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2020.03.29 | 宮原 桃子

世界初のCO2制限付きクレジットカード 買い物でCO2排出量を超えると使用不可に!

CO2制限付きクレジットカード「DO BLACK」 ©︎Doconomy AB

毎日の暮らしの中で、私たちはどれくらいCO2を出しているのでしょう? この30年間で世界のCO2排出量が50%増える中、温暖化を食い止めるカギの一つは、私たち一人ひとりの暮らしです。日々どんな移動手段や電力、商品を選んでいるかなど、生活のあらゆる側面がかかわってきます。特に「どんなモノを消費するか」は、あらゆる商品が生産加工、輸送、流通に至るまでCO2排出を伴うため、とても重要なポイントです。

そこでスウェーデンのフィンテック企業「ドゥーコノミー(Doconomy)」は、「EVERYDAY CLIMATE ACTION(気候変動のために毎日行動しよう)」をモットーに、個人の消費を変えることで気候危機に立ち向かおうとしています。

同社が今春スタートを予定しているのは、買い物のCO2排出量を追跡するクレジットカード「DO WHITE」「DO BLACK」です。「DO WHITE」カードでは、買い物をすると連動したモバイルバンキングアプリ「DO」で各取引のCO2排出量データや累計を確認でき、寄付やグリーン投資を通じたオフセット(相殺)も可能です。カードは、植物性素材とエアインク(大気汚染物質から製造されたインク)で作られています。

連動するモバイルバンキングアプリ「DO」で、商品ごとのCO2排出量や累計を確認でき、年間上限を超えると使用停止となる  ©︎Doconomy AB

DO BLACK」カードは、これらの機能に加えて、世界初のカーボンリミット(CO2制限)が付いたプレミアムカードです。同社がマスターカードやUNFCCC(国連気候変動枠組条約事務局)と組んで開発しました。「DO BLACK」では、国連の2030年目標に基づく国別の一人当たり排出量を元に、個人のCO2排出量の年間上限を設定。買い物をするたびに、取引ごとのCO2排出量を集計し、年間上限のリミットを超えるとクレジットカードが使えなくなる仕組みです。ちなみに、同社の算出によると、日本に住む人の一人当たり年間上限は20トン(月間上限1666キロ)だそうです。

プレミアムカード「DO BLACK」は、年間のCO2排出量上限を超えると使えなくなる  ©︎Doconomy AB

「典型的なクレジットカードは、買い物をすれば、さらなる買い物に使えるポイントなどが付与され、大量消費を加速させます。でも、私たちはその逆です。私たちは、今の緊急事態を受け入れて、もっと責任ある消費をしていかねばなりません。DO BLACKカードを使えば、言い訳はできません」と同社はコメント。同社のクレジットカードとアプリは、まずスウェーデンを皮切りに、今後欧州や世界への展開を目指しています。

CEOのナタリー・グリーン氏 
 ©︎Doconomy AB

モノを選ぶことは、未来を選ぶこと。私たち一人ひとりが、CO2排出量や環境負荷、生産者の人権などを考えて、地球や人にやさしいエシカルな商品を選ぶことの積み重ねで、この世界はちょっとずつ変わっていきます。DO BLACKカードは、一人ひとりのエシカルな消費行動を強力に後押しする新たなツールになるかもしれません。

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宮原 桃子
宮原 桃子(みやはら ももこ) 地球リポーター

日本貿易振興機構(JETRO)に勤務後、フェアトレードファッション・ブランド「People Tree」にて、バングラデシュ・インド・ネパールにおける生産管理に従事。現在は、企業のサステナビリティ推進を支援する「 エコネットワークス」に、コンテンツプロジェクトマネージャーとして参画。ライフワークとして、フェアトレード絵本「ムクリのにじいろTシャツ」を制作したほか、親子向けにフェアトレードを学ぶワークショップを企画する「フェアトレードガーデン世田谷」(本部・東京)の運営に携わる。社会や世界で起きていることを「自分ごと」として感じ、考え、行動する。そんなきっかけになるような記事をお届けしたいと思います。

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