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「ものづくり」と「まちづくり」の未来 第10回ファブラボ世界会議報告会

2014.07.16 瀬戸 義章

FAB10の報告をするファブラボ関内ディレクターの門田和雄さん

7月2日から8日にかけてスペインのバルセロナで開催された「FAB10(第10回ファブラボ世界会議)」の報告会が、ファブラボ関内(横浜市中区)で行われました。

ファブラボとは、市民に開放された実験工房のことです。3Dプリンターやレーザーカッターといったデジタル工作機器を備えており、国際的なネットワークを築いていることが特徴です。ラボの数は50カ国300カ所を超えており、年々増え続けています。毎年の夏に各国各地域のファブラボ代表者が集まる世界会議が行われ、昨年の開催地は横浜でした。

"世界会議"といっても、エンジニアやアーティストといった「作り手」が集まるのですから、ただ話しているだけでは終わりません。今回のファブラボ世界会議では、チョコレートやサーモンペーストといった食材を使ってかたちをつくる3Dプリンターのセッションや、レーザー光線を使って彫刻・切断・穴あけ加工ができる「レーザーカッター」を自作するワークショップなど、多彩なイベントが行われました。

第10回の世界会議となるFAB10では、"From fab labs to fab cities(ファブラボからファブシティへ)"というテーマのもと、「ものづくり」を越えた「まちづくり」への試みが数多く共有されました。

例えば、デンマークの行政が運営するファブラボでは、一般から広くビジネスアイデアを募り、企業に販売するという事業を行っているそうです。売れそうなアイデアはラボで試作品をつくることによって、よりアピールすることができます。販売されたアイデアの価値は、合計で3億7000万ユーロ(約510億円)に上るそうです。

また、アメリカではSTEM教育(Science, Technology, Engineering and Math;自分で課題を見つけて解決するための教育)を推進するためにファブラボが活用されています。カリフォルニア州リッチモンドのファブラボは、各学校を巡回して、合計で3000人もの生徒に授業を行っているそうです。

そして、開催地となったバルセロナは、持続的なまちづくりを目指す「スマートシティ」をコンセプトに掲げており、ファブラボは「スマート・シティズン・キット」という、「デジタル百葉箱」の開発と普及を進めています。気温や湿度、騒音の大きさ、太陽光の強さ、空気の状態などを含む環境情報を測ることのできる手のひらサイズのセンサーを、市民一人ひとりがつくり、設置し、インターネット上でデータを共有することで、都市生活に必要な情報を見える化しようという試みです。(Webサイトはこちら

バルセロナ市のゴールは「必要とするものを自分たちでつくる、自己充足型の都市」です。日本では「持続可能」というと「ライフスタイルの改善」に注目が集まりがちですが、デジタル工作やICTを活用した彼らのアプローチは興味深いですね。



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瀬戸 義章