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2017.11.17 | 平澤 直子

遊びながら海の絶滅危惧種を学ぼう 魚のネットリサイクルとバランスゲームのコラボが生んだJenga Ocean 

ジェンガをご存知でしょうか? 木のブロックを組み上げ、組み上げた中から1本を抜き、倒れないように上に乗せていくバランスゲームです。1980年代、イギリスを皮切りに世界中で発売されたこのゲーム、日本でも広く親しまれていることから、子ども時代に遊んだという人も多いのではないでしょうか? この40年弱のあいだにジェンガも進化し、今では、サイコロを振り、出た目に従う「ジェンガウルティメイト」、王様ゲーム風の「ラブジェンガ」など、ただのバランスゲームの域を出て展開されています。

そのジェンガの新しい商品として今年6月8日、世界海洋デーにアメリカで発売されたのがJenga Ocean™(45.95ドル)。以前地球ニュースでも紹介したBureo(※)とのコラボレーションで開発された、世界初のフィッシュネットリサイクルプラスチック製のジェンガです。

※Bureo チリの海岸に投棄される漁業用の網(フィッシュネット)をリサイクルし、スケボーなどを生産しているベンチャー企業
Jenga Ocean™は屋外でも楽しめる

ことの始まりは2015年。Ocean Film Festivalの会場で、ジェンガを北米に広めた第一人者であり、ジェンガの世界記録保持者でもあるロバート・グレブラー氏が、Bureoのメンバーに声を掛けたことでした。このとき彼はすでにBureoのフィッシュネットをジェンガに使えないかとの構想を持っており、それから2年で製品化が実現しました。

Jenga Ocean™にはその1本1本に絶滅危惧種の海洋生物の姿が刻印されており、これで遊ぶだけで、どんな生物の命が脅かされているかを知ることができます。また、同製品のパッケージには、この製品固有の遊び方「海の生物を救おうルール」が印字されており、このルールに沿って遊ぶことで、フィッシュネットが海洋生物にダメージを与えていることや、どうしたらこれらの生物を絶滅から救えるのかなどを学ぶことができる知育玩具となっています。

Jenga Ocean™には絶滅危惧種の海洋生物が刻印されている

海に流出するプラスチックごみは年間800万トンにものぼり、それらを飲み込んだり、それに絡まったりして被害にあう海洋生物があとをたちません。そんな危険なプラスチックごみの10%を占めるのが、漁師たちが投棄したフィッシュネットです。Bureoでは、チリで行っているNet Positivaプロジェクトをとおしてフィッシュネットを回収し、スケボーやサングラス、Jenga Ocean™などにリサイクルしています。2015年は5万キロ以上、2016年は7万キロ以上のフィッシュネットを回収したとのことで、年々回収効率を上げている様子がうかがえます。

なお、Jenga Ocean™1箱分を作るのに、約1キロのフィッシュネットが使われます。全世界で1年間に投棄されるフィッシュネット80万トンに比べればとても小さな数字ではありますが、Jenga Ocean™は約8千万の家庭で楽しまれているジェンガのファンに海洋汚染問題を知ってもらう機会を提供する、ポテンシャルの非常に大きな製品であることは間違いありません。

フィッシュネットは細かく切断され、Jenga Ocean™になる

日本での発売は未定ですが、入手したい方はBureoまたはJenga®のオンラインショップからどうぞ。


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平澤 直子
平澤 直子(ひらさわ なおこ) 地球リポーター

高校時代のアメリカ留学がきっかけで国際協力に興味を持つ。 学生時代は途上国での食糧増産を目指して植物や栽培環境の研究に勤しむ傍ら、国際協力NPOでインターンも。 卒業後は商社に入社、途上国に良い物を広めたいと世界を駆け回る。その後更に良い物を広めようと退職し、ベンチャー立ち上げを経てオーストラリアへ。 自然に近い暮らしと起業スピリットを得て帰国、ハーブやサプリを基本に一人一人に合った療法を提案する健康相談室「M.Herbal Clinic」を開業。 ヨーロッパやオーストラリアでいう一般医のような立場を目指し、身体に優しい代替医療を広めるべく日々邁進中。

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