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Biodiversity

生物多様性の「ABS」と企業の深い関係とは?

2010.04.11 関 和音

2010年10月に名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開かれます。日本がホスト国のためか、生物多様性という言葉を耳にする機会も増えてきているように感じます。

今回、重要な議題の一つが「遺伝資源へのアクセスと利益配分」、通称「ABS 」(Access to generic resources and Benefit Sharing)についての、国際的な枠組みを決めることです。実は先進国の企業による遺伝資源を利用した商品開発は、「バイオパイラシー(生物資源の海賊行為)」と呼ばれる重大な問題をはらんでいるのです。

私たちが普段何気なく使っている化粧品や医薬品などの商品の多くは植物や動物、微生物に由来します。高い技術力を持つ先進国の企業は、途上国の天然資源を利用した商品開発により、多大な利益を挙げてきました。しかし資源保有国である途上国に対して、利益の還元は行われてきませんでした。

1992年に採択された生物多様性条約で、遺伝資源の主権はそれが存在する国家にあると定められました。そのため、これまでの行為は資源主権の侵害であると主張する途上国と先進国の間での議論が激化し、3月に行われた作業部会では対立関係があらわとなりました。

ABSに関する取り決めは罰則の無いガイドラインが存在するのみでした。そのため、COP10にて法的な拘束力を持つ合意が行われるか注目されています。

途上国の生物多様性保全や貧困の解決に大きく貢献し得るシステムであるABS。先進国と途上国の議論をホスト国である日本はどのように取りまとめていくのか。生物多様性をめぐる議論からますます目が離せません。



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