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木質系ガレキを肥料に変える石巻のチャレンジ

2011.09.27 瀬戸 義章

上品山牧場にまかれた木質系ガレキのチップ photo by yoshiaki seto

宮城県石巻市の内陸部、北上川の南方に、高さ467メートルの上品山(じょうぼんざん)があります。頂上には市営牧場がありますが、震災の影響で放牧は実施されていません。牛の鳴き声は無く、緑が広がるばかりです。

7月にここを訪れたとき、牧場の一部分が茶色に覆われていました。細かく砕かれた木片が、6ヘクタールにわたって敷きつめられているのです。木くずを手に取ると、かすかに磯の臭いが漂いました。

ここで行われているのは、被災した家屋の建材や流木といった、ガレキ木材のコンポスト(堆肥)化実験です。市内のガレキ収集現場で分別後、破砕処理したチップが運び込まれ、重機で土と混ぜ合わせます。微生物の働きで分解、堆肥化させることが狙いです。

この試みは、樹木の皮を肥料として使う「バーク肥料」に着想を得て、石巻市河北総合支所が提案したものです。

バークとは樹木の皮のこと。これを発酵させて作った土壌改良材が、バーク肥料です。土に混ぜることで、保肥性・保水性・通気性が高まる効果があります。もともとは間伐材などから作られていましたが、リサイクルの観点から、家屋の柱などの建築廃棄物を原料とする場合もありました。

とはいえ、今回は海水を被った被災ガレキです。じゅうぶんに堆肥化ができるか、その効果に疑問の声もありました。しかし、9月上旬に種まきをした牧草が、いま芽吹きはじめたとのこと。これからもきちんと生育するか、まだ予断を許しませんが、嬉しい知らせです

石巻市は、今回の震災でもっとも災害廃棄物が生じた自治体です。その総量は、なんと616万トン。ふだんのゴミ処理量の、「106年分」にあたります。石巻市生活環境部によれば、このうち29万トンが破砕してチップにすることができる木質系ガレキです。もともとは焼却処分の予定でしたが、それだけでは処理しきれない量のため、こうした取り組みが行われています。

やっかいもののガレキが肥料に変わるこの取り組み。緑があふれることを祈りましょう。



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瀬戸 義章