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2019.02.22 | スタッフブログ

未来メディアキャンプ2018〜SDGs未来都市横浜の2030年の姿〜

Thinkくん
Thinkくん Think the Earthのインターン期間にたくさん学んでくれたら嬉しいなぁ

2018年10月14日と11月11日横浜市で、「未来メディアキャンプ」(朝日新聞社、慶應義塾大学大学院システムマネジメント研究科共済、運営協力・Think the Earth、メディア協力。横浜経済新聞)が行われました。Think the Earthインターンで多摩美術大学に通っている藤原まどかさんが参加し、学んだことをレポートに書いてくれました。

未来メディアキャンプとは

未来メディアキャンプは、横浜を舞台に参加者が社会課題について考え、解決するためのアイデアを創出し、新たな行動につなげることを目指したワークショップ型イベントです。SDGsの未来都市となった横浜市で、この未来メディアキャンプをきっかけに行動に移したいという5つの団体による6チームが結成され、「横浜の未来」について考える議論を交わしました。参加者は普段、学校の先生や、宿泊所運営、林業などそれぞれ異なる活動に取り組んでいます。

アイデアを”1→10″に
今年のキャンプは、“1→10″にすることを目標に企画されました。つまり、既存のアイデアを分解、咀嚼、再構築する中で新しい発見や、関係性を見つけ出し、新たなソリューションを創造できる機会が得られました。 最終的にはSDGs(持続可能な開発目標)の視点を踏まえた具体的成果をキャンプ後に実行することをゴールとしています。

[キャンプ1日目]17のプロセスを実施
10月14日(1日目)は多くの時間をインプットやメンバーとの課題共有、アイデア発案に費やされました。参加者が到着し、メンバーとの顔合わせをしたのも束の間、怒涛の17のプロセスと共にキャンプがスタートしました。
1. キャンプ概要を知る
2. 横浜での取り組みを理解する
3. チームを創る(チーム内のメンバー同士をよく知り合う)
4. SDGsとの関連を理解する(講師:Think the Earth 上田壮一氏)
5. 2030年の横浜と自分を想像する
6. 数年後の未来を想像して問いを設定する
7. 設定した問いを問い直す
8. 問いに応えるアイデアを創造する
9. アイデアを分類してスコープを決める
10. アイデアに関係する人を描き出す
11. 顧客価値連鎖の仕組みを創造する
12. アイデア実現時のシナリオを創る
13. インスピレーションを得る(講師:横浜市政策局共創推進課 関口昌幸氏「横浜市の現状と未来」)
14. インスピレーションを得る(講師:朝日新聞 コンテンツ戦略ディレクター 藤谷健氏「メディアと取材の活用」)
15. 活動計画を立てる
16. 成果を共有して・応援しあう
17. キャンプ最終日に向けて旅立つ

SDGsとこれからの活動の関連を探りながら、2030年までに実現したい未来の横浜の姿をブレーンストーミング方式で描いていきました。そこで出された「夢」を「実現」させるためにチームの軸を固め、はじめの第一歩となる1ヶ月間の計画を立てていきます。言葉だけでは伝わりきれない場の雰囲気をフィールドワークを通してメンバー全員が五感で共有し、その場のインスピレーションを得ることでアイデアの発想力を高めあいます。実現可能か、持続可能かを問い続けながら意見を収束・発散していく中で、「何を」「どうやって」「誰のために」達成するものなのかを明確にしていきました。キャンプの最後には、各チームがデザインプランを数枚の模造紙にまとめ、2日目のキャンプに向けた約1ヶ月間の活動計画とともに発表しました。

ようやく各チームのプランが綺麗にまとまりました。が、それは長く苦しい旅の始まりにすぎません。なぜならば、1日目にできた計画表は文字通り「絵に描いた餅」にすぎないからです。今まで会議で話た全ての「仮説」は「検証」しなければ意味がありません。ここからがキャンプ本来の目的のスタートです。

[キャンプ2日目]アクションプラン発表
1日目のワークショップが開催されてから約1ヶ月後の11月11日[2日目]。本業の仕事をこなしながらプロジェクトに参加するメンバーは、「あっという間の1ヶ月だった」と口を揃えて話していました。
これまでの1ヶ月間は、1日目に出た「仮説」を実際にオフィスを飛び出して、仮説検証を繰り返しながら、実現性・持続性・経済合理性を模索してきました。
2日目のプロセスは、全てアウトプットにつなげるためのものです。ゴールは「具体的なアクションプラン」を作成するというものです。チームを超えて”対話”を中心に、創出したアイデアをブラッシュアップをしていきます。
以下の五つのプロセスでは質疑応答の時間を多く取り入れ、新たな視野やつながりを見つけ、アイデアを足したり引いたりかけたりしながら最終的なアクションプランに落とし込みました。
1.1日目から2日目までを振り返る
2.各チームの成果と課題を共有する
3.チームを超えて対話をする(ワールドカフェ)
4.SDGsを視座にプロトタイプの新たな可能性を探る
5.今後のアクションプランを発表する

参加してみて
私が在籍する美術大学の授業内では、仮定したテーマの中で課題解決法を考え、想定の結果を導き出すことを経験しました。つまり仮想の世界で課題解決策を導き出すのが一般的でした。しかし今回初めて、美術大学生以外の人と実際に起こっている問題を提起し、対策を考え実行に移る本物のプロジェクトに参加。協調性があり主張のできる社会人の心強さと、メンターの方々の、チームの軸がずれないようにそれとなくメンバーを誘導するスキルの高さに感動しました。

一番大変だと感じたところは、イメージの言語化があまりにも難しかったことです。大学で経験したグループワークでは、チームの人達は自分と同じ美術大学生。言葉の背景にある言語化できない抽象的なイメージを、感覚的に捉えることができるので、ふわっとした言葉を使っても、「こういう感じね」と、自分の思い描いているイメージを共有することが容易にできた。しかし、その言葉の背景の文脈を共有していない人たちにとって私のやり方はとても抽象的だったようで、今回のグループディスカションでは自分が描くイメージとメンバーが受け取るイメージに距離とずれを感じました。そもそもアートの世界は言葉にならないものがたくさんあることを知り、自分の弱みが浮き彫りになった瞬間でした。同時に、意思疎通するための「言語化」の重要性を感じました。言葉で伝える力を高めつつ、私もデザイン分野のエキスパートになり、未来をデザインする一員になりたいと思いました。(Think the Earthインターン 藤原まどか)