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超文化祭2020@オンライン開催レポート(前半)
「いろんな学校の生徒や大人がみんなでつくる文化祭があったら素敵じゃないですか?」 ある先生が2019年のアースデイで発した何気ないひと言から、「超文化祭」の企画がはじまりました。
2019年の初回開催から1年が経ち、新型コロナウイルスの影響を受けながらではありましたが、超文化祭はオンラインというヴァーチャルの世界で今年も開催されました。
(当日のプログラムはこちらから)
昨年ドネーションを受けたチームによる活動報告
午前の部では最初に昨年ドネーションを受けた中高生が活動報告を行いました。どのチームも新型コロナウイルスの流行という予想外の事態に見舞われながらも活動を続け、今回の超文化祭には総勢12名、6チームの皆さんが参加してくれました。各チームの発表を短くご紹介します。
持続可能な消費を学校単位から
発表者:Eco-friendly エコンシュマー(Econsumer) 代表 結城舞さん
購買という身近な行動からSDGsを多くの人に知ってもらい、考えてもらうことを理念に啓発活動を続けているEco-friendlyの結城さん。昨年のドネーション資金を基に文化祭でフェアトレード商品を販売するのに使おうと考えていましたが、新型コロナの影響で叶いませんでした。しかし、それで心折れることなく現在は
学校でオリジナルのオーガニックコットンバッグを製作し販売することをや昆虫食の販売を計画し、進めているそうです。
新しい形の”ストライキ”を
発表者:くらすて 国立音楽大学2年 黒部睦さん
くらすてはClimate stickerの略称で、世界中で気候変動に対するストライキが行われている中、日本でも意思表示をしやすいようにステッカーを作って販売するというアイデアを当時高校生だった黒部さんが考えました。ドネーションを集め、結果的には272枚の売り上げを達成し、今後の活動費とGREEN PEACE JAPANへの寄付金を作り出せたと言います。また現在はClimate Live Japanという音楽を通じて若い世代の気候変動への理解やアクションを呼びかける団体で活動を続けており、超文化祭の参加者へ活動の協力や参加を呼びかけていました。
“せいふく”から服飾産業に変革を
発表者:やさしいせいふく 島崎恵茉さん、西上慧さん、竹田陽さん
やさしいせいふくは、「ありがとう」と、笑顔が生まれる服づくりを世界中に浸透させることを最大の目的としたプロジェクトです。アパレル業界に対して、トレーサビリティの確立やサプライチェーンの透明化、SNSでのコミュニケーションなど数々の改善策を提言しているやさしいせいふくの皆さん。今後は、やさしさのある制服の普及や、他校に出向いて仲間を作ることを計画しているそうです。多くの人を巻き込みアパレル産業に変化を起こすと意気込む彼らの今後に注目です。
大量生産・消費の時代に終止符を
発表者:細田学園中学校・高等学校の皆さん
大量生産、大量消費で成り立つ社会に終止符を打ち、服に関する課題の理解を深め、自分たちができることで貢献を目指す細田学園中学・高等学校の皆さん。前回の超文化祭では課題を洗い出し、企業とのコラボレーションを試みましたが新型コロナの影響で、製品開発は中止に。それでも彼らはCircular society in Schoolを立ち上げ、学校で衣類を回収し、交換会の実施や、寄付、新しい服へのリメイクを計画していました。
身近な場所から環境問題につなぐ
発表者:本命チョコを地球にあげよう チロルチョコ×SDGs 伊左治夏美さん・伊東真菜美さん
ボルネオ島で環境問題の現状を肉眼で捉え、自分たちの生活と環境問題が直結していることを知り、活動を続けている二人はまず、SDGsを知ってもらうことが重要だと言います。新しい試みとして、学生でも手に取れる範囲からSDGsを広めていくためにチロルチョコに着眼したそうです。今後は企画書の制作、朝日新聞、チロルチョコの方と話し合い、実現を目指しています。
サステナブルな商品と消費者をつなぐ場所
発表者:えこま 八木くるみさん・美濃部ゆりんさん
えこまの皆さんは、高校生にアンケートしたところサステナブルラベルの認知度と購入経験の有無に差があり、認知されていても買うことができないという課題を見出しました。それを解決すべく、始まったのがエコロジカルマーケット、えこまです。認証をうけた商品と消費者を繋ぐプロジェクトで、新型コロナの影響を鑑み、オンラインショップでの実現を目指しています。無関心層を関心層にすることも目標として見据え、活動を続けていくそうです。
国連広報センター所長 根本かおるさんより基調講演
国連広報センター所長の根本かおるさんにオンラインでお越しいただき、基調講演と学生との対談をしていただきました。根本さんは冒頭での学生団体からの発表を受けて、学生が発表していた意見について言及され、エールを送りました。
「この1年間で新型コロナの影響で制約もある中活動を続けられていて、ありがたい。多くの方々が例えば消費の選択を通じて世界を変えようじゃないかという呼びかけをされていて、それは誰でも意識を変えればできること。ぜひ裾野を広げていってほしい。」
さらに、根本さんは「SDGsを羅針盤に、より良い復興を」というメッセージを投げかけ、ギリギリの生活をしている人々がコロナ危機のショックで一気に苦境に立たされていることを教えてくれました。あらためてSDGsの大原則「誰一人取り残されない」の重要性が再認識されています。国連広報センターの役割、SDGsウエディングケーキや首脳レベルでのSDGs達成過程点検などのお話をされ、終始繰り返し学生を含む若年層の発想や力が重要であることを述べられていました。
「若者は明日のリーダーではなく今日のリーダーです。今の若い人たちやこれから生まれてくる人たちの未来について議論する際には、彼らに当事者として関わってもらうべき。」
SDGs達成に向けて動く国連広報センターをはじめとする最先端の現場や、世界が抱える問題の現状について理解でき、学生ら若年層のアクションが求められていることが感じられる貴重なお話をしていただきました。
根本さんとSDGs for School学生メンバーとの対談
SDGs for Schoolのユースメンバーであるトラオレ・ダウダ・一真さん(小学6年生)、川西みつはさん(高校2年生)、西上慧さん(高校2年生)の3名と根本さんとの対談では、率直な疑問や質問を通して社会情勢やSDGsについての理解を深めました。質問の中には、根本さんが国連で活躍されるようになった経緯や、学生自身が活動を身近な人に共有できないことについての悩み、さらには核撤廃に向けた日本の動きについてまで、様々な話題が登場しました。
川西さんと西上さんから出た活動を身近な人に伝える難しさについて、根本さんは学校の教育現場が抱える課題を引き合いに出し、以下のように答えられていました。
「学校の教育現場では、みんなで意見を共有してみんなで議論できるような環境作りが必要。社会的な関心を友人に言いづらいのも、活動の仲間を増やすのも、仲間と議論し物事を組み上げる心持ちがあるべきだと思います。」
対談に参加した学生のみならず、その他参加者の皆さん、さらにはそれらを聞いていた超文化祭スタッフにとっても実りのある時間でした。根本かおるさん、ありがとうございました!(後半はこちら)
高校生時のボルネオ島への渡航を皮切りに多数の企業と社会問題改善に向けたプロジェクトに取り組む。SDGs for Schoolには当初から参加し、Earth Day Tokyoや超福祉展など様々なイベントに登壇するかたわら、パーム油産業問題についての研究も行う。現在は慶應義塾大学総合政策学部1年生で、この夏からThink the Earthにインターンとして参加。SDGs以外にもデザインや建築など様々な分野に手を出しながら日々奮闘中。