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2017.12.04 | スタッフブログ

「毎日の買い物が地球の未来を変える〜エシカル消費とSDGs〜」セミサロ実施レポート

松本 麻美
松本 麻美 スタッフ

11月10日に行なったセミサロで、「毎日の買い物が地球の未来を変える〜エシカル消費とSDGs〜」を開催しました。

ゲストは、一般社団法人エシカル協会 代表理事の末吉里花さんです!

エシカル協会では、エシカル消費やエシカルの考え方を知ってもらうために、エシカルの基礎が学べる「エシカル・コンシェルジュ講座」を定期的に開催しています。またフェアトレード商品や環境に配慮された商品を販売したり、トークショーやライブなどを行うイベント「エシカルフェスタ」を開催したり、「エシカルファッションショー」を実施するなど、ワクワクするような場を通じて「エシカル」を広げる場を作っています。また、エシカルなものを消費者に届けられるよう、エシカルな商品を生産してもらえるように、企業に働きかけもしています。

ここまで何度も「エシカル」という単語がでてきましたが、どんな意味なのでしょうか?

答えは、のちほど出てくるのでお楽しみに!

エシカル協会を始めた理由

エシカルな消費に出会うまで、末吉さんは、言わずと知れたテレビ番組TBS系「世界ふしぎ発見!」で、ミステリーハンターをしていました。

ミステリーハンターをしていくうちに「この世界は、一部の利益や権力のために、美しい自然や立場の弱い人達が、犠牲になっている、ということが、なんとなく見えてきました」と語る末吉さん。ターニングポイントになったのは、タンザニアのキリマンジャロ登頂だった、と言います。

それは、2004年のこと。頂上に横たわっている氷河が、2010年から20年の間に全て溶けてしまう、という科学的な知見がありました。末吉さんと取材班は、その氷河がどれくらい溶けているのか、様子を見に行こうと計画し、現地に赴きました。

登山の途中、標高1900m地点にある小学校を訪ねたところ、そこには植林をする子どもたちの姿がありました。子どもたちは「どうか頂上の氷河が再び大きくなりますように」と祈りながら木を植えていたそうです。彼らにとっては氷河の雪解け水の一部が生活用水なので、溶けてしまうことは死活問題だったのです。

実際に目で見た頂上の氷は、ほんの僅かに残っているのみでした。

「『先進国に暮らしている消費者によって、影響を受けている人たちがいる。そのことを伝えなければ』と思いながら、山をおりてきたんです」

提供:一般社団法人エシカル協会

その後、フェアトレードのファッションブランド「ピープルツリー」を立ち上げた、サフィア・ミニーさんに会いました。14年ほど前のことです。「ファッションで世界を変える」というサフィアさんの考えに共感し、末吉さんは、フェアトレードにどんどんのめり込んでいきました。

エシカルは、消費の第四の尺度

「安心・安全」と「品質」「価格」。この3つは、おそらく多くの人達が、日々の暮らしで買い物をするとき、基準にしているポイントではないでしょうか。これにプラス1、「エシカル」を加えることが大事です。

「『エシカル』とは“倫理的な”と訳される英語です、法的な縛りはなくても、本来、人間が持つ良心から発生した社会的な規範こそが、エシカルといわれます。エシカルの基準をもって、買い物や食事など、の消費して欲しいと思っています」

消費における「エシカル」とは、人や社会、環境、地域に配慮した考え方や行動を指します。だれがどこでどうやって作っているのか。生産される現場の様子を知ることが大切です。

私たちが日々使うものの裏側には、児童労働や劣悪な環境下での労働、貧困問題、絶滅危惧種の消費、気候変動への影響など、数多くの社的な問題が隠れています。

ものを見ただけでは労働者の顔は見えません。ですが、遠い世界のことではなく、私たちはつながっています。日々安いものを求め続けていれば、そのしわ寄せは生産の過程で一番末端にいる弱い立場の労働者や子どもたちへ向かってしまいます。

「問題は誰かに知られないと問題になりません。だからこそ、私たちは、その問題をまず知る必要があります。知らなければ、こんな大きな問題に知らない内に加担してしまっているかもしれないリスクがあるのです。ものと、生産される環境の間にある壁を取り除く。それが、エシカルへの大きな第一歩だと考えています」

エシカル消費の方法

エシカル消費は、3つに分類されます。

1、環境への配慮
グリーン購入、自然エネルギー利用、カーレンタル・シェア、リサイクル・アップサイクル など
2、社会への配慮
フェアトレード製品、障がい者支援につながる製品、寄付つき製品、社会的責任投資 など
3、地域への配慮
地産地消、地元商店での買い物、応援消費、伝統工芸 など

伝統工芸なども、エシカル消費につながるとは驚きです。自分の街の文化を残していくことは、とても大切です。

こうしてみると、レンタカーやカーシェア、リサイクル・アップサイクル、地産品の購入や地元商店での買い物など、意外と身近なところからエシカル消費を始められることがわかります。でも、これだけ間口が広いと、買い物先でもどの商品を選んだらよいのか、迷ってしまいます。

そんなときにガイドとして活用したいのが、認証ラベル。

(認証ラベルのうち環境ラベルは、環境省のページで確認できます!)

ラベルのなかでは、エコマークやFSC認証マークをよく見かけるように思います。買い物をする時、原材料のチェックと一緒に、この認証マークを探してみると良いかもしれません。

エシカル消費の効果

末吉さんによると、途上国で働くフェアトレードの生産者の多くは女性だそうです。

エシカルな消費の1つに、冒頭で出てきたフェアトレード商品があります。極端に安い賃金で働かされる人がいる状況の改善のために構築された、働き手が公平な賃金を受け取れるサプライチェーンのことを言います。

ある女性のフェアトレードの生産者は、こんな話をしてくださったそうです。

「私たち女性に収入があると、そのお金を子どもの教育費に充てることができる。男性の給料だけでは生活費をまかなうことしかできません。また、私たちの地域では男性ひとりを教育すると、彼の人生が変わる。でも女性ひとりを教育すると、地域全体が変わります。フェアトレードは女性のエンパワメントを高め、女性が生き生きと働ける場を提供できる仕組みなのです」

「そして、フェアトレードが取り入れられている場所には、教育機関や医療機関が建てられています」と末吉さん。

「その仕組は、商品の代金に上乗せされている『プレミアム』と呼ばれる賃金です。このプレミアムを積み立てていき、まとまった金額になった時に、地域に必要なものを住民同士で相談して決めています」

エシカル消費というと、よく「高い」といわれますが、金額の高さが、地域の活性化と公平な労働をつくりだしているのですね!

最近では、企業でもフェアトレードを積極的に取り入れているそうです。自社製品をフェアトレード商品にしたり、社内製品にフェアトレードのものを仕入れたり……。なかには、社員食堂にフェアトレードメニューを取り入れているところもあるそうです。その他、地方自治体や国でも、フェアトレードやエシカル消費を広めていく動きがどんどん出てきています。

エシカル消費を文化に

「エシカルをトレンドではなく、文化にしていきたい。みんなが知っている単語にしていきたいと思っています。日本では、お互いさま、お陰さま、足るを知る、もったいない、五方よし(三方よしに2つ追加した末吉さんのオリジナル!)の考え方を、現代にアレンジしたのがエシカル消費です」

と語る末吉さん。悩んだとき、アメリカのアウトドアメーカー、パタゴニアの創設者イヴォン・シュイナードさんに、こんな言葉を言われました。

「もし活動をやめたら問題の一部になる。でも続ければ、解決の一部になる」

このエシカルという考え方、2015年に国連で締結された「SDGs」のゴール12「持続可能な生産消費形態を確保する」にも通じるのだ、と末吉さんは講演中、教えて下さいました。

最初のうちはあまり大きいことはできなくても、私達消費者が、生産者のことを考えて行動すれば、「社会の問題に、知らないうちに加担してた!」ということを防げます。また、それを続けていけば、そのうちに社会を変えるアクションにつながるかもしれませんね。

 明日から、まずは私たちの身の回りの消費から少しずつ見直していきませんか?

松本 麻美
松本 麻美(まつもと あさみ) スタッフ

子どものころに楽器を習うも、石川県の美術大学へ進学し彫刻を勉強。卒業後の1年を、ロンドンへの語学留学、派遣社員としての勤務などをして過ごす。編集未経験で勤務した編集プロダクションでは、移住専門雑誌や書籍などの編集、ライティングを2年間担当。そろそろやりたいと思ってきたことをしたい、と退社したところにThink the Earthと出会う。関心は映画、音楽、美術、谷戸など。新しいことを知るたびにワクワクします!