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2018.08.15 | スタッフブログ

早稲田大学:日中韓共同で1945年8月の共通教科書をつくる夏期集中講座

松本 麻美
松本 麻美 スタッフ

8月15日は、第二次世界大戦・終戦の日です。

世界中の平和を祈り、日本中が戦争を振り返るこの時期に向け、早稲田大学では北京大学、高麗大学校の学生とともに教科書をつくるプログラムが開かれていました。

「東アジアの共通の歴史認識は可能か:キャンパス・アジアの取組」と題されたこの夏期集中講座。日中韓その他の国々から約20名の学生が参加し、共通の歴史の教科書のうち1945年8月の項を8日間で作ったそうです。
今回私は、その成果の発表の場にお邪魔しました。

プレスリリースはこちら

発表の様子

講座を実施した8日間、学生たちは4グループに分かれて、どのような教科書にするか検討したそうです。4つ全てのグループは、日中韓の学生が必ず入るように構成されています。

議論を重ねて発表されたのは、持ち帰り可能にしたミニブックや、読者に疑問を投げかける質問を掲載したものなど。提案された教科書の内容はもちろん、質疑応答も含めてどれも素晴らしく、自分の国と相手の国の歴史観について深く話し合い、3カ国を互いに尊重し合った様子が伺えます。

全体の発表を聞いてまず感じたのは、”教科書で習う歴史”と”人々の感じている歴史”は違うということ。日本では「日本史」「世界史」として歴史を学びますが、その解釈は国の定めたガイドラインです。
ガイドラインに沿った歴史は、その国の人々に共通する歴史観と呼んでもよいのでしょうか?

日本の戦中の行いに対して今でも中韓から怒りの感情が寄せられ、それに対して日本人は「もう終わったことなのに」と言う。そんな状況も起こっています。そのような状況に対する答えは、学生から発せられた「その怒りの感情はどこから来るのか議論すべきでは」という言葉に尽きるのではと思いました。

意見の食い違いが起こる状況ではきっと、国の解釈や対応を超えて、ひとり対ひとりの人間として対話を重ね、単に水掛け論を続ける以外の道を見つけたほうが良さそうです。対話のためにそれぞれが持ち寄り重ねていった歴史には、必ず未来をつくるヒントがあるはずです。

隣の国にいる人たちと、ましてや日本人同士でさえ話すのがむずかしい1945年の8月について対話することができる講座。参加できた学生たちは本当に素晴らしい体験をしたのでは、と思います。
私もこの中にはいれたら……ととてもうらやましくなりました。

松本 麻美
松本 麻美(まつもと あさみ) スタッフ

子どものころに楽器を習うも、石川県の美術大学へ進学し彫刻を勉強。卒業後の1年を、ロンドンへの語学留学、派遣社員としての勤務などをして過ごす。編集未経験で勤務した編集プロダクションでは、移住専門雑誌や書籍などの編集、ライティングを2年間担当。そろそろやりたいと思ってきたことをしたい、と退社したところにThink the Earthと出会う。関心は映画、音楽、美術、谷戸など。新しいことを知るたびにワクワクします!