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Art & Design

みえる人もみえない人も一緒に アートの「井戸端鑑賞」

2014.02.19 平澤 直子

写真提供:東京都現代美術館

3月1日と2日に、東京都現代美術館で「みえる人とみえない人の『井戸端鑑賞』」ワークショップが行われます。視覚障害のある人もない人も一緒に作品を鑑賞し、作品について自由に語り合うイベントです。

視覚障害のある人の美術鑑賞というとまず、彫刻などの立体的アートを触ることで作品を感じるスタイルが挙げられます。実際、一部触れてよい作品を展示している美術館もありますし、1984年に東京・渋谷に開館したギャラリーTOMのような、視覚障害者のために作られた美術館もあります。しかし残念ながら、多くの美術館では作品に触ることは禁止されているため、視覚障害者にとって美術館はいまだハードルの高い場所となっているようです。

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そんな中、視覚障害者でもすべてのアートを鑑賞することが可能になる手法が、今回のワークショップのでも用いられる「会話」による鑑賞です。これは、視覚障害のある人とない人がグループとなって一緒に作品を鑑賞し、視覚障害のない人の感想や説明から視覚障害のある人が作品のイメージを受け取り、質問したりされたりしながら作品のイメージを作り上げていくものです。

視覚障害のある人に作品へのイマジネーションを広げてもらおうというこの手法ですが、その本質的な効果はむしろ視覚障害のない人により大きく表れると、今まで多くの同様のイベントを手掛け、今回のワークショップも企画している障害者とつくる美術鑑賞ワークショップの主宰者は言います。普段はひとり静かに鑑賞する作品も、他者から質問を受けたり印象を語り合ったりすることで、新たな魅力を発見することができるからです。障害のあるなしに関わらず、作品に対する見方や感想は違うものです。そういった異なる価値観、異なる生活文化を持つ人同士が一緒になって個々の主観を持ち寄り、重ね合わせることで、アートの新たな楽しみ方を作っていきたい、というのが同団体のねらいです。

また、同ワークショップでは、作品について語り合った音声を使い、「オリジナル音声ガイド」を製作します。これが美術館に設置された場合、来場者は誰でも「他人の見方を知ることができる」ようになり、視覚障害のあるなしに関係なく、作品および音声ガイドを楽しめるようになります。

先日地球リポートでも紹介した「ピープルデザイン研究所」代表理事、須藤シンジさんも紹介していた「障害のある人とない人が混ざり合う世界」は、ここでも実現しています。



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平澤 直子