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Energy

太陽光もシェアの時代!?
農地の新しい活用法 ソーラーシェアリングとは

2017.05.23 Think the Earthスタッフ

シェアオフィスにシェアハウス、今や何でもシェアが当たり前の時代になりつつありますが、そんな中で「ソーラーシェアリング」という取り組みが広がっています。ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)とは、ひとつの場所で農業と発電事業を同時に行うこと、つまり農業をしながら太陽光発電でも収入を得ることができる、という農地の新しい活用方法です。

これまでは農地法の問題で、農地を使って太陽光発電をすることは出来ませんでした。しかし、2013年に農林水産省が出したガイドライン(支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて)によって、農地でも発電ができるようになりました。

「農地を太陽光パネルで遮(さえぎ)ってしまったら、農作物が育たないのでは?」という疑問が湧くと思いますが、実は、農作物が光合成に必要な太陽光には上限(光飽和点)があり、それ以上の太陽光は逆に作物が傷む恐れもあります。ソーラーシェアリングでは、ちゃんと農作物に必要な太陽光が届くように隙間を作ってパネルを設置することで、十分な日射量を確保しながら、光合成に使われない太陽光で発電することが可能です。

ソーラーシェアリングでは、農作業に必要な機械が通れるように支柱の高さを設定する必要があるため、横に立つと見上げる位置にパネルが設置されています

千葉県匝瑳(そうさ)市では、地元の農家の方たちが中心となって合同会社を設立し、2017年4月より耕作放棄地を活用した国内最大級規模のソーラーシェアリング「匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所」の商用運転を開始しました。匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所の最大出力は1メガワット、想定年間発電量は約1424メガワット時(20年平均)で、一般家庭約288世帯分の消費電力をまかなえる見込みです。「匝瑳市飯塚地区の世帯数は230ほどなので、この地域の電力を地産地消でまかなえる計算になります。また、売電収入の一部を農家の方の安定的な収入として提供することで、農地の再生と自然環境を守りながら、地域を活性化させていきたい」と匝瑳ソーラーシェアリング合同会社代表の椿茂雄さんは4月3日の落成式で語っていました。

匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所では、パネルオーナー制度を導入し、地域の人びとがパネル1枚から発電所のパネルオーナーになることが可能

現在、日本の農業は、海外との価格競争や後継者不足、耕作放棄地の増加など様々な問題を抱えています。また、日本のエネルギー自給率はたったの6%。限られた日本の土地でどう再生可能エネルギーを増やしていくかは、エネルギー自給率を上げるために日本が解くべき課題のひとつです。

すでに確立された太陽光発電の技術を今まで活用されなかった農地に導入する
ソーラーシェアリングは、農業とエネルギー、どちらの問題に対しても解決の糸口になるかもしれません。とはいえ、まだまだソーラーシェアリングの導入事例は多くはありません。今後の広がりに期待したいです。

参考資料:
日本初、メガソーラーシェアリング向けプロジェクトファイナンスによる
営農型太陽光発電所が千葉県匝瑳市にて稼働開始
http://www.sbigroup.co.jp/news/2017/0403_10630.html
一般社団法人ソーラーシェアリング協会
http://solar-sharing.org/
http://solar-sharing.org/solarsharing/index.html



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