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H2Aロケットに宇宙と地球をアートでつなぐミニ衛星も

2014.03.02 山田 由美

Global Precipitation Measurement (GPM) Mission(201402280006HQ):Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by GPM Mission

2月28日午前3時37分、種子島宇宙センターから「世界でただひとつの雨雲スキャンレーダー」を載せたH-2Aロケットが無事打ち上げられたと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発表しました。

この人工衛星の主目的は世界中の雨や雪を宇宙から徹底的に観測すること。上述の雨雲スキャンレーダーは、雨雲を立体的に読み取って雨が降る構造を把握できる特性を持つほか、従来測りにくかった弱い雨を検出したり、2つの周波数のレーダーを使うことで雨粒の大きさまで推定できるという最新の機能を持っています。

これらの新たな取り組みは「全球降水観測(GPM)計画」と呼ばれており、今回打ち上げる主衛星と世界各国が開発する衛星群が協力し、世界中の雨を宇宙から見極めようという画期的な挑戦。約3時間ばかりで世界中の雨や雪の状況がわかるのです。

雨雲からの水は台風、竜巻、集中豪雨、洪水などを引き起こし、甚大な被害を与える一方、恵みの雨があるからこそ豊かな農業・工業などが成り立ち、私たちは生きています。世界中に降る雨を調べることは気候変動などによる水被害を減らすだけでなく、適切な水資源管理にも役立つのです。

また今回の人工衛星打ち上げで面白いのは、公募により選定された7つの小型副衛星が相乗りしていること。以前から相乗りは実現していましたが今回は過去最高の数。大学の研究チームなどによって作られた重量約1キロ〜20キロのユニークな副衛星は、主衛星の側面にくっついて一緒に宇宙に飛び立ちます。帝京大学のチームは粘菌を宇宙に送り、宇宙空間での状態を観察します。東京大学と多摩美術大学のチームは、人工衛星を宇宙と人々を結びつけるメディアであると捉えた「衛星芸術」を提案。宇宙は理工学系の分野の人たち以外にとって遠い存在でしたが、アーティストやデザイナーのほか一般の人もインターネットなどでアートと宇宙をつなぐことができるのです。

今後衛星の動きや宇宙空間からインスピレーションを得た作品も生まれるかもしれません。打ち上げ成功の知らせは人工衛星を社会で広く活用する時代の幕開けとも言えるでしょう。



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鹿児島、日本 (日本

山田 由美