にも<strong>「チベットよりもチベットらしさが残っている」</strong>と言われることもあるそうです。</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_002.jpg" alt="" />中心地、レー（Leh）</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_003.jpg" alt="" />いたるところで見られるゴンパ（チベット寺院）</p>

<p>言葉は西チベットの方言と類似するラダック語が話され、民族はラダッキと呼ばれるチベット系の民族が大半で、我々日本人に似通った顔をしています。</p>

<p>チベット仏教が多数を占めますが、イスラム教徒やヒンドゥー教徒もいます。ラダッキの他にカシミール人やインド人などもおり、多様な民族で構成されています。</p>



<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>グローバリゼーションの中で</strong>
</p>

<p>ラダックは、チベットやその他ヒマラヤの地区と同様に長い間、欧米や近代化の影響を受けてきませんでした。標高が3,000m以上と高く冬の期間が長いうえ、大地が乾燥しきっているので厳しい環境ではありますが、ここでは古くから持続的で豊かな文化が育まれ、人々は幸福で満ち足りた生活をしてきました。</p>

<p>しかし、急激な変化がこの地域を襲います。1960年代にはインドと中国、パキスタンの国境ラインの緊張感の高まりから、膨大な数のインド軍隊が駐留する国境紛争の地域となりました。また1974年には外国人観光客に門戸が開かれ、それに伴い欧米の文化が入ってきました。</p>

<p><strong>グローバリゼーションや貨幣経済の渦の中で、これまで営んできた持続的な田舎での暮らしは変化を余儀なくされました。一時は地元住民の価値観が崩れ、民族的な誇りや自信が失われつつあったとも言われています。しかし近年、ラダック地域の伝統や文化を尊重しながら、環境にも配慮した持続可能な発展を目指す地元NGOの活動が活発になってきています。</strong></p>

<p>今回のリポートでは、20年以上ユニークな教育活動を続け、地元のコミュニティーに多大な影響を与えているNGO、SECMOL（セクモール）を取材しました。</p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>SECMOLの成り立ち</strong>
</p>

<p>SECMOLが設立されたのは今から20年前の1988年。ラダックを含むインドの教育制度を改善しようと地元の大学生有志5名により立ち上げられました。</p>

<p>ラダックでは11年生（日本の高校2年生）になる時に進学テストがあります。2教科以上落第すると進学できないという厳しいテストです。<strong>落第者は学校に残ることはできず、留年して再びテストに合格しないと進学ができません。当時のラダックでは、このテストの合格率はわずか3％でした。</strong></p>

<p>ラダックではほとんどの人がラダック語を第一言語として使用しているのに関わらず、1年生から8年生までの教科書はラダック語ではないウルドゥー語で書かれ、9年生からは英語で書かれていました。教科書は首都デリーで使われているものだったので、書かれている事例は地元の文化からは想像もできないほど遠い異国のもののように感じられました。また、学校での教育は現地の文化を否定し続けるものでした。近代や欧米型の文化がいかに素晴らしく、素朴でサステナブル、昔ながらの営みを続けるラダックの生活様式は古くて劣ったものだという教育が、義務教育の10年間行われたというのです。生徒は毎日学校に行き、自分ルーツを否定され続けました。</p>

<p><strong>こうしたラダック文化をないがしろにした教育システムを改善し、自分たちの文化に誇りを持てるような教育にしようというのがSECMOLの出発点でした。</strong>以来SECMOLは地元の文化を尊重した多様な教育向上プログラムを行ってきました。</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_004.jpg" alt="" />村の教育意識を改善するキャンペーンの様子　写真提供：SECMOL</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_005.jpg" alt="" />ラダック語で書かれた教科書　写真提供：SECMOL</p>

<p>教員のトレーニングを実施し、教員を教えるリーダーとなる人材育成カリキュラムを浸透させました。たくさんの村を訪れ、村人の教育への意識を改善するキャンペーンを幾度となく行い、僻地の村に学校も建てました。また、1年生から5年生までの教科書を改訂し、ラダック語で記述するようにしました。政府と共にラダック地区全体の教育カリキュラムを作成してきました。<strong>SECMOLの活動の成果は非常に大きく、一時期、進学テストの合格率は40％以上まで上がりました。</strong>もっとも、今年はテストの難易度が高く、合格者は28％にとどまってしまったそうですが。</p>

<p>最近の2年間は政府とラダックのNGOの間に政治的な問題があり、その闘争にSECMOLも巻き込まれてしまったため、一旦は政府とは距離を置いているそうです。その代わり、SECMOLが所有するPhey（フェイ）キャンパスでの夏季ユースキャンプや、落第生に学習の場を提供する1年間の教育カリキュラムに活動の場をシフトしています。</p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>オルタナティブ教育　〜もうひとつの教育〜</strong>
</p>

<p>ラダック地区の行政の中心地、レーから北西へ約20km。木が一本も見られない乾燥した砂漠の中に突然「SECMOL」への道標は現れます。アスファルトの道路を左折し、瓦礫の道を3kmほど進むとインダス川に突き当たります。なぜここに！？と不思議に思えるほど、本当に何もない砂漠の真ん中に、忽然とポプラの木々に囲まれたPheyキャンパスが姿を現しました。</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_006.jpg" alt="" />SECMOLへの道、辺りは木一つ生えない砂漠</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_007.jpg" alt="" />ポプラの木々の奥にあるPheyキャンパス</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_008.jpg" alt="" />事務所や図書館、ホールなどがあるメインの建物</p>




<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>ヒマラヤのフリースクール</strong>
</p>

<p>キャンパスに着くとすぐに、数名の生徒が近寄ってきました。「どこから来たの？」「名前は？」とみんな物怖じせず気さくに英語で話しかけてきます。外国人のビジターが訪れるのは日常茶飯事のようです。日中ここにいる生徒は25名。ほとんどが16歳から17歳の10年生を終了した生徒です。</p>

<p>生徒たちは、自からの希望でSECMOLにやってきます。出身地は様々で中心地レーからだいぶ離れた僻地の村の出身者もいます。彼らは夏に行われる SECMOLのユースキャンプや友人・家族の口コミなどでここの存在を知りました。ほとんどの生徒は11年生のテストに落第した生徒だといいます。</p>

<p><strong>Pheyキャンパスは落第した生徒に、通常の学校とは異なる教育の場を提供する、日本で言うところのフリースクールの役割を担っていました。落第生以外にも、ここの教育が受けたくて留年してまで入学してくる生徒も毎年いるそうです。</strong><br />
彼らはこのキャンパスで1年間寝食を共にしながら勉強し、1年後に11年生に進学することを目指しています。</p>

<p>進学後もレーの高校にバスで通いながら、キャンパスに残る生徒もいます。その高校生が15名。この他にスタッフ7名が共同で生活しています。</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_009.jpg" alt="" />（左）好奇心あふれる生徒たち （右）晴れた日の朝食は野外で</p>


<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>ユニークなカリキュラム</strong>
</p>

<p>朝は6:00に起床。授業は英語、社会、数学、科学の4科目があり、授業の合間に担当の仕事をする時間や、グループでのディスカッション、洗濯、日々変わるダンスやアクティビティなどカリキュラムは22:00まで続きます。学校ではあまり教えてもらえないという、ラダックの文化や歴史を教えることも意識されていました。</p>

<p><strong>授業に共通するのは、基本的に基礎だけを教えるということ。11年生の進学テストに合格するのを目標としながらも、テストのための授業は行われません</strong>。</p>

<p>テストのレベルが生徒の実力とあっていないためというのも理由のひとつですが、基礎をしっかりと身に付け、自分で考える力を育てることが狙いです。</p>

<p>そのため、テストのための勉強は個人の責任に委ねられます。<br />
それでも、ほとんどの生徒が1年後のテストに合格するのですが、それはここで自主性や責任感、学ぶ喜びを得られたからだと思いました。</p>

	
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_010.jpg" alt="" /></p>
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_011.jpg" alt="" />
授業の風景。この日の先生はダージリン地方からボランティアに来ていたインド人の大学生（上）　ビデオを見ながら英語の授業（下）</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_012.jpg" alt="" />朝のグループディスカッション。楽しみながら学ぶ光景が見られます</p>



<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>責任感がキーワード</strong>
</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_013.jpg" alt="" />レベッカ・ノーマンさん 1992年よりSECMOLに関わる。英語教師でありボランティアコーディネーター。 </p>

<p><strong>「覚えるための勉強ではなく、真の教育をしたいと思っています。」</strong>とSECMOLに10年以上携わるレベッカさんは言います。
「<strong>教育とはもっと実用的だったり、実践的であったりするべきだと思うのです。</strong>責任感が非常に大切だと思っているので、"Responsibility"（責任）というカリキュラムを設けています。」</p>

<p>生徒たちの勉強への自主性は、このカリキュラムがうまく作用していると感じました。ここでは先生はアドバイスをしますが、決定権はあくまで生徒の自主性や責任感にゆだねられています。</p>

<p><strong>SECMOLの教育のキーワードであると思われる、責任感を育てるのが、「Responsibility」と呼ばれる時間で、毎日30分間が設けられています。</strong>トイレやシャワー室の掃除から、草木の水遣り、ソーラーパネルのメンテナンス、図書館の担当、牛のミルクの搾乳、授業の出欠管理、経理など、単純作業から専門的なことまで、30程度の仕事が2ヶ月ごとに生徒に割り当てられています。個人で行うこともチームで行うこともありますが、自分の担当分は必ず責任を持たなければなりません。</p>

<p>面白いのは担当が入れ替わる2ヵ月ごとに、それぞれの仕事についてプレゼンテーションを行わなければならないこと。たとえば牛の搾乳担当グループは毎日ミルクの量を計量し、その成果やミルクを増やす手法の工夫などを、みんなの前で発表することになります。<strong>この発表の場を設けることで、毎日の行為に意味が出てきて、単なる作業ではなくなります。目標の設定も必要になりますし、責任感も増すでしょう。自主的にいろいろなアイデアがグループや個人から出てきます。</strong><br />
<strong>ここで養われた「責任感」や「自主性」が勉強にも大きな効果を生み出しているのだと思いました。</strong></p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_014.jpg" alt="" />家畜の担当者。楽しそうにミルクを絞っていました</p>


<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>世界を知る</strong>
</p>

<p>SECMOLには毎年多くの外国人が訪れます。NGOのスタディー・ツアーだったり、ボランティア志望の若者だったり、国籍、目的、年齢もそれぞれです。そんな外国人とのコミュニケーションをSECMOLは大切にしています。</p>

<p>世界を見る広い視点を養うことということも、ここの教育の重要なことのひとつ。<br />
ラダックの僻地では、いまだ電気や水道などのインフラが整っていない場所も多く、そのような村から来た生徒もたくさんいます。インターネットや通信が発達した現代でも、そんな村に入ってくる情報は断片的で偏っています。</p>

<p>生徒一人ひとりの世界観や価値観を多様なものとし、客観的に自分達の文化を見つめる目を養うのは非常に大切なことだと思います。<strong>テレビやラジオから入ってくる二次情報よりも、ここを訪れる世界中の若者との会話のほうが、よりリアルな情報なのです。</strong> たくさんの外国人に触れ、自分の中の世界地図が広がっていくことを生徒一人ひとりが楽しんでいました。</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_015.jpg" alt="" />2週間滞在予定のカナダ人、世界各地のオルタナティブ教育を取材中</p>




<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>毎日が学び</strong>
</p>

	

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_016.jpg" alt="" />Dadulくん</p>

<p>何人かの生徒にここでの生活の感想を聞きました。</p>

<p>「ここに来る前の学校では覚えるための勉強でしかなかった。ここではいろいろ学べて自分で考えることができる。それが好きなんだ。」とThinley（ティンレー）くん。</p>

<p>「責任を与えられているのが大好きなところ。ビジターとの会話も楽しい。村とはあまりにも違っていて世界が広がって行くの」とTashi（タシ）ちゃん 。</p>

<p>「前の学校ではわからないと先生は怒ったんだけど、ここは違う。もう2年目になるけど、それでも毎日毎日違う学びがここにはあるんだ」とは無事テストに合格し、ここに住んだままレーの高校に通っているDadul（ダドゥル）くん。</p>

<p>誰もが、学ぶ楽しみをかみしめ、活き活きと輝いていました。こんな前向きな子どもたちが落第生だなんて信じられないくらいです。テストのための教育、覚えるための教育。自分が日本で受けてきた教育を思い出しました。<strong>教育とは何かを記憶させることではなく、好奇心を引き出して世界を広げるきっかけを与えることなのだと改めて思いました。</strong></p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>ヒマラヤのオルタナティブ・エネルギー</strong>
</p>

<p>エコツアーの実施や夏のユースキャンプ。多面的で独創性のある取り組みはたくさん行われていますが、中でも特筆すべきは、キャンパスの環境への取り組みでした。</p>

<p>このキャンパスを建てる際、可能な限り地元の建材を使い、地元の技術を活かし、かつエネルギー的に独立するというのが当時の挑戦でした。今から15年も前の話です。</p>

<p>ラダックは標高が高く乾燥した砂漠地帯で、水は少なく冬は長い。<strong>このマイナスの環境面をプラスに変えたのが太陽でした。極度の乾燥は年間300日の晴天をもたらし、太陽のエネルギーがふんだんに地上に降り注ぐのです。</strong>キャンパスではいたるところにヒマラヤのオルタナティブ・エネルギー、太陽が利用されていました。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_017.jpg" alt="" />インダス川沿いには4機のソーラーパネルが設置されています</p>


<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>真冬でも暖房要らず</strong>
</p>

<p>キャンパスは一見何もないような砂漠の中にあります。しかしここは慎重に選ばれた土地でした。ラダックの中心地レーに近く、飲み水として利用できる泉が近くにあり、すぐ脇には灌漑に利用できるインダス川があります。太陽の光を受けやすい南斜面の丘に校舎は建てられました。</p>

<p>夏の気温は30度まで上がり、冬は−20℃まで下がります。しかし、<strong>建物の中は夏は涼しく、冬は12℃より下がることがありません。そのためエアコンもヒーターも一切要りません。</strong></p>

<p>校舎は真南に面して建てられ、大きい窓が備わっています。夏は太陽が高く上がり、冬は低いため、夏の日差しは中に入りづらく、冬はたっぷりと入ってくるため、夏は涼しく冬は暖かくなります。もちろん窓が大きいため日中は電灯を一切使いません。また壁の厚さは30cmと厚く、間には建築廃材などを用いた保温材が入っています。この壁は日中に吸収した熱を夜にゆっくりと放出する熱の貯蔵庫の仕組みを担っているのです。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_018.jpg" alt="" />壁一面が窓ガラスとなっているホール</p>

	
<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_019.jpg" alt="" />ラダックの寺院で使われている断熱の技術が利用されているそうです</p>

<p><strong>この方法はラダックの数々の寺院で使われていた伝統的な技術だそうです。欧米の技術を模倣したわけではなく、地元ならではの工法で建ててみると、実はそれは世界各地で採用されている技術と類似していたと言います。</strong><br />
校舎にはセメントはほとんど使われず、この場所の土からできています。建材も地元の物が使われています。</p>


<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>太陽エネルギーの活用</strong>
</p>

<p>川沿いに4つのソーラーパネルが建てられ、その発電によって電化製品や電灯、パソコンなどのオフィス機器の電気がすべてまかなわれています。16のバッテリーがあり、3日間曇り空が続いても十分な電気量を確保できているそうです。</p>

<p>インダス川からの水も太陽のエネルギーによってポンプで引き上げられ、敷地内の緑や畑を潤します。建設当時はまったくなかった木が今では1,000本以上も育ち、鳥もよく見られるようになりました。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_020.jpg" alt="" />15年前は草木が全くなかったのが信じられないくらい緑があります</p>

<p>太陽の利用はそれだけではありません。キッチンには2枚の巨大ソーラークッカーがあります。シャワーのお湯を造るのも太陽です。冬には壁の外にプラスチックシートがかけられ、野菜が育つ温室ができます。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_021.jpg" alt="" />高さ2メートル以上あるソーラークッカー</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_022.jpg" alt="" />シンプルな仕組みですがガスの中火程度の威力があります 資料提供：SECMOL</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_023.jpg" alt="" />シンプルな温水器。地元の安価な素材からできています</p>

<p>光熱費がほとんどかからないため、施設のランニングコストは非常に安いとのこと。<br />
工夫は太陽だけではなく、コンポスト式のトイレや、野菜の温室、家畜の小屋、ゴミの処理方法などまだまだあります。いずれは野菜をすべて自給し、ゴミからバイオガスを作り、インダス川の水流で発電したいという夢も持っているそうです。</p>



<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>生活することが環境教育</strong>
</p>

<p>これが北欧での取り組みならば特に驚くことはありません。ここがヒマラヤの山奥の砂漠であるという事実が、驚異的だと感じました。</p>

<p>ハイテクの技術はソーラーパネルだけ。その他の技術やアイデアはすべて地元で安く調達可能な素材が使われています。先進国の技術を模倣するだけではなく、地域の特性に合った資源を利用し持続可能な形に近づけるという点で、日本も学ぶべきことがたくさんあると思いました。</p>

<p>このキャンパスは資源が少ないヒマラヤの、未来へのサステナブルなモデル施設になると思います。<br />
生徒にとっては、ここで生活すること自体が環境教育です。<br />
曇りの日は水が冷たく、晴れの日は温かい。ビニールシートをかけると冬でも野菜が育ち、自分達の糞尿は循環して堆肥となる。そんな当たり前のようなことの一つひとつが環境教育なのです。</p>

<p>太陽パネルやソーラークッカーのメンテナンスなど専門的なことから、ゴミの分別、野菜や木々への水遣りなど、施設の整備はすべて生徒たちの仕事です。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_024.jpg" alt="" />コンポスト・トイレ。2階で用を足し、１階から堆肥として取り出します</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/042_025.jpg" alt="" />彼女のResponsibilityはゴミの分別。10種類に分別します</p>

<p>ここでの環境教育の学びを、生徒一人ひとりが自分の村に持って帰ります。そのようにしてラダック各地に持続可能な未来へのアイデアが伝わっていくことを期待します。</p>


<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>インディアン・ヒマラヤの未来へ</strong>
</p>

<p>SECMOLに来るまで、グローバリゼーションや観光化の波がラダックに落とした影の部分について暗い思いを抱いていました。しかし、ラダックで活動するNGOやSECMOLと出会い、ヒマラヤの未来は明るいかもしれないと思えるようになりました。</p>

<p>SECMOLで学ぶことによって生徒たちが得られることはたくさんあります。 自らのルーツでもある、この地の歴史や文化の素晴らしさを学ぶことで、自分を構成するアイデンティティを肯定することができる。環境のことを学び、持続可能という視点を持つ。海外の文化や世界の多様性を肌で感じ、より広い視点で物事を見る力が身に付く。そして、学ぶことの楽しさと大切さ、自主性と責任感を持つ。
</p>

<p>1年間の充実した、数々の経験を胸に、彼らはラダックの各地へ散らばっていきます。そんな彼らは地域を変える力をすでに持っていると思います。SECMOLの卒業生が地域を変えて、そこから世界も変わっていく。そんな日は遠い未来ではないかもしれません。現に、ラダックではすべてのNGOにSECMOLの卒業生がいるのだそうです。</p>

<p>「お金を出せば、ラダックでもレベルの高い私立学校に行くことができます。しかし、町でも、そこから離れた村でも、お金があってもなくても、全ての子供たちに均等に学ぶ機会と、本当の教育を与えたいと思っています。」SECMOLの今後について伺ったときに、レベッカさんが言っていたことです。</p>

<p>世界をより良くするために、大切なのは、たとえ遠回りだとしても教育なのだと改めて思いました。</p>



<blockquote><p>日本のNGOジュレーラダックでは毎年、ラダックの民家やSECMOLを訪れるスタディー・ツアーを実施している。<br />

詳しくは<a href="http://julayladakh.org/" target="_blank">団体ウェブサイト</a>まで。</p></blockquote>

<div style="text-align: right;"><p><small>
取材・執筆・写真：佐々木拓史（Think the Earthプロジェクト）<br />
協力・ジュレーラダック</small></p></div>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>サステナブル・シティ　 〜持続可能な社会は可能だ！</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2008/07/rpt-41.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2009:/jp/thinkdaily-renewal/report//7.1003</id>

    <published>2008-07-18T05:10:53Z</published>
    <updated>2009-12-14T07:40:32Z</updated>

    <summary>     目次へ移動     ハンマビー・ショースタッドの挑戦 ハンマビー・ショ...</summary>
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        <![CDATA[<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>ハンマビー・ショースタッドの挑戦</strong>
</p>



<!--<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/#" alt="" />ハンマビー・ショースタッド臨海都市の全景</p>-->

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_002.jpg" alt="" />静かな水辺に作られたボードウォーク</p>

<p>ストックホルムの南東にある美しい水辺の街、ハンマビー・ショースタッド臨海地区の再生計画は、ストックホルム最大の都市再開発計画として知られています。都市再開発というと日本でも盛んですが、どちらかというと高層ビルが中心の商業都市のイメージです。ハンマビーがユニークなのは、200ヘクタールにも及ぶ広い土地を、<strong>「持続可能な街＝サステナブル・シティ」にすべく徹底的に考え抜かれて計画されている</strong>ということです。<br />
もともとは、2004年の夏期オリンピックをストックホルムに招致する計画があり、「環境に徹底的に配慮した選手村」として計画された街だったそうです。結果としてオリンピックを呼ぶことはできませんでしたが、市がプロジェクトとして、ハンマビーにサステナブル・シティを作る計画を継続することになりました。</p>

<p>ハンマビーの開発計画は「持続可能」というコンセプトに徹底的にこだわり、<strong>環境負荷を1990年代の中ごろの半分にすることを目標</strong>にしています。最終的に２万5千人が暮らし、働く街として201７年に完成する予定です。2008年現在、既に1万人以上の人が暮らしており、街として十分に機能しているようでした。開発が始まって以来、サステナブル・シティの最先端のモデルとして、世界中から毎年１万人を超える専門家やリーダーたちが訪れているといいます。</p>

<p>大きなゴールは環境負荷を1990年代の中ごろの50%にすることですが、その目標に基づいて、<strong>土地利用、交通、建材、エネルギー、水と汚泥、ゴミ等について、それぞれに明確なゴールを数多く定めています。</strong><br />
たとえば、ほんの少しだけ例をあげると、土地の利用では「春と秋に少なくとも4-5時間の日照がある中庭スペースを15%以上確保する」、交通手段では「2010年までに80%の住民が公共交通もしくは徒歩、自転車での移動をする」、エネルギー利用では「全ての暖房は、余熱もしくは再生可能エネルギーを利用する」、水に関しては「１日、ひとり100リットルの削減」、ゴミに関しては「80%の食品廃棄物を肥料、もしくはバイオエネルギーのために提供」......などなど、どれも具体的で、しかも野心的な目標ばかりです。</p>


<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>サステナブル・シティの暮らしとは</strong>
</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_003.jpg" alt="" />住宅地の様子。環境負荷は1990年代の半分になっているのだそう。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_004.jpg" alt="" />フレドリック・モーリッツさんとお子さんのヘクトー君。</p>

<p>実際にこの街の集合住宅で暮らすフレドリック・モーリッツさんの家を訪問することができました。たとえば、この家を中心に循環するイメージを見てみましょう。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_005.jpg" alt="" />バイオガスで調理できるガスコンロ。どこでも売っている普通の商品とのこと。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_006.jpg" alt="" />屋上には太陽熱温水器や太陽電池パネルが設置されている。</p>

<p>まず窓は三重窓で、高断熱の壁が使われています。パッシブソーラー技術が取り入れられている建物もあります。集合住宅の屋上には太陽電池パネルや太陽熱温水器が設置されていて、温度や発電容量などをモニターすることができます。足りない電力は電力会社から買うことになりますが、スウェーデンでは太陽電池や風力発電など自然エネルギーを使った電力を選んで買うことができます（しかも、共同出資をした風力発電の場合は通常の半額と安い！）。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_007.jpg" alt="" />生ゴミや燃えるゴミは分別してこのパイプの中に入れると、コンピューターで制御されたしくみがあり、中央集積所まで空気に吸い込まれて搬送される。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_008.jpg" alt="" />共同のゴミ置き場。分別の品目は細かく分けられている。</p>

<p>生ゴミは分別して出すと中央集積所に集められたあと、肥料に変えられ、ストックホルム近郊の農家で野菜などを育てるために使われます。紙やガラス、電子部品などは資源として再利用するために、細かく分別して出す共同のゴミ置き場があります。トイレやキッチンからの下水は下水処理場に集められ、バイオガスを作りだします。作られたバイオガスは家庭に供給され、ガス調理器などで使います。下水処理場で処理された水は、ヒートポンプで熱交換し、地域暖房、地域冷房に使われた後に海に排水されます。燃えるゴミはコジェネプラントに送られ、電力と、燃やすときに出る余熱が地域暖房に使われます。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_009.jpg" alt="" />一軒に一区画の菜園があり、小さな農のある暮らしも可能。</p>

<p>家から一歩出ると、街にはバイオガスで走るバスが走り、スーパーマーケットでは環境に配慮された商品がずらりと並んでいます。雨水もいったん溜められたあと、下水に流すのではなく、直接海に流しています。路上に降った雨は、砂で浄化してから海に流しています。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_010.jpg" alt="" />街のスーパーマーケットには、「環境ラベル」がついた商品がずらりと並ぶ。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_011.jpg" alt="" />スーパーの入り口にあった、カンやビンの自動回収器。緑のボタンを押すと換金され、黄色いボタンを押すと、お金が戻ってくる代わりに途上国に寄付することができる。</p>

<p>まとめてみると、以下のようなイメージです。エネルギー、水、ゴミの３つに分けて徹底的に循環型のシステムが考えられています。</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_ewd_graph_e.gif" alt="エネルギー/太陽熱→電気・温水" /></p>


<p>足りない電力は風力や太陽など再生可能エネルギーで発電された電気が供給される（スウェーデンでは再生可能エネルギーを使った電気を選ぶことができます。しかも、通常の電気と値段が変わらない。共同出資をした風力の場合はより安い！）</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_ewd_graph_w.gif" alt="水 　雨水　　　　　　→　防火用水など　→　海 　下水（糞や尿）　→　バイオガス　　→　車の燃料、家庭に供給 　　　　　　　　　→　肥料　　　　　→　農家へ（これからの課題） 　　　　　　　　　→　処理された水　→　地域暖房や地域冷房　　→海" /></p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_ewd_graph_d.gif" alt="ゴミ 　生ゴミ　　　→　肥料　　　　　　　→　農家へ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　→　バイオ燃料として発電所へ 　燃えるゴミ　→　コジェネプラント　→　電力、余熱を地域暖房へ 　資源ゴミ　　→　リサイクル" /></p>


<p>この家庭を見学して<strong>印象深かったのは、特別「エコ」な生活ではなく、ごく普通の暮らしがそこにあったことです。</strong><br />
キッチンのガスコンロはどこでも売っているもの。そこに供給されているガスが天然ガスではなくバイオガスなだけです。シャワーからも太陽熱で温められた水が出ますが、もちろん使い勝手は変わりません。エネルギー使用量がパネルで可視化されていたり、玄関でガスや電気を消すことができるといった細かい工夫も多々ありますが、基本的には世界中のどこにでもある都市の暮らしと大きく変わりません。冒頭でも書いたような、暮らしの質は下げず、資源がうまく循環する「持続可能な社会」の姿が、まさしく目の前にありました。<br />
<strong>何かを我慢したり、環境に良い暮らしを強く意識しなくても、生活を支えるインフラ（街）そのものが持続可能になっていれば、人は気負わずに自然体で暮らせば良いのだ</strong>ということを改めて感じました。<br />
実際、この地区に住み始めたのは環境意識が高い人たちばかりではなく、仕事場となるストックホルム中心街にも近く、自然が近くにあり、かつ住宅の取得費用も他とそれほど変わらなかったということが大きな理由になっている人も多いのです。<br />
もちろん、こうした街に住むことで、地球全体のことを考えるきっかけにはなっているでしょう。この街で育った子どもたちが、将来どんな考えを持つようになるのか、それはちょっと楽しみです。</p>



<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>下水処理場がエネルギー会社に!?</strong>
</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_012.jpg" alt="" />バイオガス・プラント</p>

<p>ハンマビー・ショースタッドを支えるインフラのなかでもユニークなのが下水処理場です。<br />
家庭から出る糞尿や汚水を集めてきれいな水にするのが下水処理場の仕事のイメージですが、ここでは、その処理の過程でメタンガスを取り出し、バイオガスを作っています。つまり、下水処理場であると同時にエネルギー会社でもあるのです。作られたバイオガスは家庭で使うガスとして供給される他、ストックホルム市内を走るバスなどの公共交通の燃料として使われています。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_013.jpg" alt="" />巨大な岩盤の下に造られた浄水施設。もともとは防空壕だったとか。</p>

<p><strong>日本でも家庭から出る年間の生ゴミの量は1000万トンにもなります。</strong>そのほとんどが、燃えるゴミとして出されて焼却されているわけで、これはもったいないですよね。<strong>バイオガスの資源だと考えれば、生ゴミの見方も変わります。</strong></p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_014.jpg" alt="" />施設を案内していただいたStockholm Vatten社のラーシュ・ラームさん。 	</p>

<p>ラーシュさんは、<strong>「エネルギーは都市に眠っている」</strong>と言います。都市人口が増えれば（生ゴミやトイレの数が増えるほど！？）、バイオガスの原料も増えるというわけです。また、バイオガスの組成は天然ガスと同じくほとんどがメタンですから、純度を高くすれば、すでにある天然ガスのインフラを全て使うことができます。実際ヨーロッパでは天然ガス網上に200以上のガス補給所があり、550万台のガス車が走っています。このインフラを使ってバイオガス車を増やしていくことが可能なのです。<br />
技術が向上し、インフラが整い、効率を良くしていけば、化石燃料に頼らない社会を作ることも夢ではないと思えてきます。実際に、<strong>ストックホルムは2050年までに「Fossil Fuel Free Cityー化石燃料に依存しない都市」の実現を目指しています。<br />
2050年に世界の人口は90億人になります。そのとき都市人口は55億人になっているという予測があります。都市を持続可能にすることは、実は本質的な課題なのです。</strong><br />
ラーシュさんは圧縮液体バイオガス技術も研究しており、将来は新会社を作る計画も話してくれました。地域のエネルギーを、地域に循環する資源で作り出す新しい発想の会社になるでしょう。
</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_012-13.jpg" alt="" />ラーシュさんのクルマは、もちろんバイオガス対応車。
（写真右）給油口の横にガス栓が。</p>




<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>持続可能な未来を選択する</strong>
</p>


<p>「◎◎しなければならない」というルールではなく、「持続可能な社会」を目指すための多用な選択肢が用意されている、というのがスウェーデンの印象です。つまり、スウェーデンの人々は誰かから強制されて義務感で持続可能な社会を目指しているのではなく、主体的に未来を選び取っている感覚があるのだと思います。<br />
たとえばエコ・カーを例にしてみましょう。現在、国産のボルボやサーブの他、シトロエン、フォード、フィアット、メルセデス、フォルクスワーゲンなど各社からエタノールかバイオガスが使える自動車が発売されています。ガス補給所などのインフラが準備され、市場にバリエーションある商品が投入されており、環境意識が高くなくても国民は簡単にエコ・カーを選ぶことができます。また、エコ・カーに乗る人には様々なメリットが与えられます。たとえば、購入するときには補助金が出たり、渋滞税（平日の朝夕のラッシュ時にストックホルム中心部に乗り入れる車に科せられる税金）が無料になったり、市内の駐車場が無料になったり、などなど。環境に良い選択をすると「ご褒美」がもらえ、そうでなければそれなりの費用を支払うことになります。「アメとムチ」をうまく使いながら、国民にわかりやすい選択肢を提示してアクションを促しています。その結果、2008年5月には、スウェーデンで売られている新車の36％がエコカーになっています。<br />
他にもMAXというハンバーガーショップでは、商品に二酸化炭素の排出量が表示されるという試みを始めました。お客さんは味やカロリーで選ぶこともできますが、商品に付記された環境負荷の数値を参考にすることもできます。これも、消費者のために選択肢を提供している一例です。<br />
選ぶといえば、選挙も同じです。スウェーデンは80%を超える高い投票率を誇っています。環境意識が高い優れた政治家を国政に送り出すことは日本より簡単です。これほどまでに投票率が高ければ、国民が自分たちで国を動かしているという実感があるでしょう。
</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/041_014-15.jpg" alt="" />葉っぱのマークが付いているのは、エタノールやバイオガスで走るエコタクシー。４台に１台のタクシーにこのマークがついています。
（写真右）Maxハンバーガーのメニュー。CO2排出量が書かれているのがわかりますか？</p>

<p>今回の取材を通じ、持続可能な社会は実現可能だと確信しました。スウェーデンや北欧諸国で実現していることは、他のどの国でも可能なことばかりです。北欧も日本も国民の環境意識の高さは変わらないでしょう。環境技術は日本を含め、世界中で進歩を続けていてコストも安くなってきています。技術はある、経済的にも導入が可能、国民の意識は高い。あとは、これらを賢く組み合わせてシステムとして社会に組み込む知恵と、それを推進する政治的リーダーシップにかかっているといっても良いかもしれません。地球温暖化を始め、環境問題への対応は時間との闘いになってきています。一歩先を進んでいる国々が試行錯誤しながら見つけた優れた仕組みをどんどん取り入れて、日本でも持続可能な社会作りに活かしていきたいものだと思います。</p>

<br /><br />
<div style="text-align: right;"><p><small>取材・写真：上田壮一（Think the Earthプロジェクト）<br />
協力：高見幸子（ナチュラル・ステップ・ジャパン代表） </small></p></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>新しい時代の新しいキーワード、「半農半X」＠綾部</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2008/06/rpt-40.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2009:/jp/thinkdaily-renewal/report//7.1012</id>

    <published>2008-06-06T10:17:10Z</published>
    <updated>2009-12-17T10:31:24Z</updated>

    <summary> 上部へ移動 「半農半X」というコンセプトの発見 京都から山陰本線・特急で北に行...</summary>
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        <![CDATA[
<p class="section-title">
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<strong>「半農半X」というコンセプトの発見</strong>
</p>

<p>京都から山陰本線・特急で北に行くこと約1時間。丹波高地を源に若狭湾へと注ぐ清流、由良川が流れ、豊かな里山と田園の風景が広がる綾部。「半農半X」というコンセプトは、塩見直紀さんの生まれ故郷であるここ綾部から発信されています。<br />
塩見さんは、高校までを綾部で過ごし、大学卒業後、1989年に通販会社のフェリシモに入社。10年間のサラリーマン生活を経て、1999年に綾部へとUターン、翌2000年に半農半X研究所を創設します。<br />
「半農半X」というコンセプトを"発見"したのは、サラリーマン生活の半ば、1995年頃のこと。屋久島在住の作家・翻訳家、星川淳氏の著書の中で、氏の生き方である「半農半著」という言葉に出会い、触発されたことが始まりでした。もともと塩見さんの中にあった環境問題への意識と、いかに生きるかという問い。「半農半著」はこのふたつを結びつけ、「21世紀の生き方、暮らし方のひとつのモデルになると直感した」のだと塩見さんは言います。<br />
そして、塩見さん自身が「自分にとって "著"にあたるものは何か」と考え続ける中で、誰もが持っている可能性や長所を「Ｘ」で表現する「半農半Ｘ」というコンセプトが生まれました。</p>




<!--塩見さんが写真に撮りためている綾部の風景。春夏秋冬、里山の暮らしと身近な自然を慈しむ心が伝わってくる。写真提供／半農半X研究所-->



<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">上部へ移動</a>
    <strong>農をはじめる-アイディアの出る身体づくりと哲学の時間</strong>
</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/040_006.jpg" alt="" class="isleft" />塩見直紀さん。田植え前の塩見家の田んぼにて。</p> 
	
<p>塩見さん自身が自給農をはじめたのは、「半農半X」というコンセプトの発見と同時期のこと。綾部から京都市へ通勤しながら、田んぼ8畝（約800平方メートル）でのスタートでした。現在は3反（約3000平方メートル）の田んぼを所有し、都心からの週末農業希望者などにもその場を提供しています。</p>

<p>「半農半X」のベースになっている「農」は、大規模な農業ではなく、家族の自給程度の「小さな農」のある暮らし。地球規模で広がる食料問題や日本の食料自給率の低さから自給自足への意識や関心が高まる中、命に直結する農に関わることは、これからますます重要なアクションになっていくでしょう。そのことと同時に、この「小さな農」のある暮らしは、感性や感受性、アイディアを培うためのベースになることに、塩見さんは大きな意義を感じています。</p>



<p class="caption" style="width:250px;"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/040_007.jpg" alt="" />田んぼを見て歩く「田見舞」中の塩見さん。写真提供／半農半X研究所</p>


<p>「僕は感性や感受性、センス・オブ・ワンダー（自然の神秘さや不思議さに目を見張る感性）を大事にしていきたいと思っています。"農"があることで、そういった感性と、生きていく力としてのアイディアが生まれる。僕は"アイディアが出る身体"というのがあると思っていて、身体がこわばっていたり、固まっていたりすると、アイディアも出ようがない。もっとやわらかく、頭も身体も、もっとしなやかに生きられるんだということに気づく場や時間が大切だと考えています」</p>

<p>塩見さんの「農」は感じ、考える農でもあり、田んぼは生産の場であると同時に哲学の場。それが「X」へとつながっていきます。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/040_008.jpg" alt="" />毎年5月下旬に家族で行われる塩見家の田植え。故郷綾部にUターンして10年、米作りをはじめて今年で13年目になる。写真提供／半農半X研究所</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/040_011.jpg" alt="" />3反の田んぼを12区画に分け、「半農半X」的生活を望む都心（京阪神）の希望者に農地提供をしている。1区画170平方メートル程度で、年1万円。月2回程度通い、お米を育てる家族の姿はなんとも楽しそう。 170平方メートルでお米50キロ程度を収穫できる。写真は、大阪から参加しているコンサルタント・佐藤元相さん一行。写真提供／半農半X研究所</p>



<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">上部へ移動</a>
    <strong>Xを見つける-社会を変えていく力を発掘、発信</strong>
</p>




<p>綾部のような場所でなくても、市街地から少し足をのばせば、耕作放棄地、遊休地が多く見られる今、農地探しはさほど難しいことではないのかもしれません。小さな農の試みは、マンションのベランダからでも始められます。都市での実践については後にご紹介しますが、「半農半X」という生き方を探る一番のポイントは、X＝天職が何かを見つけること。「Xを見つけることの方が難しく、あらゆることはXさえ見つかれば解決するといってもいいくらいです」と塩見さん。X発掘のきっかけになる場づくりに力を注いでいます。</p>

<p>そのひとつが、月に1度開校している１泊２日の小さな学校「半農半Ｘデザインスクール（ＸＤＳ）」。綾部の静かな空間で、Xについて、これからの生き方について考える時間を過ごす、というものです。宿泊先は綾部在住の芝原キヌ枝さんが運営している農家民泊「素のまんま」。2008年6月から「半農半Ｘカレッジ東京」もスタートしました。</p>

<p>また、天職発見法研究所では天職を発見する30近くのヒントをワークショップ形式で紹介。「肩書きを自分で考えるということも、"X"を発見していくことのひとつ」と考える塩見さんは、21世紀の肩書き研究所も開設し、ユニークな肩書きの数々を紹介しています。それもこれもすべて、X発掘のため。「与えられた才能や大好きなことを世に活かす生き方」が、これからの社会を変えていく一番の力になると考えているからです。</p>

<p>Xは誰もがもっている可能性であり、本来多様であるべき社会との向き合い方。さて、あなたのXは何ですか？　あなたの肩書きは何ですか？</p>





<!--写真左：現在は綾部市里山交流研修センターとして使われている旧豊里西小学校。綾部市里山交流研修センターは、塩見さんがスタッフとして参加しているNPO 法人里山ねっと・あやべが管理している。　写真右：農家民泊「素のまんま」にて。芝原キヌ枝さんを囲んでの「半農半Ｘデザインスクール」の様子。関東近郊からの参加者が半数という。-->




<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">上部へ移動</a>
    <strong>「半農半X」は都市でも可能</strong>
</p>

<p>「半農半Ｘ」はとてもオープンなコンセプト。「小さな農のある暮らし」に"こうでなければならない"という決まりなどなく、「X」はまさに、千差万別。そのコンセプトに惹かれたたくさんの人たちが既に日本各地でそれぞれの試みをスタートしています。</p>

<p>塩見さんの著書『半農半Ｘの種を播く-やりたい仕事も、農ある暮らしも』では、東京在住の「半農半豆腐屋」、栃木県鹿沼市の「半農半麻紙アーティスト」など、30名近い実践者たちの声が紹介されています。『半農半Xという生き方 実践編』でも、15名の実例をX探しのヒント共に紹介。アイディアに満ちたその生活に勇気を得た人が、自分なりの「半農半X」を始めるという循環が生まれています。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/040_019.jpg" alt="" class="isleft" />塩見さんの著書。左から『綾部発 半農半Xな人生の歩き方88』（遊タイム出版）、『半農半Ｘの種を播く-やりたい仕事も、農ある暮らしも』（コモンズ）、『半農半Xという生き方 実践編』（ソニーマガジンズ）。</p> 	

<p>考えてみると、都会で生活している私たちの多くは「農」も「Ｘ」も持っていない人が多いと思います。サラリーマン生活をしていても、「これが本当に自分の仕事だろうか」と悩んでいたり、毎日の暮らしの中で自然と接したくても時間がないと嘆いていたり。いきなり農業に転職するには無理があるし、かといって、定年まで仕事人間を続け、第２の人生で「農」を、というのも気が長い話です。そんな中、地球環境問題や食料問題への意識ばかりが高まっていく......</p>

<p>塩見さんは都市での「半農半Ｘ」的生活は可能だといいます。ベランダで小さな農をはじめ、自然と対話する時間を持つことでＸが見えてくる。そんな気楽なスタートを推奨しています。<br />
「とりあえず、1％でも土に触れること。鉢植でもいいから、野菜でも豆でも、とにかく何か種を蒔いてみることです」と塩見さん。それだったら、できるかも、と思わせてくれる。そこに「半農半Ｘ」というコンセプトの柔らかな強さがあるのかもしれません。</p>

<p>生活圏内の区民農園や市民農園を利用するという手もあるでしょう。都市農村交流を支援するNPOや農業体験を提供する農家の試みも増えています。一度始めてしまえば、方法はいくらでもあるはず。</p>

<p>「個人も社会もまだまだ能力を活かしきっていない部分がたくさんある。それを僕は"4つのもったいない"だと考えています。ワンガリ・マータイさんが言っている"もったいない"に加え、●与えられた才能の「未発揮」、●地域資源の「未活用」、●多様な人材の「未交流、未コラボ」。これらをもっと活性化させることで、都市でも過疎地でも、新しい問題解決の方法や文化が生まれてくると思っています」</p>




<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">上部へ移動</a>
    <strong>塩見流「半農半X」時間術</strong>
</p>

<p>ところで、多くの人が「半農半X」というライフスタイルで最も気になるのが、時間の使い方、作り方ではないでしょうか。農とXが共にあり、触発し合う関係のポイントは、いかにして自分の時間を持つか、ということある気がします。塩見さんの理想の1日を聞いてみました。</p>

<p>「1日24時間中、寝る時間7時間。残り17時間のうち、5時間をXにあてる。一気に5時間集中をして、あとの12時間で畑をしたり、木工などの手作業をしたり、瞑想と散歩。食事もひじきや玄米を炊いたりして和食をいただき、ゆっくり家族で過ごす」</p>

<p>そのためには、職場と住まいが近い職住一体であること、できれば三世代住居であることが理想だと言います。ご自身の、とある1日の時間割を聞いてみると、なんと、夜明け前、午前3時に起床！</p>　


<blockquote>
午前3時 ：起床<br />
　↓　　　3時間ほどインスピレーションタイム。<br />
　↓　　　（思索、読書、原稿、ブログ更新など）<br />
午前6時 ：家族の起床／塩見さんは朝ご飯担当<br />
　↓　　　家族で食事<br />
午前8時 ：2時間ほど外でのインスピレーションタイム。<br />
　↓　　　（草刈りなど田んぼで農作業）<br />
午前10時：2時間ほどXの時間。<br />
　↓　　　（自身で発行しているポストカード作成や<br />
　↓　　　　　　　　　エッセイやボランティアなど）<br />
正午　  ：昼食<br />
午後1時 ：2時間ほどXの時間。<br />
　↓　　　（メールマガジン編集など）<br />
午後3時 ：家族が帰宅。ここからは家族の時間。<br />
午後6時 ：夕食<br />
午後8〜9時 ：就寝<br />
</blockquote>


<p>午前3時からのインスピレーションタイムは、コンセプトやキーワードなど言葉を発信するという塩見さんのXの時間でもあり、どうやらこの時間に秘密がありそうです。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily-renewal/report/040_014.jpg" alt="" />インスピレーションタイムに浮かんだアイディアを書き留めたノート。塩見さんは田んぼにも行くときにもペンとノートを持ち歩いているという。「田んぼはアイディアの産地です。とにかく思いや気づきを文字化すること（書くこと）が大事。そして、生まれたアイディアを独り占めせず、シェアしていくことが何よりも大切です」</p>



<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">上部へ移動</a>
    <strong>新しい時代の新しい言葉探し</strong>
</p>

<p>塩見さんは読書家で、哲学者や詩人などが遺した言葉の数々を大切にしています。取材でお話しを伺う中でも、私たちが忘れていた素敵な言葉や先人たちの思想を伝えるフレーズが次から次へと出てきます。そんな「言葉の森」を通して塩見さんから出てくる言葉は、簡潔で、心にずっしりと残ります。</p>

<p>「キーワード主義、キーワード派といってもいいかもしれません。インターネットの時代で、どれだけ深いところに届く言葉を発せられるか。多くの言葉は頭の中に留まってはくれないけれど、キーワードならひっかかる。新しい時代に必要な法則なりコンセプトなりを探し、できるだけ "携帯できる言葉"にして提示したいと思っています」と塩見さん。</p>

<p>ひとつの言葉が、もやもやしていた気持ちを晴らし、背中を押してくれることがあります。「新しい時代には、新しい言葉が必要」なのだと、塩見さんは言います。「半農半X」は、まさに、多くの可能性を秘めた、新しい時代の新しい言葉。これからの地球環境について、違和感のない自分の生き方や暮らし方について、ただ漠然と「考えて」いるだけではなく、行動をしてみる。まずは、小さな鉢植えに種を蒔くことから、はじめてみませんか？</p>

<br /><br />


<p><strong>塩見直紀（しおみ　なおき）</strong><br />
半農半X研究所、コンプトフォーエックス代表。 1965年京都府綾部市生まれ。カタログ通販会社、フェリシモを経て、2000年、半農半X研究所を設立。市町村から個人までの「エックス＝天職」を応援する「ミッションサポート」と「コンセプトメイク」がライフワーク。「使命多様性」あふれる世界をめざす。また、「里山ねっと・あやべ」のスタッフとして綾部の可能性や里山的生活を市内外に向けて発信。著書に『半農半Xという生き方 実践編』『綾部発半農半Xな人生の歩き方88』『半農半Ｘの種を播く-やりたい仕事も、農ある暮らしも』などがある。</p>
<br /><br />

<div style="text-align: right;"><p><small>
半農半X研究所公式サイト<br />
<a href="http://www.towanoe.jp/xseed/" title="" target="_blank">http://www.towanoe.jp/xseed/</a><br />
半農半Xという生き方スローレボリューションでいこう<br />
<a href="http://plaza.rakuten.co.jp/simpleandmission" title="" target="_blank">http://plaza.rakuten.co.jp/simpleandmission</a><br />
<br />
<br />
取材・編集　Think the Earthプロジェクト　上田壮一<br />
取材・文　　Think the Earthプロジェクト　岡野　民 </small></p></div>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>世界最大の熱帯林、アマゾンからのメッセージ</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/2008/04/rpt-39.html" />
    <id>tag:www.thinktheearth.net,2008:/jp/thinkdaily/report//7.1013</id>

    <published>2008-04-16T10:34:52Z</published>
    <updated>2010-08-02T11:26:48Z</updated>

    <summary>     上部へ移動     年間1万8000平方キロの森が消失 アマゾン川の恵...</summary>
    <author>
        <name>staff</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/">
        <![CDATA[<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">上部へ移動</a>
    <strong>年間1万8000平方キロの森が消失</strong>
</p>

<p>アマゾン川の恵みを受けた森林地帯には、4000以上の樹種、約6万種の植物、1000種以上の鳥類、300種以上の哺乳類が生息し、地球上の種の4分の１が存在するといわれています。ここで大規模な森林破壊が始まったのは1970年代。当時、国として大きな債務を抱えていたブラジルは、未開の地が多かったアマゾンに道をつけて人を住まわせ、開発を推進しました。全長5,500kmにも及ぶ横断道路の建設が、牧場開拓や鉱山開発、ダム開発を加速し、80年代には、急速な森林破壊と先住民族・インディオに対する生活、文化の侵害が国際的な問題になりました。現在も、年によって増減はあるものの、いまだに年平均約1万8,000平方キロメートルの森林が毎年失われ、先住民族に対する圧迫も続いています。<br />
これほど長きにわたって注目を集めているのに、根本的な解決の道がなかなか見つからないのはなぜだろう？ ... そんな疑問を抱きながら、アマゾンの河口、ベレンを出発し南西の街、タイランジャに向かいました。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_map.gif" alt="" />ブラジル、ペルー、ボリビア、パラグアイ、コロンビア、べネズエラ、ガイアナ、スリナム、フランス領ギアナにまたがったアマゾン川流域一帯を「アマゾン熱帯雨林」と呼びます。アマゾンだけで、南米大陸の40%を占めるほどの大きさです。そのうち約70%がブラジル領にあるため、多くの場合、アマゾンというとブラジル領アマゾンを指すことが多くなっています。今回取材に訪れたのもブラジルです。リポート内では、特に説明がない限り、ブラジル領アマゾンをアマゾンと表記しています。</p>




<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">上部へ移動</a>
    <strong>もったいない！土地の使われ方</strong>
</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_002.jpg" alt="" /></p>
<p>街はずれの橋を渡ったあたりから、家もほとんど見当たらなくなり、まわりの景色がだんだん変化してきます。衛星写真などで目にするように、開発は道沿いに進みます。しばらく車で走ると、切り拓かれたアマゾンのさまざまな姿が見えてきました。</p>

<p>■アマゾン熱帯林破壊の跡（JAXA 地球観測研究センター）<br />
<a href="http://www.eorc.jaxa.jp/imgdata/topics/2003/tp030829.html" title="" target="_blank">http://www.eorc.jaxa.jp/imgdata/topics/2003/tp030829.html</a></p>





<p class="section-title-middle" id="Two01">
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    <strong>アブラヤシのプランテーション</strong>
</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_003.jpg" alt="" /></p>
<p>パーム油を採るためのアブラヤシは、いたる所に植えられていました。パーム油は精製され、植物油、バイオ燃料、石けんなどに姿を変えて、私たちの生活に届けられます。植物原料なので「環境にやさしい」というキャッチフレーズをよく聞きますね。確かに、原料としては自然素材なので人の身体には「やさしい」ですし、私たちの生活には欠かせないもののひとつです。しかし同時に、過剰な開発は、生産現場である熱帯林の消失にもつながる可能性があることを意識しなければなりません。（日本はマレーシアからの輸入がほとんどで、アブラヤシ栽培による熱帯林破壊の問題は、現在、マレーシアやインドネシアで深刻といわれています。）</p>

<p>■「パーム（椰子）油とCSR」開催報告（地球・人間環境フォーラム）<br />
<a href="http://www.gef.or.jp/activity/economy/sustainable/palmoil2007_report.html" title="" target="_blank">http://www.gef.or.jp/activity/economy/sustainable/palmoil2007_report.html</a></p>




<p class="section-title-middle" id="Two02">
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    <strong>牧場</strong>
</p>

<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_004.jpg" alt="" /></p>
<p>遠くで土煙があがっていたので「何だろう？」と車を止めると、それは広大な牧場！　土煙のように見えていたのは、何千頭もいる牛の移動で生じたものでした。これまでのアマゾン森林破壊の最大の原因は、肉牛のための牧場開拓です。2000年から2005年までの森林消失原因の6割は、牛の牧畜によるものといわれています。森を切り拓いて土地を焼き、牛を放牧するのが1年目。2 年目くらいから土地が少しずつやせてきて生産性が減り、牛の数も増えていくので、新たに森を拓いて牧場を増やす・・・これの繰り返しで、アマゾンの森が減っていったのです。最近は、草が生えなくなった牧草地を耕して、再び牧草地として使う牧場管理も行われているようです。また、以前は牛を1000頭飼っていれば牧場を運営するには十分だったのが、牛の値が下がって、いまでは4000-5000頭必要になってきているのだという話も聞きました。</p>





<p class="section-title-middle" id="Two03">
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    <strong>製材所</strong>
</p>

<p>タイランジャ近くの道路沿いには、たくさんの製材所がありました。木材業者に限りませんが、アマゾンでは土地を所有する場合、原則としてその80%の森林を保全しなければなりません。でも、実際はその通りにいかないところが多いようです。インバゾンと呼ばれる、他人の土地に勝手に入りこむ土地なし農民が木を切って焼き畑等をして、しばらくして収穫できなくなると土地を放棄して他に移動するというのはよくあること。わざとインバゾンに土地を切り拓かせたうえで、土地を横取りしたり、違法伐採や農地転換をしてしまう人もいるのだとか。また、業者が役人にリベートを渡せば、簡単に取り締まりの穴をくぐり抜けられてしまうという現実もあるようです。</p>







<p class="section-title-middle" id="Two04">
    <a href="#wrapper">上部へ移動</a>
    <strong>植林地</strong>
</p>



<p>牧場主が銀行の融資を受けて行っているユーカリ植林地の脇を通り過ぎました。面積あたりの利益を考えると、牧場が200-300レアル／年／ha、ユーカリ植林が800-1000レアル／年／ha（アマゾン南西部の場合）なので、植林に挑戦する牧場主もいるのです。ブラジルの法律の解釈によっては、原生林に生えている樹種を植林したら2割しか伐採が認められなくなることもあり得るけれども、ユーカリなど外来種の植林はその心配がないのです。</p>
<p class="caption">※1レアル＝約60円</p>




<p class="section-title-middle" id="Two05">
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    <strong>農地、焼き畑</strong>
</p>



<p>取材時期が、ちょうど種まき前だったため、農地にはほとんど何も植わっていない状況でした。いま、牧場開拓、木材伐採に続くアマゾン森林破壊の脅威は、ヨーロッパや急速に経済成長を遂げる中国に対する輸出用大豆のための大規模農地開拓だといわれています。栽培面積は、まだアマゾン全体の1.5%ほどですが、世界の需要増加に比例して、トウモロコシ、サトウキビ栽培も含めた農地化の勢いは増しています。</p>

<p>牧場跡地や再生林を焼き畑しているところ。焼き畑のために、自然の森林がいとも簡単に切り倒され、材木として利用されることもなく焼かれてしまうことも。</p>





<p class="section-title-middle" id="Two06">
    <a href="#wrapper">上部へ移動</a>
    <strong>炭焼き</strong>
</p>


<p>アマゾンで見ることになるとは思っていなかった炭焼き窯。主に近くにある製鉄所の燃料になります。とある炭窯で聞いたところ、作業員の収入は釜に入れるのに一基あたり20レアル。釜から出すのに10レアル。ひとりで一日２基くらいできるので、60レアル（約3400円）の稼ぎになるとのこと。ちなみに、1基からできる炭を売ると、100レアル（約5700円）くらいのもうけになるそうです。</p>




<p class="section-title-middle" id="Two07">
    <a href="#wrapper">上部へ移動</a>
    <strong>放棄地</strong>
</p>


<p>アマゾンを走っていて、「なんてもったいないんだろう！」と感じる瞬間が何度もありました。もともと熱帯林の土壌は浅く、数年で作物が採れなくなったり牧草の生育が悪くなるので、その度に土地は放棄されどんどん新しく森が切られていきます。現在、 NGOや政府が土地を有効に利用するための指導をしているとのことですが、まだ開発のスピードには追いついていません。世界32カ国で生態系保全の活動を行っている世界的環境NGO『ザ・ネイチャー・コンサーバンシー』のフィールドコーディネーター、ジョゼ・ベニット・ゲレイロさん曰く「たとえここに住む人たちの経済的自立を考慮したとしても、これ以上、森を切り拓く必要はないのです。放棄地を有効に活用すれば、現在の人口3300万人は食べていける」とのこと。土地の適正管理が、今のアマゾンには本当に必要なのです。</p>




<hr />
<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">上部へ移動</a>
    <strong>森を管理する試み</strong>
</p>


<p>報道などを見ていると、残念ながら森林破壊の絶望的な状況ばかり目にすることが多いのは確か。でも、少しずつですが、きちんと森を管理して活かしていこうという取り組みも行われています。その中のひとつ、ブラジルで最大規模のFSC認証（適正な森林管理を認証する制度）の森づくりをしているブラジルの木材加工、合板メーカー、CIKELの森林管理の現場を訪ねました。</p>

<p>ブラジル政府が「公式に」定めている森林管理に従って森林伐採を行うためには、毎年樹種を記録し、切る木の位置を地図に示していかなければなりませんが、相当な手間がかかるので書類はいい加減に作られてしまうことが多いとのこと。FSCの場合はさらに詳細な社会責任認証が必要なので、取り組んでいる企業はまだ多くはありません。CIKELの林業技師、ライムンド・ノイナートさんにお話を聞きました。</p>



<p class="section-title-middle" id="Three01">
    <a href="#wrapper">上部へ移動</a>
    <strong>適切な森林管理をすれば森は活かせる</strong>
</p>

<p>FSC認証の取り組みを始めたのは2000年からだそうですね。きっかけは何ですか？</p>

<blockquote><p>もともと森林管理は行っていましたが、欧米や国内の顧客に、よりしっかりやっていることをアピールするためです。会社のイメージ向上につながりますし。</p></blockquote>

<p>活動していて大変なことはありますか？</p>

<blockquote><p>IBAMA（ブラジル環境・再生可能天然資源院）も要求しないような、より高度な環境面、社会面の配慮をしなければならないことですね。最初は私たちスタッフも戸惑いました。</p></blockquote>


<p>どのくらいの規模の森林管理を行っているのですか？</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_021.jpg" alt="" class="isleft" />ライムンド・ノイナートさん「林業にたずさわる前、カカオ栽培でアグロフォレストリーを勉強したときに、持続可能な森林管理に関心をもったんです」</p>

<blockquote><p>現在、20万ヘクタールで5つの森林管理プロジェクトを行っています。FSC認証を取っていないエリアもありますが、トータルで考えるとブラジルで最大規模のFSC認証の森林を持っていることになります。このプロジェクトは、キャタピラー社など、アメリカの企業が資金を出してつくっている、持続可能な森林管理をするための財団（<a href="http://www.tropicalforestfoundation.org/" target="_blank">Tropical Forest Foundation</a>）のサポートを受けています。伐採は30年周期なので、同じ森で次の伐採を迎えるまでにはほど遠い段階ですが、アマゾンの森林管理の先駆けとなっています。管理を行うスタッフは、財団が定期的に行っているFSC研修を全員受け、現場の作業員には、FSCの研修を受けた指導員が技術指導を行っています。</p></blockquote>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_022.jpg" alt="" />今回訪れたCIKELが管理するリオカッピンの森。全部で16万7千ヘクタールの森林管理を行っています。森に分け入っても伐採の痕跡を見つけるのに一苦労するほど、原生林と見分けがつきません。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_023.jpg" alt="" class="isleft" />リオカッピンの森林管理地域の地図を見せていただきました。白い部分はまだ手を付けていない森。黄色は牧場で、現在、植林地になりつつあるところ。緑が伐採済みのFSC認証林で、紫はFSC認証林でない伐採済みの森林管理地。水色は伐採許可を得ているところです。</p>


<p>どのような管理を行っているのでしょう？</p>

<blockquote><p>衛星データを使ったマクロの計画をもとにフィールド調査を行い、伐採前と直後、そして3年・5年・8年後の生態系の経過を詳しくモニタリングしています。植生調査については、1000ヘクタールに1ヘクタールの割合で調査地を設け、そこで直径10センチ以上ある木をすべて記録していくという方法です。適切な森林管理をすれば、森が再生することがわかりました。以前は牧場だったところが2-3年で森に戻った例もあります。CIKELの森林管理地にはナマケモノやサルなどの動物たちも住んでいて、作業員の中にはヒョウを見かけた人もいるんですよ。</p></blockquote>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_024.jpg" alt="" />FSC 認証は取っていませんが、2003年に伐採を行った森を見せていただきました。切った跡を探すのが困難なくらい、すっかり生い茂った森。きちんとした切り方をしていると、2-3年で伐採の跡がわからないくらいにもと通りになるとのこと。伐採によって地表に光が届くと、若木の状態で長年（時には50年くらい）出番を待っていた木が生長するのだとか。</p>


<!--
伐採後の切り株。すっかり若木や土に覆われています。よく見るとタグがついていて、いつ切ったかわかるようになっています。-->




<p class="section-title-middle" id="Three02">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>持続可能な森林管理には政府と買う側の協力が必要</strong>
</p>


<p>ちょうど、FSC認証の森から1ヶ月前に切った木を森から運び出す作業をしていました。3人一組でスキッダと呼ばれるトラクターの通る道を決め図面でわかるようにしておき、スキッダで倒れている木をどかしたりしながら、丸太を集材場に集めます。</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_027.jpg" alt="" />太い車輪と頑丈な車体で道なき道を、ちょっとした木はなぎ倒して入っていく森林トラクター「スキッダ」。切り出した木を一度に2-3本つかんで集材場まで引きずっていき、反対側のブレード（排土板）部分で材木の山に器用に押し上げていきます。</p>


<!--
スキッダの運転手は森の男。乗りこなすまで、たいてい2年はかかるのだとか。 		
伐採された木の位置、種類が明記された森林地図でチェックしながらの集材作業。-->


<p>これから、持続可能な森林管理は広がっていくでしょうか。</p>

<blockquote><p>この先、行政が前向きに取り組んでくれるかどうかが大きいと思います。森林管理は、とても根気のいる作業なんです。（アマゾンの木材伐採は本来すべて許可制なのですが、）行政に伐採の申請を出してから許可がおりるまで3ヶ月、あるいはそれ以上かかるので、企業経営がとても左右されます。2005年には、行政の停滞でひとつも伐採許可が下りず、森林管理・木材業を辞めてしまった企業がありました。CIKELがFSC認証を取っていることは許可までの期間が早まるという利点があり、融資を受ける際にも有利になっています。
また、始めた当初は市場が追いついていなくて高く売れませんでしたが、今ではFSC木材を専門に扱う問屋もあり、通常の30-40%高く売れています。オランダ等、国によっては認証つきではないと買わないところもあるので、需要はあると感じています。</p></blockquote>

<p>政府の伐採許可を得るのはとても難しいので、<strong>法律に則ってやろうとすると、森の仕事にかけるよりも手続きや官庁とのやりとりのために使うお金、煩雑な手間が多いのが現実。それが、違法伐採を引き起こす一因にもなっているはず。</strong>100点満点中40-50点の森林管理でも、皆伐して無になってしまうより良いのではないでしょうか。CIKELで行われているような森林管理がさらに広がるように、行政や材木を買う側の理解を深める必要があると感じました。</p>


<!--
切った木には、すべて番号が書かれていて、字が薄れても大丈夫なように、別途標識も付けられています。製品にした後も、どこから伐採した木なのかわかるようにするのが、FSCの基本。-->


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_034.jpg" alt="" />森の中にある従業員の宿泊施設。ここで36人の森林従業員と炭焼き労働者90人が暮らしています。救護室、食堂、サッカー場、テレビ室、訪問者が宿泊する施設などがそろい、字が読めない人用の学校もあります。労働者は1ヶ月に22日連続で働いて8日間の休みをとります。</p>


<!--
食堂のスタッフの皆さんは、きちんと衛生帽をかぶっていますね。 		
ハンモックの寝床で気持ち良さそうなお昼寝タイム。
-->


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_037.jpg" alt="" />453日無事故の看板。最高は742日間。安全看板には「この数値が向上するように協力を」というスローガン。従業員の安全管理もFSC認証のルールのひとつです。 	</p>




<p class="section-title-middle" id="Three03">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>将来世代の育成も</strong>
</p>

<p>CIKEL には、農業高校、農業大学の学生がよく見学にくるそうです。林業専門の生徒は3-6日くらい滞在して研修することや、6ヶ月の実習を受けることもあるのだとか。近隣の学校からは、年6回、生徒が見学に訪れています。研究者も含め、月に4-5回の視察受け入れを行うなど、アマゾンの森林管理への理解を広げ、将来世代を育てるために、積極的な情報公開を行っている姿勢が伺えました。</p>

<p>■CIKEL<br />
<a href="http://www.cikel.com.br/" target="_blank">http://www.cikel.com.br/</a></p>




<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>子どもに未来を託す</strong>
</p>


<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_038.jpg" class="isleft" alt="" />子どもたちにも大人気！の佐藤卓司さん</p>

<p>「これはインガー。種のまわりの白い実が食べられる。クプアスーはカカオの親戚で、あっちはパリカという豆科の木。インバウーバ（セクロピア）はナマケモノの好物で、種から育てようとすると大変だけど、自然の力でちゃんと生えてくる。森を切り払って焼いてしまっても、自然には再生能力がある。」</p>

<p>森を歩きながら、次々とアマゾンの木について語ってくれたのは、佐藤卓司さん。主に子どもたちに向けて「アマゾンの森を知り、護り、活かす」ためのきっかけづくりをしているブラジルのNPO・ASFLORA（アマゾン森林友の協会）のスタッフです。東京農業大学拓殖学科を卒業後、1971年にブラジルに渡り、長年、日本の合板メーカーに勤め、企業内の森林管理や植林事業を手がけてこられました。退職後は、ASFLORAのスタッフとして、子どもたちの環境教育に力を入れています。30年間、アマゾンで企業の森づくりを進めてきた佐藤さんが、なぜ今、子どもたちに森を守ることの大切さを伝えているのか・・・ ASFLORAの活動に込める思いをお聞きしました。</p>

<p>ASFLORAは、もともと合板メーカーで行っていた環境教育、植樹活動を独立させたとのことですが、企業を離れてもなお、活動を続けようと思った一番の動機はなんですか？</p>

<blockquote><p>やっぱりおもしろかったからじゃないかな。普通の植林（商業植林）はどこでも行いますが、ASFLORAは、植物生態学者の宮脇昭さんが提唱している、その土地本来の樹種を使った「ふるさとの森つくり」を進めています。商業植林の森はきれいに整列していますが、それだと森の中に入ってもおもしろいということはないでしょう！？　自然に近い森を造り、その森を歩くと、競合しつつ共生し育っていく森が見られるんです。人間も、みんな同じではつまらない。いろんな人がいるからおもしろいのと一緒です。</p></blockquote>


<!--
パリカという豆科の木の植林。きれいに整列しています。 		
ASFLORAの植林地。アマゾン本来の森を再現し、さまざまな樹種を植えています。-->


<p><strong>民間で環境造林事業を行っていても景気や経営者の意向に左右されて、途中で土地を売ったりせっかくできた森でも伐採されたりすることがあります。でも、子どもたちと接して、環境って何？　木材って何？　森を護るって何？　と話しながら何か小さなことを与えていけば、少しは森を知り、護る気持ちを持たせられるような気がするんです。</strong>その子たちが大きくなって「こんなことがあったなぁ」と思い出してもらえる。そのほうが長続きするのではないかなと思ったんです。これまでの植樹活動は植林面積にしたらほんのわずかですが、それに関わった大勢の人たちに何か残ればいいなと思っています。</p>

<p>■ASFLORA（アマゾン森林友の協会）<br />
<a href="http://www.eco-future.net/eco/brazil.html" target="_blank">http://www.eco-future.net/eco/brazil.html</a></p>

<p>■ASFLORA：2007年度活動報告<br />
<a href="http://www.eco-future.net/eco/brazil_hokoku.html" target="_blank">http://www.eco-future.net/eco/brazil_hokoku.html</a></p>

<p>■MOTTAINAI：海外で初の植林　ブラジルの小学生、苗木1000本<br />
<a href="http://mainichi.jp/life/ecology/archive/news/2008/03/20080308dde041040052000c.html" target="_blank">http://mainichi.jp/life/ecology/archive/news/2008/03/20080308dde041040052000c.html</a><br />
（ASFLORAの活動のひとつです）</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_042.jpg" class="isleft" alt="" />ASFLORAの植林風景。子どもたちは、学校単位または地域単位で参加しています。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_044.jpg" alt="" />ASFLORAの人気メニュー「森の劇」。学校向けだけでなく、鉱山会社に頼まれて、コミュニティの人や子どもたちに見せるということも。</p>

<p>佐藤さんに、アマゾンの現状について一番何を伝えたいかをお聞きすると、こんな答えが返ってきました。</p>

<blockquote><p>ただ保全しろと言っているだけでは森は残りません。森を残そうと思ったら、管理を続け、森の価値が出て、お金を生むような使い方をしなければならないと思います。森に価値が出ないと、すぐ焼いて作物を植えるような使い方をされてしまう。一時的な利用のために木を切ってトウモロコシを植えたり牧草地にしたりして、手入れができず生産者価格が下がるとすぐに放棄されてしまう。土地問題は非常に難しく、建前や法律の言葉だけでは解決しないことがいっぱいあるんです。太い木が切られる象徴的な映像だけ見て、「単に木を切るな」と言うのではなく、その背景について知ってほしいのです。</p></blockquote>

<p>牧場、農地、森林にしても、適正管理が必要。アマゾンの森林破壊を食い止めるためにすべきことを考えたとき、常に行き着く答えはここでした。コストが上がるかもしれませんが、誰かが負担しなければ、「アマゾンを守れ」という言葉が空虚に聞こえるだけになってしまう、と思いました。</p>




<p class="section-title">
    <a href="#wrapper">目次へ移動</a>
    <strong>「アマゾンの環境を守ろう」と言うだけでなく</strong>
</p>

<p>空路でアマゾン内陸部の拠点・マナウスを目指し、初めて「アマゾン」を目にしたとき、その広大な森の姿とゆったりとした川の流れに、思わず感嘆の声を上げていました。ところどころ、道路や鉱山開発、伐採の痕跡が見られるものの、アマゾンのスケールの大きさは想像以上でした。目の前にこれだけの森が広がっていれば、「少しくらい切っても大丈夫だろう」と、つい思ってしまう人がいてもおかしくはないなと感じるほど。日本では大規模開発といわれる規模でも、アマゾンだと小規模に見えるかもしれません。でも、その小さな一つひとつが増えていけば、インパクトは大きいのです。大地主、大企業による農地開発や森林伐採が行われていることも事実。もともとアマゾンで暮らしていた先住民族の人たちの生活・文化が絶たれ、誇りを失っている姿も目にしました。衛星観測などを使ってアマゾン全体を常に把握し、そこで生活する人たちにもルールを守ってもらいつつ、自立した生活ができるような経済をつくっていくことが、本当に大切なことだと、強く思いました。そして、そのためには、食糧や林産物、鉱物資源など、アマゾンの恵みをさまざまな形で受けている私たち日本人も、ルールを守って輸入された商品を手にするように、意識していくことが必要ではないでしょうか。</p>

<p>日系移民二世で、日本にも輸出をしているパラ州トメアスのジュース工場の専務・イバン・サエキさんは、アマゾンに関する偏った報道と人々の認識に、違和感を覚えていました。<br />
<strong>「もちろん、ここにある財産（自然の資源）を何でも切り崩していいわけではないと思う。でも、どうしてアマゾンだけ守れと言うのか。ここにはジャングルとインディオしかいないと思われている。守ってほしいなら、世界中の人がアマゾンに対し何かしてくれるのか。生活を保障してくれるのか」と。</strong></p>

<p>また、前述のネイチャー・コンサーバンシー、ゲレイロさんは、「アマゾンの森は守らなければならない」という議論が、ときにそこに住む人々のことを置き忘れた議論になっていることに異論を投げかけます。<strong>「まずは、アマゾンの恵みがないと暮らせないアマゾンで暮らす人々のことを考え、そしてブラジル全体の生態系を守ることを考え、そして、世界の課題としてアマゾンを捉えるべきだ。あなたたちはアマゾンからの恵みをもらっているのだから、"守れ"というだけでなく、何か返すべきだ。」</strong><br />
ふたりとも、アマゾンで暮らし、アマゾンの持続可能な森林利用や生態系保全を考えている方です。そのふたりが投げかけたこれらの問いに、アマゾンの問題の本質があるように思いました。</p>



<p class="caption"><img src="http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/039_046.jpg" alt="" />アマゾンの内陸部、アマゾナス州の州都マナウスは人口180万人。ここがジャングルの真ん中にあることを忘れるほどの都会です。</p>

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取材協力：特定非営利活動法人 地球と未来の環境基金、佐藤卓司（ASFLORA）<br />
取材・執筆・写真：原田麻里子（Think the Earthプロジェクト） </small></p></div>]]>
        
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