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2020.09.18 | SDGs for School スタッフブログ

超福祉展2020にてシンポジウムを開催しました!

落合 航一郎
落合 航一郎 インターン

超福祉展に参加してきました!
みなさんこんにちは!現在Think the Earthに学生インターンとしてお邪魔している慶應義塾大学総合政策学部1年生の落合航一郎です。2018年からSDGs for Schoolに所属して活動を続けている私、落合が、今回は超福祉展2020で開催されたSDGs for Schoolのシンポジウムにて全体の司会進行を務めさせていただきました。例年以上に”密”な内容になったSDGs for School in 超福祉展2020の全容をみなさんにシェアしたいと思います!

 

 

当日は、オンラインでの参加も含めて10名以上の中高大学生が集まり、活動事例紹介や学生ならではのトークセッションがなされ、ヴァーチャルの世界で3時間半に渡る”密”なシンポジウムが実現しました。
今年は、学生の良さを全面に引き出すべく、大学生による進行、中高生による事例発表そして中高大学生に大人が加わったSDGs for School全体でのトークセッションが行われました。

前半の事例発表ではやさしいせいふくの坂本亮さん、島崎恵茉さん、えこまの玉置法子さん、チームボルネオの白井花さん、伊左治夏美さん、Friday For Futureで活動されている黒部睦さん、team IfのプロジェクトRingから金居新大さん、横浜国立大学から入江遥斗さんの、総勢7名となる学生が発表しました。

 

 

やさしい世界のためのやさしいせいふく

「服はやさしい価値観を広めるための手段に過ぎません」やさしいせいふく・坂本さん

Good for Environment、Good for People、Good for the Worldの3Gの実現を目指して活動しているやさしいせいふくの皆さん。代表を務める東郷さんと、Textile Exchangeアジア地区アンバサダーの稲垣貢哉さんが発起人となって、やさしいせいふくは誕生しました。やさしいせいふくの皆さんが考えるその「やさしさ」とはまさに冒頭で述べた3Gのことで、坂本さんは「我々が作った服を着た時に、やさしい価値観を持てるような服を作りたい」と話しています。「誇りを持って活動している」と話している島崎さんをはじめ、やさしいせいふくの皆さんの活動はHPにまとめられています。「やさしさ」を感じるデザインがなされているHPは以下のリンクからご覧ください!
やさしいせいふくのHPはこちら

 

 

サステナブルラベルでエシカルな消費を

「もっと多くの人にサステナブルラベルを知って欲しい」学生団体えこま・玉置さん

Ecological Marketの略称である、えこま。環境への良さを考える人と商品が集う場所で、サステナブルラベルに関連していること、という唯一のルールに基づいたマーケットです。玉置さんは「世の中の人と商品とを繋ぐのがえこまです」と話しています。えこまの概要は、環境認証品を扱っている店舗がえこま加盟店として認定されることで、加盟店全体が一つの大きなまとまりとなってエシカルな商品を扱っていることをアピールできるといったものです。えこまでは現在、SNSでの参加型プロジェクトを実施しています。ぜひ参加してみてください!
TwitterInstagram

 

 

ボルネオに行って感じたSDGsの必要性

「学生は意外となんでもできますが、大人の助けが必要なんです」チームボルネオ・伊左治さん

2019年のボルネオ島スタディツアーに参加した白井さんと伊左治さん。白井さんはパームの問題を目で見て確かめるため、伊左治さんはSDGsについてさらに深い知識得るために、ボルネオ島に渡航したといいます。実際に渡航して現地の環境を肌で感じたチームボルネオの皆さんは帰国後、活動を始め現在はチロルチョコ×SDGsというプロジェクトを進めています。多角的な視点を忘れずに、全ての立場の人にメリットを作ることを意識しているというチームボルネオの皆さんはInstagramで写真を交えながらボルネオ島の現状を教えてくれています。以下のリンクからぜひご覧ください!
Instagram

 

 

使命感から生まれた楽しさこそが原動力

「もし僕らが動いたら、世界は変われるんじゃないのか」team If・金居さん

2018年にボルネオ島に渡航した金居さんは、ボルネオの森林、そして日本の人工林に目を向け、その後世界で評価されることとなるプロジェクトを始動させました。その内容は、国産材から定期券入れを製作、販売しそこで得た収益を利用して児童を対象にしたお箸作り教室を開講。子ども世代から親世代への逆教育を実現させ、最終的に残った利益はボルネオ島の森林保全活動に寄付するというものでした。このプロジェクトは国際的な教育プログラムであるSage Japanで優勝を収め、Sage World Cupに進出し、全体の3位入賞、2部門で特別賞を受賞する結果を残しました。「全ては考えることから始まる」という金居さん。考えることで日本からボルネオへ、ボルネオから世界で羽ばたいた金居さんやRingのみなさんの活動はHPでさらに詳しく紹介されています。さらなるステップアップをお見逃しなく。
team IfのHPはこちら

 

 

大切なのは何のためにやるかということ

「環境問題は、ちょっと無理っていうイメージがありました(笑)」国立音楽大学・黒部さん

高校生の頃からSDGsに関するイベントに積極的に参加していた黒部さんは、参加しながらも自分から新しいアクションを起こすのには抵抗があったそうです。そんな彼女を変えたのはスイスとスウェーデンへの渡航。現地の先進的なSDGsへの取り組みを目の当たりにして帰国後はさらに精力的な活動を始めました。現在はFriday For Future Japanの一員として独自の活動を生み出し続けている黒部さん。その中の一つには署名活動を通して気候変動への対策を呼びかけるものがあります。以下のリンクから詳細をご覧になれますので、ぜひクリックという”アクション”をしてみてください!
署名活動の詳細はこちら

 

 

参加型デザイン、Well-Beingとは

「デザインは社会問題を可視化して気づかせてくれる」横浜国立大学・入江さん

入江さんは、今までは製品を中心に専門職の人間が消費するものとしてなされてきたデザインはこれから、様々な場所で多くの人がデザイナーとなりコミュニティとして、共につくるものとして、生まれ変わると言います。社会課題をどのように解決するのか、共に議論することもデザインなのです。そしてこれから私たちが目指すべきはWell-beingであると入江さんは考えていました。「参加型デザインとWell-beingのかけ合わせこそが超福祉であり、目指すべき姿だ」という入江さん。当日お話しされた内容、資料は全て以下のHPにてご覧になれます。
入江さんのHPはこちら

 

 

学生の皆さんの活動事例紹介に混じって私、落合もSDGs、社会課題への取り組み方について意見を述べさせていただきました。

社会活動は「楽しさ」が大事

3年間私が学生として活動した中では、多くの場所で問題発見・解決という考え方を耳にしました。問題の原因を追求してその原因を克服するための施策を練る、といったような思考です。私は、この視点ももちろん大事だと思いますが、それ以上にいかにその活動を楽しんで、持続可能なものにできるかが重要になると考えています。どんなに頑張っても、社会が良くなる実感がなければその活動は続きにくいのではないでしょうか。社会問題の自分ゴト化や、持続可能な活動に必要なこととは何か。私は、これからも探求していきます。

 

 

後半はSDGs for Schoolの中高大学生、そして大人も加わってインタージェネレーショナルなトークセッションが開かれました。

 

大学生2人によるトークセッション・ここまでの軌跡

SDGs for Schoolで初期から活動し大学生になった2人が改めてその軌跡を懐古しつつ、社会活動をするために必要なこととは何か、議論しました。その中で学生団体50cmやSDGs for Schoolとしても活動した藤井美和さんは「元はSDGsにも興味はなかったけれど、学校のプログラムでチョークの粉から再びチョークを作るリサイクル活動をした時に自分ゴト化でき、そこから活動するようになった」と話していました。何となく社会問題というと、自分がアクションを起こしたところで利益が生まれないように思いがちですが、自分ゴト化がうまくいけば身近な利益をすくい取れるのかもしれません。かつて社会問題に興味がなかった彼女が今、活動を続けられている秘訣である「自分ゴト化」。SDGs、持続可能な成長目標の達成に向けて議論を重ねる際により重要なトピックとなりそうです。

 

 

コロナ禍で急変した学生の生活

4つの高校と4つの大学から10名の学生が参加したトークセッションでは各学校が新型コロナウイルスに対してどのような対策をしているか、そしてそれに学生は何を感じたかが明らかになりました。やさしいせいふくの島崎さんは、3密を避けるために部活動が禁止された影響で発表会がなくなってしまったといいます。「生活全体のモチベーションが一気に下がってしまった」という島崎さんの意見からも、新型コロナウイルスが学生に与えた影響の大きさを感じました。

 

 

それでも躍進を止めない学生たち

ネガティブな影響が目立ったコロナ禍の現状ですが、中にはこの状況を利用して自らの成長に充てる学生もいました。入江さんは、コロナ禍で生まれた空白の時間を利用して本を100冊以上読んで勉強していたそうです。また、やさしいせいふくの皆さんも学校のなかった約3ヶ月間をチャンスと捉え、活動を続けていたとか。逆境を受け止めながらも俯瞰して現状を捉え自らの成長に繋げる姿勢に、学生の持つ柔軟さや、力強さ、生命力を感じました。
また、オンライン授業が実施されている高校では早くもオンライン授業のメリットを最大限に活用して学問に勤しむ学生も出てきたようです。チームボルネオの白井さんは、「オンライン授業は好きな時に観れるし、一時停止もできる。自分のペースで勉強ができて良い」と言います。Friday For Futureの黒部さんも、オンラインだからこそ日本中の仲間とコミュニケーションが取れると言っていました。超福祉展がオンラインで行われたように、今後は様々なイベントや、学校の授業さえもがオンライン化されていくかもしれません。ヴァーチャル世界が生むその良さにも注目していく必要があるようです。

 

 

SDGsともう一度向き合ってみる

やさしいせいふくの坂本さんの意見から始まったこの議論。坂本さんは学校の入試問題にSDGsの暗記問題が取り入れられているのを見て強い違和感を感じたと言います。SDGsは一体何のためにあって、私たちはどのように関わっていくべきか。SDGsの本質とは何かという議論が展開され、物事の本質を捉えることの重要さを再認識させられました。
新渡戸文化学園の教員で、Think the Earthスタッフでもある山藤旅聞さんは「今年の挑戦はSDGsを使わないこと」と話していました。しかし結果的にSDGsは生徒との議論の場に登場したといいます。つまり、山藤さんが生徒に社会問題の現状を共有すると、自然と生徒の方からSDGsというワードが飛び出してきたということです。これを受けて山藤さんは「SDGsは試験問題などに用いられているかもしれないが、それでも知られているということは素晴らしいこと」とおっしゃっていました。他の環境政策と比べても、圧倒的な知名度を誇っているSDGs。有名になったからこそ、その本質を再度問い直すことが重要なのかもしれません。

 

 

これからの私たちの生活・福祉

上記で紹介した以外にも、トークセッションでは様々なトピックが挙がりました。「全て疑ってみよう」「SDGsのその先にあるものとはなんだろう」「学校では何をすべきなんだろう」などなど。Think the Earth理事の上田壮一さんは「中高大学生、そして大人が一体となって、同じ「仲間」として良いカタチを作れた」とおっしゃっていました。インタージェネレーショナルな面々が議論を交わしたあの3時間半には、先生と生徒でも、先輩と後輩でもなく、同じ議題を共有する仲間が集うことの大切さ、新しさが詰まっていたように思います。

 

 

 

あとがき・フィナーレとなった超福祉展を終えて

私は今年の超福祉展でSDGs for Schoolとして3年連続、3度目の登壇となりました。初めての登壇は2018年。活動事例を発表して、席に着き、次の登壇者が衝撃的なプレゼンテーションをしていたのを思い出します。そのプレゼンをしていたのが、今回の超福祉展で共に司会をした藤井さんです。私はThink the Earthのインターンとなって、彼女は超福祉展の運営スタッフとなって登壇した超福祉展には新しい社会への関わり方を感じました。大学生になって、情熱だけで動くことが良くも悪くもできなくなりSDGsへの関わり方がまた変化したように思います。私たちは学生と大人、社会を仲間として集結させられるハブのような役割を担うべきなのかもしれません。
私はこれからも時に困り、時に彷徨いながら、地道に答えに向かって進んで行きます。

超福祉展2020の様子はYoutubeのアーカイブ映像からご覧になれます。ぜひご覧ください。
アーカイブはこちら

SDGs for Schoolは今後も活動を続けていきます。
各種SNS、メールマガジン等から応援していただけると幸いです。
(落合航一郎)

落合 航一郎
落合 航一郎(おちあいこういちろう) インターン

高校生時のボルネオ島への渡航を皮切りに多数の企業と社会問題改善に向けたプロジェクトに取り組む。SDGs for Schoolには当初から参加し、Earth Day Tokyoや超福祉展など様々なイベントに登壇するかたわら、パーム油産業問題についての研究も行う。現在は慶應義塾大学総合政策学部1年生で、この夏からThink the Earthにインターンとして参加。SDGs以外にもデザインや建築など様々な分野に手を出しながら日々奮闘中。