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2020.02.19 | 宮原 桃子

画像検索ツール「ピンタレスト」でホームレスに関心を 米国で注目の寄付キャンペーン

さまざまな画像検索結果に混ざって表示される「Selfless Pins」キャンペーンのホームレス画像

レシピやインテリア、ファッションなどのアイデア画像を検索・保存するウェブツール「ピンタレスト(Pinterest)」。米国ユーザーの90%が、商品購入前にサイトをチェックするそうです。そんなピンタレストを使った斬新なキャンペーンで注目を集めたのが、シカゴのホームレス支援団体「ナイト・ミニストリー(The Night Ministry)」です。シカゴに暮らす約1万6000人の若者ホームレスの問題について、多くの人に知ってもらいたいと考えたのです。

ピンタレストで「ベッド」「家」「コート」などのキーワードで検索すると、おしゃれな画像の中にシカゴに暮らすホームレスのベッドや服などが現れ、「眠る場所や暖かいコートを」といったメッセージが添えられています。画像をクリックすると、寄付サイトにつながる仕組みです。大手広告企業ピュブリシス・サピエントが、同団体への支援の一環として制作しました。

自分の買い物のためではなく、他者を救う「Selfless Pins(誰かのためのピン)」と名付けられたキャンペーンは、人びとがホームレスの状況に自分を重ね合わせるきっかけを作りました。月21万人以上のページビューを集めて寄付金は322%増となり、支援の輪が広がっています。

The Night Ministryでは、ホームレスの人びとへの住居や医療、カウンセリングなどの支援を行っている ©️Daniel Lobo

寒い季節になると、数年前にアフガン難民の母子が道中の雪山で凍死した出来事を思い出します。ニュースを聞いた後、子どもたちと温かい湯船に浸かった時、我が子を温めて救いたかっただろう母の気持ちが自分に重なってくるようで、胸が締め付けられました。

日々の暮らしの中で、遠いどこかで困難な状況にある人びとのことを、身近に感じたり、想いを馳せたりすることは、簡単ではありません。「Selfless Pins」のように、彼らの状況に自分を重ね合わせて想像できた時、「あちら側の世界の話」として境界線を引いていたことが、自分と同じ世界のことに感じられるのかもしれません。

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宮原 桃子
宮原 桃子(みやはら ももこ) 地球リポーター

日本貿易振興機構(JETRO)に勤務後、フェアトレードファッション・ブランド「People Tree」にて、バングラデシュ・インド・ネパールにおける生産管理に従事。現在は、企業のサステナビリティ推進を支援する「 エコネットワークス」に、コンテンツプロジェクトマネージャーとして参画。ライフワークとして、フェアトレード絵本「ムクリのにじいろTシャツ」を制作したほか、親子向けにフェアトレードを学ぶワークショップを企画する「フェアトレードガーデン世田谷」(本部・東京)の運営に携わる。社会や世界で起きていることを「自分ごと」として感じ、考え、行動する。そんなきっかけになるような記事をお届けしたいと思います。

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